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Beck / Stereopathetic Soulmanure (1994)

ベックが「メロウ・ゴールド」でメジャー・デビューする時期の周辺に立て続けに(こっそりと)リリースされたいくつかのインディ盤のうち、本作は「メロウ・ゴールド」の前週に出された「セカンド・アルバム」。

雑多で節操の無い”ジャンク”・ロックがこれまでのインディ盤同様に、しかも今回は23曲64分に渡って延々と(支離滅裂気味に)繰り広げられる。
ほとんど遊びでテープを回したようなくだけた内容のトラックもあるのだが、それでもこの脱力感こそが初期ベックの最大の魅力の一つ。
フォーク、カントリー、ブルース、ファンク、ソウル、ヒップホップ、エレクトロ、ノイズ・ロック、フィールド・レコーディングなどに手当たり次第に取り組み、アイディアの断片のような楽曲から時折、不思議な魅力が漏れ出すし、アコースティック・サウンドからはみ出す唄心はボブ・ディランやニール・ヤングをも想起させる瞬間がある。

思い切り宅録でやりたい放題のDIYアルバムだが、ある意味でベックらしさ満載。
作品として”形になった”「メロウ・ゴールド」も含め、’94年のベックは自らの多彩な音楽性・表現スタイルの”元ネタ”を量産していたことがわかる。




’94年はロック豊作の年。
年初からのアンダーワールド「ダブノーベース〜」、グリーン・デイ「ドゥーキー」、ペイヴメント「クルーキッド・レイン〜」に続くは、ベックの「メロウ・ゴールド」・・・の前に、この「ステレオパセティック・ソウルマニュア」なる奇盤(?)を。一応ベックのセカンド・アルバムとされている、メジャー・デビュー前の趣味性爆発のインディ作品。
でも最初期のとっ散らかった諸作に比べると、比較的楽曲自体が粒立っている印象で、わりと”聴かせる”良い曲もある。

3連休前。仕事終わりに職場の人が集まって飲み会に出かける中、僕は疎外感と同時に心地良さを感じながらちょっとだけ残業をして帰宅。
夕食を食べながらくりぃむしちゅーが出てる特番を観てたら、伝説の「ロッキーの撮影じゃないのよ〜」が久しぶりに(しかも当時の映像付きで)炸裂していて、すごく元気が出た。
最初に「映画」って付けてるところがツボです。
くりぃむのANN聴き直したくなった。

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