貢献の記録と報酬の分配を簡単に行うツール「Toban -当番-」 Dig DAO YouTube Live 2024.10.04
貢献の記録と報酬の分配を簡単に行うツール「Toban -当番-」(以下、Toban)を開発しています。Tobanはブロックチェーンを活用したオープンソースソフトウェアとして、2024年8月から開発を進めています。企画の始まりはETHTokyo Hackathonでした。
Tobanについて
コミュニティ運営における課題
Tobanの開発に至ったきっかけは、コミュニティの運営における気づきでした。オンライン・オフラインに限らず大小様々なコミュニティ活動には、そこに参加しているメンバーの貢献が不可欠です。一般的なやり方として「誰々が〇〇のタスクをこれだけやりました」と、タスクベースの貢献度評価がありますが、毎回タスクごとの達成を報告するのは面倒で、とても続きません。評価する側も、タスクの重みを細かく設定することが難しく、長期的な運用に向いているとはいえません。
では貢献の記録と見合った報酬の分配が不要かというとそうではなくて、最初は慈善活動として始めた貢献も、ボランティア精神だけでは続きません。その上で、家事や雑務などコミュニティを回すのに必要な役割は必ず存在します。
また違う切り口で、コミュニティに参加したばかりだと、どう振舞って良いかはじめは戸惑うこともあると思います。「手を動かす」「声を上げる」といった行動を経て、本当の意味で「コミュニティに参加」してみないと、そのコミュニティを理解することは難しいでしょう。何か貢献しやすいとっかかりが大切です。
役割ベースの報酬分配
これらの課題について、役割をベースにした報酬の分配から解決策を提案するのがTobanです。Tobanは
権利と義務を役割に集約して、それらの動向をオンチェーンで管理します
目立った貢献だけでなく、小さな貢献であってもP2Pのトークン送付で報酬分配を実現します
設定の難しい報酬の分配比率は、「役割の種類」と「その役割に従事した期間」によってシンプルに決定できます
さらに、10人でも100人でも1000人でも、たくさんの貢献者に対して簡単に報酬を分配可能です
Tobanは「hats Protocol」「Split」「Protocol Guild」という3つの仕組みや考え方を組み合わせて、これらの機能を実装しています。
Tobanの仕組み図解
以下にTobanの仕組みを説明する簡単な図解を掲載します。ざっくり左側が"組織"、右側が"報酬分配のシステム"を示しています。
コミュニティオーナーが任命したチームリーダーは、チームメンバーに役割を与えます(左上)。役割の与えられたチームメンバーは、コミュニティ活動に従事し、その「役割」と「従事期間」を加味した計算式で分配報酬を割り当てられます(右上)。役割と報酬分配比率は合議制で決めます。想定される事例ごとのテンプレートがあると良いかもしれませんね。チームメンバーは1人が複数の役割を持つこともできます。
他のチームメイトに少しだけお手伝いしてもらった場合も、Fraction Tokenを使用して報酬を送付することができます(左下)。チームメンバーに割り当てられた報酬比率はこれらの仕組みで自動的に計算され、任意のタイミングで全員にERC 20 Tokenを報酬分配できます(右下)。
想定されるユースケース
Tobanの想定されるユースケースは、まずOSSやCivicTechプロジェクトにおける開発者たちへの報酬分配が考えられます。同様にハッカソンチームやNFTプロジェクトといった複数人がDAO的に役割を遂行して貢献する事例ととても相性が良いでしょう。オフラインの場でも、例えばシェアハウスやコ-リビングにおける家事や雑務といった必要な役割へ、継続的な報酬分配ができます。また将来、エッセンシャルワーカーへ本給とは別にボーナス的に支給する報酬の仕組みとしても機能できそうだと考えています。
開発版デモ(動画あり)
Tobanは現在DAOツールとしてのコミュニティ導入を目指して開発を継続しています。併せて、近しい課題感を持ったコミュニティへのヒアリングから現場の課題解決に必要な機能をキャッチアップしています。
今回はweb3についての研究開発を目的に活動するDAOコミュニティ「Dig DAO」の定例会で、開発中のCLI(コマンドラインインターフェイス)版Tobanを用いたプロジェクト立ち上げ〜報酬分配まで一連の操作についてりょーまさんが紹介しました。
↑YouTube Liveのアーカイブはこちらからご覧いただけます。
役割を示す帽子(Hat)がHats Protocolの連携画面でとても親しみやすく、報酬分配のSplit Contract画面も直感的でわかりやすいと好評でした。これらの間をシームレスに繋ぐUIを開発できればDAOツールとしてとても使い勝手が良さそうです。
mariroomさんやRYUさんからは、ウェブアプリケーションにとどまらず、例えばNFC(Near Field Communication、近距離無線通信規格)を利用した現物の帽子や缶バッジと連携できるようになれば様々なユースケースが広がるのでは?とのアイデアをいただきました。
確かにデジタルコミュニティに限らず、キャンプ場やイベント運営といった当番制の発生するアクティビティに活用できそうな実感が湧きました!
最後に
TobanのXアカウント開設しました!
Tobanは、今後もオープンソースソフトウェアとして開発を継続すべく、一緒に開発を進めていただける「エンジニアさん」「デザイナーさん」、またプロトタイプが完成した際の「テストユーザーさん」(近しい課題感をお持ちのコミュニティ)を募集しています。ご興味がございましたら是非お声がけください!
↑Xアカウント開設しました。活動状況や開発進捗について発信してゆきます。お問い合わせもお待ちしています!
Dig DAO紹介
Dig DAOはデジタル庁のWeb3.0 研究会をきっかけに生まれたweb3 についての研究開発を行うコミュニティです。現在は主に以下のテーマで活動しています。活動報告はnoteのマガジンで発信しています!
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