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#14 前十字靭帯損傷の秘密教えます ⑨リハビリ編ー手術まで(前半)

こんにちは!理学療法士のKEIです!

はじめに

前回まで前十字靭帯損傷についての基本や手術についてまとめてきました。
理学療法士としては直接的に関わることの少ない分野でしたが、どれも知識として持っていなくてはならない内容だったかと思います。

今回からはリハビリについて記事にしていきたいと思います。
受傷してから手術までに獲得しておくべき機能、患者さんに知っておいてもらう知識などをまとめてみます。

ぜひ最後までご覧ください!
それではいってみましょう!


炎症、痛みのコントロール

受傷直後はかなりの関節腫脹を伴います。
再建術まで残してしまうと可動域制限や関節原性筋萎縮を生じる可能性がありますので、改善を目指します。

痛みについては一般的に疼痛評価に用いられるNRSやVASを使い、定期的に確認して活動量をコントロールする指標にします。

急性炎症期はRICE処置を基本にし膝関節への負荷をコントロールしていきます。


受傷状況、損傷要因の共有

ACL再建後の再断裂は多く約8%の患者さんで生じています。
そもそも断裂するということは危険因子となる動作を繰り返している可能性があります。
そのため術前リハビリテーションの段階から再断裂予防はスタートする必要があると考えます。

一般的なACL損傷メカニズムをイメージしながら、患者個々の受傷状況を確認し、接触、プレー・判断、膝崩れ時のアライメント、疲労などを共有していきます。

当時の状況でいつもと違うことはなかったか、どうすれば防げたかなども共有していく必要があります。


靭帯不安定性・合併損傷の把握

医師の診断結果を確認した上で必要に応じて、靭帯不安定性や半月板症状を徒手検査で確認します。
超急性期の場合には痛みを伴い、恐怖心を植え付けてしまう可能性があるので十分注意して実施する必要ああります。

MRIではACLに加えてMCL、半月板、軟骨損傷、骨挫傷の有無や程度を把握できます。
単純X線画像において、中高年以降では関節裂隙狭小化や骨棘などの関節症変化、若年者では顆間隆起骨折などを見逃さないようにしましょう。


二次損傷の予防

靭帯不安定性や膝周囲筋活動不良による膝折れの繰り返しは残存靭帯や半月板などの二次的損傷につながり、炎症症状や痛み、精神的不安を長引かせ、術後の症状や機能にも影響を与える場合があります。

杖や装具を適宜使用しながら荷重位での膝安定性をサポートし、関節機能の回復に合わせて段階的に補助具を除去していきます。
合併損傷が明らかな場合には特に注意が必要です。補助具の除去時期や活動性を上げるタイミングを慎重に判断していきます。

ACL損傷患者は数週〜数ヶ月で軽いジョグやジャンプ、着地などができるようになります。
しかし運動強度を高めると膝折れが生じる危険性が高くなります。すでに再建術が予定されている場合には、二次損傷の危険を回避するためにスポーツなどは基本的に控えるように指導してもいいかもしれません。


まとめ

今回は術前リハビリにおいて重要なことをまとめてみました。

長くなりそうなので次回の記事で続きを書いていきます。

★ポイント
周術期や術後数ヶ月を見据えた患者教育によって自己管理能力を高める
炎症と痛みをコントロールし受傷状況や損傷要因を患者と共有する
靭帯不安定性や合併損傷を把握し、二次損傷を予防する

今回はここまで。

本記事をご覧いただきありがとうございました。
ほかにもACL関連や変形性膝関節症などの記事もありますので、よろしければ読んでみてください。

次回もお楽しみに!

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