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カメラ

祖父のお兄さんの形見分けの際
私の手の中を居場所に選んでくれた
CanonのAE-1

練習がてら、近所の桜を撮った。

あらゆる被写体を下手なりに撮っては
老舗のカメラ屋さんに行って
現像してもらった。

そのカメラ屋のおじいさんは
私の母方の祖父の知人だった。
とても雰囲気の良い方だったので
顔を覚えて貰いたくて
現像をお願いする時、
祖父の苗字を名乗っていた事を
今でも覚えている。

当時20代半ばだった私も月日が流れ
結婚し、地元を離れた。
カメラ屋のおじいさんも体調を崩し、お店を閉めてしまった。

手にするカメラも、
自分で買ったデジタル一眼レフの割合が多くなった。
思い出を残す時
失敗したくないから…と。

でも、桜が咲けば
いつだって、手に取りたくなるのは
フィルムの一眼レフ。

先日、遅い桜の開花に合わせて
写真を撮りに行った。
勿論手に持ってるのは
デジタルではない。

久しく使ってなかったので、中のフィルムが大丈夫か気になったけれど、
全部撮り終えて、
近くのチェーン店に現像してもらった。

受け取った写真を見て、
あはは!と笑った。

忘れていたフィルムの中身が
4年前に撮った桜と、
今年撮った桜だったから。

似たような構図、
同じような絞り方、色。
私の桜だ。

祖父のお兄さんも、
カメラ屋のおじいさんも、
私の祖父も、3人同じ場所から
「またお姉ちゃん、桜撮ってるよ」と
笑って見ている、きっと。

#カメラ #写真 #桜