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桜が散り始めた春の日に、乳がんで亡くなったKを想い出した

たぶん春だったと思う
高校の同級生のKが乳がんで亡くなったのは

彼女は大学在学中にオーストラリアに留学した
その留学先で「乳がん」と宣告された

当時聞いたのは、オーストラリアでは
本人に病名を宣告するのがあたりまえだと…


Kとの想い出


Kとは高校で初めて出会った
部活は違ったが共通の友人がいて
同じクラスになった時はうれしかった

明るくいつも元気で
エネルギーを放出しているような人だった
何事にも前向きで
誰とでも分け隔てなく付き合える人だった

Kの才能


クラスでは昨晩の人気ドラマがよく話題になった
私はドラマを見ていた時には
みんなと一緒にあれこれと感想を言い合った

しかし、見れない時もある
そんな時はKの解説を聞くのが大好きだった

その日の設定やあらすじ
主人公たちのセリフ
まわりの状況
ドタバタ具合
など

ドラマを見ていなくても
Kの解説を聞いただけで手に取るように内容が理解できた
しかも、ストーリーの肝を的確に再現してくれた

彼女の身振り手振り、表情、声のトーンに引き込まれるのだった

いつしか「あれは才能だなー」と
思うようになった

病気のこと

Kは病気が発覚したため留学途中で帰国した
乳がんのこと、手術をしないことなどを
周りのみんなに公表していたことは
スゴイ人だと感じた

どんなに辛かっただろうか…

それでも、
明るくいつも元気で
エネルギーを放出してくれたのだ

告別式の日

残念ながら逝ってしまった
告別式の日、高校の同級生何人かで
久しぶりに会うことができた

良く晴れた気持ちのいい日だった
その時の想い出話は
やはり「Kの解説」だった

私だけでなく
みんなのこころを揺さぶる
才能だったのだと思う

もし、Kが病気にならなければ
今頃どんな仕事に就いていたのだろうか?
あの才能をどんな場面で発揮したのだろうか?

桜が散り始めた春の日に、Kを想い出した

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