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ローマの名前の由来

ローマは一日にしてならず

ローマの名前の由来をご存知でしょうか。先日知り合いがローマの名前はイタリア語の愛「Amore」アモーレを逆にしてできた、と言っていたのだが、自分の記憶ではロムルスとなんとかの兄弟がローマ建国の神話のなんちゃらで・・・みたいなうろ覚えだったので、ひとまずAmore説は明確に否定しておいた。しかし気になってみたので念のため調べてみたところ、どうもロムルスの名前は逆に、ローマの街にちなんで名づけられたのではないかとの説話を見つけた、という話。

ロムルスとレムスの伝説

ロムルスとレムスの伝説については日本版Wikipediaに事細かく書いてある。軍神マルスと王女レア=シルウィアのもとに生まれた双子だったが、将来の王位争いを恐れた大叔父に幼いうちに捨てられてしまった。双子は狼に拾われ育てられ、やがて羊飼いの夫婦に引き取られて立派に成人した。大叔父への復讐を遂げたのちに、自分たちが育った土地に都市を作ろうと考え、紀元前753年4月21日に新たな国を建てた、というあらすじである。その国は建国者であるロムルスにちなんでローマと名付けられた。

イタリアの見解はいかに

餅は餅屋、ということでイタリアのことはイタリア語で調べるのが良いと信じているので、調べてみた。するとRoma Segreta.it(https://www.romasegreta.it/rubriche/perche-si-chiama-roma.html)というローマの名前の由来について解説しているサイトを見つけた。

このサイトによれば、ロムルスの名前からローマと命名されたのではなく、ローマの名にちなみ伝説の登場人物がロムルスと名付けられた、とある。事実はわからないがmolto probabilmenteとなっているので、、、molto probabilmenteは何%くらいなんだろうか。80%くらいか。いずれにしても、建国者ロムルスにちなんだ名前と確実に言える資料は見つかっていないようである。

諸説あります

それではローマの名の由来は何だろうか。Roma segreta.itによると諸説あるらしい。

①「川の上の都市」説

ローマを流れるテヴェレ川の古い名前、Rumon/Rumenが語源。もとの語根はRuoでScorrere(流れる)という意味の動詞。ブラジルのRio de Janeiroが1月の川という意味で名付けられたように、現在のイタリア語でも(小さい)川のことをrioと呼ぶが、それと同じような語源だろうか。

②「難民の名前」説

ギリシャに残る話で、古代ギリシャ、トロイアの難民が船でラツィオ州の海岸に流れ着いたとき、船旅に疲れて、もう船を燃やしてここに定住しようと仲間を説得しようとしたという女性「Rome」の名にちなむというもの。

③ロムルスの建国伝説由来説

ここでも伝説については触れているが、上で述べた通りロムルスの名がローマにちなんでつけられた可能性が高いとしている。

④エトルリア語由来説

イタリア人が定住する前のイタリア半島中部にはエトルリア人がおり、ローマのあたりは「Ruma」と呼ばれていたらしいとする説。このrumaという単語は他にrumis/rumenなどだった可能性もあるが、いずれにせよ「乳房/乳房が与えるエネルギー/力」のような意味だったと考えられている。そうするとローマのシンボルとして乳房を備えた狼が選ばれたことも説明がつく。

諸説あったけど

諸説あったけど、自分としては①のRumon説と③のローマ建国伝説の話を今後話すようにしたいと思う。たぶん聞かれることはないだろうけど・・・

地名の話は言語学にもつながるし、歴史や人の流れに思いを馳せることができるので、今後シリーズ化してもいいテーマかもしれない。

締めの言葉としてRomaを含むことわざを二つ。

・全ての道はローマに通ず(Tutte le strade portano a Roma)

・ローマは一日してならず(Roma non fu fatta in un giorno)

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