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#5 膝OAの歩行をみる上で大切なこと ②特徴編

こんにちは!理学療法士のKEIです!

はじめに

前回に引き続き膝OAについての記事になります。今回は特徴編ということで進めていきます。
ぜひ最後までご覧ください。

前回は正常歩行編として、変形性膝関節症の歩行の話の前に正常の膝はどのように動いているのかを解説しました。

それに続き、今回は変形性膝関節症における代表的な特徴について解説してみようと思います。

それではいってみましょう!

前額面

内転・外転方向の動きがほとんどない膝関節ですが、片足立ちの繰り返しである歩行ではわずかながら動きがあります。

正常では大半の立脚相で内反位ですがPSwでわずかに外反します。それに対し膝OAでは基本的に外反することはなく、全歩行周期にわたり内反を維持します。

ちなみにKL分類の高い方がその内反角度が強まるようです。

このように内反の動きが強くなり、膝の横揺れが生じることをlateral thrust(ラテラルスラスト)といいます。
関節リウマチなど稀ですが、medial thrustを生じる症例もいます。こちらも外側型変形性膝関節症の進行に伴い、外反の角度が大きくなります。

矢状面

前額面の内反・外反の動きはGradeが上がるにつれ大きくなることは前述しました。では矢状面ではどうでしょうか。

矢状面においては正常膝と比較して屈曲・伸展の動く範囲が狭くなります。こちらはGradeが上がるにつれ動く範囲は狭くなっていきます。

GradeⅣまで進行すると全歩行周期でほとんど角度の変化がなく、棒のように足を使って歩行するようになってしまいます。つまりdouble knee actionがほとんどみられない状態というわけです。

この話で面白いのが屈曲拘縮などが起きていない、変形が軽度のGradeⅡでも同様に屈曲位接地となることです。
伸展の可動域は十分にあるのに、です。これについては研究がされているようですので、今後の発表を楽しみに待とうと思います。

水平面

正常膝では屈曲・伸展の際にmedial pivot motionが生じ、歩行時においてはlateral pivot motionに切り替わる話は前回の記事でお話ししました。

変形性膝関節症ではどのような動きになっているのでしょうか。
lateral thrustは内反角が大きくなり外側への不安定性が強くなるのに伴って、水平面上でも動きに特徴があります。

それは外旋角の増大です。
こちらはGradeによってどの程度差があるのかは不明ですが、正常膝と比較して明らかに外旋を強めているようです。

股関節の動き

股関節においては屈曲位で接地しTStまで徐々に伸展していき、その後屈曲に転じるのが正常歩行です。
変形性膝関節症と正常の歩行を比較すると、前半相は概ね同じような動きをします。しかし後半相に差し掛かると股関節伸展が明らかに小さくなります。
つまり歩幅が狭くなり、前方への推進力の低下が起きるということです。

前額面を見てみると内転への動きが小さくなります。つまり正常と比べると股関節外転位での歩行となるわけです。
よく聞かれる名称で言えばデュシャンヌ歩行が多いようです。ちなみに変形性膝関節症においてはトレンデレンブルグ歩行はあまり多くない印象です。

足関節の動き

足関節は膝・股と比べると小さい関節で、どのような動きをしているかを目視で確認するのは少し難しいですね。

本来であれば底背崫0°で踵接地をむかえますが、変形性膝関節症では足底全面接地に近い動きになります。
ただ背屈角度が足りずに足底全面接地をしているわけではなく、膝関節が伸展できないから踵から接地ができなくなっているようです。
(ちなみに正常と膝OAでは、足関節底背屈の角度に大きな差はありません)

加えてTStでよく確認される動きとしては、アブダクトリーツイストです。
アブダクトリーツイストはつま先が離地するタイミングで急速に外旋を伴い、推進力が明らかに低下してしまう状態を示します。

まとめ

以上が変形性膝関節症でよくみられる歩行での特徴になります。

もっともっとたくさんの観察するべき箇所があるのは間違いありませんが、上記を少し意識するだけでもかなり歩行観察が楽しくなるかもしれません。
どうか明日からの臨床で役立てていただければと思います。


本記事をご覧いただきありがとうございました。
次回もお楽しみに!

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