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トイレットペーパーピラミッド

義伯母の生前整理の話をしようと思う。

義伯母というのは夫の母の姉のことで、文字通りスープの冷めない距離に住んでいたので、甥っ子の嫁というまったく血の繋がらない間柄ながら実母より義母より頻繁に会っていた。
そんな義伯母の何回目かの癌の転移が見つかり、ホスピスへの入居も決まり、生前整理ではあるけれどもう遺品整理に近い状況。妹である義母は手続きなどで忙しかったし家も近くてちょくちょく行けるので、一人暮らしだった義伯母の家の後片づけにツツジが名乗りを挙げた。

義伯母の家は一人暮らし用のアパートで、数年前に引っ越してくるときにかなりの物を処分してきたらしい。確かに実家や義実家に比べると物も少なかった。義伯母はそれが自慢で、よく妹である義母の物の多さを指摘していた。
でも義母も義伯母も買い物が好きだし、なんならいつも一緒に出かけては安売りの調味料などを買い込み、消費できそうにないとなるや2人ともわが家にくれるので、わが家のストックは2軒分になることもあった。
トイレの棚にもトイレットペーパーやボックスティッシュがみちみちに詰められていたので、震災のときのようにトイレットペーパーが入手困難になったらお裾分けしてもらう約束もしていた。

そのトイレットペーパーが、見えるところにあるだけだと思ったら大間違いだった。

出るわ出るわ、押入れの下段から、天袋から、12ロール入りのトイレットペーパーや5パック入りのボックスティッシュが何パックも出てくる。子どもたちが面白がって、ピラミッドみたいに積み上げてインスタにあげていた。
天袋からは引っ越し屋の段ボールに詰まった、まっさらな伊勢丹の新旧紙袋の束も出てきた。段ボールには「黒バッグ」と書いてあったから、引っ越し後に伊勢丹の関係者にもらった紙袋を詰め込んで、丸椅子にでも登って天袋に押し込んだのだろう。発見者の娘と笑い崩れた。

歳を重ねると、いつ買い物に行けなくなるかわからないからと日用品などを出かけるたびに買い込んだりすると聞く。義伯母の家にも洗剤やら柔軟剤やらが処分に困るほど出てきた。
食料品なんかは傷む前に義母の指示で持ち帰っていたのだが、こちらもいつのものかわからない残り物や、隙間収納などにしまって忘れられた賞味期限切れのストックなどが出てきた。

食べられるものは食べたし、使えるものは使った。トイレットペーパーは4軒で分けた。
義伯母の持ちものは、各自が持ち帰ったもの以外ほぼ処分した。片づけ魔のツツジが手を下したとはいえ、1ヶ月で退去できたことを考えると、やっぱり義伯母の持ちものは少なかったんだと思う。

行く末の話。
実家や義実家の後始末はツツジ(と義姉)がやるとして、自分の後始末はどうしても子どもたちの肩にかかってしまうので、やっぱり持ちものは少ないほうがいいと強く思った。買い込まなければお金も使わないし。
越し方の行いを悔やんでも仕方ないから、今を改善してゆきたい。

ツツジは反省はするけど後悔はしない。
大好きだった義伯母のものを、まだ生きてるのにバンバン捨てちゃったことも後悔はしてない。
ツツジは義伯母の遺品は未開封のヒートテックインナーくらいしか貰ってないし、それもガンガン着倒して来年には買い替えだなと思ってる。

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