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IDEXはこの一年でどのように取引高が推移したのか?
AlethioのDEXWatchによると、IDEXの取引割合はDEX全体の8割弱を占めるという結果が出ています。
IDEXはMetamaskなどと接続して利用することができるDEXで、多種類のペア取引が提供されています。
IDEX : https://idex.market/
DEXトランザクションの過半を占めるIDEXはどれくらい取引が行われているのか、また取引金額ベースでどの程度成長したのかを分析してみます。
IDEXの取引トランザクションについて
IDEXの取引はtradeという関数で行われます。約定が行われるとtrade関数に対して購入するトークン(またはETH)、購入に利用するトークン(またはETH)とその数量などを引き渡し交換します。これを解析すると以下のように取引の記録が取れます。
各列の意味は以下の通りです。
・Transaction Hash : 取引を一意に定める取引ID
・Minute of Block Timestamp : 取引日時(分単位)
・Buy Tokens Name : 購入に利用されたトークン名
・Amount Buy : 購入に利用されたトークンの量
・Sell Tokens Name : 売りに出されたトークン名
・Amount Sell : 売りに出されたトークンの量
IDEXの取引にしめるETHの割合
IDEXの購入に利用されたトークン割合、売却に出されていたトークン割合を表した図が以下になります。ほとんどがETHを占めています。
買い注文または売り注文のどちらかにETHがある注文を表したところ、以下のようになりました。ほぼETHが絡んでいます。
ここから以下2つの事実がわかります。
・買い注文か売り注文のどちらかにETHがある取引が99%以上を占めている
・ETH / USDのレートは取得できる
ので、つまり買い注文か売り注文のどちらかにETHがある99%以上の取引はUSD建てで取引高を取得できそうです。これ以降は、99%以上を占めるETHが関連する取引を分析していきます。
IDEX取引(約定)データの分析
この記事ではIDEXにおいて約定された取引データを分析します。この記事ではIDEXの一年間における取引数と取引高推移、取引されているトークンの割合、makerやtakerが偏っていないかをみていきます。今月分だけのデータの一部は私がイベントで発表した資料で紹介しています。
【分析条件】
・分析期間は 2018/07/01~2019/6/30
・ETH/USD換算はFiatContractによってEthereumブロックチェーンに書き込まれたレートを元に行う。(1日に数回レートが書き込まれていた場合は1日の中央値を採用する)
・IDEXコントラクトのtrade関数を動かしたトランザクション(エラーを除く)の引数から取得する
・取引所はCEX / DEX限らずに馴合売買(※)などによる取引の水増しが疑われていますが、今回の分析ではそこには踏み込まず、ブロックチェーンから取得できるトランザクションをそのまま利用します。(参考レポート: https://www.bti.live/reports-april2019/ )
(※ 売主と買主が共謀して同時に同価格で注文を行う行為)
IDEXの一年間における取引数と取引高推移
ここで一年間のトランザクション推移をみてみましょう。
以下は取引数の時系列データです。時系列の軸は月次です。18年の9月をピークにして徐々にトランザクション数は減っていまいた。19年に入ってから徐々に回復して、ピーク時のトランザクション数に近づいています。
過去一年間のIDEXにおける取引高を時系列で図示してみます。700,000ETH弱から一度300,000ETHまで下がった後、また19年の6月には600,000ETH程に回復しています。ETH建では1年前と同じ程度の取引高水準に回復していると見てよいでしょう。
USD建てにしてみます。こうするとより顕著に特徴がわかりますね。ETH / USDの相場(月の中央値)を折れ線で表した二重軸のグラフにしています。2019年1月より、相場の回復とともに取引高、取引数が増加している事がわかります。直近である19年の6月には1.5億ドル(165億円)程度の取引が行われています。
少なくともこの1年に限っては、IDEX自体がDEXとしてCEXから多くの市場を奪っているというよりは相場の回復につれて取引高が増加しているようにも見えます。
※なおcoinmarketcapでもIDEXが登録されていますが、独自の集計方法を採用しているのか、本調査やDEXWatchの取引高よりも少なく計上されています。
取引されているトークンの取引高割合
取引されているトークンを見てみます。ETHで購入されたトークン、売却されたトークンについてそれぞれ見てみますと、実に多種多様なコインが取引されています。ペア自体が非常に多く、とはいえIDEXのコントラクトで取引されるものがERC20トークンである性質からか、多種多様なERC20トークンが横並び人気になっており、一強のようなトークンが存在していない事がうかがえます。
こちらはETHで購入されたトークンの取引高割合(USD建)です。(買 ETH / 売 ERC20)
こちらはETHで売却されたトークンの取引高割合(USD建)です。(売 ERC20 / 買 ETH)
参考に、比較的多く取引されているQuantトークンの売買をCoinMarketCapでみてみますと、この1年で取引ボリュームが増加したことがわかります。(画像の下部分にあるボリュームを表す積み上げグラフ)
https://coinmarketcap.com/currencies/quant/
Maker / Takerアドレスの取引高割合
Makerは注文を作ったアドレス、Takerは板にある注文を取りに行ったアドレスです。どの程度これらのアドレスが分散されているのか、利用アドレスが偏っていないか、円グラフで表しました。
以下はmakerアドレス,takerアドレスの取引高割合(USD建)を円グラフで表したものです。makerは62,863アドレス、takerは99,620アドレスに分散していました。
maker、taker共に多くのアドレスが存在していることがわかり、このグラフからはトッププレイヤーが引き離した取引高があるとか、数個のアドレスにだけ偏っているということはないようです。
まとめ
・昨年後半、IDEXの取引は落ち込んでいたが、19年に入ってから取引数、取引高ともに増加している
・取引されているトークンはERC20であるため取引高としても横並びのものが多い
・maker / takerのアドレスは偏っていない
ブロックチェーンからピュアにIDEXの取引データを分析しました。今回はIDEXの取引データを見ましたが、他DEXなどとの比較も今後していきたいと思います。
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