赤い鼠
昭和天皇が日本の敗戦を国民に告げた1945年8月15日から26年目のこの同じ日に、米国大統領ニクソンは、とつぜん「金とドルの交換停止」を世界に告知した。 第二次世界大戦後の世界経済の基本的な再編は、すでに1944年に開催され決定されたブレトンウッズ体制によるものとされていた。二度の世界戦争をほとんど無傷でやりすごしたアメリカ合衆国は、終戦時には世界GDPの50%近くを占め、金の保有高は全世界の65%に達していた。 それだけではない。20世紀前半において混迷したヨーロッ
小生の十二支もついに六廻り目に入る。感慨無量である。 そんなことから、昨年は、とりわけ過ぎた50年間についていろいろと考えさせられることが多かった。そして思えば思うほど、現代の世相の直接的起源が、じつは1970年代にあったことに気づかされた一年であった。このことをすこし記しておこうと思う。 1970年代のエポック的な諸事件を上げてみよう。 ① 1971年 中国の国連加盟・台湾脱退 ② 1971年 金ドル交換停止と変動為替への移行(ニクソンショック) ③ 1973年 第四
つくりだされたカオスに抗して おおいなる時代転換のときにあたってというよりもそうした時代にはお決まりの思想的混濁が世界中で猛威を振るっている。根底にある共通項は、激動する世界への怖れなのだが、できれば無関心を装ってあるいは無関係のうちにやりすごしたくなるのも人情ではある。 ところが悪くしたもので、歴史が教えるところでは、そういう日常の微細な変化の累積のはてに、過去の亡霊は呼び出され、ついにはふつうの人々までもが激情を発して、思いもよらぬ方向に走り出し、つまりはあずかり知ら