見出し画像

#061 キャリア教育✖︎生徒指導

 キャリア教育という言葉が出てきた頃は「キャリア教育=職業体験」というようなイメージを持っていた。しかし、本校の研修でキャリア教育について学ぶうちにイメージが変わり、正しく理解できるようになってきた。そんな中、生徒指導提要(令和4年12月改訂)を読んでいるとキャリア教育をと生徒指導との関わりが深いことに気付いた。

キャリア教育で育成すべき基礎的・汎用的能力

小学校キャリア教育の手引き(2022年3月)
文部科学省HP

これらの四つの基礎的・汎用的能力は、キャリア形成に大きな役割を担うとともに、生徒指導的な観点も多く含まれている。キャリア教育と生徒指導を別で考えるのではなく、キャリア教育を推進する中での生徒指導であったり、生徒指導することがキャリア教育につながっていたりすると感じた。

発達支持的生徒指導とキャリア教育

 生徒指導の中で最も意識したいのが、生徒指導提要に何度も出てくる「生徒指導の重層的支援構造」である。これをみると、生徒指導の土台となるのが「発達支持的生徒指導」であることがわかる。

生徒指導の重層的支援構造
発達支持的生徒指導
生徒指導提要

 生徒指導提要の「発達支持的生徒指導」には、このように生徒指導とキャリア教育のつながりが明記されている。

四つの基礎的・汎用的能力と生徒指導の関わり

「人間関係形成・社会形成能力」は、より良い集団生活を築く力。人は、人と人の関わりの中で生きている間柄的存在(和辻哲郎提唱)の生き物である。人間として生きていく土台の部分が人間関係形成能力である。そのため、多様な人との関わりの中でコミュニケーションを取ったり、集団活動に参画したりする力を付けさせることが大切である。
「自己理解・自己管理能力」は、自己有用感につながる。そのため、自分の役割を理解させたり自分の取り組みを粘り強く行ったりさせることが大切である。
「課題対応能力」は、正解のない人との関わりや予測困難な社会の中を生きる上で大切な力である。教師がトラブルの対処法を教えるのではなく、子どもたちが自らで対応を選択し実行できるような指導、声かけの必要がある。そのために、日頃から子供達に考えさせ、自らで判断できるようなアプローチをしておくことが大切である。
「キャリアプランニング能力」は、人生をより豊かに過ごすためのスパイスのような力である。意義を見出せずに働くより生きがいを持って働ける方が良い。また、自分の考えに固執するのではなく、多様な考えを柔軟に受け入れられる方が豊かな生き方ができる。そのため、普段から活動の意義を理解して取り組ませたり多様な意見に価値づけさせたりすることが大切である。

まとめ

 働き方改革が求めらる一方で、〇〇教育という形で新たな教育活動や目標が導入されたり、生徒指導対応が多様化したりと働き方改革とは程遠いものが求められているように感じる。しかし、今回まとめたように実は〇〇(キャリア)教育と△△(生徒指導)には、大きな相関があり切り離すのではなく繋げて考えることができるものが多くある。さらに、つなげて考えることで教育効果が大きくなるのである。
 こういったことに気付くためには、教師自身が学び続け経験を重ねるしかない。私は、教師=聖職とは思っていない。ただの労働者とも思っていない。教師は、専門職であると思っている。その専門性を担保するためにも学び続けることが大切である。また、新人の先生でも専門性が求められるため、今回のような学びを発信し、そういった先生方の助けになりたいと思う。結果、それが自分の一番の学びになり、子供達のためになると信じて。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?