美しいものには(1)
台風並みの低気圧が、東京ではあまり梅雨らしさを感じさない6月中ごろに日本列島を横断する中、ほぼ始発同然の飛行機に乗るため羽田空港へ向かった。
羽田空港は2020年に控える東京オリンピックへの準備のためなのかところどころで大規模な工事を行っていて、第一ターミナルもその例外なく何らかの工事が行われていた。
土曜日の早朝便に乗るような人は、よっぽど朝早くに到着地で何か用事がある人か、それとも金曜夜を飲み明かして始発電車で家路に着くような人がほとんどで、あまり飛行機に乗りなれていない人は見かけない。そのためか非常に搭乗までの流れはスムーズだ。
昼間の便だとこうはいかない。あまり乗りなれていない人が荷物の詰め込みに手間取ったり、席を間違えたり、そもそも空港にたどり着けなかったり、ありとあらゆる理由で飛行機の出発が遅れたりする。
そんなイレギュラーをとことん嫌うからこそ、だいたい朝は早く、夜はできるだけ遅い便に乗ることが多い。
低気圧が接近する若干怪しい天気の中、飛行機は無事羽田空港を離陸して新千歳空港へ着陸した。
今回の旅の目的は3つ。
1.網走暮らししてる時でもなかなか遠くていきにくかった洞爺湖方面に行くこと
2.札幌で写真展を開いている”フォトグラファーマー”さんに会いに行くこと
3.網走に寄ってある意味里帰りをすること
新千歳空港でレンタカーを借りだし、向かった先では鬼が出迎えてくれた。
霧の中から歓迎してくれた鬼。雰囲気満点である。
登別温泉には寄らず、倶多楽湖へ向かった。
新千歳空港を発着するとき、たまに眼下に見えるきれいな円形の湖だ。
ずっと気になっていたからこそ、今回アタックを試みた。
しかし鬼が出迎えたところは海辺に近いことからも、それより標高が高いところにあると思われる湖の眺望が望めるとは到底思えない。
引き返すのは惜しい、それだけの理由で坂を上る。
ほぼ1.5車線の峠道を進むこと20分ぐらい(?)、木々の隙間から広い空間が垣間見えた。おそらく湖だろう。
勿論真っ白であった。
携帯電話の電波はドコモでも圏外。(道内ならよくある話だが)
山・霧・人気の気配のなさ、活動期だからこそ気になるヒグマの存在。
東京ではなかなか感じられるものではない。
倶多楽湖を後にし、洞爺湖方面へ向かった。
いつだったか、日本の総理大臣をはじめとする各国のお偉方が集った湖。
続く。