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11月6日 ゾロメ終了

10月23日(日)

働いている店の入っている商業施設のトイレに行くと、数回に一回の割合で手を拭いたあとのペーパータオルが床に落ちている。ゴミ箱の近くに落ちているものは入れたつもりが横に落ちてしまったのかなと思うが、たまにトイレを出てすぐの廊下のあたりにも落ちていたりするのがかなり謎である。

そういう時、私は拾って捨てているが、それは良心ゆえの行動ではない。拾えるのに拾わないことで、なんか罰が当たるような、嫌な予感みたいなものが自分の中に芽生えるのが嫌だから拾う。見て見ぬふりをすると、悪いことが起きるような気がするのだ。つまり、あくまでも自分のために拾っているのである。だから、街中で周囲にゴミ箱がなかったり、視界に入ってはいるが自分がわざわざ近づいてまで拾うのが不自然な距離に落ちている場合などは素通りしてしまう。という話を昔友人にしたことがあるのだが、友人は自分が拾わないと次にそこを通った人もゴミが落ちているな~と嫌な気分になる、その負の連鎖を断ち切るために拾っている、と言っていた。なんて徳が高いんだと思った。同じゴミを拾うという行動なのに、こうも違うか。


10月24日(月)

隣町のスープカレー屋でラムステーキカレーを食べた。すごいボリュームだった。私にとってスープカレーは栄養ドリンクのようなものだ。力が湧く。


10月25日(火)

4回目ワクチン接種。先生に「前回は座って打ちましたか?」と聞かれたのだが、座って打つ以外の選択肢が思い浮かばなくて、意図がわからず「え、あ、」とモゴモゴしてしまい、「ベッドに寝ます?」と言われ、慌てて「座ります!」と返事をした。寝て打った場合、打った後の15分の待ち時間も寝たままで待たせてくれるのだろうか。それは楽でいいな。


10月26日(水)

腕が痛い以外の副反応はほとんどなかったが、副反応があるような顔をしてゴロゴロして過ごした。チェンソーマンのアニメを観て、チェンソーマンのアニメを観る外国人のYouTubeを観た。外国人の反応みたいな動画が好きでつい観てしまう。リアクションが大きくて面白いというのもあるが、それ以上に、日本人はそういうときその言葉では言い表さないよなとか、いい意味で不自然に思える言い回しみたいのが面白い。訳した人のセンスも多少あるのかもしれないが、やはりずっと日本にいるとこういう時はこう言うみたいな刷り込みで、定番の言い回しの中で表現してしまっている部分があることに気付かされる。


10月27日(木)

歯医者に行く。相変わらず、きれいに磨けているのに歯周ポケットが深い謎の歯、という診断は変わらず。一番奥の歯、このままでは10年持つかな……とまで言われショック。将来的にはインプラントになる可能性が高いのでお金貯めておいてください!と言われてしまった。インプラント貯金。


10月28日(金)

今日から三連勤なので、大量に豚汁をつくってから出勤しようとしたらギリギリになって遅刻しかけた。でもこれで今日から豚汁で生き延びることができる。疲れて家に帰ったら豚汁があるというのは安心感が大きい。


10月29日(土)

こめかみのあたりの髪の毛をめくったら白髪があった。今までもあったけど気付かなかっただけなのか、それとも最近出てきたのか。まだ表面には表れていないのでもうしばらくは大丈夫だと思うが……。まあ年齢的にもそりゃそうだよなとは思う。でもちょっとショック。今月は関根(うさぎ)も死んだしストレスでたまたま生えただけ、という可能性はないだろうか、と思ったりしたが、実際のところ普通に元気でごはんも食べまくってピンピンしているので、その説は無理がある。やっぱり年なんだろう。


10月30日(日)

朝食に小さいロールパンを食べた。3つ食べたがまだ食べられる気がして4つ目を食べたらゲフッってなった。ロールパンでパンパンの腹を抱え仕事へ。腹が重くて辛かったので、在庫を移動する作業に自ら立候補し積極的に動き回ってなんとか消化した。たまに胃袋との意思疎通がうまくいかない。


10月31日(月)

美容室。久々に前髪をつくる。前髪があると朝のセットでヘアアイロンを使わねばならず面倒なのだが、イメチェンしたい気持ちと天秤にかけてイメチェンが勝った。

そのあと、夫が誕生日プレゼントに革ジャンを買ってくれるというので試着しに行ったが、着てみたら全然しっくり来なくて一旦保留になった。革ジャンを着たい気持ちはあるので、いつか似合うものに巡り合いたい。


11月1日(火)

去年までの冬用のタイヤがもう擦り減ってダメになっていたらしく、新しいのを購入した。4万5千円。痛い出費だが、アイスバーンでスリップして死にたくはないので仕方ない。4万5千円で命を守る。

そのあと、数日前から歯が痛かったので急遽また歯医者に。歯茎の炎症。つまり歯周病。免疫力が下がると急に痛くなったりするらしい。「最近何か変わったことありましたか?」と歯科助手さんに聞かれたので、「うさぎが死にました」と言ったら、「え!私もうさぎ飼ってます!」と言うではないか。うさぎを飼う人は増えているらしいが、犬猫に比べるとまだやはり少数派なので、まさかのことに二人で大盛り上がりした。関根も変な名前ではあるが、歯科助手さんのうさぎもカタンという名前で、なかなか変わっている。好きなボードゲームから名付けたらしい。うさぎ談義をしつつ、歯には殺菌作用のある薬が注射された。


11月2日(水)

健康になりたい気分だったので、散歩に行くことにした。家の近くの河川敷を歩いた。寒かったが、早歩きするとホコホコしてちょうどよかった。散歩を習慣にするのも悪くないなと思ったが、そろそろ雪が降るのでもう無理。


11月3日(木)

チェンソーマンをはじめて観た夫が、ポチタのことをチェンソー犬と呼んでいた。ああいう犬種ではない。


11月4日(金)

朝、布団の中にいたら、チチチチチという音が聞こえた。それはすなわち、夫が冷蔵庫に残っていた味噌汁を火にかけた音。私は感動した。明日から二人で実家に泊まる予定なので、残りの味噌汁を朝ごはんで飲んでしまわなくてはと思っていたのだが、それを何も言わなくても夫が自らの判断で火にかけてくれた。小さなことだが、感動。共に生活する中で培った以心伝心。


11月5日(土)

実家のある旭川で祖父の三回忌。

祖父が亡くなった年に生まれた甥っ子も、もう2歳。前回会ったときより人見知りはなくなっていたが、会ってすぐ抱っこしようとしたら泣かれた。

帰り際、バイバイには積極的な甥っ子。全力で手を振ってくれる。別れ際に泣かれるようになるのが叔母としての目標。


11月6日(日)

誕生日を迎え、34歳になった。

このゾロメ日記は、去年の誕生日に33歳のゾロメ年となったことから一年間続けることを宣言してはじめたものである。「毎月11・22・33日のゾロメの日に日記を書く」としたのは、継続が何より苦手なだらしない自分の性格を鑑みてのことであり、それはすなわちゾロメの日にゾロメの日のことだけを書いてアップすれば体裁が保てるというハードルを低く見積もったやり口だったのだが、典型的ノートの一ページ目だけ綺麗な字で書く系人間である私は、日記を書く決心をした自分に酔いしれフンガフンガと鼻息を荒げながら、勢いのままに初回の日記を「ゾロメの日に毎日の日記をアップする」という方式で書いてしまった。自信も実績もないくせに本当にバカである。

ゾロメに追われる日々がはじまった。ゾロメは思いのほか早くやってくる。体感、三日だ。「もうゾロメ!?」と何回言ったかわからない。夫から「明日ゾロメじゃない?」と言われるとギクリとした。「言うな!」と肩パンしたりもした。

書くことに困らないようできるだけ日々のことをメモしていたのだが、油断してぼんやり数日過ごしてしまうと本当に書くことが思いつかなくて大変だった。書くことがないときは食べたもののことを書くしかなかった。何もしなかった日も、何かを食べてはいる。結果、日記は食べ物の話ばかりになった。ほとんど食事記録だった。

先程、昨年の誕生日の日記を見返してみたところ、カルパッチョを夫の好きなサーモンにするか、私が食べたいマグロにするか迷ってマグロを選んだこと、生食用の牡蠣と加熱用の牡蠣を両方買って牡蠣酢とアヒージョを作ったこと、夫がお土産で買ってきた白カビのサラミがすごく美味しかったことなどが書かれていた。たった一年前のことだが、これらのことを私はすっかり忘れてしまっていた。特に白カビのサラミは絶対また入手しようと思っていたのに完全に存在を忘れていた。日記を書いていなければ、永遠に思い出せなかったかもしれない。

他の日記も読み返してみたが、書くことがなくて無理くり絞り出したようなくだらないありふれたことが、今読んでみると新鮮で面白かったりするから不思議だ。くだらないありふれたことだからこそ、書いておかないと忘れてしまうし、何気ないことだからこそ面白いのかもしれない。それに気付けただけでも、この一年、日記を書いてよかったと思う。

さて、そんなわけで、ゾロメ日記とは今日でおさらばのつもりだったのだが、私の脳みそは一年前のことでさえすっかり忘れているということが判明したので、ただでさえ短い人生、これではそのうちの一割も覚えていられないのではという危機感が芽生えた。なので、日記はこれからも書こう思う。ただ今までの頻度だとちょっと疲れそうなので、気が向いたときに更新する感じで、ゆるゆる&なあなあのゾロメ日記でいこうと思う。こうなってはもはやゾロメとか全然関係ないが、実は来年の春から生活が大きく変わるかもしれない見通しもあって、そうしたらまた仕切り直して新たな形で日記を書きたくなるかもしれない。なのでとりあえず、ゾロメは終了しますがゾロメ日記は一旦据え置きということで。

一年間ひいひい言いながらもなんとか続けられたのは、思った以上にたくさんの人が日記を読んでくれたからである。読んでもらえて嬉しいのが半分、無駄にプライドが高いため挫折したことがバレるのが嫌だったのが半分。日記をはじめたときに、みなさんには読者兼監視役になってもらいたいなどと書いたが、まさにその通りになった。

毒にも薬にもならないような日記に一年間、36回もお付き合いいただき、本当にありがとうございました。今後ともゆるい気持ちでご覧いただけたら幸いです。


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