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【NJRPG/シナリオ】ボーダーライン・メキシコ

前回までのあらすじ:ここはMEXICO。灼熱の大地にはCORONAとサボテンが墓標めいて突き立てられ、物陰ではトレホがおまえにナイフを突き刺そうと待ち構えている。

そんな試練の地でMEXICOギャングスタに所属している無慈悲なニンジャのおまえは、ブラザーたちが次々と殺されていることにキレ、犯人をマタモーロスにぶち撒けてやろうと考えた。

しかしここは誰もが内にナイフを秘めたメキシコの地であり、犯人の特定は容易ではない。そしてあろうことか、ある者は、犯人はel Chupacabraだと噂するのだ……。

これは「ニンジャスレイヤーTRPG」に対応した、2~4人のプレイヤー向けのショットガンシナリオ(ショートシナリオ)である。参加者が泥酔している状態でも遊べるように、細かな部分を省略したラフな構成となっている。

全員が新規作成のキャラクターでプレイすることを推奨。

◇本文中に登場する略称
NM:ニンジャマスター    → ゲームの進行役。描写などを行う。
PL:プレイヤー       → ゲームの参加者。PCを操作する。
PC:プレイヤーキャラクター → ゲーム内の主人公。メインキャラ。

◆マスタリングの手引き

このシナリオではNMがアドリブで対応しなくてはならないポイントも少なくないが、「導入における動機付け」「最終的な着地点」だけ抑えておけばどんな適当な展開でも軌道修正は難しくない。

導入シーンが完了してからはPCに自由行動を取らせ、十分にフリータイムを設けたと感じた頃合いで、味方NPCが正しい手掛かりへ導く、ぐうぜんチュパカブラと遭遇する、気がついたらボスエリアに居た、などのイベントを発生させてゴールへ誘導するのだ。

動機・目的:組織の命令で「チュパカブラ」を殺さなくてはならない
着地点:レフヒリオ聖母聖堂に導かれ「ンガンガ」を破壊する

意図的に細部の裁定が定められていないシナリオであるため、ルールの整合性にはあまりこだわらず、柔軟にイレギュラー要素を取り入れることで思いがけない展開が得られることだろう。

実際のプレイ/マスタリング例については下記リプレイ記事も参照のこと。

◇マップを使用しない簡易戦闘ルール(オプション)

このシナリオではジョークめいたストーリーラインをテンポよく進めるため、マップを使用しない戦闘処理を推奨している。NMは任意で下記のオプションルールを採用して構わない。

1:戦闘開始時点では、敵対するキャラクター同士は隣接していないものとみなされる。つまり、近接攻撃には移動が必要となり、射撃集中が可能。スタート時点では「特殊近接ステップ」も使用できる。

2:接近を宣言したとき(近接攻撃を繰り出したとき)、それ以降は双方が隣接しているものとして処理する。どちらかが移動しない限り、お互いに攻撃集中が使用できる。

3:まとめ → 厳密な距離の概念はない。近接攻撃が届く距離か、そうでないか、だけを見る。仮に細かい位置関係の精査が必要な場合、シチュエーションからNMが判断する。

◆導入(ダンゴウ)

PCはメキシコで活動する無慈悲なギャング団(≒麻薬カルテル)に所属する無慈悲なニンジャだ。この日、彼らは無慈悲なボスに呼び出され、最近ファミリーの構成員たちが惨殺されている件を調査しろと命じられる。

勿論PCたちに拒否権はなく、無慈悲なボスは犠牲になった構成員達の写真を投げてよこし「Los enemigos de la familia viven vivos. Descúbrelos y mátalos. Después de lastimar lo suficiente.(ファミリーの敵がのうのうと生きてやがる。見つけ出してぶち殺せ。十分に痛めつけてからな)」と凄みを利かせる。下記は無慈悲なボスから知らされる詳しい情報だ。


◎発見された死体はどれも胸の悪くなるような状態だった。頭部は凄まじい衝撃によって粉砕され、胴体はバラバラに引き裂かれ、脳、心臓、腸は背骨と一緒に持ち去られている。

◎死体の首にはおおよそコロナ瓶の底程度の大きさをした円形のギザギザとした奇妙な刺し傷があり、そこから血液を吸い取られていた。現場に血飛沫が撒き散らされているようなことはなく、血を吸い取られた後にバラバラに切り刻まれたのだろうと考えられている。ファミリーの中では伝説上の存在である「ヤギの血を吸うもの」即ちチュパカブラが犯人ではないか?という噂が広まりつつある。

◎電子戦争以前にアドルフォ・コンスタンツォ(Adolfo de Jesus Constanzo)という男が率いる麻薬カルトが残虐殺人儀式を行っていたという記録がある。何者かが似たような儀式を真似している可能性もある。

◎1週間で犠牲になったのは無関係の人間も含め7人。毎晩1人ずつ殺されている。最初の1人を除き、全員がひとりきりで建物の中にいるときに殺された。しかしドアや窓が無理やりこじ開けられたような痕など、侵入者に繋がるような痕跡は残されていない。

◎目撃者(生存者)はひとり。しかしヒステリーを起こしており使い物にならない。無慈悲なニンジャのアトモスフィアをあてれば多少はまともになるかもしれない。

◇処刑箱(Caja de ejecuciones)
「Ustedes lo saben, ¿verdad? Dale el castigo que nos desprecia.(テメェら、分かってるな?舐めた真似しやがったヤツには相応の報いってもんを教えてやれ)」
PCたちは無慈悲なボスに肩へ手を置かれ、念押しをされる。それから無慈悲なボスは処刑ウェポンが詰まった処刑箱の布の覆いを取り払い、彼らに中身を持っていくよう促す(全PCが好きなだけ武器を取得して構わない)。

カラシニコフ・アサルトライフル:遠隔武器、連射2、ダメージ1、小銃
カトン酒瓶遠隔武器スロットを1個占有する。使い捨て。
グレネード:遠隔武器、手榴弾、使い捨て、爆発『カトンLV1』
カタナ:近接武器。ルールブック準拠。
インフェルノ・カタナ:「ヒートカタナ」読み替え。ガソリンに濡れた刀身に着火して振り回す危険武器。装備中、最大取得回避ダイス-1。
電磁メイス:「電磁ダガー」読み替え。金属棒に車両用バッテリーとむき出しの銅線を巻いた挑戦的な武器。装備中、最大取得回避ダイス-1。
コーケイン:消耗品。上限を越えて【精神力】をD3回復し、一時的に【ニューロン】を1減少させる(0以下にはならず、【精神力】の最大値も減少しない)。
バザルト・バズーカ:遠隔武器、爆発(カトンLV2)、小銃、シナリオ中1発のみ
・パーソナルメンポ
・フルヘルムメンポ
・タクティカルメキシコニンジャスーツ(【体力】+1)
・伝統的メキシコニンジャ装束
(回避ダイス+1)

◆犯人を追う

ここでPCに与えられる選択肢は下記の2つである。

◇目撃者をインタビューする

事件現場に居合わせ唯一生き延びたのは、犠牲となったファミリー構成員のガールフレンドである。彼女はこの事件を受けてNRSに陥っているが、再び無慈悲なニンジャの圧を受け“冷静に”なったとき「Ayeeee !? Ninja…… !! E……Era el Chupacabra ! Caminó del aire y tomó mi Jaime. Rompió su cabeza y tomó su cerebro……!! (アイエエエ!?ニンジャ……!ち、チュパカブラがやったのよ!奴は意気揚々とやって来て、私のハイメを殺したの。チュパカブラが彼の頭を叩き割って、脳みそを持っていったのよ……!!)」と言ってから更に深刻なNRSを起こす。

この情報により、犯人がニンジャチュパカブラである可能性が非常に高まることだろう。

◇適当にインタビューする

誰が犯人か分からないのであれば、片っ端からインタビューするしかない。PCは適当に怪しいヤツ(あるいはギャングファミリーに因縁のある"容疑者")をひっ捕まえ、無慈悲なインタビューを繰り返す。

◆時限イベント

PCが適当に時間を潰していると、ファミリーの構成員が慌てた様子で情報を知らせにやってくる。いわく、街の各所で新たなバラバラ殺人死体が発見され始めたというのだ(PCたちが似たようなことをしていた場合、それとはまた別に見つかったということを明言する)。

犠牲者の中には別のギャングの構成員も含まれており、そのファミリーが犯人を探し出そうと手頃な"容疑者"をPCたちと同様にインタビューしたのち、見せしめとしてバラバラに切断殺しているのである!しかしこの時点でPCたちがその事実を知ることはない。

この死体をトレースするPCたちは、やがてレフヒリオ聖母聖堂の近く、暗闇の下でその犯人と遭遇する。

◆ギャングファミリーとの遭遇

「Oh? ¿Sois chicos quién mató a nuestros amigos? Domo, soy Jobrat.(あぁ?テメェらか、ウチのモンに手ェ出したのは?ドーモ、ジョブラットです)」メキシコ風のニンジャが素早くオジギする。その周囲では完全武装のギャングスタたちが銃口と殺気立った目を君たちに向けてきている。
◆ジョブラット(種別:ニンジャ)
カラテ     6  体力     6
ニューロン   2  精神力    2
ワザマエ    6  脚力     3
ジツ      1  万札     10
◇装備やスキル
 〈残忍なる〉ククリナイフ、カラシニコフ・アサルトライフル、ドトン・ジツ

『〈残忍なる〉ククリナイフ』:
 メキシコの灼熱を吸った破壊的刀身のククリナイフ。
 基本性能は「カタナ」に準拠し、『火炎ダメージ1』が追加される。
◆Jobrat (Tipo: Ninja)
Karate  6 Punto Salud   6
Neuron  2 Poder Mental  2
Wazamae 6 Fuerza pierna 3
Jitsu   1 Dinero        10
◇Equipo y habilidades:
 <Brutal> Cuchillo Kukri, rifle de asalto Kalashnikov, Doton Jitsu

"<Brutal> Cuchillo Kukri":
 Cuchillo Kukuri con una hoja destructiva que absorbe 
 el calor abrasador de México.
 El rendimiento básico se basa en "Katana" y se agrega "Daño de fuego 1".

ジョブラットとその周囲のギャングスタたちはPCたちとは別のギャングファミリーであり、この時点ではPCたちが犯人ではないか?と根拠もない因縁をつけ、インタビューしようとしてくる。しかし手口を見ればニンジャがやったと言う方が理には叶っており、周辺をうろつくPCたちが怪しいのもまた事実なのだ。

◇共闘オプション
戦闘の難易度を下げたい場合は、ジョブラットと共闘するという選択肢を用意しても構わないだろう。彼はドトン・ジツの使い手であり、後述のアンブッシュで致命傷を受けても、シニフリめいて地中に逃れられる可能性がある。

◆EL CHUPACABULA

ジョブラットらもPC同様、ダラダラと話しを聞くよりはカラテで痛めつけてインタビューしたほうが手早く確実だと考える。NMはここで通常の戦闘を発生させても構わないが、大抵の場合はクリムゾンチュパカブラのアンブッシュによってジョブラットは即死する。

「Es problemático. ¡¡Habla despacio después de cortar ese Ar……Abha !?面倒くせぇ。その腕切り落としてからゆっくり話をアバーッ!?)」〈残忍なる〉ククリナイフを構え、獲物を前に舌舐めずりしていたジョブラットの首が飛んだ。

「Adios !(サヨナラ!)」「A, Ayeeee !?(ア、アイエエエエ!?)」「Jobrat-san !? (ジョブラット=サン!?)」ジョブラットは爆発四散!そしてその四散痕には、一体どこから現れたのか、おぞましいシルエットの影が直立していた。『
CHULULULULULULULULU!!Domo, soy Chupacabra Carmesí. (ドーモ、クリムゾンチュパカブラです)』
◆クリムゾンチュパカブラ(種別:???)
カラテ     8  体力      8
ニューロン   7  精神力    7
ワザマエ    2  脚力     4
ジツ      ー  万札     ー
◇装備やスキル:
 『二又の鉤爪』:特殊近接武器、ダメージ1、連続攻撃2

 『吸血』:モータル殺害時に任意で【精神力】を1消費して自動発動。
      【体力】を1回復し、一時的に【カラテ】判定ダイスを1増加させる。

 『アストラルボディ』:パッシブ効果
  この存在は「回避」ができないが、追加ダメージと即死を除く『サツバツ!』の効果を無視する。
  また1度ダメージを受けると、同じ種類のダメージに耐性を獲得しターン終了時まで無効化する。

  ※無属性のカラテ、射撃、武器攻撃、武器射撃、火炎・電磁ダメージ、爆発、無属性のジツ
   これらはそれぞれ異なるダメージタイプとみなされる。
  ※「連射」は全ダメージ処理後に、「時間差」適応の攻撃は最初のダメージ処理後に耐性獲得。

 『エテル・シフト』:移動フェーズで使用
  【精神力】を1消費して発動。別次元へとアストラルボディを転移させ、マップから脱出する。
  その後、望むなら即座にマップ上の任意のマスに再出現し、任意のキャラにアンブッシュを仕掛ける。
 
 『攻勢エテル・シフト』:回避難易度HARD、基本ダメージ1
  『エテル・シフト』発動時、追加で【精神力】を1消費して【ワザマエ】判定で発動。
  隣接するキャラを次元転移へと巻き込み、『サツバツ!』の出目4か5の効果を与える。

 『不滅』:
  この存在は特別な方法でトドメを刺さない限り完全に滅ぼすことはできない。
  【体力】か【精神力】が0未満になると別次元に送り返され、その後望むなら再び実体化する。
  ただし再具現化した際には次の通り能力値をD6ダイスで再判定する。【精神力】は回復しない。
  【カラテ】:D6+2、【ニューロン】:D6+1、【ワザマエ】:D6
  
  ※【精神力】が0未満の場合、再充填されるまで戦闘から離脱し実体化しない。

※攻撃パターン:近接攻撃を繰り出すとき、可能な限り異なる敵2体を狙う。
        攻勢エテル・シフトを使用した場合、その対象は近接攻撃のターゲットにしない。
◆Chupacabra Carmesí (Tipo: ???)
Karate  8 Punto Salud   X
Neuron  7 Poder Mental  7
Wazamae 2 Fuerza pierna 4
Jitsu   - Dinero        -
◇Equipo y habilidades:

"Garras de dos puntas":
 arma cuerpo a cuerpo especial, daño 1, 
 ataque continuo 2, destrucción física

"Vampiro":
 cuando Mortal es asesinado, 
 consume voluntariamente 1 [Poder Mental] y actívalo automáticamente.
 Recupera +1 [Punto Salud] y aumenta temporalmente +1 [Karate].

"Cuerpo astral": [efecto pasivo]
 Esta existencia no puede ser "evadida", pero puede ignorar que el efecto 
 excluye el daño adicional y la muerte instantánea.
 Si esta existencia recibe daño una vez, 
 gana resistencia al mismo tipo de daño y lo niega hasta el final del turno.

 Categoría: karate sin atributos, disparos sin atributos, 
  llama / daño electromagnético, explosión, jitsu sin atributos

 Nota: La resistencia al daño se obtiene después de todo
  el procesamiento del cálculo del daño cuando el tipo de ataque es 
 "disparo rápido", y después del primer procesamiento del cálculo
  del daño cuando el ataque es la adaptación de "diferencia de tiempo".

"Etel Shift": usado durante la fase de movimiento
 Se activa después de consumir 1 punto de [Poder Mental]. 
 Transfiere el cuerpo astral a otra dimensión y escapa del mapa.
 Después de eso, si lo desea, reaparecerá inmediatamente
  en cualquier casilla del mapa y emboscará a cualquier personaje.

"Cambio de éter ofensivo": dificultad de evasión DURO
 Cuando se activa [Cambio de éter], se consume un [Poder Mental] adicional
 y se activa mediante la verificación [Wazamae].
 Involucra al personaje adyacente en la transición de dimensión,
  y le da a uno de los efectos "Satsubatsu!" De 4 o 5.

"Inmortal":
 Entity Esta entidad no puede ser completamente destruida
  a menos que perfores a la tortuga de una manera especial.
 Si [Punto Salud] o [Poder mental] es menor que 0, se enviará
  de regreso a otra dimensión y luego se reencarnará.
 Sin embargo, cuando se vuelve a encarnar, el valor de la habilidad
  se vuelve a determinar con los dados D6 de la siguiente manera,
  y el valor de la habilidad secundaria se calcula nuevamente.
 
 [Karate]: D6 + 2, [Neurona]: D6 + 1, [Wazamae]: D6

 Nota: Si [Poder mental] es menor que 0,
  dejará el combate y no se materializará hasta que se recargue.

クリムゾンチュパカブラ(Chupacabra Carmesí)はおぞましい姿をした得体のしれない怪物であり、餌場を荒らすギャングスタを追い返そうと積極的に攻撃を仕掛けてくる。

その超常の肉体は複雑に揺れる流体のようなもので、一度受けた攻撃(例えばカラテチョップ)へ一時的な耐性を獲得し、二度目以降は肉体をすり抜けさせて一切の干渉を許さない。故に同じターンの間には、近接攻撃、射撃、爆発、火炎ダメージ、電磁ダメージ、ジツ、とPC毎に攻撃手段を切り替えなくてはならないのだ。

『不滅』:クリムゾンチュパカブラは通常死亡する状態になっても即座にアストラル体で肉体を再構築し、即座に再POPする。真の死をもたらすには、後述の『ンガンガ』を破壊するか、次のラッキーショットに近い手順でトドメを刺す必要がある(当然後者の手順をPLが知ることはない)。

1:「サツバツ!」でとどめを刺す。
2:再POP後、何らかの攻撃を命中させダメージ耐性を獲得させる。
3:ダメージ耐性を獲得している状態で、通常はダメージ耐性により無効化されてしまう種類の攻撃を命中させ、なおかつ「サツバツ!」の出目6を引き当てることによりとどめを刺す。
◇クリムゾンチュパカブラの行動方針とギャングスタの扱い
このシナリオにおいて、敵対ギャングスタはただ殺されるためだけに存在する。彼らは逃げ惑い、銃を乱射し、引き千切られる背景なのだ。もしステータスが必要ならクローンヤクザを引用し、カラシニコフ・アサルトライフルを装備させる。あるいは手榴弾を補給できるアイテムボックスとしても良いだろう。

クリムゾンチュパカブラは最初の行動手番で『エテル・シフト』を使い、2体のギャングスタを殺戮し、『吸血』でカラテ判定ダイスを増加させる。これは【精神力】がある限り無限に再生する為、積極的に消費させないと戦闘が長期化する恐れがあるからだ。PCが【精神力】に対する攻撃手段を有しているかどうかにより、NMは2~3ターンで実体化が一旦止まるように調整しよう。
◇クリムゾンチュパカブラの姿
クリムゾンチュパカブラはおおよそ二足歩行の人型をベースとしているが、甲殻類や昆虫めいた部位を滅茶苦茶に組み合わせた鎧、艶めかしさもある滑らかな肌、といった2つの要素の上を血濡れた管状組織が覆うおぞましい姿をしている(これは後述の『ンガンガ』の中身を反映したものだ!)。姿形、背格好は実体化する度に変化するが、その顔の中央には必ずヤツメウナギの口に似た大穴が空いている。

◆呪術の禍壺『ンガンガ』と聖遺物

突入した君たちは、サップーケイなその部屋の中央で沸き立つ、ひとつの壺を目にする。火も無いのにグツグツと煮立つその壺。人間の脳や心臓といった内臓、血液、すり潰された大量の昆虫で満たされたおぞましい壺!それは明らかに呪術的なレリックである!

クリムゾンチュパカブラを現世に繋ぎ止めている力の一端は『ンガンガ』と呼ばれる魔術的な壺にある。これは人間の脳や心臓といった内臓、血液、すり潰された大量の昆虫で満たされたおぞましいもので、存在している限りクリムゾンチュパカブラへと超常の力を注ぎ続ける。

『ンガンガ』はこれまで、レフヒリオ聖母聖堂に保管されるゴダ・ニンジャにまつわる聖遺物の力によってクリムゾンチュパカブラごと眠りについていたが、改修工事を理由に聖堂から一時的に移動させられたことで現代のメキシコに目覚めてしまった(幸いなことに、その強大な力はゴダ・ニンジャの聖遺物の長期的な干渉によって非常に弱まっている)。

PCはクリムゾンチュパカブラを撃退した後、コーケインなどでニューロンを研ぎ澄ますことで、別次元を移動するクリムゾンチュパカブラを知覚し、『ンガンガ』の場所を突き止めることができる。PCたちはレフヒリオ聖母聖堂でクリムゾンチュパカブラと再び死闘を繰り広げつつ、地下の『ンガンガ』を破壊するチャンスを掴むだろう。

◆呪術の禍壺『ンガンガ』(種別:レリック)
カラテ     ー  体力     1
ニューロン   ー  精神力    ー
ワザマエ    ー  脚力     ー
ジツ      ー  万札     ー
◇装備やスキル:
 『ソウルの繋がり』:
  クリムゾンチュパカブラは『ンガンガ』への攻撃を察知し、インタラプトすることができる。
  難易度HARDの【ニューロン】判定を行い、成功した場合はその攻撃のダメージを代替わりする。
  ※攻撃者か『ンガンガ』に隣接していない場合、『エテル・シフト』の使用が必要。
◆ Malvada olla de magia, "Nanga" (Tipo: Reliquia)
Karate  - Punto Salud   1
Neuron  - Poder Mental  -
Wazamae - Fuerza pierna -
Jitsu   - Dinero        -
◇ Equipo y habilidades:

 "Conexión de Seúl":
 Chupacabra Carmesí puede detectar un ataque contra Nanga e interrumpirlo.
 【Realiza el juicio [Neuron] en el nivel de dificultad DURO,
  y si tiene éxito, asume el daño de ese ataque.
 * Si no estás adyacente al atacante o Nanga, debes usar "Ether Shift".

◇聖遺物パンチ(別の解決手段)

NMが問題解決の手段を増やしたいと考えるなら、PCたちがゴダ・ニンジャの聖遺物を手にするチャンスを与えると良い。綿密な調査により、彼らは殺戮の始まりがレフヒリオ聖母聖堂の改修工事の開始と合致していることに気が付き、そこから聖遺物の行き先をトレースすることができる(ただし、別のニンジャがレリックを守っている可能性もある)。

例えば導入でボスが言及する「アドルフォ・コンスタンツォ」について過去の文献を調査すると、過去に同様の事件で『ンガンガ』らしき禍壺が発見されていたことが判明する。事件の起こりを調査すれば、先述の聖遺物の移転日と事件の発生が同一であることが判明するだろう。

※「アドルフ・コンスタンツォ」は実在の人物である。彼とそのカルトにまつわる悍ましい事件について情報が必要な場合、各々検索エンジンを叩くと詳細を得ることができる。

盗み出した聖遺物によってクリムゾンチュパカブラを追いやり再び眠りにつかせるのか、あるいは物理的に聖遺物を肉体に叩き込むことで爆発四散させるのか、それはPLの自由だ。


◇謝辞

このシナリオは、他システム用のファンメイドシナリオをお借りし、ニンジャスレイヤーTRPG向けに大幅アレンジを加えたものです。この場をお借りして著者のJ. Edward Tremlett氏に謝辞を。

【Borderline】by J. Edward Tremlett, 2005


◆忍◆ ニンジャRPG名鑑#XXX 【クリムゾンチュパカブラ】 ◆殺◆
邪悪なニンジャ儀式により現代に呼び戻された、古代リアルニンジャの影。既に本人の物理肉体はなく、探究の果てに到達した別次元の彼方から、その残響がエテル流体を介して現実に具現化する。




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