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カナイは、ぶら下がった板をにらんだ。板には三重の円が描かれていて、真ん中から一○○、五…
「カナイー。火、起こせたー?」 聞き慣れた声に、カナイが振り返る。声の主は、シュリだっ…
村に戻ると、広場に人垣ができていた。少し離れたところにテンデが立っていて、カナイとシュ…
「あのテントよ」 少女はあえてカナイの不機嫌な様子に触れることなく、村の入り口を指差し…
「カナイ。腕、出して」 カナイが素直に右腕を出すと、シスカははずした腕輪をカナイの右手…
カストルは四人を見回すと、長く息を吐いた。 「そこの少年。騎士になりたいなら、自分を大…
『厄介ナ奴トハ何ヨ』 羽音が更に大きくなったかと思うと、一羽の青い鳥がテンデの頭を目掛けて急降下した。鋭い爪を頭に立てられて、テンデは大きな悲鳴を上げる。鮮やかな青い羽を持つ小鳥のチチは、シュリをとても気に入っていて、彼に強気な態度を取るテンデを目の敵にしているのだった。 「結局、動物から攻撃を受けるわけだ」 シュリの口から漏れた言葉に、カナイとシスカは笑い声を上げる。鳥はテンデの頭の上で首を傾げると、羽を小刻みに動かした。 『今日モ良イ男ネ、シュリ』 「やあ。
「もちろん、あなたも行くわよね? 未来の騎士様」 「いいい、行くに決まってるだろっ」 …
後方から団長の叫び声が響いて、シュリもカナイも走る速度を上げた。それでも、背が高いチン…
シュリは部屋に戻ると、右側の壁を指差した。カナイも窓から身を乗り出すのを止めて、シュリ…
『母上。この者は、私が客室へご案内いたします。どうぞ母上は、シユーリと自室にてお過ごしく…
『宝石が力を持つのは、常識じゃないか』 『そんな常識、私の村には無いよ』 ネズミは大き…
木の扉が開く音が、塔内に響く。カナイの耳にもしっかりと届いて、目を覚ました。上半身を起…
チチの声に、カナイは渡り廊下の外へと飛んだ。渡り廊下の下を、青い鳥が潜り抜ける。カナイは青い鳥の背中の上に落ちると、首に腕を回した。 『アラカジメ、手綱ヲ付ケテアルノ。シッカリ掴マッテ』 カナイは手探りで手綱を見つけると、両手でしっかりと握った。 『掴んだよ』 『ソレジャ、高度上ゲルワヨ』 青い鳥が大きな翼を動かすと、徐々にカナイの頭が上を向いていく。カナイは落ちないように、手綱を持つ手に力を入れて、鳥の胴に足を回して、必死になってしがみついた。耳には常にゴウ