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井戸の中の女の子

 むかしむかし、あるところに、石をつみあげて作った古い井戸がありました。中の水はずっとむかしにかれており、その中にウードレットという名前の女の子がすんでいました。

 とてもつめたくて、うす暗い場所でした。
「神さま。いつもありがとうございます。おめぐみに感謝しています」

 ウードレットは毎日、神さまへのお祈りをかかしたことがありませんでした。

「ウードレットよ。元気かな?」
 ある日、神さまがおたずねになりました。
「はい、いつもおめぐみに感謝しています」
「井戸の中でしあわせかい?」
「はい、でも、もし小さくてあたたかい家にすめたら、どんなにしあわせでしょう」
「いい子でいたら、願いがかなうだろう」

 ウードレットは、いつものようにお祈りをして、つめたい井戸の中でねむりました。

「まあ。ここはいったいどこかしら?」
 次の朝、ウードレットは光がいっぱいさしこむ、あたたかい家の中で目をさましました。

「ああ神さま。ありがとうございます」
「おはよう。ウードレット。元気かな」
「はい、おめぐみに感謝しています」
「家があってしあわせかい?」
「はい、でも、もしこれでめうしがいたら、どんなにしあわせでしょう。おいしいミルクやバターが食べられるから」
「いい子でいたら、願いがかなうだろう」
 ウードレットは、いつものようにお祈りをして、あたたかい家の中でねむりました。

 次の朝、目をさまして窓の外を見ると、かがやくような赤い色のめうしが、モグモグと草を食べていました。
「まぁ、なんてきれいなめうしだろう!」

 ウードレットは、めうしの甘いミルクを飲みました。
「ああ神さま。ありがとうございます」
「おはよう。ウードレット。元気かな」
「はい、おめぐみに感謝しています」
「めうしがいてしあわせかい?」
「はい、でも、もし美しいドレスが着られたらどんなにしあわせでしょう」
「いい子でいたら、願いがかなうだろう」
 ウードレットは、いつものようにお祈りをして、朝を楽しみにねむりました。

 次の朝、ベットの横には見たこともないような、美しい赤いドレスがありました。
「なんてきれいなのかしら!」
「おはよう。ウードレット。元気かな」
「はい、おめぐみに感謝しています」
「美しいドレスを着られてしあわせかい?」
「はい、でも、もしこれですてきな夫がいたら、どんなにしあわせでしょう」
「いい子でいたら、願いがかなうだろう」

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