SUPER BEAVERのコイスルオトメがめっちゃ良かったという話


はじめに〜トリビュートめっちゃ良かった〜

いきものがかりのトリビュートアルバム『いきものがかりmeets』を聴いた。
とても懐かしく、そして凄く好きな曲たちを新たなアレンジで聴けて、心から満足できる素敵なアルバムだった。

高校から大学時代にかけて、いきものがかりはとても流行っていた。
ドラマやオリンピックのテーマ曲に多数起用されて、毎日のように楽曲を耳にしていた。
私も当時のiPodに、アルバムを入れてよく聴いていたことを覚えている。
『ノスタルジア』や『花は桜君は美し』、『HANABI』などは私の青春の傍にいてくれた大切な楽曲だと間違いなく言える。

今回のトリビュートでは、幅広いジャンルのアーティストが参加している。
YOASOBIのikura、女優の上白石萌音や伊藤沙莉、HIPHOPの梅田サイファー、フォークデュオのゆず、元BiSHのアイナジエンドなど錚々たる顔ぶれが集まった。
いきものがかりという存在の、楽曲の、根強い支持がここから伺い知ることができた。

そんなトリビュートアルバムの中で、ひときわ私の心に響いた楽曲があった。
3曲目に収録されている、SUPER BEAVERが担当した『コイスルオトメ』である。
今日はこの楽曲についてどうしても語りたくて、3年ほど前にアカウントだけ作っていたnoteに遂に投稿した次第だ。

コイスルオトメとSUPER BEAVER

コイスルオトメについて

『コイスルオトメ』は2006年10月に発売された、いきものがかりの3rdシングルだ。

メンバーの水野良樹が作詞作曲した楽曲であり、男性から生み出されたとは思えないほど乙女心に満ちたラブソングとなっている。
恋愛の数も深さもさほどない私ではあるが、この曲やMVの可愛らしさと真っすぐな印象がとても好きで、何度も繰り返し聴いたものだ。
余談だが、ボーカルの吉岡聖恵は当初、あまりの乙女な歌詞のためこの曲を歌うことに躊躇っていたそうだ。

SUPER BEAVERについて

SUPER BEAVERは、2005年結成の男性4人組ロックバンドである。

私にとって、今特に好きなバンドの1つだ。
彼らは2009年にメジャーデビューするも2011年にレーベルを離れ、2022年にメジャー再デビューするという異色の経歴を持っている。
何と言ってもストレートな歌詞とバンドサウンドが彼らの大きな魅力だろう。
私もフェスで何度かステージを見たことがあるが、特にボーカル渋谷龍太の真摯な言葉とパフォーマンスに何度も心を打たれている。

このコラボの魅力を語る

そんなSUPER BEAVERが、今回のトリビュートで『コイスルオトメ』を担当した。
この組み合わせを見た時点で胸が高鳴ったし、実際に聴くと想像を超えて私の心に強く残った、本当に素晴らしいコラボ曲となっていた。
楽曲解禁から何度もリピートして聴き、私なりにこの曲の魅力を3つ書き残していく。

①リスペクトと個性のバランス

まずはアレンジであるが、SUPER BEAVERらしくバンドサウンドに寄せられている。
原曲ではピアノで奏でられているメロディーを、ギターで奏でているところがカッコよかった。

…のだが、このイントロをよーく聴いてみてほしい。
実は、ギターに隠れて原曲のようなピアノのメロディーも鳴らされているのだ。

『コイスルオトメ』は、か細くて素朴ながらも美しいピアノの音色が、歌詞とマッチしていて魅力の楽曲でもあると思う。
SUPER BEAVERは、バンドサウンドを主としながら原曲の魅力も残すアレンジがとても上手い。

②真っすぐな両者のマリアージュ

次に、歌詞から魅力を考える。
『コイスルオトメ』という楽曲と、SUPER BEAVERというバンドには共通した魅力がある。

“真っすぐさ”だ。

愛しい人への素直な気持ちを乗せた歌詞。
それを、普段から真っすぐな気持ちをかき鳴らすバンドが歌う。
…そりゃ良いに決まってるよ!と唸ってしまった。

バンド活動で研ぎ澄まされた渋谷龍太の歌声に乗せて届けられる「好きだよ 大好きだよ」。
これはもう反則と言っても良いのではないだろうか。

一聴の価値があると、自信を持って伝える。

③“あなた”という言葉のスコープ

真っすぐな歌詞の楽曲とバンドであるということは先に記したが、最後に具体的な言葉を1つ深堀りしたい。
“あなた”という言葉だ。

SUPER BEAVERは“あなた”という言葉をよく使う。

彼らは今や、ロックバンド界で重要な存在となった。
フェスのステージも、ツアーの規模も大きくなっている。
単独ライブとなれば、アリーナで3万人規模の公演は十分にできるだろう。

そんな大きな存在となっても、SUPER BEAVERはあくまで“あなた”に向けて歌を歌う。
どれだけ観客が増えても、このバンドは愚直に“あなた“に向けて楽曲を届けてきたのだ。

一方で、『コイスルオトメ』にも”あなた“という歌詞が何度か登場する。
「あなたに そうあなたに 恋してるの」
などといったようにである。

…ここで私は思った。

『コイスルオトメ』の歌詞の”あなた“とは、1対1の関係なのである。
隣にいる、或いは心に思い浮かべる、たった1人に向けられた気持ちを歌詞に乗せているのだ。

普段は大勢がいる中で”あなた”に言葉を向けるSUPER BEAVER。
それが、『コイスルオトメ』ではただ1人だけの”あなた”に歌っている。
スコープのサイズが違うんだなと思った。

例えは物騒だし変かもしれないが、散弾銃がピストルになったような感覚を私は持った。

…撃たれるよな、心。
私の心にはそれはそれは強く、深くめり込んだ楽曲となった。


最後に

以上3点が、私にとってSUPER BEAVERの『コイスルオトメ』が心に響いた理由である。
もちろんコイスルオトメが1番のオススメであるが、今回のトリビュートはどの楽曲も本当に素晴らしかった。

1つの楽曲が、別のアーティストにアレンジされることでこんなにも違う顔になるのかと驚かされる。
音楽とは自由なものだ、とても面白いものだと改めて気付く作品となった。

きっとこの文章を読んでくださっているあなたも、1曲くらいはいきものがかりを知っているだろう。
拙い文章となったが、この投稿が誰かの音楽との出会いになれば幸いである。

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