正直不動産屋のウラ話し6
前回からの続きです。
自己破産を口にした知り合いから話しを聞いたところ、カボチャの馬車(売主であり家賃保証している会社)から、「来月から保証していた家賃を1円たりとも送れない」と言う内容の通知が突然来たとの事でした。
さらに、満室だと報告を受けていたマンションは全室空室で、もう1棟は10%程度しか埋まってない事も判明したそうです。
遅かれ早かれこう言う事態になる事は分かっていましたが、私もこんなに早く来るとは予想外でした。
売主との契約はどうであれ、銀行から借入れしたのは本人です。
家賃収入があろうが無かろうが、返済はしなくてはなりません。
返済出来なくなったら、銀行は抵当権を実行します(不動産を競売にかけて売却)。
不動産を売却して借金が無くなれば、購入前の状態に戻るだけだから良いのですが、実際はそうは行きません。
競売での売却は、一般的に相場より安くなりがちですが、そもそも購入時に高く購入(家賃を高く設定している為、収益還元法により不動産自体の価格が上がる)しているので、借金はより多く残ります。
残った借金は返済しなければなりません。
つまり不動産もないのに、借金だけが残る事になります。
私の知り合いは棟購入していたので、競売で売却した場合、おおよそ1億円が借金として残りそうで、そうなると自己破産しか選択肢がないと考えたそうです。
当時、新聞やテレビで盛んに取り上げられてました。
奥さんに内緒で購入したので離婚の危機だとか、同じ様に自己破産するしかないとか、そういう投資家(購入者)がたくさん報道されていました。
購入したサラリーマンの多くは、知らない間に収入証明書が偽造されていたり、自己資金があるように書類を偽造されていたと訴えてました。
そんな事できるの?と疑問に思う方もいらっしゃるかと思いますが、出来ます。
自己資金があるように偽造する代表的な方法は、業界で言う「ふかし」と言うものです。
現在は難しいですが、一昔前にはよく使われていました。
簡単に説明しますと、契約書を本来の契約書と銀行提出用の2種類作成します。
例えば、正式な契約書は売買代金1億円、手付金0円、決済時1億円とします。
それを銀行用では、売買代金1億3千万円(売買代金を付加する)、手付金3千万円、決済時1億円とし、手付金受領書も作成(買主が手付金3千万円を払った事に)します。
銀行側から見れば、3千万円の自己資金を貯めた(お金にきっちりした)方となります。
これに加えて収入も偽造されて1500万円にでもなっていれば、もはや優良な顧客です。
かくして1億円の融資が下り、正式な契約書通り決済時に1億円(銀行融資により)を支払えます。
こうして、自己資金0円で1億円もの不動産を手に入れられると言う事になります。
買主の協力なしに(本当に知らなかったのか私には疑問ですが)出来るのですが、売主と不動産仲介会社が協力しないと絶対に出来ない方法です。
(後の調査で、銀行の担当者も絡んでいたそうです)
不動産知識の少ない一般の方を、プロの不動産屋である売主、仲介業者が言いくるめて(と言うか騙して)、大きな不動産を購入させて、挙げ句の果てに自己破産に追い込んだと言う事です。
これでは、たまったものではありません。
ただ、誰がどれだけの悪意を持って話しを進めたかは分かりませんが、購入者になんの責任も落ち度も無かったとは言えないと思います。
最低限の事(賃貸相場を調べたり等の市場調査)と、少しの注意力(家賃保証が無くなったらどうなるか)を働かせれば、購入までには至らなかったかも分かりません。
家賃相場はネットで簡単に調べられます。
家賃保証の額が相場より高ければ、疑問に思うはずです。
類似の賃貸物件の入居具合を見れば、もし家賃保証がなくなっても入居は問題ないか想像出来ます。
売主も仲介業者も、買って貰おうと営業してきます。
売却する事が目的なので、その後の責任は取ってくれません。
責任を取るのは自分自身です。
どんなに大きな会社でも、業者の言葉を100%信じるのではなく、自分でも最低限の事はするようにしましょう。
そんなに美味しい話しはありません。
そもそも本当に美味しい話しなら、不動産屋が購入します!
自分で保有します。
売却する方が儲かると考えるから、売却するのです。
その事は頭に入れといて下さい。
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