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彼女の友達

 今日も中々、指先からジンとするくらいの寒さだ。姪と一緒に10分くらい歩いた場所にある公園に行く。手袋は指先を守るけれど、帽子を忘れたので耳から頭蓋骨に痺れるような寒気に包まれ、
「あなたは寒くないの?」と聞くと、少し高いブロックを平均台のように器用に歩きながら
「じぇんじぇん!」と朗らかに言う。
 コンクリートの壁に沿っていたブロックだったから、合皮のスマホケースは壁に削られてボロボロになった。アチャーとか言いながら何故か嬉しそうだ。
これ高かった?まぁまぁかな…。
「なんでいつもスマホばっかり見るのかなぁ。って考えた事ある?」
「わからなーい。」
「私が思うに、家でいつもあなたはあれしてこれしてって言われるでしょ。」
「うん。食べたら食器持って行ってとか、寒いから靴下履いてとかね。」
「でもスマホはあなたの言う事聞いてくれるからかなって思っているのだけど、どう?」
「うーん…分からない。」
「今度考えてみてよ。なんで見ちゃうか。」
「なんか夢中になれるのがいいかも〜。」
「それは分かる。なんか見ててもぼーっとするのよね。それ中毒ていうのよ。」
「そっか!」
 そんな会話をしながら公園に着いたけれど、益々風が強くなってきたから寒さはのぼり調子な上に彼女の友達は誰もいない。一応約束はしていたけれど、なんらかの理由で守られなかったようだ。
 
 一緒に少し友達が来るか待ってまた同じ道を帰る。
過保護かな?と思うけれど、最近、同じ学校の女の子が見かけない人から写真を撮らせて事案が発生したものだから、みんなピリピリしている。
私も同じ小学校へ通ったから6年間歩いた道だ。
当時より舗装がされて綺麗になっていたり、まだ同じバイク屋さんがあったり見慣れたようなそうでないような通学路を姪と歩くのは楽しい。
 
 子供の数の減り方が尋常でないと感じる。私の頃から言うとほぼ半分だ。人間を労働力として見做す結論から人間が疲れたのかな。正確さで全て覆い尽くしたら、必要なものは人間ではなくAIだものな。
 小学校の夏休みのプールは近所の人がうるさいとの苦情で無くなったそうだ。世界は狭くなりつつある。

 でもま、いっか。そろそろ自転車補助輪外さなきゃな。とか晩御飯の準備しなきゃな。とか考えながら小さな歩幅に合わせてゆっくり歩いた。




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