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ホワイト企業に 「危険」 を感じて退職した理由

はじめに

私は慶応大学を卒業後、
日系グローバル企業(製造業)に10年弱勤務しました。
極めてホワイトな大企業です。

順風満帆そうに見えるかもしれませんが、
幸福度は人生で間違いなくどん底でした。

色々と悩んだ結果、

「このまま大企業で働き続けたら、ヤバいことになる!!」

と言う結論に至り、33歳で退職し、
個人事業主になりました。
ちなみに小さい子供が一人いて、
住宅ローンも組んでいます。

退職後2年ほど経ち、いまだに大して稼げて
いませんが、それでも最高に充実した時間
過ごしています。

”安定”の代名詞とも言える大企業サラリーマンの
どこにリスクを感じ、なぜ辞めたのか
整理して共有します。

※会社員という仕事を否定する意図はなく、
個人の見解と体験です。


筆者概要

  • 慶應義塾大学 理工学部卒

  • 新卒で日系のグローバル企業に就職(製造業)、約10年勤務

  • マーケティング職で、アメリカ・ドイツでの見本市イベントを担当

  • 共働き家庭(会社員の妻と、未就学児が一人)

退職理由①:配属ガチャ


大企業企業就職のリスクの1つですよね。
私はハズれました。

早い時期から職種別採用を実施していた
当時としては数少ない会社でしたが、
それでも起こり得ます。
ちなみに私は、マーケティング職として
新卒入社しました。

最初の2年間はグループ会社に出向し、
営業職で勤務し、3年目の異動で、本社圏に戻る
と言うのが当時のならわしでした。

問題は3年目の異動です。
そもそも海外赴任を目的の一つに入社したので、
異動前の人事面談では、しっかりとロジックと
ストーリーを準備して希望を伝えました。

ところが、蓋を開けてみると、
海外赴任が無く、存在も知らなかった本社圏の
とある部署への配属。

頑張れば、そこから異動を重ね、海外赴任を
狙うルートもあるものの、社内で色々と現実を
見聞き(赴任中の過労死など)するにつれ、
海外赴任を希望する気持ちもだんだんと
無くなっていきました。

と言うことで、退職理由の一つ目は、
 配属ガチャにハズれたことにより、
 入社目的を実現できなくなり、また、
 実現する意思もしだいに無くなっていった

です。

退職理由②:スキルが身につかない


これも大企業あるあるですよね(職種にもよる)

私は、大きいプロジェクトの中の
中間管理的な立場で、膨大な数の関係者・専門家
と上手くコミュニケーションをとり、
プロジェクトを前に進める仕事でした。

体よく言えば、 
 プロジェクトマネジメント
みたいなスキルですが、実態は、
 上司に言われたことを専門家に丸投げし、
 進捗管理する

です。

裁量権が無く、手も足も動かさない、
頭も使わない仕事です。
最終的には、大げさではなく、
仕事をすればするほど、どんどんアホに
なっていく感覚
でした。

もう少し長く働いていれば、例えば、
「企画から実行まで一気通貫でできます!」
みたいな、
少しは市場価値のありそうな人材になれる
可能性もあったかもしれないが、
6年同じ仕事をしてそんな兆候もなく、
上の世代も詰まっており、ぼーっとは待って
られないので諦めました。
成長スピードが遅いのも大企業あるあるですね。

唯一、
コミュニケーションに関しては、
丁寧 / 正確 / 柔軟 / 迅速 が求められるので、
元々低かったものが、普通レベルぐらいに
上がったのは、数少ない良かった点の一つです。

と言うことで、退職理由の二つ目は、
 大企業の細分化された業務を、更に外注する
 だけの仕事を続けても、今後の世の中を
 生き抜く為の能力を身に付かないと感じた

です。

退職理由③:キャリアの先が見えすぎた


これも大企業あるあるですよね。

良くも悪くも、大企業は色々な仕組みが非常に
整っていて、キャリアもその一つだと思います。

会社に何年か在籍し、先輩方を見ていると、
自分の行く末がなんとなく見えてきますよね。

この感じ方は人それぞれで、「安心して働ける!」
という人もいると思います。

私の感じ方は、 クソつまんねぇ! でした。

一般的に、大企業では、課長ですらなれる確率は
非常に低く、部長は夢のまた夢です。

よって、
今後のキャリア・生活レベルが、
 良ければこう、悪ければ大体こんな感じ
というのが想像ついてきますよね。

かつ、終身雇用制度は既に綻んでおり、
改善することも無いでしょう。
私のいた大企業でも、業績が悪くなった時に、
希望退職者を募ったり、将来性の無い事業を
部門ごと別会社として切り離す
といった人員削減が行われていました。

これらに加え、特に私の場合、
キャリアの初速が良くなかった点を踏まえ、
 平社員として会社にしがみつき続けること、
 そして、その時が来たらクビになる
 (早ければ40代)

というのが、想定していたシナリオでした。

子供の養育費が増えていくちょうど40代でクビ、
かつ、市場価値が低いであろう人材がその後
まともに転職できるのか。

課長になれたとしても、あの仕事をやりたいか?
と聞かれると、多くの人が NO だと思います。

だったら、茨の道であっても、
 良くも悪くも振れ幅のあることに
 チャレンジし、その中で、誰にも奪われない
 もの(スキル、経験、人脈、等)を
 築いていった方が、長い目で見た時に、
 充実・安定した人生に繋がるのではないか

と考えました。

と言うことで、退職理由の三つ目は、
 大企業であっても将来は保証されておらず、
 早ければ40代で道が断たれる可能性が
 大いにあったため、早めに見切りをつけ、
 別の道にチャレンジしたかった

です。

退職理由④:そもそも会社員が性格に合っていなかった


これは、会社を辞めてみて確信に変わりました。

少々周りくどいですが、一般論と、
私個別のケースに分けて説明します。

●一般論

単純作業ではない多くの仕事において、
意欲を持って取り組むのに
必要な要素は3つあると言われています。
 1. Autonomy(会社で言言えば裁量権)
 2. Mastery(能力が向上すること)
 3. Purpose(目的があること)

これは、心理学のモチベーションの研究分野で
非常に有名な
 「Self-Determination Theory(自己決定理論)
が1970-80年代から提唱し、その後教育・労働・スポーツ・子育てなど、様々な分野で応用研究がなされる様になった元の理論です。

2000年代では、Daniel Pinkという方が
似たような書籍を出版し、
↓のTEDがとんでもなく面白いので、
見たことがある人もいるかもしれません。

当時の私の仕事は、
裁量権が無く、能力も向上せず、目的も無い、
と言う三拍子でしたので、仕事が辛かったのは
客観的に考えても的外れではなかったことが
科学的にも理解できます。

●私のケース

私のMBTI診断では、INTJ(建築家型)や
INFJ(提唱者型)になることが多いです。

共通点は、内向的で、理想主義的な面です。

当時の仕事は膨大な量のコミュニケーション
必要で(内向的な人にはきつい)、理想よりも、
目の前の現実をいかに前に進めるか、という仕事
でしたので、性格に合っていなかったことが明白です。

私に限らず、イベントに関わる仕事は、
軍人・訪問介護に次いで、
世の中で3番目にストレス負荷が高い仕事という調査結果もあります。

加えて、現実的に、サラリーマンには、
 ・言われた事をとにかくやる
 ・上司へ確認する(裁量権が無い)
 ・理想論を語る前にまず目の前の仕事を進める

といったことが往々にして求められると
思いますので(職種にもよるが)
自分の性格が、サラリーマンという仕事に
マッチしていないことが
30数年かかってようやく分かりました。

と言うことで、退職理由の四つ目は、
 サラリーマンに現実的に求められる資質と、
 自分の性格がマッチしていなかった

です。

退職理由⑤:その他まとめて

他にも細々したものもあるのでまとめて書きます。

  • 一つの会社の価値観しか知らないことに危険を感じた

人材の流動性が高くなってきている中、
一つの会社の価値観しか知らないというのは、
違和感というか、危険信号を感じていました。
自分が見た中でも、転職で入社されてくる
人の方が、優秀な割合が高いと思いました。

  • 忖度待ちの管理職がシンプルにウザい

乱暴な言い方ですが本音です。
個人的な印象として、部長以上になってくると、
褒められ待ち、忖度待ちが見え見えになってくる
傾向があり、ウザすぎて無理でした。

  • 人事評価ゲームがくだらない

大企業だと、人事評価の仕組みもカッチリ決まってます。

個人目標の設定というものがあると思いますが、
達成すべき自分の人事評価項目を、
組織目標や担当プロジェクトに
照らし合わせながら書くだけなので、
ほぼ自動的に仕上がりますよね

個人目標というのは体裁で、そこに個人の
意思はあまりありません。あるとしたら、
目標のストレッチ度合いぐらいでしょうか。

なので、毎年自動的に出来上がる目標を
なぞって、人事評価に引っ掛かる仕事をする、
というのが会社員ゲームの仕組です(私の見解)

これに気付いてしまって以降、こんなことに自分
の人生を費やしたくないと思う様になりました。

  • ホワイト企業ほど、実はブラックなのでは?

ブラック企業に勤めている場合、
問題点が明白(労働時間・給与等)なので、
改善すべき点も明白です。

問題はホワイト企業です。
労働環境が良くて、世間一般よりは高い給料で、
そこそこの生活ができると、何となく不安は
ありつつも、あくまでも何となくなので、
結局そのまま働き続けてしまい、
気付いたら身動きが取れなくなり、
今の会社で働き続けざるを得ない

という茹でガエルが、実は多く発生しているのでは無いでしょうか?

楽しい仕事に携われ続ければ問題無いかも
しれませんが、弱みを見せれば、
会社につけ込ませるスキを与えてしまい、
だんだんと不遇な労働環境に追いやられていく
こともあるでしょう。

退職前に検討したこと①:社内異動

大企業だと、公募の社内異動の仕組みが
あることがほとんどだと思います。
一番リスク低く環境を変えられるので、
当然検討しました。

ただ、ニッチな領域の仕事をしていたので、
募集があっても、結局同じ仕事を少し環境が
変わった所でこなすだけ
なので、異動する意味を
見出せず、実行には至りませんでした。

ここら辺は、キャリアの戦略に対して、
自分の意識が足りていなかった点でもあります。

退職前に検討したこと②:転職

当然、転職も検討しました。

ただ、やはりニッチな職務経験なので、
転職市場で求められる分かりやすいスキル
みたいなものが無く、エージェントと実際に話を
しも、反応が芳しくないことが多かったです。

仮に転職できたとしても、給料が下がって、
同じ様な仕事をする
だけなので、転職の意味が
ないですよね。

退職前に検討したこと③:FIRE

可処分所得の50%を投資に回していました。
オルカンや米国の投資信託だったと思います。
利回りが5%前後。

可処分所得の50%を5%で運用すると、
15年前後でFIREが見えてきます。
(私の場合は子供がいるので、
現実的にはちょっとした副収入レベル)

現状の仕事に満足している人は、
選択肢の一つだと思います。

ただ、私の場合は、そもそも
自分の仕事がくだらないと思っていたので、
これを15年続けた結果、どんな人生が
待っているのか想像すると、

 ”30~40代の人生の大事な時期を、
 くだらない仕事に注ぎ込み、
 ちょっと副収入を産む資産形成ができた”

です。
こんな人生は絶対に後悔すると思ったので、
私は途中でやめました。

もちろん良かった面もあり、例えば、
 ・金融リテラシーが上がった
 ・数百万円単位の資産形成ができた
 ・その一部を退職後の開業資金に
  充てることができた
 ・退職してもすぐに野垂れ死ぬことはない
  という精神的余裕ができた

などです。

結論、途中でやめたものの、貯蓄ができたのは
多方面で助かりました。

退職前に検討したこと④:副業

ノーリスクでできるので、当然検討しました。

一番の問題は、時間が無い、です。

作んなきゃ無いって話もそれはそうですが、
平日は仕事と子育てが普通に忙しい、
週末は子供の面倒、一週間分の食料品の
買い出し、料理、という状況なので、
自由時間はあっても現実的には数時間です。

その時間で何かしても進みが遅いし、
得策では無いように感じました。

子供がいなければ、まずは副業から何かしら
やっていたと思います。

最後に

ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

このまま会社員を続けていてでいいのだろうか?
と何となく感じている人は結構いるのでは
無いでしょうか。
(もちろん、会社員という職業を否定するつもりはありません)

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