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アーリーリタイア、ソロトレッキングな平日。

暖かくなるにつれ、天気のいい日に登山とキャンプがしたくなりました。

アーリーリタイアしたことで、すっかりケチくさくなった私はこう考えました。
・(自家用車が無い為)電車で行ける場所
・家から片道1,000円以内
・テント設営料金は1,000円以内
・食費は昼晩朝で1,000円以内
・おやつと果物は500円以内

地図を広げて線路をたどって西に行くと、ヘンチクリンな駅名があります。
「おもしろやまこうげん」

おもしろやまこうげん

面白山高原駅。
楽しげな駅名です。
わが町からは片道1時間くらいで830円。
近くには標高1264mの「面白山」がある。キャンプ場は都合が良いことに下山ルート上にあります。
料金は今どき820円とかなり良心的です。

今回の行き先は、ケチケチ条件をすべてクリアした「面白山」に決定です。

念のためワイフに声かけすると「わたしは行かない」と想定通りの返事…。

70Lのリュックを背負いひとり電車に乗り込みました。

県境の長いトンネルを抜けると面白山高原駅です。

無人駅に下車したのは私だけ。

面白山高原駅のホーム。標高は440m。
天気の良い平日をセレクト。
面白山の山頂までは標高差824m。
登りが延々と続き、展望もいまいちな苦行系の山。山頂まで3時間かかった。
山頂は360度見渡せる。想定以上の絶景でした。南側の風景には台形の大東岳。その奥にはまだ山頂部が白い蔵王連山が見える。

山頂には「最近登山を始めました」というオジサンがいて、双眼鏡を貸してくれた。
しばらくすると団塊夫婦が仲良く登頂。ふたりは立ったままバナナを食べはじめ「あれが月山で、あれは船形山」と素人の我々に教えてくれると足早に立ち去った。
山頂のお地蔵さま。鍋にお賽銭が入っている。ポケットにあった小銭でお祈り。


14時には下山ルート上にある広大なキャンプ場に到着。「今日はお客さんひとりだけですよ」と管理人のオジサンは言った。
土間付きのソロテント「ドマドーム」を立て終えると、まずは湯を沸かす。スリーピングマットは今回デビューの「sea to summit」のultra light。どんな寝心地だろうか。
会計するとオジサンさんは帰っていった。
私とキジとサルだけになる。芝生にスリーピングマットを敷いてドトールのドリップカフェで一服。
心地いい風をたっぷり浴びる。
久しぶりにゆっくり空を眺めたり、
、昨年亡くなった野田知祐さんの「ユーコン川を筏で下る」を読む。
75歳の作者がアラスカの大河を筏でくだる。
日本の若者へのエールで満ちている。

「大人になるといろいろな仕事があるんだよ」
「鉄砲は持って行くんですか?」
「もちろん、持って行く。クマが多い所だからね」
「大人っていいな。なんでも好きなことができる」
「そうさ。早く大人になれよ。面白いぞ」

野田知祐「ユーコン川を筏で下る」

高度経済成長期の日本人は、何にも属してない自由な青年を嫌った。自由な若者を見ると必ず、真面目に働けと説教した。若い自由人は苦しいことが多い。まだ世間に自分が何かを証明することができないので、口惜しいことばかりだった。ぼくの人生を振り返って、あれほど真面目で真剣に生きた時期は無かったと思うのだが。二十八歳の夏、そんな日本から脱出して、フィンランドでヒッチハイクをした。車を拾ったとき、運転していた中年の男が言ったのだ。

「若い時は迷うものだ。そのうち自分に合った道が見つかるよ。心配しないでゆっくり「迷い」を楽しめ」

野田知祐「ユーコン川を筏で下る」
晩メシはレトルトの「S&Bバターチキンカレー」に「サトウのゴハン」。いつものように21時過ぎには就寝も、夜半寒さで目が覚める。「土間」でお湯を沸かす。空いたペットボトルにお湯を注ぎ、少しさましてから寝袋に入れる。再び爆睡。
愛用の「RSR」社のアルコールストーブは超小型・超軽量ながら火力に優れる。

あさが来た。
雲海に浮かぶ月山と葉山。下にある山形の街はまだ寝ている感じ。ドンクのライ麦パンにカットしたブルーチーズをはさんだサンドイッチを食べながら敷地内を散歩する。
朝の面白山。名前の由来は以下の通り。(ヒドイ言われようですが…)

語源
面白山の語源は、宮城県仙台市側からは積雪のせいで「面が白く見えた」から。決して、この山に面白いことは何一つとして存在しない。

辞書ペディア


朝のコーヒーを飲みつつLINEを開くと、北海道の友人から釣りのお誘いが! 朝から心踊る内容です。「行きます!」と即答。

キャンプ場から面白山高原駅までは一時間の下り道。駅横を滝が流れる。
帰宅したら、来月の北海道の計画を立てよう。


面白いエピソードは特にありませんでしたが、かなり楽しめました。
またいつか訪れたいと思います。
そのときはダメもとでワイフを誘ってみます。

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