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『脱ヤット』

2022年3月12日に行われた
明治安田生命J1リーグ第4節
ジュビロ磐田vsガンバ大阪
このカードはリーグ戦の1試合であると同時に日本サッカー界のレジェンド「遠藤保仁」の古巣対戦ともなるカードで注目度が高かった。

「ヤット」という選手

「遠藤保仁」通称「ヤット」
言わずと知れた日本サッカー界を牽引してきた1人で
日本代表歴代最高キャリア152試合、J1通算645試合(公開日時点)出場という今後破られることがあるのか疑問に思うほどのキャリアを積み重ね、2度のワールドカップ出場とガンバ大阪にてアジア王者を含めた9つのタイトル獲得に貢献してきたまさに『レジェンド』の言葉がふさわしい選手だ。

彼が居るだけでチームが変わる。
凄まじく広い視野と、臨機応変な戦術眼、確かなテクニック。
派手さこそないものの彼のプレー1つでピンチをチャンスに変えてしまい、パス1本で相手の守備ブロックを一気に崩壊させてしまう。
チーム内でFWやサイドの選手と息が合う様になると相手にとって苦戦しない訳が無い。
更にはパスの出処である彼を抑えようとすると今度は交わされて返ってピンチを招いてしまう。
相手のやりたい事と嫌がる事を把握して、試合を司る彼の様な存在はそこら中にいる訳ではなくクラブとしても非常に重宝する。
だからこそ彼に依存してしまう部分が大きく、いずれやってくる「その時」までに『脱ヤット』を進めなくてはならなかった、、、

『脱ヤット』へのトライと移籍

どう頑張っても彼の代わりは居ない中、本格的に『脱ヤット』に手をつけたのがガンバ大阪の前前監督である宮本恒靖氏だった。
彼もまたガンバ大阪のレジェンドの一人であり、リーグ初優勝とクラブの発展に大きく貢献したアカデミー育ちの元キャプテンである。
そんな宮本氏が抱くガンバ大阪への想いは人一倍強い。だからこそ将来を案じて『脱ヤット』を進めたかったのだと個人的に解釈している。
それまでガンバ大阪U-23(現在は廃止)の監督をしていた宮本氏にとって同じ下部組織出身の若手選手は是非とも未来のガンバ大阪を支える逸材として出来るだけ多くトップチームで活躍させたかったのだろう。
ヤットが出場機会を減らす中でルーキーの山本悠樹を積極的に起用するなど、未来のガンバ大阪に対しての投資に趣きを置いた人選を行っていき何人かはJ2やJ3に武者修行へ。何人かはトップチームで活躍を続けている。
しかし
ヤットは現役のプレーヤーである。
1人の選手として出場機会を求めるのは当然の事であり、ガンバ大阪での出場機会が減って行った2020年夏に19年半在籍したガンバ大阪を離れ当時J2のジュビロ磐田に期限付きながら移籍する事になった。

あくまで試合に出場し可能な限り、出来るところまでfootballを楽しみつつ追求していく。
その軸は一切ブレることなく、J2で苦しんでいたジュビロ磐田を2021年にJ2優勝という形でJ1復帰に貢献した。
迎えた2022年。J1に復帰したジュビロ磐田にヤットは完全移籍する事が決まった。
ガンバ大阪も片野坂新監督を迎え、新たなスタートを切る中ヤットの復帰を待ち望んでいたが彼は磐田を選んだ。
試合に出れているのであれば当然と言えば当然だろう。

迎えた古巣対戦


そして先日のJ1第4節
19年半在籍したガンバ大阪と初の古巣対戦。
私も一ガンバサポーターとしてゴール裏からガンバ大阪を応援しつつも、彼のプレーに何度も驚かされた。
常に周りを見渡し隙を見つけては正確なパスを供給する。そのパスの精度は正に針の穴を通すような正確さ。
セットプレーでのボールの精度も相変わらずで
スペースの作り方、使い方、消し方、、、
まさしくジュビロ磐田の心臓として途中交代で退くまでその仕事を全うしていた。
そんなヤットを敵にしながら、自分たちでゲームを難しくしてしまいながらも最後に追い付いて勝点1を何とか掴み取ったガンバ大阪。

これから先きっと
ガンバ大阪は片野坂監督の下、人に依存しないfootballを築き上げて行く事になるだろう。チームの中心である宇佐美貴史を長期離脱で失ってる今だからこそ、また片野坂監督を迎え入れて数ヶ月の段階だからこそ、臆すること無く様々な課題に果敢にトライしていける。
あの時宮本恒靖氏が行なった『脱ヤット』が間違いだったと言われない為にも現体制で【強いガンバ大阪】を手に入れて欲しい。
そしてジュビロ磐田もいつしかガンバ大阪と同じ様に『脱ヤット』に手をつけなくてはいけない時がくる。
その時ジュビロ磐田はどう動くのか?
きっとその時も『彼の凄さ』を改めて痛感する事になるだろう。
そして遠藤保仁選手にはキングカズ並に
長くfootballを楽しんで現役を心行くまで続けてもらいたい。
一Jリーグファンとしてそう思う。

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