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{読書感想短歌*170} 梶よう子『桃のひこばえ 御薬園同心水上草介』

風に添い揺れる草にも根はあって 今日も世界を吸い上げている

kazenisoi yureru kusanimo newa atte kyoumo sekaiwo suiageteiru

時代劇を観る層にはおなじみの小石川療養所は、小石川御薬園という将軍家の薬草園(※かなり広い。)の一部なんだそうです。主人公の水上草介は、その御薬園で働く同心。同心つっても御用だ御用だとは縁がなく、刀の替わりに園芸用の鋏を腰に、植物のお世話にあけくれる係。の、連作短編。…素敵。

※水上さんは、ちょっとぼんやりで頼りない感じがするので、〈水草〉さんって呼ばれてる、お江戸の草食系男子。なんだけど、そのふわっとした感じと、本草学の知識とをいい感じにミックスして、ややこしい問題を抱えた人たちをふわふわっと助けちゃう。しなやかな人って強いよね。

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