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42【恋愛小説もどき×親友との思い出】

私はひそかに夏休みの登校日を楽しみにしていた
学校が大好きということではなく、
めがねくんに会えるからだ
ただそれだけ
夏休みの間、めがねくんも東京に行っていたようだ
東京バナナをお土産にもらった

お土産をもらえるくらい、親しくなったんだな
そう思うと、感慨深かった
東京から帰ってきためがねくんは、
垢抜けて、少し大人っぽくなった
身体も少し、締まった気がする

どうしよう、かっこいい、、、!

私はめがねくんの横顔が好き
もちろん中身が好きだけど、実は顔もタイプだ
めがねくんが前を向いている間に
そっと横顔を盗み見た

夏休み前とどこが違うんやろう
、、、そうか!

「めがねくん、前髪切った?」
「いや、パーマあてたけど笑」
「そっか、似合ってる!」
「おお、ありがとう」

やっぱりだ、、、めがねくんの表情の中にわずかに憂いを感じる
何かあったのかな
そう考えていた時

「遊んでないと遊ばれる、っていうキャッチコピーをたまたま見てん」
めがねくんが続けた

「へー、その通りやなって思った?」
「思ったな笑」
「遊んでないと、そもそも遊ばれへん、じゃなくて?笑
 もしかして、東京でもてあそばれたの?笑」

めがねくんは、
「もてあそばれてもうたわ!」
と言いながらゲラゲラ笑った
これは本心やな、と思った
きっと、めがねくんを振り回すような魅力的な女の子が東京にいる
めがねくんにそんな顔をさせてしまうような

私はめがねくんをもてあそんだりはしない
でもきっと、私ではめがねくんの相手としては役不足だ
私は穏やかで安定した恋愛しかできない
刺激は少ないかも知れないけど、
絶対私の方が相性いいと思うんやけどな、、、

私はそっとめがねくんへの思いを胸にしまって
泣いていた母の顔も忘れたふりをして
今日も普通にバイトに行く

最近、というか前から、きりんさんに懐かれている
お店に来た日は必ず話しかけられるし、
帰りも必ず「見送って」と言って私のところに来る

きりんさんを見送った後、
こんなことを言いに来た女子がいた

「正直、顔とかスタイルとかめっちゃ普通やのに、
 なんでそんな気に入られるん?
 なんか特別な営業してるんちゃうかってみんな話してる笑
 いい意味で、努力家やなって、いい意味でね」

これは、あからさまな、嫉妬やな
きっと、この子はきりんさんのことを気に入ってるんだと思う

私の働いているお店は、オーナーの考えで、
スタッフは全員
モデルのようにスタイルが良く、綺麗な女性ばかりだった
確かに私は、その中で浮いていた笑

オーナーが
「私は、ビジュアル第一主義
 でも、あなただけは違う、
 なんか好きやな、一緒に働きたいなと思って選んだ」
と言ってくれたことがある

だから、私は容姿で他のスタッフと競うこともなければ、
自分を卑下することもない
オーナーが私のことをそんな風に選んでくれたのなら
私は選んでくれたオーナーに仕事でお返しするだけ

私は、意外と図太くて、気が強い
私は強さを攻撃には使わないけど、
守りにはけっこう強いかも知れない
こんな時、相手が拍子抜けするほどダメージをくらわない

それでも、揉めごとは苦手だ
本当に苦手だ
平穏に過ごしたいものだ
嫉妬する女子とも仲良くなれるよう、努力をしよう
で、駄目なら、、、逃げようかな
オーナーごめんなさい









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