年もあらたまり
小生の十二支もついに六廻り目に入る。感慨無量である。
そんなことから、昨年は、とりわけ過ぎた50年間についていろいろと考えさせられることが多かった。そして思えば思うほど、現代の世相の直接的起源が、じつは1970年代にあったことに気づかされた一年であった。このことをすこし記しておこうと思う。
1970年代のエポック的な諸事件を上げてみよう。
① 1971年 中国の国連加盟・台湾脱退
② 1971年 金ドル交換停止と変動為替への移行(ニクソンショック)
③ 1973年 第四次中東戦争とオイルショック
④ 1973年 チリの軍事クーデタでアジェンデ民主政権打倒される
⑤ 1975年 サイゴン陥落(アメリカ史上はじめての敗戦)
⑥ 1978年 中国の改革開放政策宣言(鄧小平)
⑥ 1979年 イラン・イスラム革命
⑦ 1979年 ソ連軍のアフガニスタン侵攻
⑧ 1979年 イギリス・サッチャー首相登場
多少とも現代史を渉猟すれば、これらの事件がじつは「現代」の世界の主要な事象に決定的な影響を与えてきたことはすぐに理解できよう。
もちろん、これらの諸事件はこれに先行する幾世紀もの世界史の複雑な組み合わせの結果として現出しているわけであり、これらを詳細に述べるにはそれだけでも大部の書物が要るだろう。しかしながら、現代世界をひとまず概観するためには、70年代のこれらの諸事件を概観することによって相当程度理解されるのである。
典型的には、記憶にもあたらしい2001年9月11日のニューヨーク・ワシントン同時テロ攻撃がそうである。この事件が、1979年のソ連のアフガニスタン侵攻と深く関わっていることを知らなければ、およそ現代の世界史というものがいかなる道程をたどって運動しているかがわからないだろう。ニューヨークのツインタワーを破壊したイスラム主義ゲリラ戦士たちを育て、教育したのはアメリカなのであり、前後の中東全体におけるアメリカの行状がついにはこれらのゲリラたちがアメリカに牙をむくに至る直接的素因をなしている。
しかしこのnoteで取り上げるのは、主に2つの項目となるだろう。ひとつは、②のニクソン・ショック(金ドル交換停止)の歴史的意味合いについてである。もうひとつは、⑥のソ連のアフガニスタン侵攻である。
この2つの事件こそは、21世紀の現在につながる現代史の多元的な「継手」をなしているからである。
そういうわけで、次回はまず、ニクソンショックについて語りたい。
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