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#15 前十字靭帯損傷の秘密教えます ⑩リハビリ編ー手術まで(後半)

こんにちは!理学療法士のKEIです!

はじめに

今回は前回に引き続き前十字靭帯損傷後のリハビリについてです。
長くなりそうだったので、前半・後半にわけてまとめています。

興味のある方は#14もご覧になってみてください。

ぜひ最後までご覧ください!
それではいってみましょう!


膝機能障害の改善

術式や術後管理による合併症を想定して、膝の機能障害を術前から積極的に予防・改善し術後への影響を最小限に留める必要があります。

上の図は術後に生じることの多い合併症をまとめたものです。

ACL損傷後は強い関節腫脹と痛みを伴います。またハムストリングスや腓腹筋など、後面筋が防御性に過活動状態になることが多くあります。
そのため完全伸展ができなくなる症例が少なくありません。
伸展制限は膝の機能回復を図る上で早期に改善が必要です。
ただ制限の原因が損傷した半月板などによって生じている可能性もありますので、画像や徒手検査において判別しておくことは重要と考えます。

多くの場合で関節腫脹に伴い、屈曲可動域制限が出現します。
膝蓋跳動テスト陽性でストロークテスト3+の重度の腫脹があり、屈曲制限になっている場合には関節穿刺を含めて医師へ相談も必要です。

ACL損傷急性期では痛み、恐怖心、関節腫脹、伸展制限、廃用などによって大腿四頭筋の活動低下や萎縮が生じやすいです。
あまりにも王道ではありますが、やはり大腿四頭筋セッティングエクササイズがおすすめです。
必要に応じて物理療法も併用を検討します。

腫脹や痛みの程度にもよりますが、徐々に荷重場面での筋活動もおこなっていきます。


これらを術前から説明し、患者さんの理解度を高めていけるよう促していきます。


腰椎・骨盤・股関節複合体機能の向上

再建術後の再損傷予防やパフォーマンス向上に重要な役割を果たす腰椎骨盤股関節複合体の筋機能や安定性を術前から高めておくことも非常に重要です。

関節腫脹や痛みに応じてはじめは非荷重でおこない、徐々に荷重トレーニングを開始していきます。


代償性筋活動・運動のコントロール

ACL損傷後急性期では基本動作やエクササイズにおいて、不安・恐怖・痛みを回避するために代償性の筋活動や動きを生じます。

これらのパターンが習慣化され術後まで残存することがないように、受傷後活動量が低下している段階から修正を開始します。


基本スポーツ動作の再獲得

炎症や膝関節不安定性の程度に合わせて、スクワット・ランジなど基本的かつ低負荷なスポーツ動作を再獲得していきます。

炎症の増大や膝折れに十分注意して、アライメント不良を修正しながらポジションのキープから開始し、関節運動範囲や荷重量を段階的に高めていきます。


まとめ

前回に引き続き、術前リハビリにおいて重要なことをまとめてみました。
興味のある方は#14もチェックしてみてください。

★ポイント
再建術の待機期間や予定術式を考慮し、術後に生じうる合併症および機能的問題を想定して術前リハビリを計画する
膝関節機能に加えて腰椎骨盤股関節複合体の問題を改善させつつ、代償性・習慣性アライメント不良を術前からコントロールする
再損傷予防に向けてアライメントや運動パターンの不良の修正を術前から試みる

今回はここまで。

本記事をご覧いただきありがとうございました。
ほかにもACL関連や変形性膝関節症などの記事もありますので、よろしければ読んでみてください。

次回もお楽しみに!

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