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The Last Shadow Puppets / The Age of the Understatement (2008)

アルバムを2枚リリースし、若くしてすでにUKトップ・バンドとなっていたアークティック・モンキーズ。そのフロントマンであるアレックス・ターナーが、盟友マイルズ・ケインを相方に、威風堂々切り開いた新境地は、その鮮やかなポップ・センスと音楽的素養の深さと幅広さ、底知れぬ才能を改めて示す傑作となって結実した。

ジェームス・フォードをプロデューサー兼ドラマーとして迎え、さらに名手オーウェン・パレットが手掛けたストリングスを全面に配置。
60年代のクラシック・ポップスや映画音楽、そしてスコット・ウォーカーのソロ作を思わせる壮大で流麗なサウンドを全編に渡って展開している。

アークティックのセカンド・アルバムの翌年ということで、初期アークティックらしい音も交えつつ、マイルズが持ち込んだであろうサイケ感や、のちにアレックスが完全開花させる、美しく艶がかったメロディ・ラインと味わい深いソング・ライティングもすでに花開き、本当に素晴らしい、中身の詰まった完成度の高い作品となっている。

アレックスがマイルズを触媒にする形で、若き2つの才能が新たな音楽を生み、衝撃的な1枚が出来上がった。



このアルバム、まだ書いていなかったとは。

何回聴いても凄いよね。その時の気分にもよるが、人生でベスト50に入りそうなくらい、本当に大好きなアルバム。
アレックス・ターナー関連の2000年代作品ではこれが一番好きかも(ひよって範囲狭めすぎ)。

上にも書いた、「クラシックポップス×映画音楽×スコット・ウォーカー」な音楽性が見事にさまになっている。アレックスって人は、初めから全てお見通しなのだろう。センスの塊とはこのこと。詞もびっくりするぐらい大人びて詩的。

そして2000年代以降の世代を代表する“ロック界のイイ奴“マイルズ・ケインとのパートナーシップも重要な要素。マイルズの2011年のソロ・デビュー作もめちゃくちゃ好みだったけど、2作目以降はあまり音沙汰がなく…情報が入ってこない。
ここではまるで、レノン=マッカートニーならぬレノン=ハリスンとでもいうような関係性を感じられて素敵。

アルバム前半の壮大な映画のテーマ的な展開も、後半の美しきレイドバックからの陽炎のようなチル・アウトも、どれをとっても絶品。そして最後は嘲笑うかのようにエッジーな音で締めるあたりも心憎いね。

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