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【哲学小説シリーズ1】激昂のエピステーメー【動画版あり】

↑↑↑動画版も出ました。


私の名前はパンサー横木。女子レスラーをやっている。旦那は歯科医。今日話すのは新婚旅行の時の話だ。

エーゲ海のある島が私達のハネムーンの初日の宿泊先だった。成田を飛び立ったジェット機の機内で哲学好きの旦那がゴチャゴチャと五月蠅くて機内で放送されていたプリティーウーマンの映画の一番いいところを見逃してしまった。どうでもいいフーコーだとか人類の終焉とかのことは、本当に映画のときくらいは勘弁してくれ。旦那は時に悪ふざけするくせがあって子供っぽいからその辺は私が締めてやらないといけないと思ってるところだ。

宿泊先のホテルで、プールサイドに夏季限定のビアガーデンが出ていたので、旦那とそこで過ごしていた。その時、不意に変な外人がやってきて何だか訳の分からない言葉で文句を言ってるようだ。言葉の隅々にファッキン何とかとかジャップが何とかとか聴こえたような気がする。旦那はインテリだから英語が分かるだろうと聞いてみたら自分はドイツ語専門だと言ってその外人の言ってる英語をほとんど理解出来ないようだ。私は結婚前に旦那と半年くらい同棲してたけど、いままで旦那が持ってる本は英語の本だと思ってた。

その外人はグラスを差し出した。それを飲めとゼスチャーする。私は何が入っているのかとデタラメな英語で聞いてみた。すると外人は「ピス、マイ ピス」と言った。私は、ピースのこと?平和?って思って、この外人が私達と仲直りしようとしてるのかと一瞬思った。ところが旦那が「ピスってオシッコじゃなかったっけ?」なんて言う。

えっ、ピス?…テーメェー!!

私はそいつを二の腕で羽交い絞めにすると、そのままアマレス仕込みのスープレックスでプールの中に投げ落としてやった。
あたりの客たちは手を叩いて喜んでいた。そいつはそのあたりでは有名なゴロツキの類だったらしい。

その後旦那がやたらエピステーメーだとか権力の構造だとか話しまくってきたのはウザくてしょうがなかった。

このあと、私達、初夜です。先が思いやられるぜ。

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