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アイドルとわたし オタクは怖くない、アイドルが好きなだけ

アイドル現場って怖いですよね。

私の話をすると、昔からオタクで、自分の好きなもののためなら黙って1人で遊びに行けるタイプのオタクでした。中学生の頃には1人で同人誌即売会へ行ったり、高校生の頃にはタバコ臭いゲーセンに乗り込んで音楽ゲームをやったり、大学生の頃には小劇場という地下とか古いビルにある得体の知れない薄暗くて狭い空間にお芝居を見に行ったりしていたので、今こうしていい大人になっても1人でライブハウスに通ってアイドルオタクしてるのはもうなるべくしてなったんだろうな…と思ったりもします。

そんな私でもアイドルの現場っていうのは最初に足を踏み入れるのにけっこう勇気が必要でした。普段話したこともないようなタイプの人がワイワイガヤガヤ身内で固まってたむろしてて、現場によってはときに酒気を帯びたり転がったりしててひえ〜〜〜となるわけです。よくあるアーティストのコンサートみたいに座席やパーソナルスペースも確保されてないことが多いし、隣の客が通常生活していたらありえない様子で曲中にジャンプしたりタコ踊りしたり奇声を発したりするわけです。一言で言えば怖い。

オタクと人間関係

私は必要以上に気を遣って疲れてしまうのと、人間関係のせいで好きだったものを嫌いになったり現場に行きづらくなったりしたくないので、現場で交流するのは今でも少し苦手です。とはいえ、当たり前のことですが、周りの人のことは気にしなくていいし、喋りたかったら喋ればいいし、喋りたくなかったら喋らなくてもいいと思っています。何かコンテンツ(ここではアイドル)を好きでいるというのは本質的には自分とコンテンツがあればいいので、乱暴に言えばあとは全部おまけです。心細ければ隣の人に声をかけてもいいし、グッズやチケットの交換をしたければSNSで相手を募ってもいいし、推しについて語りたければライブ終わりに飲みに行ってもいいし、友達が欲しければその流れでプライベート(?)で遊びに行ってもいい。人間関係は自分がそのコンテンツを楽しむためのオプションだと思って、好きなように楽しめばいいです。相手もそう思っています。現場に行かなくなってSNSのアカウントを消せば切れる関係だし、それでも何かのご縁があってずっと続く関係ができたりもします。

オタクは怖くない、アイドルが好きなだけ

一つ覚えていてほしいことは、アイドルオタクというのはたいていめちゃくちゃ推しのことが好きで、推しのことが好きな人が好きということです。友達でもないファンが増えて喜ぶ稀有な生き物はアイドルオタクくらいじゃないでしょうか。広い会場に行ってしまったら推しを間近で見ることもできない、直接会話する時間もなくなるかもしれない、それでも好きな子の夢を応援したいし、新規のオタクは推しの夢を応援する仲間でめちゃくちゃありがたい存在なのです。たとえ新規のオタクが増えて、自分の喋る時間が減ったり、そのご新規さんが自分より現場に通うようなオタクになったとしても。なぜならば推しのことが本当に大好きで、推しの幸せを願っているからです。1人の人が何回も現場に来たところで、目先のお金を稼げても「売れる」ためにはあまり役に立たないでしょう、例えば100人が10回現場に来るより、1000人が1回現場に来るほうがずっと「売れる」ためには必要なことなのです。私が現場に通うようになって驚いたことですが、アイドルオタクはたいてい強面な人ほど優しくて(※これは個人の感想です)、聞けば快く教えてくれたり、決して安くないチェキ券をくれたりもします。だから、もしされて嫌なことがあれば、もしくはわからないことがあれば、可能なら勇気を出して声をかけてもらえると嬉しいです。もちろん、現場に慣れているほうから気付けるといいのですが。現場にいる人間はみんな、そのアイドルのことが好きで、ただ自分なりにその空間を楽しもうとしているだけだと現場に通うようになった今では思います。

アイドルがオタクにいう「ありがとう」とか「好き」っていうのは割と本気で思ってるんじゃないかなと思っていて、自分のことを健気に好きでいてくれたり、広めてくれる存在が愛おしくてありがたいって気持ちが込められているんじゃないかと思います。そこについては推している期間や通った現場の数はきっと関係がないです。人間は社会的な動物なので、誰かに好意を向けられればその人に好意を持つ生き物です。それはアイドルとオタクでもそうだし、オタクとオタクでもそうだと思います。

現場に来て心細く思ったり、怖くて一人で来るのをためらっている人が、これを読んで現場に来ようと思ったり楽しくアイドルを推せるきっかけになったら嬉しいです。


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