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【読了】小説『アグリースワン』GLASS HEARTシリーズ

中学生の頃に好きだった小説の続刊が出てたので読んでみました!

こちらの小説、作者は若木未生さんという方。
デビューはハイスクールオーラバスターシリーズの『天使はうまく踊れない』です。
出版元は集英社のコバルト文庫で、今だとライトノベルと分類されるレーベルで執筆していました。

まずコバルト文庫の説明をすると、新井素子さんや赤川次郎さんなんかも執筆していたレーベルで、女の子に向けた小説を出版していました。
少女マンガならぬ、少女小説と呼ばれることもあります。
当時はまだライトノベルと言われるジャンルはなかったのですが、そのハシリとも言えるレーベルでした。

若木未生さんは、そんなライトノベルの元になるようなレーベルで活躍していた作家さんなわけで、ティーン向けの小説を書かれていました。
今回取り上げた『アグリースワン』も、シリーズの最初はティーン向けとして、コバルト文庫で出版されたのでした。

物語りは、バンドでキーボードを弾いていた高校生の女の子が、女だからとバンドをクビになることからはじまります。
その後なぜか天才ミュージシャンから電話が来て、一緒にバンドをやろうと言われます。
しかもメインでやったことのないドラムとして。

こんな出だしではじまる物語で、音楽やバンドを主軸にして話が進みます。
天才や才能、喧嘩や音楽。
そんなものが生々しく描かれている小説です。

最初のイラストは橋本みつるさん、そして途中から羽海野チカさんに。
私がこの本に出会ったのは、羽海野チカさんの表紙がきっかけでした。
なんか絵が上手くて魅力的だぞ…と。
特に頭にタオルを巻いたマネージャーのおじさんを描いたイラストが好きで、履いているジーンズと、手に持ったガムテープがめちゃくちゃ上手いなと思った記憶があります。

ちなみにこの小説の挿絵で初めて羽海野チカさんを知り、それからマンガの『ハチミツとクローバー』の連載を追うようになったという、ちょっとレアかもしれない経緯があります。

小説の方に話を戻しますが、何が魅力かって、やっぱりキャラクターたちが真剣に音楽をしているところが好きですね。
音楽の表現がなんだか痛々しくて、小説だから当然言葉で表現しているわけですが、言葉で受け取るというよりも、物語を感性で受け入れる感覚があります。

特に最新刊の『アグリースワン』では、音楽を愛している人に対し、そのまま音楽へ没頭してほしいというキャラクターの考え方がとても好きです。
やりたいことをやる人、やりたいことを応援する人。
そんな人たちばかりが登場します。

こんな話を読んじゃうと、私も何かやりたくなるぞ!と。
実は25年ほどピアノを習っていた経験があるので、私自身も音楽的表現は不自由なくできる人間です。
表現することで言えば、喋ることより、文章より、もしかしたら音楽的表現が1番楽かもしれません。
小説の中で、あまりにも日常生活が不自由で、音楽で生き生きとする人たちを見ると、自分も何かを表現したいぞ!となります。

今回取り上げたグラスハートシリーズは、コバルト文庫から幻冬社に版元を変え、5冊でシリーズは完結しています。
『アグリースワン』は完結後の番外編、6冊目の小説です。

音楽小説に興味がある方は是非一度お読みいただけたらなと思います。
2025年には俳優の佐藤健主演でNetflixのドラマになるそうです。
音楽をモチーフにした小説を映像化するって大丈夫なんだろうか…と不安はありますが、面白いものになってくれたら嬉しいです。

シリーズ一作目はこちら↓

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