予備試験受験を迷っている人へ②

大学院ルートで司法試験受験を考えている人は、大きく分けて、①オーバーワークになるから②難しすぎるから、という理由で予備試験を回避する人が多いと思います。以上の2点は重なる部分が多いですが、この理由だけで回避するのは勿体無いのでは、という持論を綴らせていただきます(あくまでも持論ですし、ちょくちょく根拠のない部分もあるかと思いますので、疑いの目を持って拝見してくださると嬉しいです)

オーバーワークになるか短答プロパー知識の存在

短答プロパー知識の存在

オーバーワークと言いますが、果たしてそうでしょうか。持論で言えば、オーバーワークにならない程度の勉強で合格はできるため、これは理由にならないと思います。
皆様がオーバーワークに感じるのは主に短答式試験の知識部分ではないでしょうか。予備校等では(あまり意味は分かってませんが)短答プロパーなんて呼ばれてる気がします。私はこの短答プロパーの知識なんて、本当にあるのか、と疑った目で見ています。矛盾することを言いますが、たしかに、自分が解いた感覚で言えば、行政法、商法にはそのような知識が存在し、情報公開法や狭義の商法や小切手法の分野がこれにあたると思います。しかし、ここの部分のみをあげるならば十分捨てても、合格は可能です。法律科目だけでも、210点あり、合格点は多く見ても170点でありますから、捨てても十分合格が望めます。特に小切手法は令和5年の試験からは一問しか出ることがなく、(今までは2問)社会の流れからも増えるとは思えません(ただし、知り合い曰く、勉強すれば得点源らしいですが自分は間に合わなかったのでしてません、当日は運で当たりましたし、学部の授業レベルで触れたことはあります)。つまり、完全な短答プロパー知識のみで、諦めることは合理性が欠けると思います。中には、会社法の組織再編や刑訴民訴の細部は司法試験にでないため、短答プロパー知識だ、とおっしゃる方がいるかもしれません。ただ、その方々には少なくても以下の2点をもって自分の意見としては反対、ということを伝えたいです。
まず、大前提ですが、民刑憲の短答は司法試験の短答と被ると思っているので除外します。その上で、上で示した2個の点を説明させていただきます。

司法試験に出る可能性もあるのでは

これは題名の通りですが、勝手に短答プロパー知識だと決めつけていませんか、という話です。当たり前ですが、細かいところは出さない、みたいな決まりはない気がします(あったらごめんなさい)。例を挙げるならば、民訴の管轄は今まで、予備試験の短答プロパーだとされていましたが、どっかのタイミングで司法試験に出たらしいです。自分はその時代の受験生ではないので詳しくは知りませんが、勝手に短答プロパーだと決めつけるのは少し怖いかな、と思います。たしかに、みんなできないから差にはならない、という考え方も否定しませんが、予備試験勢に苦なくてもその論点は遅れをとることになるので、その場合は比較衡量になる気がします。個人的には1つの論点がわからないと、尾を引いて次の問題、次の科目、次の日に悪影響を与えそうなので、防げるものなら防ぎたい派です。

法律は体系的理解が不可欠

仮に問題として問われることはなかったとしても、法律、特に手続法は体系的な理解が必要です。体系的、という抽象的な表現はあまり好きではないのですが、要は、条文構造の理解や流れの理解を言います。
流れをある程度把握していないと、実務をやったことのない自分たちにとって論文式試験の問題文がより難しい文章に見えてしまう、論点が見つかりづらいなどのマイナスを生みます。
会社法は特に条文を細かく見ることになるので、言葉の定義、制度の内容等をある程度細かく把握することができます。これをすることで論文でも論点となる部分がわかりやすくなったり、目次をたくさん見るため、条文を探すのが早くなる気がします。また、ある程度網羅的に勉強することで全く知らない論点はないはず、という点で自信にもつながります。自分は会社法が一番好きで、かつ、一番点が取れる気がしており、実際、短答式試験では26点(間違えたのは、商業登記と狭義の商法)、論文式ではAをとっています。そして、後者の論文式試験は自信を持って、短答式試験で得た知識のおかげです。体系的に理解する上で、条文構造の理解が必要になると思いますが、最低でも予備試験の短答を突破できる程度の理解は必要となる気がします。

難しすぎるから…

予備試験は難しい試験だ、とよく言われています。多分、読んでいる方は司法試験の合格を考えてはいるけど(大学院ルートから)、予備試験は難しすぎるから、という意味で回避しようとしているのではないでしょうか。
このテーマについては、予備試験と司法試験の関連性をどの程度認めるか、という論点を通る必要があると思いますが、自分の意見としては上で見たようにかなりの関連性があり、そして、その制度が予定している通り、予備試験の延長に司法試験がある、と思っています。短答知識は上で挙げたように論文や司法試験の短答で活きないものの方が少なく(自分はそう思っている)、何より、論文は1枚あたり1時間10分で解かないといけない試験と2時間で各試験では全く難易度が違いますのでその前段階をクリアする必要があると思っています。別の場で書きますが、自分はテクニックというか特殊な感覚のもと突破しましたが、司法試験では通用しないと思います。と言いますのも、書く量が増えるというのは、ボルトと10m走をしたらどんだけ速くても9メートルなんて距離はできませんが、100m走をすれば10mは余裕で着く気がします(知識がないので正確かわかりません、わかりやすい例として捉えてください)。知識、文章構成力等の差が大きく現れるはずです。だから、その練習、ミニ版、のようなイメージになるのです。少しダラダラとなりましたが、これらが自分が延長と捉える理由です。
また、そもそも論ですが、司法試験も難しい試験じゃないですか。自分は文章を書くことが嫌いではないので気分転換にnoteやっていますが、予備試験を合格したとしても当然、加点があるなどのメリットがあるわけではない(合格率の統計などから得られる自信や就活などで事実上のメリットはある)ので、全く安心できません。なぜ、司法試験という難しい試験は受かろう、受かる才能が自分にはあるはずだ、と考えるのに予備試験は無理だ、と考えるのかは自分にはわかりません。司法試験に受かる人はおそらく、予備試験を受かっていなくても、上述した条文構造の把握や流れの理解などは当然理解できているはずで、ただ、予備試験を合格していない人、というのに過ぎないと思います。司法試験に受かろうと考えた人間であれば、少し意識を変えるだけで予備試験も受かろう、と考えることは可能な気がします。

最後に

今回は何より、独自の視点が多かったと思います。そして、これを書いている私はまだ司法試験には受かっていません。それらを踏まえて読んでいただけたならとても嬉しいです。

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