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330円の勇気

私は優等生だ。
吐き気がするほどに


学校を無断欠席したことも
「調子が悪い」そんな嘘をついて保健室に行ったことも
「死にたい」そう思わせるほど苦しい部活でさえも結局休むことはなく3年間続けた。



「休む」「辞める」「何もしない」ができない私は今日も変わらず明後日に控えるテスト勉強をする。スケジュール帳にもそう書いてあった。


ただ、私は疲れていた。目を閉じなくても涙が流れていくほどに。
テスト以外にも「やりたい」そう思って始めた活動がいつしか「やらなきゃいけない」に代わりその活動にも100%を注ごうとする自分に。 
誰も助けてくれない孤独感に。
  

その疲弊はいつしか人に矛先が向かった。
「なんで助けてくれない」
手を引っ張ってほしいわけでも、背中を押してほしいわけでもない。
ただ一緒に悩んでくれる人が欲しかった。


疲れて疲れて疲れてテスト勉強なんてもの知らない 
気付いたら自転車を漕いで電車の切符売り場の前に立っていた


帰りの電車は無くて帰って来れないような所に行ってやろう。そう思っていた。
しかし、出発時刻は1時間後。


私は自分への言い訳が本当にうまい 
「1時間も待っていたら意志が弱くなっちゃうかもだしさ」

その声を聞いて私はまたもや言い訳を思いつく
「行きたい所に行けないんだったらやめたら?テスト近いんだし」



私はこの声から振り切るように10分後に出る別の電車に乗るために330円の切符を買った。

帰りの電車があるかも分からずに。

まぁ帰れなくても明日は講義が無く支障が無いことは確認済みなんだがな。



慣れない行動にそわそわしながらもにやける口元を押さえられなかった。










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