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【Night Clan #1】考察!9点配置を狙え

はじめに

 ²№(にの、@2no_38b )と申します。ボードゲーム制作チーム Miyabi Lab(@38b_lab )でゲームデザインを担当しています。本記事はボードゲーム『Night Clan(ナイトクラン)』のプレイ考察記事です。先日チームメンバーと5回ほどプレイしてボロ負けしました(1位なし、4位3回)。悔しかったので、次回に向けて考察します。

Domina Games(ドミナゲームズ)公式のゲーム情報は↑参照。

4人プレイを前提として記述します。ルール説明ではなく、既プレイ向けの攻略・考察です。まず「場所」と「勝利点」の2つの観点から、

 基本(知識・意識)→ 展開(経験・結果)→ 戦略(思考・提案)

の順で考察します。最後に2つの考察を基に、ゲームの流れに沿ってある程度のプレイ基準を設計します。

※個人メモなので読み物としての面白さはないかも。申し訳ないッッ!!


1.場所

基本:埋め直し

 1ターンに【夜警】を使わず配置できるカードは2枚です。ターン開始時に定員が残り2枚の場所があれば、連続で配置して埋めることができます。
 一度定員となった場所は、【夜警】の「他の場所にある自分のカード1枚をこの場所に移動させる(以下、引き寄せ)」能力でしか空きを作ることができません。1ターンの配置カードは2枚なので、自分がそのターンで再び埋めるには、空きを作った場所にもう1枚のカードを配置する必要があります。
 以上から、「場所を埋める」ことで、相手に「1.【夜警】で埋めた場所のカードを引き寄せる。2. 空きに自身のカードを配置する」動き(以下、埋め直し)を強制することができます。埋め直しは1ターンすべての行動を使うため、そのターン他の場所への介入が難しくなります。
 また、自分のカードを置けなかった場所が埋まった場合、そのプレイヤーは基本的にその場所へ介入できなくなります。場所の定員に関する意識として以下が求められます。

  • 場所が埋まるまでに自分のカードを1枚以上配置することで、埋め直しの選択肢が増える。

  • 埋まった場所の自分のカードが【娘】1枚の場合、埋め直しに使用する【夜警】を活用するのが難しい。

  • 埋まった場所に自分の裏向きカードがある場合、埋め直しの【夜警】でそれを移動させることで、同時に移動先の場所にも介入できる。

  • 埋まった場所の自分のカードが【娘】2枚の場合、その場所を埋め直すメリットは低い。他プレイヤーの埋め直しを待つ形になる。

  • 埋まった場所の自分の勝利点が3以上の場合、他プレイヤーの埋め直しで裏向きカードが配置される可能性が高い。自分が再び埋め直しで【宿り木】を配置しない限り【トロール】に対応できない。

以上から、場所が埋まるタイミングで、
 他プレイヤーの勝利点が高い場所→「【娘】2枚」or「裏向きカード」
 他プレイヤーの勝利点が低い場所→「【娘】1枚以上」
が配置されていると、中盤以降の選択肢が広がります。

【基本:埋め直し まとめ】
1. 空き2枚の場所は1ターンで埋めることができる
2. 埋め直しには手札に【夜警】と任意の1枚、場所に任意の1枚が必要
  任意の1枚が裏向きカードなら、2つの場所に介入できる
3. 自分の勝利点を1〜2点に調整して、埋め直しによる攻撃のリスクを減らす
4. 他の勝利点が高い場所に【娘】2枚や裏向きカードを配置する

展開:5場所

 すべてのカードが表向きである場所では、ノーリスクで勝利点を獲得できます。これを利用して、「定員5枚の場所(以下、5場所)に【娘】を1〜2枚ずつ配置し、安全に得点する」展開が多く見受けられました。5場所に乗り遅れたプレイヤーはそれだけで1〜2点の差がつきます。
 埋めやすい5場所に自身の【娘】を2枚配置する行動は非常に強力です。裏向きカードを後から置かれるリスクが高いようにも見えますが、5場所を【トロール】で破壊すること自体があまり強くない(成功しても最大で4枚分の勝利点しか阻害できない)ため、積極的に5場所に【娘】を配置する展開が多かったと考えます。

【展開:5場所 まとめ】
1. 5場所に【娘】1〜2枚を配置することで安全に勝利点を獲得できる
2. 5場所に自身のカードがない状態では勝利点で不利を取る
3. 5場所に【トロール】を配置するのは他に比べて弱い

戦略:3止め

 空きが2枚以下の場所を埋めることは簡単です。前述の通り、「5場所の早期埋め」は強力であり、その対応である「5場所の埋め直し」は強い行動ではありません。以上から、「場所の空き枠を3枚にする(以下、3止め)」プレイが求められると考えます。
 1Pと2Pは、1ターン目に自分のカード2枚をどちらかの5場所に配置することで、確実に3止めが可能です。さらに、初手に【娘】2枚があれば、それらを配置して3止めすることができます。なお、初手に裏向きカードが2枚以上ある場合は分散して配置する方がリスクが少ないように思います。(移動に【夜警】が必要になる)
 3Pと4Pは、3止めに対して続けて【娘】を配置したいところですが、このとき1枚だけ配置するのは非常にリスキーな行動だと考えます。2止め状態で1P、2Pにターンを返すことで、その場所を介入枚数が少ない状態で埋められてしまうからです。よって、3止めに対しての配置は埋め直しが強くなる裏向きカード1枚か、自らの勝利点も多くなる【娘】2枚が良いでしょう。
 以下は初動の一例です。5A、5Bはそれぞれ5場所を表しています。【娘】
2枚以上が初手に来る確率は約56.3%(約4%でマリガン発生なので、実際はより少し高い)なので、4人中2人以上が【娘】2枚でスタートできる想定です。

  1.  5A【娘娘】5B【】

  2.  5A【娘娘】5B【娘娘】

  3.  5A【娘娘娘娘】5B【娘娘】

  4.  5A【娘娘娘娘裏】5B【娘娘】他【娘】

  1.  5A【娘娘】5B【】

  2.  5A【娘娘娘娘】5B【】

  3.  5A【娘娘娘娘】5B【娘娘】

  4.  5A【娘娘娘娘】5B【娘娘娘娘】

  1.  5A【裏】5B【娘】

  2.  5A【裏娘】5B【娘娘】

  3.  5A【裏娘】5B【娘娘娘娘】

  4.  5A【裏娘】5B【娘娘娘娘裏】他【娘】

【戦略:3止め まとめ】
1. 空き2枚の場所は1ターンで埋めることができる
2. 5場所の早期埋めは強力
3. 3止めで5場所にカードを配置しつつ、1ターンで埋まらない場所を作る
4. 3止めされた場合は【娘】2枚または裏向きカードで対応

2.勝利点

基本:勝利点の構成

 Night Clanの最大勝利点は12点です。
  プラス →【娘】+1*7枚、【財宝】+2*2枚、【宿り木】+1*1枚
  マイナス→【夜警】-1*2枚、【トロール】-2*1枚
マイナスを含むすべての勝利点を獲得した場合、合計は8点になります。カードを獲得する枚数が多いプレイヤーは視覚的に有利に見えますが、このゲームの目的は「カードを獲得する」のではなく「勝利点を獲得する」ことです。【夜警】【トロール】を獲得しない意識が必要です。

【基本:勝利点の構成 まとめ】
1. 最大勝利点は12点
2. カードの獲得枚数は勝敗に影響しない
3. プラスを獲得することとマイナスを獲得しないことは同程度の価値

展開:1位ボーダー

 先日のプレイでは、1位の勝利点ボーダーは8点でした。つまり、マイナスをすべて獲得する場合は、プラスもすべて獲得しなければ1位が厳しいラインであることがわかります。【娘】【夜警】をまとめて獲得するようなケースは1つまでなら許されますが、【夜警】2枚を回収した場合、【宿り木】以外のプラスをすべて獲得することが求められます。
 また、【トロール】を獲得するゲームでは他のプレイヤーの【宿り木】も勝利点に加わるため、それだけで3点の差が付きます。【トロール】を獲得したプレイヤーが1位になることはかなり厳しいといえます。

【展開:1位の勝利点 まとめ】
1. 1位の勝利点ボーダーは8点以上
2. 獲得マイナスが【夜警】1枚→【宿り木】【娘】以外のプラスが必要
3. 獲得マイナスが【夜警】2枚→【宿り木】以外のプラスが必要
4. 獲得マイナスが【夜警】2枚【トロール】→すべてのプラスが必要

戦略:最終配置

 勝利点の合計はプラス12点、マイナス4点なので、これらを均等に配置した場合、場所ごとの平均勝利点は1点となります。【トロール】の獲得は勝利が大きく遠のくことから、いくつかのプレイヤーの【トロール】の破壊が成功する前提で考えます。このとき、基本的にすべての【宿り木】は獲得されないことになります。
 【トロール】を安全に破壊するために【娘】1枚を使うとして、残りの【宿り木】を除いた勝利点はプラス10、マイナス2です。つまり、他のプレイヤーの【トロール】に【夜警】1枚を巻き込みながら、残りすべてを獲得するような配置が求められます。以上から、1位を狙う場合、場所ごとの自分の最終配置と勝利点は以下のような配置が現実的なラインといえます。

5A【娘】【娘】 +2
5B【財宝】 +2
6A【財宝】【夜警】 +1
6B【娘】【トロール】(破壊) 0
7A【娘】【娘】 +2
7B【娘】 +1
8A【夜警】【宿り木】 0
8B【娘】 +1
合計 +9点

 これ以上の勝利点を獲得するには、【トロール】を単騎や【夜警】と合わせて破壊することや、【宿り木】を成功させることが必要です。混戦となる4人プレイでは両方の達成は上振れ程度に考えるのが良いかと思います。
以上から、【娘】6枚【財宝】2枚【夜警】1枚の獲得内訳で9点となる最終配置が再現性が高いと考えます。
 また、他のプレイヤーの勝利点が高い場所に【宿り木】【夜警】と置くことで、相手の【トロール】が1枚以上あればその場所の勝利点は0点になります。【娘】を使わず【夜警】のマイナスを消化できるほか、【宿り木】が他のカードに見えやすく、9点配置に活用できる戦略です。

【戦略:最終配置 まとめ】
1. 1位を狙うには9点以上獲得できる最終配置を考える
2. 自分の【トロール】成功と【宿り木】失敗を前提として考える
3. 【夜警】【宿り木】と配置すると【トロール】1枚以上で0点
4. 9点の獲得内訳の目安は【娘】6枚【財宝】2枚【夜警】1枚

3.プレイガイド《9点配置作戦》

 第1章で考察した序盤の定石と、第2章で考察した最終配置を使用して、Night Clanで1位を狙うためのプレイガイドを設計します。

序盤:移動を必要としない配置

 ゲーム開始直後から、9点配置の形になるよう配置していきます。このとき、【夜警】の必要枚数が最小限になるよう配置することが求められます。配置されているカードを移動する手段は【夜警】2枚しかありませんし、埋まっている場所に介入するタイミングでも【夜警】を使用します。さらには、手札に【夜警】2枚が揃ったタイミングで1枚を使う必要があります。
 上記の9点配置の例の形では、基本的に【夜警】を【財宝】【宿り木】の引き寄せに使うか、他のプレイヤーに対して「この場所にある他のプレイヤーのカード1枚を他の場所に移動させる(以下、追い出し)」能力で使うかになります。【夜警】を使用して大きな動きをするのはNight Clanの醍醐味ではありますが、使用回数がかなり厳しいため、極力使わずとも完成に近い形にできるように意識して配置することが重要です。
 具体的には5場所に【娘】2枚を配置して3止めする、3止め位置に【財宝】を配置するなどです。また、ある程度自分の【トロール】の最終位置を検討しながら配置します。すでに【娘】を配置した場所に【トロール】を配置することで、警戒レベルを下げることができます。
 この時点で【宿り木】【財宝】を配置するしかない場合は、最終配置の場所に置くか、【トロール】を置きそうな場所、つまり他のプレイヤーの勝利点が高い場所におくのが良いでしょう。埋められても【夜警】の引き寄せで最終配置にできます。この時点で【トロール】を配置するしかない場合は、自分の勝利点が厳しい5場所や6場所、またはまったく配置されていない場所に【娘】とともに設置するのが良いでしょう。

中盤:7場所と8場所の整理

 7場所と8場所には多くの裏向きカードが集まることになります。中盤以降も9点配置の形になるよう配置していきますが、7場所と8場所のうち、最終的に破壊されそうな場所を見極めることが重要です。【宿り木】を【財宝】のように見せながら【夜警】とともに配置できれば、他のプレイヤーの【トロール】を誘うこともできます。他のプレイヤーの勝利点が高い場所も、【宿り木】【夜警】の配置候補です。
 9点配置では、【娘】を自分の【トロール】に巻き込む以外の場所で破壊されないよう配置する必要があります。7場所8場所では安易に【娘】をばらまくのではなく、他のプレイヤーの【宿り木】【財宝】がある場所に配置し、破壊を免れることが重要です。予測が難しい場合は分散して配置しますが、自分の【宿り木】【夜警】の最終位置は避けるように注意します。
 また、最終配置に近い場所は【娘】を活用して強引に埋める選択肢もあります。裏向きカードのない場所であれば埋め直しを要求できます。

終盤:逆算して埋める

 すべてのプレイヤーが順番に【夜警】を使用して、カードが大きく移動します。9点配置を意識して配置を進めますが、多くの場所が定員に達して配置できる場所が2〜3箇所しかない場合もあります。ゲームが終了に近づいたら、別の場所に配置していた【宿り木】を【夜警】で引き寄せ、空いた場所に【娘】や【トロール】を埋め直すことで最終配置を完成させていきます。最終的に【娘】を配置する場所は1〜2箇所しかなくなるため、空き場所の制御が難しい場合は【娘】を他の場所に配置して完成になります。
 裏向きカードは中盤までに配置できるものは配置し、【夜警】を追い出しに使用して他のプレイヤーの【夜警】を勝利点と重ねると良いでしょう。

おわりに

 制作以外で初めてボードゲームをしっかり考察したのですが、シンプルなカードセットに対して奥深いゲーム性を改めて感じることができました。4人プレイでは心理戦と同程度かそれ以上に、配置・リソース管理の緻密さが求められる側面もあることがわかりました。
 先日のプレイでは、勝利点を偏らせて博打を打つ配置にしてしまい、「読み負けるor読み勝ったが他のプレイヤーがさらに得点している」ケースが多かったことが敗因だと思います。次回は本記事の戦略を駆使して1位を狙います。9点配置と3止めがどこまで通用するか楽しみです。

 早速プレイしてきたので、続編書きました。本記事よりは読みやすくなってるはずです。

他タイトルのボードゲーム記事も更新予定です。
Domina Gamesのタイトルだと新作のMidrash(ミドラーシュ)をよく遊んでいますので、そちらの攻略記事も執筆できればと思います!

Night Clanの販売情報は↑参照。

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ゲームマーケット2023秋でも新作販売予定です。

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