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司法書士のおしごと!【#1 入門編】

司法書士ってなにする人なの?

司法書士の野田啓紀です。
今年は、司法書士という仕事がこの世に生まれて150周年となるそうです。
明治時代からある専門職で、代書屋としての歴史はそれなりに長いのですが、いまだになにをしているのかわかりにくい仕事です。

当時、世界でも随一の識字率を誇っていた日本であっても、文字が読み書きできない方は多くおられ、彼らに代わって文書を作成する仕事から始まっています。

めちゃくちゃな内容の書類を自分で作って役場や裁判所に持ち込む人が増えたため、内部の事務が遅滞するという状況があったそうです。これでは、適切な裁判事務、行政事務ができなくなって困るということで、文書を作成する専門家が間に入って、改善、効率化が進められていったという時代背景があります。

司法書士は、登記、供託、訴訟その他の法律事務の専門家として、国民の権利を擁護し、もつて自由かつ公正な社会の形成に寄与することを使命とする。

司法書士法

多くの国民のみなさんにとっては、一生に一度か二度くらいしか会うことがないため、なかなか覚えてもらいにくい職業です。

司法書士は、法務局や裁判所に提出する書類を作成する専門家です。
これが原点で、さまざまな仕事に派生しています。

  • 売買、贈与、新築、財産分与などで不動産の名義を変更する

  • 住宅ローン、事業資金の借入について、不動産に担保を設定する

  • 相続があったときに、不動産の名義変更や預貯金の解約を代行する

  • 会社の設立、登記の変更の手続をする

  • 成年後見人を選んでもらうための書類を作成する

  • 遺言や家族信託の手続をする

  • 相続放棄をするための書類を作成する

  • 借金の整理、払いすぎた利息の取り戻しをする

行政書士とはなにが違うの?

これは、頻出の質問です。あいさつ代わりに聞かれます。

士業と呼ばれる国家資格者としては共通するところもありますが、行政書士は、官公署に提出する書類を作成する専門家としてご活躍されています。

  • 建設業、産業廃棄物収集運搬業、運送業などの許認可を取得する

  • 外国人が日本で就労するためのビザを申請する

  • 補助金の申請をする

  • 農地転用の許可、開発許可を取得する

  • 病院の開業許可を取得する

  • 介護、福祉事業の営業許可を取得する

  • NPO法人を設立するための申請をする

このように、行政書士は、お役所相手に許認可を取得することが専門であり、中心業務です。そして、行政書士は、登記申請や法務局に提出する書類作成の代理はできません。
しかし、相続などの民事にも取り組む先生がおられ、一定の部分では重複する業務もあるため、司法書士と混同される方もあるのでしょう。

司法書士になるには

司法書士になるには、いくつか方法がありますが、ほとんどの方は、年に一度開催される司法書士試験に合格して、司法書士として登録します。

このほかには、裁判所、検察庁、法務局等で一定期間、登記や訴訟事務にかかわる事務職を経て、法務大臣から資格認定を受ける方法があります。これを一般に、特任と呼んでいます。たとえば、法務局を退職してから、司法書士として開業する場合がこれにあたります。

司法書士試験は、合格率が約4%という難関試験です。

合格の基準についても、相対評価であり、毎年合格点が変わってしまうため、突破することが難しいものとなっています。平均すれば、全部で11科目ある法令に関する問題で、約80%は正解しなければ合格できません。
一般に、資格試験の合格点は、約60%の正答で合格とされるものが多いことと比較しても、その厳しさは明らかでしょう。

しかし、司法試験や税理士試験とは異なり、前提として年齢・学歴・職歴が問われないため、誰でも受験できます。

司法書士に向いている人

法務局という、あらゆる役場の中でもっとも頑固で、細かい役所を相手に仕事をすることになるため、きわめて精緻な事務処理能力が要求されます。

また、不動産取引のような大きなお金が動く場面で、登記が確実にされることを半ば保証するような、もっとも大切な部分を担うことになりますから、限られた時間の中で、調査、情報収集、関係者との調整、書類作成が完璧にできなければなりません。

これらは、司法書士試験の中でも、しっかりと能力が問われることになり、実務家登用試験といわれる所以でもあります。

業務を正確にこなせる方、最新の法令や行政先例を熱心に学ぼうとする方、資格者として責任感を果たせる方が向いていると考えます。

とはいえ、あまり根を詰めすぎますと、からだを壊してしまいますから、まじめなだけではなく、オンオフの切り替えをしながら、前向きに仕事に取り組める方が望ましいでしょう。

これからも紹介していきます

司法書士のおしごとについて、入門編ということで、全体を概観しました。これから少しずつ、具体的なおしごとのことについてもお伝えしてまいります。ぜひ、お楽しみに。

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