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【NJRPG-2ND/シナリオ】フォールス・ウインター:#13:ナシング・イズ・インポシブル・イン・アワー・ワールド

あらすじ:墜星!アマクダリの最大戦力たる旧世紀レリック、無限衛星ヘリオスは大幹部スターゲイザーと共に滅びた!今やネオサイタマはソウカイヤ、ザイバツ、アマクダリのニンジャが入り乱れる大イクサ場と化し、同時に、天からの光に焼滅されつつある。

この混沌たる戦争に終止符を打つのは誰か?それは最早、鷲のニンジャたち以外の何者でもない。彼らは貫かれたカスミガセキ・ジグラットへと突入する。〈鷲の一族〉の隠されしレリック級UNIXを手中に収めるために。 そして第三の門が開く刻、世界は在るべき姿へと洗がれるであろう。

これは「ニンジャスレイヤーTRPG2版」のシステムに対応した、「鷲のニンジャ」がテーマのキャンペーン『フォールス・ウインター』の第13話かつ最終チャプターの「急」に該当するサンプルシナリオ記事です。

プレイ人数:4名
所要時間:24時間(オンラインセッション/テキストセッション)
難易度:キャンペーン専用のルールで作成後、10シナリオを踏破した程度の強さのPCを想定(成長の壁(1)をそれぞれ2~3つずつ超えている。さらに成長の壁(2)を1つ超えた直後程度の、ほぼ限界級の能力値)

キャンペーン全体の背景設定やルート分岐の調整方法などは、別途CPセッティング記事も参考にしてください。

※各ゲーム要素はニンジャスレイヤーTRPG初版で行ったキャンペーン実卓を元に、2版向けへコンバートされたものです。ゲームバランスは現行環境やプレイヤーキャラクターに合わせて都度調整することを推奨します。

関連記事はこちらのマガジンから。

◇本文中に登場する略称など
マスター  ▶ ニンジャマスター。ゲームの進行役。描写などを行う。
プレイヤー ▶ ゲームの参加者。PCを操作する役。
PC     ▶ プレイヤーキャラクター。ゲーム内の主人公。
        メインキャラ。



前シナリオ


はじめに|全体の流れ

このシナリオでは大きく分けて次の3パートで進行する。これはそれぞれ前哨戦→ボス戦の構成となっており、1パートあたり8時間程度のプレイ時間(オンラインセッション)が想定されている。

パート1:衛星レーザーの支援を受けながら防衛網をくぐり抜け、ジグラットに辿り着く。地下のレリック級UNIXへの最短ルートを辿りながら、ドラゴングラスと交戦中のアマクダリ幹部ジャスティスとの戦闘になる。

パート2:降下してきたアシッドウルフと共にジグラット中枢を突破し、レリック級UNIXへと向かう。「再定義」が始まるなか、PCはUNIX奪還を図るハタモト(ドラゴンベイン、スワッシュバックラー、シャドウドラゴン)との決着をつける。

パート3:再定義は第三の門まで到達し、オヒガンと現世の距離が近づく。同時に、オヒガンに本体が存在していたコスモクライム=シロウ・イスヒがメイライ社の兵器への自己上書きと乗っ取りを開始し、ナンシー・リーは演算中のアルゴスへ攻撃を仕掛け、大混乱が生じる。

これを切り抜けたPCの元に、ジツの力が最高潮に達し、肉体の再構成を終えたアガメムノンが襲いくる。

マスターは各パートの区切りでPCの体力・精神力を全回復させても良いし、アイテム1つ分の回復だけ(体力+3、精神力+2)を許すとして緊張感を高めても良い。ただし全体の方針として、PCはパート3まで爆発四散するべきではない。


マップデータ

このシナリオで使用するマップデータはGoogle スプレッドシートで作成されています。下記からローカルにダウンロードするか、ご自身のアカウントにコピーを作成してGoogle スプレッドシート上で使用してください。


▼パート1:坩堝

導入

光の柱が降り注ぎ、アマクダリの防衛ツェッペリンが火を吹きながら次々と墜落する。そしてそのジゴクへと一直線に突き進む5つの影こそが君達だ。

モーターサイクルを駆り、熱を帯びた風を切る君達にアルゴスからさらなるメッセージが届く『計画通り、アマクダリ戦力は揺動により分散。統率の乱れがある』『最早、作戦内容の秘匿必要性なしと判断。概況を把握せよ』『今回の最終目標は、ジグラット地下に封じられるレリック級UNIX。それはメガトリイ社が〈鷲の一族〉に遺した品』

『エージェントはUNIXまでアシッドウルフ=サンを送り届けよ。彼はUNIXの生体認証を突破し、旧世紀プログラムを起動可能』"再び相見えることはない"ではなかったのか?ふとした疑問が脳裏をよぎるが……もはや考える意味のないことだ。アルゴスとの交信は続く。

『UNIX稼働後、衛星軌道上のインターネット通信衛星リレイ"鷲の翼"が展開。メガトリイ・ネットを介してオヒガンにアクセスし、物理世界との"論理的距離"に干渉。もって現実を"再定義"するプログラム。セクト幹部級のみその存在を把握。相応の妨害が想定される。そして、我々はそれを利用する』

描写のサンプル

前シナリオ【バット・ウィー・アー・ヒア】にて都知事選下のネオサイタマは衛星攻撃の標的となり、街中が火の海に包まれる。これを手引するのはアシッドウルフらブラックサイト勢力であり、攻撃の標的はネオサイタマ内のあらゆるニンジャ組織の重要拠点だ。

ザイバツは何者の襲撃なのか結論を出せず、ソウカイヤはブラックサイトの誘導によりザイバツ・アマクダリと各地で突発的な戦闘に巻き込まれ、アマクダリは襲い来るブラックサイト勢力の対処に追われている。

PCたちがジグラットへ最高速度で駆け抜けるなか、PCたちにはアルゴスから今回の作戦目標を伝えられる。それはジグラット地下に封じられるレリック級UNIXの元まで、アシッドウルフを送り届けること。彼だけがUNIXの承認を突破でき、Y2K以前の旧いプログラムを実行できるのだという。


📝幕間の情景描写:フォーフェイターの正体

マスターは必要に応じて、このショートエピソードの描写を行う。

フォーフェイターはPCより1テンポ遅れて検問を突破し、アマクダリの精鋭コールドハウンドとのイクサを繰り広げる。

「ば、バカな……スターゲイザー=サンが!?」前線指揮官、そして大幹部の爆発四散に、迎撃に出動していたアクシスには隠しきれぬ動揺が広がる。

その隙を突き、4台のモーターサイクルが猛スピードで検問を突破。一拍遅れ、フォーフェイター。それを追おうとするセレニティらに、うめき声を伴う無数の人影が襲いかかった。「これは、このジツは……!」


「クオオオー!」CRAAASH!フォーフェイターのモーターサイクルがドラグーンの決断的な体当たりに揺れる。「ドーモ、コールドハウンドです」その乗り手は言うまでもなくニンジャ!彼は襲撃の混乱から即座に状況判断し、フォーフェイターらの追撃を開始したのである。

「ドーモ。私はトリュボス……フォーフェイター……そして……」ヤギ型の不気味なメンポから緑色の輝きと哄笑を漏らす。「やはりそのジツ……天下網の記録は確認済みだ。イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」フォーフェイターの謎めいた装飾ボーとコールドハウンドのカタナが数度打ち合う。

「どうした、コールドハウンド=サン、それしきのカラテでこの私は殺せぬぞ……!」ジゴクめいた声が響く。コールドハウンドは相手の胸に大穴が穿たれ、血を流していることを視認し、舌打ちする。「やはり、サクリファイス・ケン。貴様、サクリファイサー=サンだな」

「セクトを裏切るとは愚かな……!」「裏切る?私の価値を理解せず、使い潰そうとしたのはセクトのシステムだ。そして今や、私のジツはさらに高まりつつある!」フォーフェイターは周囲を薙ぎ払い間合いを取り直すと、ボーを掲げた。コールドハウンドはジツの発動を警戒する。

「この手でセクトに引導を渡してくれようぞ……ウワーッハッハッハハハハハハハハハ!」周囲のビル窓から、次々と不吉な緑色の光が溢れ始めた。

描写のサンプル

1-1:ジグラットへの突入

『23秒後、充電のため衛星攻撃が停止。伴って、マグロ・ツェッペリンを始めとする敵の空対地攻撃が再開。エージェントは各自、障害に対処せよ』

描写のサンプル

衛星攻撃が充電中のため一時中断したタイミングで、PCはジグラットからの砲撃や迎撃アクシスの襲撃に見舞われる。

ここでは次の順番で判定イベントが発生する。

1:マグロ・ツェッペリンからの機銃掃射・ミサイル攻撃
2:モーターサイクルに乗ったアクシスの襲撃
3:進行方向に墜落してくるツェッペリンの回避

防衛網の突破(判定イベント)

上空で高速旋回し、防御陣形を取りつつあるのはマグロ・ツェッペリンのミナミ級フリゲート艦である。漢字サーチライトの群れが君達を追うように次々と照射される。

そして次の瞬間、無数の対地RPG砲塔とガトリングガンが一斉に火を吹いた!BLAKAKAKAKAKAKAKA!

描写のサンプル

マグロ・ツェッペリンからの機銃掃射・ミサイル攻撃:PCはそれぞれワザマエ or カラテ判定(U-HARD)を行い、全員の合計成功数が8個以上の場合は回避に成功する。失敗した場合、目標未達分だけPC全員の回避ダイスの上限が減少する(半分未満にはならない。次の戦闘1ターン目終了まで持続)。

上記の判定と合わせて、PLに対地攻撃の回避や迎撃などのRPを行わせる。


ジグラットへと向かう君達を阻むものは、何も空からの銃火だけではない。「クオオオー!」「クオオオー!」「クオオオオオオー!」獣じみた咆哮と共に前方から向かいくるは、オナタカミ社のドラグーン、そしてハイ・テック・モーターサイクル「守衛二世」に跨る数人のニンジャ!

「ドーモ、フローターミナルです」「ハイコンテントです」「アクティブタンクです」「イモータルワームです」「秩序破壊テロ集団め、ここで滅ぼしてくれるわ」フローターミナルの両腕から垂れる流体剣が威圧的にアスファルトを削る。

そして交錯の瞬間、致命的なアンブッシュが君達を襲う!

描写のサンプル

モーターサイクルに乗ったアクシスの襲撃:PCはそれぞれ「連続攻撃2」を受けたようにして回避判定(難易度HARD)を行う。判定に失敗したPCは、その回数分だけ回避ダイスの上限が2減少する(半分未満にはならない。次の戦闘1ターン目終了まで持続)。


KRATOOOM!君達の前方頭上から、土手っ腹に巨大な穴を穿たれた重装マグロ・ウォー・ツェッペリンが火を吹きながら墜落してくる。

このままでは巻き添えか、良くて進行ルートを塞がれてしまう。同時に『同期せよ』通知と共に、モーターサイクルの制御がアルゴスによって握られたのを感じる。しかしそれは補助輪に過ぎない。自らの手でアクセルを握り、
ジグラットへと向かう最後の難関を潜り抜けるのだ!

描写のサンプル

進行方向に墜落してくるツェッペリンの回避:PCはそれぞれニューロン判定(U-HARD)を行い、判定に成功したPCはアルゴスの車体制御と完璧に同調し回避に成功する。失敗した場合、回避不能の1ダメージを受ける。


※このシーンで目標値として要求される「合計成功数」はPCのステータスに応じて調整すること。PCが振れるダイスの数の16%を期待値として考える。


📝幕間の情景描写:サイオコールとディアハンター

マスターは必要に応じて、このショートエピソードの描写を行う。

サイオコールはPCの突入を支援するため、危険を承知で、ツェッペリンをジョルリ操作していたサーヴィタ―を狙撃する。そこに、彼をマークしていたディアハンターの狙撃がカウンターめいて直撃する。

サーヴィタ―は続く二射目の狙撃を回避できなかった。それは重装マグロ・ウォー・ツェッペリンの艦体を溶融貫通しながら、戦車砲の何倍もの速度で飛来し、彼の脳天を貫いた。「サヨナラ!」爆発四散と同時に、クグツ・ジツの制御下にあったツェッペリン群は恐慌状態に陥った。


ジグラット防衛網から数Km。中腰の狙撃姿勢を取るサイオコールはしかし、対象の爆発四散を確認する間もなく、非人間的な動作で上体を180°旋回し、逆方向へとスナイパースリケンを放った。DOOOM!

その瞬間、既にディアハンターは渾身の、必殺のスリケンを投擲し終えていた。「……!」ディアハンターは反動をこらえながら、スコープメンポの下で目を見開く。サイオコールはこちらを振り返っていた。

スコープ越しに、サイオコールの頭部が爆ぜるのが見えた。KRATOOOM!同時に電磁加速スナイパースリケンがビルを直撃し、倒壊が始まった。

描写のサンプル


📝幕間の情景描写:シマカタとカメヤマ

マスターは必要に応じて、このショートエピソードの描写を行う。これは、このシナリオとほぼ同時系列で起きている別視点の出来事である。

襲撃を受けるジグラット中、カメヤマとシマカタが対峙する。カメヤマはシマカタの現体制への不満に付け込み、この期に及んで彼女を仲間に引き入れようとしているが、誘いは拒絶される。

けたたましいアラート音と避難を促す合成マイコ音声が、襲撃を受けるジグラットにエマージェントなアトモスフィアを過剰にもたらしている。悲鳴混じりに退避する人々とは対称的に、その2人は何事も無いかのように向き合っていた。官房長官のSPカメヤマと、警察庁のシマカタである。

「官房長官の護衛は良いのか」「……どうやら外は大変な事になっているみたいですね」カメヤマは応えず、噛み砕いた黒い錠剤をコーヒーで流し込んだ。「まだ気持ちは変わりませんか。貴女が求めていた秩序に王手をかけているのは、此方側ですよ」

「くだらんな」シマカタは再度の誘いを鼻で笑う。「今引き起こされているのは唾棄すべき混沌。秩序とは程遠い。カメヤマという男が忌み嫌ったものだ」「はン?」「ようやく確信が持てたぞ」

「ジグラットに入り込む為、うまく外見を真似たようだが……貴様は警察庁のキダキ・カメヤマではない。奴は死んだ。そして残念ながら……」「「スッゾコラー!市民!」」」シマカタが立ち上がると同時に、重武装のクローンヤクザが部屋に殺到し、カメヤマに銃口を突き付ける。

「破壊者、殺人鬼、テロリスト。即ち貴様らという悪を駆除し、秩序を取り戻すのはアマクダリ・セクト」微かな駆動音と共に、シマカタのコートの襟元が変形し、フルフェイス・ニンジャヘルムが形成される。「そしてこの私、ジャスティスの役目だ」

「……ハァハハ!ここまで相性が悪いんじゃァ仕方ねえなァ」カメヤマが黒壇のテッコで神経質そうに掻き毟る顔に、暗黒結晶のメンポが生成された「ドーモ。ドラゴングラスです」

「これでも気を使ってたんだぜ。アンタの理想は脆すぎるからよ……で、それを今から思い知ることになるんだ」ドラゴングラスの足元から、超常の暗黒結晶が建造物を侵食し始めた。

描写のサンプル


コリ・ニンジャクランとの邂逅(RPイベント)

『ジグラット内部では高速通信が不可。また先程のZEUS余波により、一時的な通信障害が発生中』銃火を浴びながらジグラットの斜面を猛スピードで駆け上がる一行にアルゴスは続ける。『侵入後、継続したサポートが困難。送信する地下への最短ルートを辿り、目標地点を目指せ。中途、現在交戦中のアシッドウルフ=サンが合流予定。フォーフェイター=サンは計画通り揺動に移れ』

『適時、敵味方識別せよ』IRC端末に最短ルート情報がダウンロードされる。侵入口はすぐそこだ。此処から先、モーターサイクルは役に立つまい。跳躍し、ジグラットへと侵入せよ!

描写のサンプル

一連の判定イベントを切り抜けると、このシーンへと移行する。墜落してくるツェッペリンと破砕片を飛び越えたPCは、ついにカスミガセキ・ジグラットの内部へと到達する。

アルゴスは目的地までの最短ルートの情報を提示するが、アガメムノンが衛星攻撃をゼウスの雷で相殺した余波でジグラットには電波障害が発生しており、パート1の間はこれ以降、アルゴスからの情報支援が受けられなくなる。

ジグラット内部へと侵入した君達を待ち受けていたのは、大量のアマクダリ・ニンジャたちであった。「ドーモ、スプリットグラブです」「オーガフラワーです」「リモートブラーです」「アスパルテームです」前衛に、テック装束で固めたアマクダリ戦力。

「コールドノヴァです」「アイスジャベリンです」「ダイヤモンドダストです」「クリスタライズドです」後衛に、白い装束で固めたコリ・ニンジャクランの兵隊たち。そして……『人の子らよ』身を刺すような冷気と共に、圧倒的なニンジャ存在感が君達を襲う。

『よもや、自らの力のみでジグラットに辿り着くとは』側近ニンジャ、ブリザードを伴い、凍てついた階段上から君達を見下ろす女ニンジャ。『我こそはコリ・ニンジャクランが首領、ホワイトドラゴン』

ワトゥルーマンとサクラメントは、その姿を目にしたことがある。秘密路線でアシッドウルフが車両内に秘匿し、スワッシュバックラーに奪われた、あのニンジャだ。だが、これほどまでに強力なニンジャであったとは考えにくい……これは一体?

描写のサンプル

そこにはアクシスのニンジャ(スプリットグラブ、オーガフラワー、リモートブラー)の他、コリ・ニンジャクランの兵隊(ブリザード、コールドノヴァ、ダイヤモンドダスト)と共に、彼らの首魁であるホワイトドラゴン(トゥララ・ニンジャ)が控えている。

ホワイトドラゴンはソルスティスではなく、【オペレイシヨン:グレイストーン】でスワッシュバックラーが回収していったソウカイヤの女ニンジャ「イクウィナクス」の身体を乗っ取って活動している。


『話はもう十分だ』一瞬の静寂の後、凍てついた階段が、ピシリと音を立てた。ニンジャたちは一斉に襲いかかる。アマクダリ・アクシスは君達へと。コリ・ニンジャクランはアマクダリ・アクシスへと!これは一体!?

『お前達の首魁との密約により、コリ・ニンジャクランは力を貸してやろう』「おのれ!裏切りだ!コリ・ニンジャクランは敵だ!」オーガフラワーがアイスジャベリンをハンマーで殴り飛ばしながら叫ぶ。

『ジグラット地上層は我らが受け持とう。だが、あまり時間の猶予はないぞ。ゆけ。そして盟約を果たすのだ』

描写のサンプル

しばらくロールプレイによる対話の時間を設けた後、戦闘に入る前に上記の描写を行う。ホワイトドラゴンはアシッドウルフと密約を交わしており、PCがジグラットに到達した時点でアマクダリを完全に裏切る。

アクシスを闇討ちしたコリ・ニンジャクランは外部からの敵の侵入を防ぐ役割を担い、PCはアルゴスに指示された地点へと向けて、アマクダリを蹴散らしながら最短ルートを進み出す。


1-2:地下への最短ルート

君たちはコリ・ニンジャクランとすれ違うように、ジグラットの奥地へと進行を開始する。電撃作戦、時間の猶予はそう多くはない。

アルゴスのルート指示データに従い移動を開始するや否や、進行方向からは次々とライオット・ショットガンを構えたオナタカミ・トルーパーが押し寄せてくる!「「「「ザッケンナコラー侵入者!」」」」BLAK!BLAK!BLAK!BLAK!

描写のサンプル

ジグラットの内部には、ジャスティスと戦闘を始めたドラゴングラスのジツ暴走による、ヒカリ・ジツの黒い侵食結晶があちこちに広がりつつある。PCはこの危険なヒカリ結晶のほか、アマクダリ・アクシスやオナタカミ・トルーパーに対処しながら、衛星レーザーが貫いた地下へと通じる穴を目指す。


戦闘マップ|アクシスとの小規模な衝突

「「「「ザッケンナコラー侵入者!」」」」BLAK!BLAK!BLAK!BLAK!警備警戒にあたっていたオナタカミ・トルーパーが真っ先に反応し、君たちへライオット・ガンの弾幕を浴びせかける。

そしてそれを呼び水として、最新のテック装束で身を固めた増援ニンジャが次々とその場にエントリーする。「ドーモ。プロタントです」「アルミマスです」「ドミネイターです」「ウィルヌーンです」

そして「ブラックトゥースです」最後にサブマシンガンを二丁構えた指揮官ニンジャがアイサツを繰り出す。「ジグラットにテロ攻撃とは、大胆な連中め。その心意気は褒めてやるが、こちらも相応に歓迎させてもらうぞ」

描写のサンプル

この戦闘では「P1-1:アクシス前哨戦」の戦闘マップを使用する。マスターはマップ上の「◉マーク」の位置にPCを配置させてから、戦闘を開始する。

このシーンはRPと、これまでのシナリオで決着が付けられていない数人のアクシスとの小規模な戦闘で処理される。NMはPCと因縁のあるアクシスを2体ほどピックアップしておき、PCの2倍の数のオナタカミ・トルーパーと共に出現させる。特に指定がない場合、ブラックトゥースとプロタントの2名が登場する。


なおこの戦闘シーンでは『乱戦』ルールの代わりに、登場するニンジャ全員に特殊な『●防御連携』スキルが付与されており、彼らは攻撃のターゲットにされるたびに回避ダイスが増加する。
 したがって、基本的にはPC1人あたりに対して「本来の回避ダイス÷PCの合計人数」+2個の回避ダイスを使用できるような計算となる。マスターはこの特殊な効果の存在と、後述するNPCの攻撃ターゲット方針を必ずプレイヤーに伝えること。

◆シーンの進行条件(いずれかの達成)
敵のニンジャを全滅させる
・6ターンが経過する(生存した敵は次の戦闘にも参戦する)

◇NPCデータ:ブラックトゥース

ブラックトゥースは【オペレイシヨン・ライト】登場時のデータから軍団指揮のスキルが失われ、(処理簡略化のため)若干弱体化した状態で登場する。

彼は基本行動パターンとして、ランダムなPC1人にサブマシンガンによる集中射撃を行う。PCがオナタカミ・トルーパーの殲滅を優先し始め、かつ2人以上を巻き込める場合は『全方位薙ぎ払い』による射撃を行う。

「オレはプロフェッショナルだ。徹底的にやらせてもらう」 /// 「減らず口もそこまでだ」 /// 「テロリストめ!国家制圧火力を喰らえ!」

◆ブラックトゥース (種別:ニンジャ)	
カラテ    7   体力    9
ニューロン  7   精神力   6
ワザマエ   6   脚力    4/N
ジツ     0   万札    25
近接D:8、射撃D:10、回避D:12
◆装備や特記事項
 装備  :『アクシス正式テックニンジャ装束(体力+2, 回避D+3)』
 スキル :『●連続攻撃2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
      『◉銃弾の見切り』、『◉ツジギリ』、『◉シャープシューター』
 サイバネ:『▶生体LAN端子Lv1』『▶テッコLv1』、『▶▶サイバネアイLv2』

『●光学ノイズ散布装置』:このキャラに対する射撃難易度は常に+1となる。

『Vzサブマシンガンx2』:
 遠隔武器、二挺拳銃、連射6、ダメージ1、基本攻撃難易度:HARD、時間差可、マルチ可

 『●射撃スタイル|全方位薙ぎ払い』:
  難易度HARDの射撃判定を行う。成功した場合、
  自身を中心とした5x5範囲内の敵全員へ自動的に1ダメージを3回与える(回避:NORMAL)

『裂傷ダガー二刀流』:
 特殊近接武器、二刀流、連続攻撃+1、ダメージ1、回避ダイスダメージ1

『●防御連携』:
 このニンジャは「敵の攻撃対象になる」たびに回避ダイスが即座に+2される。


◇NPCデータ:プロタント

雇われの傭兵ニンジャであるプロタントは【オペレイシヨン・グレイストーン】登場時より若干強化された状態で登場する。具体的には、ジツ値と導入済みサイバネのランクが向上している。

彼は基本行動パターンとして、ブラックトゥースとは別のランダムなPC1人に近接攻撃を行う(全方位薙ぎ払いの場合を除く)。また味方を巻き込まない場合は、『▷腕部内蔵グレネードランチャー(祈祷済み)』による追撃を行う。

リスクを最小限に抑えるため意図的に回避せずダメージを受け、回避ダイスを節約するなど、クレバーな戦闘スタイルでしぶとく立ち回るのがプロタントだ。

「舐めてるわけじゃあねぇ……だが、底は見えたぞ」 /// 「なんとも我慢が効かない連中だ」 /// 「まずはお前からだ!」

◆プロタント(種別:ニンジャ)
カラテ     7   体力     9
ニューロン   4   精神力    5
ワザマエ    4   脚力     4/N
ジツ      3   万札     15
近接D:9、射撃D:6、回避D:9
◇装備やスキル
サイバネ:『▶生体LAN端子Lv1』『▶▶テッコLv2』、『▶サイバネアイLv1』、『▶▶クロームハートLv2』
スキル :『●連続攻撃2』、『◉疾駆』、『◉ツジギリ』、『◉突撃』
ジツ  :『☆ムテキ・アティチュード』、『☆◉レッサー・ムテキウェポン』

『▷腕部内蔵グレネードランチャー(祈祷済み)』:
 ・手番終了フェイズに精神力を1消費して使用可能。自動成功。
 ・射線の通る1地点をターゲットとした『爆発(3x3)』を瞬時に発生させる。
  ・これは1ダメージかつ、回避ダイスダメージ1を与える。

『●防御連携』:
 このニンジャは「敵の攻撃対象になるたび」回避ダイスが即座に+2される。


◇NPCデータ:アルミマス / ドミネイター / ウィルヌーン

アルミマス
ドミネイター
ウィルヌーン

アルミマス/ドミネイター/ウィルヌーンの3人は全く同じパラメータを持ち、全員が同じ行動を取る。プロタントやブラックトゥースとは別のランダムなPC1人をターゲットに、可能な限り近接攻撃を行う。彼らはキリク・ニンジャのジツによるエンハンスが施された特別な武器を用いて戦う。

マスターは処理簡略化のため、彼らの連続側転判定を自動成功として、最低限の移動力を確保させても構わない。

◆アルミマス/ドミネイター/ウィルヌーン(種別:ニンジャ)
カラテ     5   体力     7
ニューロン   3   精神力    3
ワザマエ    6   脚力     4/E
ジツ      0   万札     -
近接D:5、射撃D:6、回避D:9
◇装備やスキル
防具  :『アクシス正式ニンジャ装束(体力+2, 回避D+3)』
スキル :『◉常人の三倍の脚力』

『●特攻|不浄』:
 アクマ・ニンジャクラン、ゾンビーあるいはニンジャソウルの闇を持つキャラクターを
 聖なるジツが効果を及ぼす『不浄』な存在として扱うことができるようになる。

『祈祷済みディバイン・ウェポン』:
 このニンジャの近接攻撃/射撃に「回避ダイスダメージ1」を付与する。
 これは「不浄」な敵に対して2倍の効果を発揮する(回避ダイスダメージ2)。

  また近接攻撃判定に出目【6】を含むとき、『痛打+1』となる。
  出目【6,6】を含む場合、これは『痛打+2』となる。

『●防御連携』:
 このニンジャは「敵の攻撃対象になるたび」回避ダイスが即座に+2される。


◇NPCデータ:オナタカミ・トルーパー

ここでは処理簡略化のため【弾幕発生】のオプションルールを採用する。マスターは単純に生存しているトルーパーの数x2ダメージが発生したとみなし、それらをまとめて【弾幕発生】のルールで特殊な攻撃に変換する。

・マスターはいずれか任意のひとつを選択する。
 ・ダメージを3で割り、回避難易度を+1する。
 ・ダメージを6で割り、回避難易度を+2する。
 ・ダメージを12で割り、回避難易度を+3する。
  ・どの場合も端数は切り捨てられる。
  ・これによる基本の回避難易度上限はUH3まで。

基本はランダムなPC1人に攻撃が集中することを想定しているが、トルーパーの人数が多すぎると感じる場合はPC2人にターゲットを分散して弾幕攻撃を行うこと。

◆オナタカミ・トルーパー (種別:モータル/バイオ生物/ヤクザ)
カラテ    3  体力   2
ニューロン  1  精神力  1
ワザマエ   4  脚力   2
ジツ     -  万札   0
近接攻撃D:2、射撃D:4
◇装備や特記事項
装備:『液晶ヘルメット&オナタカミ武装戦闘服』

『オナタカミ・ライオット・ショットガン』: 銃器、連射1、ダメージ2


1-3:不浄のニンジャソウル

ブラックトゥースらとの戦闘に決着がつくか、規定ターンが経過するとこのシーンへと移行する。PCはアクシスを退けて、あるいはアクシスと戦いながら、ジグラット内部をさらに進軍する。

このシーンでは地下へと向かう道程の最後の障害として、アマクダリ大幹部のジャスティスとの戦闘が発生する。パート1のクライマックス戦闘であり、シナリオの区切りとなることを想定している。

ジャスティス&ドラゴングラスとのイクサ(ボス戦)

アルゴスによりもたらされた最短ルートを進むたび、ジグラット内部に生える不吉な反射の暗黒結晶が目につくようになる。まるでそれは生きているように、少しずつ侵食範囲を広げているように思えた。

そして「「イヤーッ!!!!」」KRAAAASH!地下への侵入口、その直前で暗黒結晶の壁が砕け、超常の光と共にカラテ応酬を繰り広げる2人のニンジャがその場に飛び込んでくる!

片やフォーフェイターと同じ"腕"のニンジャ、ドラゴングラス。それに対峙するのはオナタカミ・トルーパーを従え、後光を背負う純白のニンジャ。「野卑な獣にジグラットへの侵入を許すとは。なんと煩わしい」

「ドーモ、ジャスティスです」ジャスティスはドラゴングラスをボー刺突で弾き飛ばすと、厳かにアイサツを繰り出した。ジャスティスが放つ光から、君は本能的に目を逸らしたくなる。かつてのトスカーナと同種のジツの使い手……それも遥かに強大だ。そして状況を見るに、ドラゴングラスもまた、このジツとの相性は最悪のようだ。

―――
「ARRRRRRGH!!」ドラゴングラスが絶叫すると、足元から暗黒結晶の海が広がる。暗黒結晶は彼の叫びに合わせて振動し、生成と崩壊を繰り返す。硬質な海が、ジグラットを侵食しつつあった。明らかに異常な状態だ。想定外の混沌状況。だが、何も問題はない。障害は全て排除すべし。

描写のサンプル

PCらが目的地に到達しようかというとき、激しいイクサを繰り広げるジャスティスとドラゴングラスが現れ行く手を阻む。ドラゴングラスは凄まじい出力のジツを行使する明らかに異常な状態だが、ジャスティスのカラテに圧倒されている。

PCとジャスティスがアイサツを交わし終えると、ドラゴングラスは暗黒結晶の海に飲み込まれるように消える。彼は味方としてはあまり期待できず、PCはジャスティスとハイデッカー部隊だけではなく、暴走するドラゴングラスのジツにも対処しなくてはならない。マスターは一連のロールプレイが終わった後、戦闘シーケンスを開始する。


戦闘マップ

この戦闘では「パート1:ジャスティス戦」の戦闘マップを使用する。マスターはマップ上の「◉マーク」の位置にPCを配置させてから、戦闘を開始する。

ここでは敵NPCとしてジャスティスに加え、ハイデッカー8体を追加で配置する(目安はPC人数の2倍)。カラテミサイルやカトンなど、雑魚敵の大量殲滅を得意とするPCが多い場合は、この数を思い切ってさらに2倍にする。

また先のシーンにおける戦闘で生存したアマクダリ戦力が存在する場合、彼らもまたマップ上へ再配置される。ただし、受けたダメージなどはそのまま引き継がれる。

◆シーンの進行条件
・ジャスティスの【体力】もしくは【精神力】を0未満にする。


◇NPCデータ:ムナミ・シマカタ|ジャスティス

このキャンペーンシナリオにおいて、アマクダリ・セクトの大幹部たるジャスティスはニンジャスレイヤー原作とは異なり、移植によりキリク・ニンジャのソウルをその身に宿すことでニンジャと化している(代わりに、ブラックロータスはアマクダリに合流していない)。

ジャスティスは原則ランダムなPC1人へ、次の攻撃パターンのどれかによって集中攻撃を行う。一度攻撃を行った後は、プレイヤーへこの攻撃パターンを開示しても良いだろう。

パターン1)ヤリによる『精密刺突』で3連続攻撃した後、『★★収束ディバイン・レーザー』で追撃を行う。

パターン2)『★★ディバイン・レーザー薙ぎ払い』により2ダメージの5連射(時間差)を行う。これ以上の追撃はしない。

パターン3)『★★ディバイン・レーザー薙ぎ払い』により、ランダムなPC3人へ3ダメージの射撃を行う(回避HARD)。

なおジャスティスの回避能力は、PC4人から集中攻撃を受けたとして、回避難易度NORMALかつ平均ダメージ2以上と想定すると、およそ1ターンに8~9ダメージを受けることを想定して設計されている。つまり、ヒサツ・ワザなどによる上ブレも考えると、2~3ターンでダウンすることが想定されている。

マスターは上記の水準を参考に、PCの連続攻撃回数や基礎ダメージを考慮して難易度を調整することが望ましい。

「破壊者、殺人鬼、テロリスト」ジャスティスはボーの先端を床へ垂直に叩きつけてバウンドさせ、掴み取ってカラテを構えた。白のフルメンポのスリットから眼光が漏れた。「日陰を這い、命を啜る。それを悪と呼ばずして何と呼ぼう。世の為に今ここで死すべきは貴様だ。」

【メニイ・オア・ワン】より
◆ジャスティス(種別:ニンジャ)
カラテ     9    体力     27
ニューロン   10   精神力    25
ワザマエ    14   脚力     9
ジツ      7    万札     100
近接攻撃D:11、精密攻撃D:16、射撃D:14、回避D:30、発動D:17
◇装備やスキル
 スキル  :『●連続攻撃2』、『●連射3』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
       『◉◉グレーター級ソウルの力』、『◉◉アーチ級ソウルの力』
       『◉◉タツジン:ヤリ・ドー』、『◉電光石火』、『◉銃弾の見切り』
       『★★★半神的存在』

 武器   :『鋼鉄ロング・ボー(ヤリとみなす)』
 防具   :『フルフェイスメンポ&ハイデッカーコート(効果なし)』

『●特攻|不浄』:
 アクマ・ニンジャクラン、ゾンビーあるいはニンジャソウルの闇を持つキャラクターを
 聖なるジツが効果を及ぼす『不浄』な存在として扱うことができるようになる。

『★ディバイン・エンハンス(常時発動)』:
 このニンジャは近接攻撃時、エンハンスによる『無属性ダメージ+1』と『攻撃ダイス+2』を得る。
 またこの『近接攻撃』は『不浄』な敵に対してさらに『回避ダイスダメージ1』の効果を得る。

『★★収束ディバイン・レーザー』:
 右脇腹のレンズ状装置から収束した聖なる光の矢を放つ。
 手番終了時、精神力を1消費して発動する(発動難易度HARD)。
 縦、横、ナナメのいずれか1方向を指定し、直線上の全員に1ダメージを与える(回避:HARD)。
 この『近接攻撃』は『不浄』な敵に対してさらに『回避ダイスダメージ1』の効果を得る。

『★★ディバイン・レーザー薙ぎ払い』:
 精神力2を支払い、攻撃の代わりに発動する。これは射撃とみなされる(隣接時使用不可)。
 このとき即座に次のどちらかの武器で特殊な射撃を行う。
  1:遠隔武器、1ダメージ、装甲貫通1、連射9、回避:HARD、マルチターゲット
  2:遠隔武器、2ダメージ、装甲貫通1、連射5、回避:NORMAL、時間差、マルチターゲット
 また『不浄』な敵に対しては、1発毎に『回避ダイスダメージ1』を追加で与える。これは累積する。

『●???』:
 ジャスティスは爆発四散する代わりに、全てのステータスを全回復させ、能力を変化させる。


◇NPCデータ:ドラゴングラス

アシッドウルフ・ルートにおいて、SPとしてジグラットに潜入していたドラゴングラスの出番はあまり多くない。彼はここまでにジャスティスとの激しい戦闘を繰り広げており、もはや敵味方の区別もなく暴走したジツでジグラットを破壊し続けている。

マスターにはこの戦闘におけるドラゴングラスの扱いについて、2つの選択肢がある。ひとつは彼をマップに配置せずランダムなダメージギミックとして使用すること、もうひとつは敵味方の両方を攻撃する味方NPCとして使用することだ。どちらにしても彼の存在ははた迷惑で、盤面を狂わす制御不能な印象をプレイヤーに与えるだろう。

◇ドラゴングラスのジツ暴走(ダメージギミックとして使用する場合)
ドラゴングラスはそのジツに歯止めをかけず、破壊を最優先とする暴走状態にある。彼はマップ上には配置されないが、毎ターン開始時にランダム(D6)で次のいずれかの効果を発生させる。

1~2)壁や床から暗黒結晶体のヤリが生成され、ランダムなキャラクター2人を攻撃する(敵味方を区別しない)。これは『ダメージ1+回避ダイスダメージ1』を与える(回避:NORMAL)。対象が回避ダイスを持たない種別の場合、単純に2ダメージを与える。

3~4)ジグラットを侵食する暗黒結晶体が炸裂し、散弾のように飛び散る。マスターは任意の2マスを選択し、そこを中心とする3x3マスに『ダメージ1+装甲貫通2』を与える(回避:NORMAL)。これは「範囲攻撃」であり、敵味方を区別しない。

5)暗黒結晶体からドラゴングラスが再出現し、ランダムなキャラクター1体にアンブッシュを仕掛ける(敵味方を区別しない)。これは『ダメージ2+装甲貫通2』を与える(回避:HARD)。攻撃対象がボス級の敵ではなかった場合、攻撃処理後にダイスをロールしてランダム効果を再び発生させる。

6)ドラゴングラスは何も行動しない。

◇ドラゴングラスのジツ暴走(マップに配置する場合)
ドラゴングラスはそのジツに歯止めをかけず、破壊を最優先とする暴走状態にある。マスターは彼をマップ上に配置しつつ、次のルールに従って操作する。

*ドラゴングラスはマップ上のあらゆるキャラクターから敵としてみなされる。ただし、ジャスティスの攻撃対象にはならない。

*ドラゴングラスは毎ターン、手番が回ってくると2回行動を行う(1回目の手番が終わると即座に2回目が始まる)。

*ただし、片方の手番ではPCを攻撃し、もう片方の手番ではアマクダリ側を攻撃するように動く(両陣営を1回ずつ攻撃する)。攻撃する順番はマスターの任意である。

これは主に、PCの強さや人数が足りない場合のオプションである。
◆ドラゴングラス (種別:ニンジャ)	
カラテ    10  体力   24/-1
ニューロン  13	 精神力  19
ワザマエ   9	  脚力   5/N
ジツ     5	  万札   50
近接D:14、射撃D:10、回避D:16、発動D:19
◆装備や特記事項
 装備  :『SPブラックスーツ(効果なし)』
 スキル :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』、『●ニンジャ第六感』
       『◉翻弄』、『◉挑発』、『◉◉タツジン:アイキドー』、『◉◉グレーター級ソウルの力』
      『◉ニンジャソウルの闇』、『◉邪悪なサディスト』
 サイバネ:『▶▶▶鷲の腕Lv3』

『☆ヒカリ・ジツ:粒界操作』:
 自身を起点に、壁や床から暗黒結晶体のヤリを放射状に生成し周囲の敵を襲う。
 攻撃フェイズに【精神力】1と1行動を消費してジツ判定で発動(HARD)。

 自身を中心とした、上下左右2マスもしくはナナメ方向2マスの範囲に対して
 ダメージ1、回避ダイスダメージ1を発生させる(回避HARD)。


『★ヒカリ・ジツ:結晶鎧』:
 暗黒結晶体で構成された凶悪なヨロイを生成し全身を覆うジツ。
 手番開始フェイズに【精神力】を2消費し発動(難易度HARD、瞬時)。

 ・常時『ダメージ軽減1』を得る。これは範囲攻撃に対して2倍となる。
 ・『近接攻撃』を受けたとき、フェイズ終了時にその『近接攻撃』1発につき
   攻撃者へ1ダメージを与える(時間差、回避:NORMAL)。
 ・この効果は【ジツ】値の半分(切り上げ)に等しいターン後の手番開始時まで継続する。


『●ジツ暴走』:
 ドラゴングラスは以下のスキルを取得しているものとみなされる。
 『★★★◉半神的存在』、『★★★◉欠損部位再生』、『★★★◉不滅』

 
『☆◉フォノン・カラテ』:
 固有の周波数で超振動する手刀により、強固な装甲でさえトーフめいて切り裂く暗黒カラテ。
 
 『●戦闘スタイル:フォノン・カラテ』:
  素手による近接攻撃を行う。この攻撃は『装甲貫通1』、『回避ダイスダメージ+1』となる。
  また集中状態の場合、【6,5+】でサツバツ!が発生するようになる。

 近接【6,6,5+】『●ワザ:コンビネーション・ランスキック』:
  この攻撃フェイズの終了時、攻撃対象へさらにダメージ2と『弾き飛ばし』を与える(回避HARD)。


◇NPCデータ:ハイデッカー

このキャラクターは直前の戦闘におけるオナタカミ・トルーパーと武器以外はなんら変わらない存在だが、ジャスティスに率いられる彼らは便宜上「ハイデッカー」と呼称される(このキャンペイグンではハイデッカー導入が可決されていない)。

ここでのハイデッカーについても処理簡略化のため【弾幕発生】のオプションルールを採用する。マスターは単純に生存しているトルーパーの数x2連射を行い、弾幕によりランダムなPC1~2人を攻撃する。

「総員、構えよ!」ジャスティスは右手を真横へ力強く振った。「対ニンジャ陣形!」「「「スッゾオラー!」」」オナタカミ・トルーパーズがハイデッカー・オートライフルを一斉に構え、敵を扇状に囲んだ。

【メニイ・オア・ワン】より
◆ハイデッカー (種別:モータル/バイオ生物/ヤクザ)
カラテ    3  体力   2
ニューロン  1  精神力  1
ワザマエ   4  脚力   2
ジツ     -  万札   0
近接攻撃D:2、射撃D:4
◇装備や特記事項
装備:『液晶ヘルメット&オナタカミ武装戦闘服』

『電磁ショック警棒』: テック近接武器、ダメージ2(1+電磁1)
『ハイデッカー・オートライフル』: 銃器、連射2、ダメージ1


📝幕間の情景描写:ジグラットを砲撃するネブカドネザル

マスターは必要に応じて、このショートエピソードの描写を行う。これは、このシナリオとほぼ同時系列で起きている別視点の出来事である。

ネブカドネザルはサイオコールのバイタル消失を確認しつつ、ジグラット周辺のアマクダリ戦力へ砲撃を開始する。カラカミ・ノシトを抱き込んだブラックサイトの手によりニュース報道が操作され、実態は全くの逆だが、彼らには国家中枢へテロ行為を行っているオナタカミ社を攻撃し、ジグラットを開放しようとしているという口実が用意されている。

オナタカミ・エレクトロニクスが反政府テロ行為――衛星軌道上からの大規模攻撃――首魁はCEOサイデン・マルチネスと見られ――政府国防軍への無人兵器導入見送りを逆恨みか――メイライ・コーポレーションが決断的鎮圧行動に――。

ネブカドネザルの網膜インプラントのアラートに紛れ、猛スピードでIRCニュースが駆け抜けてゆく。国家転覆テロを起こしたオナタカミ社の制圧。それがネブカドネザルに与えられたミッションだ。


モーターツヨシが球状に展開する電磁バリアはジグラットやマグロ・ツェッペリンからの高射砲の弾丸とミサイルを完全に無効化する。反撃のミサイルランチャーが次々と放たれ、オナタカミの戦闘兵器とツェッペリンを撃墜する。

『ネブカドネザル=サン!どうだ!当然問題無いな!』モーティマー・オムラ社長の興奮した声がノイズと共に届いた。「イエスボス。11秒後にジグラット突入」ネブカドネザルはモーターツヨシの背部ブースターを切り離した。肩のブースターで逆噴射をかけ、突入速度と角度を調整。

ジグラットがぐんぐん近づいてくる。チチチチ、アラート音が鳴り、ジグラットを防衛する者たちをセンサーがロックしてゆく。『いいぞ!ぜんぶ殺……ザザッ……』ジグラットを中心に発生している電波障害が、一時的に本社との通信を遮断する。

ネブカドネザルが有効な命令を得られない間に、ジグラットから斜めに黒いコンテナと共にカタパルト射出されたのは黒いウエットスーツめいたニンジャ装束を着た存在であった。

ネブカドネザルのIRCモジュールが短波信号を受信し、ノイズを鳴らした。『ドーモ。ネブカドネザル=サン。クロノスです』その瞬間、5つのコンテナが同時に展開し、UNIX光を輝かせる外骨格装甲が黒いニンジャのもとへ集まった。

「ドーモ。ネブカドネザルです」恐るべき2人の鋼鉄ニンジャがアイサツを交わした。「とりあえずオナタカミ識別子を持つ者達を全滅させます。当然ながら降伏は認めない」

描写のサンプル


ジャスティス戦:第二形態

「下郎!勝ったと思うか!」 ジャスティスは怒声をあげ、レーザー照射切断で開いた穴から飛び出した。「カスミガセキは秩序の象徴。たとえ貴様の蹂躙を受けようとも、決して屈する事はない」

「人など所詮、システムに生かされる流動物に過ぎん。システム、それは私だ。秩序は私だ。フーリンカザン、なおこの我にあり」姿が見えぬジャスティスの声は冷たく、確信に満ちている。

彼女は逃亡をはかったのか?否!「そして貴様は私を倒す事はできぬ」ジャスティスの背後から、ひときわ荘厳な黄金オーラが放たれ、君達はよろめいた。ドラゴングラスのジツはオーラを浴び、溶けるように崩れていった。

そして……ジャスティスは、翼を広げた。それは光の翼だった。光が羽ばたき、放射状の風が吹いた。ジャスティスの額には特異な輝きが宿っていた。バチバチと音を立てる光の冠が。その手を通してボーに光が流れ込んだ。
ボーは光の槍と化した。驚くべきエンハンスメントだった。

【メニイ・オア・ワン】より

ジャスティスは体力が0以下もしくは精神力が0未満になったとき、爆発四散する代わりに、全能力値・副次能力値が全回復し、ステータスが次の『光輪形態』に変化する。

彼女はテックとジツの高度な融合により、ジグラットのインフラ網から吸い上げた電力を用いてジツの出力を増大させている。彼女がこの恩恵を受けるにも、そのジツの力を全力で行使するにも、PCを誘い込む先である大ホールが最適な場所だ。

しかし、ジャスティスが全力でジツを行使している間、ジグラットの防衛システムは動力不足に陥り、一部機能不全を生じてしまう。彼女は全力を持って、最短でPCを排除しようとするだろう。


戦闘マップ

この戦闘では「P1-3:光輪形態」の戦闘マップを使用する。マスターはマップ上の「◉マーク」の位置にPCを再配置させてから、戦闘を開始する。

なおこのシーンでは、出力のあがったジャスティスのジツによりドラゴングラスが弱体化するため『ドラゴングラスのジツ暴走』は発生しなくなる。

◆戦闘の勝利条件
・ジャスティスを爆発四散させる


◇NPCデータ:ジャスティス(光輪形態)

この光輪形態のジャスティスは、先程までと比べてエンハンスの効果が2倍に増加しており、さらにヒサツ・ワザと瞬時攻撃の手段を新たに獲得している。

基本的にはヤリ・ドーによる『強化精密攻撃』か『★★ディバイン・レーザー薙ぎ払い』のどちらかを主軸として、『★黄金オーラ衝撃波』と『●降り注ぐ光槍』を組み合わせた全方位攻撃を繰り返すような設計となっている。

◆ジャスティス|光輪形態(種別:ニンジャ)
カラテ     9    体力     27
ニューロン   10   精神力    25
ワザマエ    14   脚力     9/18
ジツ      7    万札     100
近接攻撃D:13、精密攻撃D:18、射撃D:14、回避D:35、発動D:17
◇装備やスキル
 スキル  :『●連続攻撃2』、『●連射3』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
       『◉◉グレーター級ソウルの力』、『◉◉アーチ級ソウルの力』
       『◉◉タツジン:ヤリ・ドー』、『◉電光石火』、『◉銃弾の見切り』
       『◉空中制動』、『★★★半神的存在』

 武器   :『鋼鉄ロング・ボー(ヤリとみなす)』
 防具   :『フルフェイスメンポ&ハイデッカーコート(効果なし)』


『●特攻|不浄』:
 アクマ・ニンジャクラン、ゾンビーあるいはニンジャソウルの闇を持つキャラクターを
 聖なるジツが効果を及ぼす『不浄』な存在として扱うことができるようになる。

『★聖なる槍』:
 尋常ならぬエンハンスによりボーの先へ聖なる光の刃を生成し、長槍と化す。
 ヤリによる近接攻撃時、エンハンスによる『無属性ダメージ+1』と『攻撃ダイス+4』を得る。
 これは近接攻撃判定に出目【6】を含むとき『無属性ダメージ+2』となる。
 またこの『近接攻撃』は『不浄』な敵に対してさらに『回避ダイスダメージ2』の効果を得る。

 『★◉ヒサツ・ワザ:ディバイン・カラテ注ぎ込み | 近接攻撃時に出目【6,6,5+】で発動』:
  精神力2+回避ダイス2を消費して発動する。この『近接攻撃』は『回避難易度UH』となり、
  本来のダメージに『無属性ダメージボーナス+1D3』と『回避ダイスダメージ+1D3』が加わる。

『★黄金オーラ衝撃波』:
 手番開始時に精神力を2消費して瞬時に発動(HARD)。
 隣接マスの敵全員に対し、ダメージ1と『弾き飛ばし』を与える(『回避:U-HARD』)。
 この『弾き飛ばし』の距離は【ジツ】値に等しい。

『★★光輪生成』:
 強大なディバイン・カラテにより、後光を伴う光の翼と光の冠を生成する。
 常時『飛行移動』状態とみなされ、2倍の距離を移動でき、回避ダイス+5の効果を得る。
 
 『●降り注ぐ光槍』:
  手番開始時、術者から視線が通っている敵全員に対して、
  1ダメージを自動的に2回ずつ与える(『回避:NORMAL』『時間差可』)。
  ただし、術者の隣接マスにいる敵はこの効果対象外となる(安全地帯)。
  このジツの効果は、戦闘終了まで継続する。

『★★ディバイン・レーザー薙ぎ払い』:
 精神力2を支払い、攻撃の代わりに発動する。これは射撃とみなされる(隣接時使用不可)。
 このとき即座に次のどちらかの武器で特殊な射撃を行う。
  1:遠隔武器、1ダメージ、装甲貫通1、連射9、マルチターゲット
  2:遠隔武器、2ダメージ、装甲貫通1、連射5、時間差、マルチターゲット
 また『不浄』な敵に対しては、1発毎に『回避ダイスダメージ1』を追加で与える。これは累積する。


パート1の終幕(RPイベント)

しかし「ARRRRRGH!!!」ジャスティスの聖なる光が失われたことで、ドラゴングラスの暴走するジツが勢いを取り戻す。それは濁流のように、ジグラット内部へと更に広がってゆく。

そして「GRRRRRR!!」実体を取り戻した暗黒結晶鎧のニンジャは、濁流に揉まれるようにして君へと飛び掛かる!

描写のサンプル

光輪形態のジャスティスが爆発四散すると戦闘は終了し、このシーンへと移行する。強敵を退けたかと思うや否や、その光により抑え込まれていたドラゴングラスのジツが再び暴走を始め、PCのひとりへと襲いかかる。


クリプト、アシッドウルフ、そして降下

暗黒結晶の固有振動数が奏でる不吉な音が君を絡め取ろうとした、その時!ジグラットが微かに揺れ「イヤーッ!」新手のニンジャが君とドラゴングラスの間に割って入ると、そのカラテを受け止めた。

「ドーモ。クリプトです。ここまでの状況とは」君たちはこのニンジャを知っている。ドラゴングラスに付き従っていた、ゴヨキキめいたニンジャだ。「彼の暴走も"ボス"の計画のひとつ」結晶侵食を受け、裂ける皮膚の下にサイバネ"腕"が覗く。

「コリ・ニンジャクランの離反、フォーフェイターのゾンビ―軍団、オムラ社の扇動だけでは地上戦力を十全に抑えきれない。彼の生み出す混沌が防波堤として必要なのです」クリプトの掌底がドラゴングラスを弾き返す。「些か、度が過ぎていますが」

「ここは私が。貴方がたも役目を果たしてください」クリプトがさらなる打撃を打ち込み、ドラゴングラスのジツの流れを制御しようと試みる。『………010101……アシッドウルフ=サンが侵入成功。エー0101トは合流、中枢への降下010101せよ』ノイズ混じりにアルゴスからの指令が届く。目標地点はもう目の前だ。

◆◆◆

フスマを蹴り開けると、オゾンと焼けた金属のにおいが鼻を突く。貫かれたジグラットの大穴からネオサイタマの空が、ドクロめいた月が顔を覗かせ、地下へと続く暗闇を照らし出す。

「イヤーッ!」同時に、1人のニンジャが大穴の縁に着地した。素顔を覆い隠す、旧世紀ポリゴンめいたオオカミのメンポ。アシッドウルフである。「辿り着いたか。だが、此処からが本番だ」

「しかし、我々に時間の猶予はそうない。仕掛けた全てを活用し、敵を翻弄し、カラテで押し通り、計画を実行する……行くぞ」彼は地下へと続く大穴へ、飛び込んだ。

描写のサンプル

ドラゴングラスの襲撃は、実際にはブラックサイト側であるクリプトのインタラプトによって阻止される。彼はドラゴングラスの部下のように振る舞っていたが、"腕"のニンジャとしてアシッドウルフの指令を受け、密かにドラゴングラスをコントロールする役目を担っていた。

ムナミ・シマカタがキリク・ニンジャをその身に宿し、ドラゴングラスの暴走の引き金となるのは想定外の事態であったものの、暴走そのものは予定調和であり、コリ・ニンジャクラン同様にアクシスを抑え込む防波堤として彼には生き延びて貰わなくてはならない。

PCはドラゴングラスの制御をクリプトに預け、戦艦から降下してきたアシッドウルフと合流し、地下へと続く大穴に飛び込むことになる。これにて、最終シナリオの第1パートは終了となる。

TIPS:マスターは各パートの区切りでPCの体力・精神力を回復するチャンスを与えること。全回復させても良いし、アイテム1つ分の回復だけ(体力+3、精神力+2)を許すとして緊張感を高めても良い。


▼パート2:忠誠

導入

アシッドウルフと4人は壁を蹴り速度を殺しながら長い自由落下を終え、遂に地へ足をつけた。地下数km。大理石で作られた百段の壮大な階段を正面に抱く、大聖堂めいた空間。この場所こそがカスミガセキ・ジグラットの隠された中枢エリアである。

「今のうちに武装を整えておけ。ここからは強行突破だ」アシッドウルフが素早く2丁のチャカガンを再装填する。


◆ マスターは、彼らが走り出す前に、アシッドウルフがグリーンゴーストを宿したPCのサイバネ部位を見て、違和感やノイズはないか確認する会話を挿入する。サイバネアイの場合、目を見る。彼はグリーンゴーストの存在に気がついている。「……グリーンのノイズに気を留めておけ」 


「MOVE!目的地は未だ先だ。前進するぞ」BLAMBLAMBLAMBLAM!迎撃に現れたオナタカミ・トルーパーズを死体に変えながらアシッドウルフは階段へと駆け出す。

描写のサンプル

PCはアシッドウルフと共に、衛星レーザーで焼き貫かれた穴を落下してゆく。やがて地下、ジグラット中枢に着地したところからパート2は始まる。

アシッドウルフから追加のブリーフィングを受けながら、PCはハナミ儀式の日本庭園へと続く壮大な階段を登り始める。


◇NPCデータ:アシッドウルフ(スパイマスター)

スパイマスターはほとんどの場合、実用的なミリタリー・ギアに身を包む。装備は最小限だが、彼の手にかかればその辺のフライパンひとつが大量殺戮兵器と化す。

このシナリオにおいて、アシッドウルフはキャンペイグン全体を通して初めてPCと並び立ち、同じマップ上で戦闘を行う。彼の攻撃対象はプレイヤーが自由に指定できるが、攻撃判定は省略して全て自動成功として処理する。代わりに、ワザや出目に応じた痛打なども発生しない。

またアシッドウルフが攻撃ターゲットに選択された場合、回避は自動的に成功したものとみなす(カウンターも発生しない)。

「俺は何者にもなれる。そして今の俺は『アシッドウルフ』だ」

◆アシッドウルフ (種別:ニンジャ)
カラテ     10  体力     13
ニューロン   10  精神力    12
ワザマエ    10  脚力     6/N
ジツ      1   万札     50    
近接攻撃D:14、射撃D:14、回避D:15
◇装備や特記事項
 防具 :『旧世紀ポリゴンメンポ&ミリタリー装束(精神力+1、回避D+1)』
 武器 :『オノミチ・カスタムx2(赤外線レーザーサイトx2、クイックドロー・ユニット)』

 サイバネ:『▶︎▶︎▶︎▶︎鷲の腕Lv4(カラテ判定D+4, 回避D+4, 精神力+1)』
      『▶︎アパタイトの眼(ワザマエ判定D+1, 射撃D+1)』、『▶︎生体LAN端子Lv1』

 スキル:『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
     『◉トライアングル・リープ』、『◉グレーター・ツジギリ』
     『◉タクティカル移動射撃』、『◉キリングマシーン』、『◉痛覚遮断』
     『◉◉タツジン(ピストルカラテ)』、『◉ヒサツ・ワザ(ネバダズ・デスカタパルト)』

『○元秘密工作員』:
  諜報活動のタツジンとして、電子・物理両面で様々な情報収集と隠蔽工作に精通している。
  適切なシチュエーションであれば、関連した判定の難易度が−1ないし−2される。

『◉◉タツジン(ピストルカラテ)』:
 「拳銃/二挺拳銃/ライフル」装備を「素手状態」ともみなし、
 それら銃器の装備時ペナルティを全て無視し、隣接している敵に対しても射撃可能とする。

  『●戦闘スタイル:射撃反動カラテ(使用コスト:回避ダイス2個)』:
   装備中の銃器で射撃判定を行った後、近接攻撃判定を行う(射撃スタイルは使用不可)。
   『二挺拳銃』を装備している場合、『連続攻撃+1』かつ『近接攻撃難易度+1』を得る。

  『●戦闘スタイル:セイケンヅキ射撃』:
   この近接攻撃は全て『基礎ダメージ2』となる。この攻撃が1発でも命中した場合、
   攻撃フェイズ終了時に対象へ「弾き飛ばし」を与えても良い。


『☆腐食カラテ(偽)』:
  手番開始フェイズに【精神力】を1消費して瞬時発動。ジツ値Xターンの間だけ効果が持続。
  効果中は『素手』攻撃にエンハンスによる『装甲貫通1』『回避ダイスダメージ1』が付与される。


『●マスターズ・オブ・エスピオナージ』:
 このキャラはY2K以前の世界で活躍した名だたる6人のスパイマスターのあらゆる技術・知識を持つ。
 常時強化系やソウル系を除く、ルールブック収録の全スキルを所持するとみなされる。
 ただし例外的に、『◉◉戦闘系ソウルの力』はこの対象に含まれる。

 これに伴い、手番開始時にタツジン系スキルの切り替えも行うことができ、
 同時に、対応した武器を即座に取得して装備することができる(代替品を現地調達する)。
 さらに『ジュージツ+ピストルカラテ』など2種類のタツジンを同時に有効化できる。


『☆☆跳弾射撃』:
 宙に放った金属などを反射板とし、神がかり的な計算に基づく超精密な跳弾射撃を行う。
 「拳銃/二挺拳銃/ライフル」装備時に限り、次の射撃スタイルが使用可能となる。

 『●射撃スタイル:跳弾射撃』:使用コスト 回避ダイス2個
  この射撃は『射撃難易度+1』かつ『回避難易度+1』となり、射線を無視することができる。
  また出目【6,6】で『スリケン急所破壊』と同様の表からサツバツ!が発生する。


2-1:心臓部への強行軍

パート2の冒頭においてはパート1と同様に、3回の特殊な判定RPイベントが発生する。パート1と異なるのは、判定に成功することで、続くシーンにおいてPCが明確に有利になるという点だ。

ここでは次の順番で判定イベントが発生する。それぞれの判定イベントの詳細については、次のセクションに記載されている。

1:オナタカミ・トルーパーズの待ち伏せ十字砲火
2:設置された赤外線センサートラップの回避/排除
3:後方から追撃に現れるシデムシの迎撃

防衛戦力との衝突(判定イベント)

「「「「「ザッケンナコラーッ!」」」」」大階段の左右を取り囲む、棚田めいた日本庭園からオナタカミ・トルーパーズが侵入者へ無数の銃口を向ける。

「「「「「スッゾコラーッ!」」」」」BLATATATATATATATATA!圧倒的弾幕によるクロスファイアが君たちを襲う!

オナタカミ・トルーパーズからの十字砲火:PCはそれぞれワザマエ or カラテ判定(HARD)を行う。判定失敗によるペナルティはないが、全員の合計成功数だけ、次のシーンに登場する「オナタカミ・トルーパー」をマップから取り除くことができる。

上記の判定と合わせて、プレイヤーにオナタカミ・トルーパーの攻撃を回避し反撃殺するRPを行わせる。


「聞け。目標のUNIXは大階段を抜けた先、ハナミ儀式の日本庭園の更に奥、隔壁の向こう側に封じられている。そして」BLAM!BLAM!重金属弾がローターを撃ち抜きハイタカを撃墜する。

「敵も此方の狙いを知っている。地上と地下、全戦力を抑え込むことはできん。自立兵器群も押し寄せるだろう。だが……俺が隔壁の向こうに抜けた後、何者も通すな。お前たちの守りが要だ」

階段を駆け上がりながらも、君たちのニンジャ観察力は、侵入者を絡め取るように仕掛けられた複雑なセンサートラップを見逃さない。

描写のサンプル

赤外線センサートラップの回避/排除:PLはチーム全体として「罠の回避:回避判定」と「罠の破壊:ワザマエ判定」のどちらを行うかを選択する。

前者の場合、全PCは回避判定(NORMAL)を4回行う(時間差の4連続攻撃のように処理する)。『◉トラップ対処知識』を所持しているPCの場合、これは難易度EASYとなる。判定に失敗するたびに、そのPCは1ダメージを受ける。代わりに、判定に成功した回数の合計だけ、次のイベント判定においてボーナスを得る。

後者の場合、全PCはそれぞれワザマエ(NORMAL)を行う。『◉トラップ対処知識』を所持しているPCの場合、これは難易度EASYとなる。このとき、全員の合計成功数が20個以上の場合は回避に成功する。失敗した場合、目標未達分だけPC全員の回避ダイスの上限が減少する(半分未満にはならない。次の戦闘1ターン目終了まで持続)。

上記の判定と合わせて、プレイヤーにセンサートラップを巧みにくぐり抜けたり、機構を破壊するRPを行わせる。


「ズカカカ!ブザブザブザ!」地雷原を切り抜けた直後、君たちの背後からは、怪異な駆動音と共に鋼鉄装甲の長虫が階段を這い上がる。それすなわちシデムシは顎の左右にミニガンの砲身を展開、警告無しに掃射を開始した。BRRRTTTT!

描写のサンプル

シデムシの迎撃:PCはそれぞれワザマエ or カラテ判定(NORMAL)を行う。判定失敗によるペナルティはないが、全員の合計成功数だけ、シデムシに対してダメージを与えることができる(ダメージ軽減は無視)。このとき『赤外線センサートラップの回避/排除』における「回避」を選択していた場合、判定の成功回数をこの判定の成功値に加算しても良い。

このシーンにおいて、シデムシは下記のパラメータで3体存在するものとして処理する(つまりHP12*3体として考える)。HP0にならなかった個体は、次の戦闘において増援として登場してしまう。

上記の判定と合わせて、プレイヤーにシデムシの攻撃を回避し反撃するRPを行わせる。

◆シデムシ (種別:戦闘兵器、大型2x2、クローンヤクザ*)
カラテ    6   体力  12/-1
ニューロン  6   精神力  –
ワザマエ   12  脚力   6
ジツ     –   万札   12
攻撃/射撃/機先/電脳  6/12/6/8

◇装備や特記事項
 ファイアウォール: ハッキング由来のダメージ1発を無効化する、使い切り
 熱線トーチ: 近接武器、連続攻撃1、D3ダメージ、貫通1
 クローアーム: 近接武器、連続攻撃2、2ダメージ(1+痛打1)
 ミニガンx2: 銃器、連射12、ダメージ1、チェーンターゲット、射撃難易度:NORMAL
  (全ターゲットが互いに隣接している場合のみマルチターゲット扱いにできる)

 『●即死無効』、『●轢殺攻撃2』、『●ダメージ軽減1』

 『●射撃スタイル:銃弾の雨2』:
  毎ターン、通常の射撃(連射12)とどちらか片方を選択する。
   視線が通っている3x3の範囲に対して自動的に1ダメージを2回与える(回避:HARD)。
   この射撃は『時間差』とみなされる。   

 『●多節走行モード』:
  シデムシは移動時のみ「大型1x1」の特殊サイズを持つとみなし、狭い通路などにも入り込める。
  移動フェイズが終了すると再びトグロを巻くように頭部をもたげ、2x2のサイズへと戻る。

*『クローンヤクザ生体脳』:
  シデムシは精神攻撃系のジツに対しては「クローンヤクザ」とみなされる(モータルではない)。
  そのジツが【精神力】ダメージを与えるものだった場合、【体力】ダメージに読み替えられる。
  このルールはジツに対してのみ有効であり、精神攻撃系のスキルは対象外である。


2-2:ジグラット中枢|待ち受けるアクシス精鋭部隊

「待て。この先、生体反応多数……」アシッドウルフが一行を制止する。階段上からは目眩ましのスモークと共に、ミリタリーブーツが奏でる大量の、しかし異様なほど統一された足音。オナタカミ・トルーパーズだ。

一斉に小銃を構える音。そして海を割るモーセめいて、左右に別れた彼らの間から現れる複数のニンジャの影「ドーモ。我々はアマクダリ・セクトだ。アマクダリ体制に対する諸君らの越権行為に対し、可能な限り善処させていただく」先頭のニンジャ、マーズが代表アイサツを行った。

前衛にマーズ、ファーストブラッド、レイヤークナイ。後衛にアンバーフィンガー、デメント、そしてオナタカミ・トルーパーズ。対する君たちは5人。何も問題はない。敵は排除するのみだ。

描写のサンプル

壮大な階段を駆け上がると、その中腹で待ち受けるアクシス精鋭部隊とオナタカミ・トルーパーズとの戦闘になる。登場するニンジャはパート1より遥かに強い(特にPCそれぞれに対して相性がよい敵が揃うような構成が望ましい)が、このシーンではアシッドウルフも加勢するため、全体的な戦闘難易度はある程度収束する。

戦闘マップ

この戦闘では「P2-1:大階段」の戦闘マップを使用する。マスターはマップ上の「◉マーク」の位置にPCを配置させてから、戦闘を開始する。この戦闘では乱戦のルールが適用される。

またマスターは直前のギミック判定の結果に応じて、オナタカミ・トルーパーをマップから除外し、生き延びたシデムシをマップ最下部に配置すること。

◆敵の行動パターンについて
この戦闘では「マーズ&ファーストブラッド」、「デメント&レイヤークナイ」が可能な限り連携して同じPCを攻撃してくる。

◆戦闘の勝利条件
・敵ニンジャを3人以上爆発四散させる


◇NPCデータ:マーズ

アクシスの精鋭であるマーズは、優先的にファーストブラッドと連携して同じPCを攻撃してくる。

『★★カラテシールド防御』により、エンハンスによる属性ダメージボーナス込みの2ダメージまでを無効化できる防御特化の厄介なニンジャであるため、彼の防御を突破できる手段をPCが持たない場合、マスターは幾らかの弱体化を検討しても構わない。

 最も厄介なオメガに対しては、マーズが付き纏う。二個の円形カラテシールドを自己の周囲に浮かべて攻撃を防御しつつ戦闘する恐るべき手練だ!「イヤーッ!」オメガのウルシ・パンチ!「イヤーッ!」カラテミサイルの如くバチバチと光り輝くエネルギー盾が、それを防いだ!有毒物質を流し込む術はなし!

【サイオン・オブ・ザ・タイラント】より
◆マーズ (種別:ニンジャ)
カラテ     11   体力    14/-1
ニューロン   9   精神力   15
ワザマエ     7   脚力    6/N
ジツ      6   万札    25
近接攻撃D:11、射撃D:7、回避D:11
◇装備や特記事項
 スキル:『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
     『◉◉グレーター級ソウルの力』、『◉ニューロンブースト』
 ジツ :『★ラピッド・カラテミサイル』、『★ムテキ・メイル』
 防具 :『アクシス正式ニンジャ装束(体力+3)』

『★カラテシールド投擲』:
 精神力を1消費し、ジツ発動ダイスによって次の武器による近接攻撃を行う。

 カラテシールド「フォボス&ダイモス」:
  ダメージ2、リーチ+1、カウンター不可、サツバツ発生なし(出目【6,6】で回避難易度+1)

『★★カラテシールド防御』:
 マーズは周囲を浮遊する2つの円形カラテシールドで防御を固めている。
 近接攻撃および射撃に対する『ダメージ軽減1』を獲得し、さらに『属性ダメージ』を1点軽減する。
 ※例えば激突ダメージやスリップダメージ、精神攻撃はこの対象にならない。

『●防御連携』:
 このニンジャは「敵の攻撃対象になるたび」回避ダイスが即座に+1される。


◇NPCデータ:ファーストブラッド

アクシスの精鋭ニンジャ。謎めいた歩法「トビ・タテ」により一瞬で間合いを詰めて戦う。優先的にマーズと連携して同じPCを攻撃してくる。

ファーストブラッドは際立った火力を持たないが、戦闘系ソウルの力によるダイスブーストとトビ・タテを組み合わせた、ほぼ無制限の集中状態からの近接攻撃でPCに圧をかけてくる。ワン・インチパンチも絡めた、積極的な位置関係の変化をもたらすような動きを意識して行動させるのが良いだろう。

 次の瞬間、ファーストブラッドの姿が、消えた。刹那!「ハイヤーッ!」「グワーッ!?」サイサムライは懐に飛び込まれ、痛烈なワン・インチ・パンチを叩き込まれていた!ナムアミダブツ!タタミ4枚もの距離を、一瞬で!?これこそはファーストブラッドが用いる謎めいた歩法、「トビ・タテ」であった!

【サイオン・オブ・ザ・タイラント】より
◆ファーストブラッド (種別:ニンジャ)
カラテ     10   体力    12
ニューロン   8   精神力   10
ワザマエ     9   脚力    5/N
ジツ      0   万札    25
近接攻撃D:10、射撃D:9、回避D:10
◇装備や特記事項
 スキル:『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
     『◉◉タツジン:カンフーカラテ(ボックスカラテ)』、『◉◉戦闘系ソウルの力』
     『◉忠誠心:アマクダリ(精神力+1)』
 防具 :『アクシス正式ニンジャ装束(体力+2、精神力+1)』

『●ワン・インチパンチ』:
 集中状態かつ素手の近接攻撃に出目【4,4】で成功した場合、『弾き飛ばし』を付与しても良い。

『●移動スタイル:トビ・タテ』:
 精神力を1消費して使用。
 即座に4マス以内の距離、もしくは一方向に無制限距離の瞬間移動を行う(ナナメ移動可)。
 続く攻撃フェイズにおいて、使用者は「集中状態」とみなされる。

『●防御連携』:
 このニンジャは「敵の攻撃対象になるたび」回避ダイスが即座に+1される。


◇NPCデータ:デメント

アクシスの精鋭ニンジャ。血中カラテ濃度とニンジャ集中力を乱す、不可視のマインドスリケンと通常のスリケンを織り交ぜて戦う。優先的にレイヤークナイと連携して同じPCを攻撃してくる。

デメントはヘンゲやエンハンスなど、強力なジツに特化したニンジャに対するアンチ能力を持つ。彼の役割は、過去のシナリオでアマクダリに猛威を振るったPCへの対策要員であり、そうしたPCを優先的にターゲットに選択する。

無論、オメガは手練れ中の手練れ。故に狡猾なるデメントは、マーズと連携を取り入念な実体スリケン投擲を何度も見せた後、フェイントめいた一撃を放ち、見事に命中させたのである。「どうした?オムラ最強のニンジャどの。動きが鈍ってきたぞ!イヤーッ!」再びデメントが不可視のスリケンを投げ放つ!

【ネヴァーダイズ 6:アクセラレイト】より
◆デメント (種別:ニンジャ)
カラテ     7   体力    9
ニューロン   10   精神力   10
ワザマエ    10   脚力    6
ジツ      4   万札    25
近接攻撃D:7、射撃D:10、回避D:14
◇装備や特記事項
 防具 :『アクシス正式ニンジャ装束(体力+2, 回避D+3)』
 スキル:『●連続攻撃2』、『●連射3』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
     『◉スリケン高速生成(連射+1)』、『◉シャープシューター』、『◉翻弄』

『★マインド・スリケン』:
 血中カラテ濃度や精神力、ジツに影響を及ぼす不可視のスリケンを投擲する。
 手番開始時に精神力を1消費して発動する(発動難易度:NORMAL)。

 発動した場合、続く攻撃フェイズの「スリケン」射撃は次の効果を得る。

 ・回避難易度が+1される。
 ・このジツが戦闘中初めて使用される場合、この射撃は如何なる方法でも回避難易度を下げられない。
 ・対象は1発ごとに回避ダイスダメージ1を受け、発動中の持続系のジツが強制的に終了する。
 ・対象はデメントの次の手番開始時まで『不覚状態』となる。
  ・次に行うジツ発動判定はさらに判定難易度が+1される(不覚状態と累積され、合計+2)。

『●防御連携』:
 このニンジャは「敵の攻撃対象になるたび」回避ダイスが即座に+1される。


◇NPCデータ:レイヤークナイ

「ホーミングウインド!」クナイを投擲したかと思うと、それはレイヤークナイの手元から残像を生み出しながらムチめいた軌道で襲い来る……否、それ自体が多重に重ねられた超薄型クナイが数珠めいて連なるクナイ・ウィップなのだ!

アマクダリ・アクシス。多重に重ねられた超薄型クナイが数珠めいて連なる、オナタカミ社製の試作型プラズマ・クナイ・ウィップの使い手。優先的にデメントと連携して同じPCを攻撃してくる。

タツジンスキルを所有しているが、実際にはテック武器と組み合わせることができないため、原則『ホーミング・ウィンド』のみを使用して戦う。

「シューッ……これがテックだ」 /// 「焼けて散らばれ!」

◆レイヤークナイ(種別:ニンジャ)
カラテ     6   体力     8
ニューロン   7   精神力    6
ワザマエ    8   脚力     6/E
ジツ      0   万札     -
近接D:8、精密D:10、射撃D:8、回避D:13
◇装備やスキル
防具  :『アクシス正式ニンジャ装束(体力+2, 回避D+3)』
サイバネ:『▶生体LAN端子Lv1』、『▶▶ヒキャクLv2』、『▷▷ブースター・カラテユニットx2』
スキル :『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
     『◉常人の三倍の脚力』、『◉◉タツジン:ムチ・ドー』

『オナタカミ・プラズマクナイウィップ』:
 テック近接武器、ムチ、攻撃難易度NORMAL、リーチ+1、2ダメージ(1ダメ+電磁1ダメ)

 『●戦闘スタイル:ホーミング・ウィンド』:
  【ワザマエ】で攻撃判定を行う。サツバツ!発生なし。痛打なし。
   攻撃出目【6,6】:回避難易度+1、攻撃出目【6,6,5+】:回避難易度+2。

『●防御連携』:
 このニンジャは「敵の攻撃対象になるたび」回避ダイスが即座に+1される。


◇NPCデータ:アンバーフィンガー

君は不可解なジツの乱れに警戒する。右手に琥珀色の第六の指を持つニンジャ。おそらく原因はそれだ。何らかのジャミング波が周囲に放射されているのだ。

右手に琥珀色の第六の指を持つニンジャ。その周辺ではジャミング波めいてエテルの流れが阻害され、ジツの発動が妨げられる。デメント同様に、過去のシナリオで猛威を振るったジツ型のPCへの対策要員として戦略的に配置されている。

この戦闘において、アンバーフィンガーのジツ阻害から影響を受けるのはPCだけではなく、マーズの一部のジツ(ラピッド・カラテミサイルなど)とデメントのマインドスリケンも含まれる。

そのため、アンバーフィンガーはなるべく味方のジツを阻害しないように、かつ強力なジツを持つPCを優先的にマークしたり、守りたい仲間の周囲でジツ阻害フィールドを敷いてPCを待ち受けたりと狡猾に立ち回る。

「得意なジツは封じた。次はどうする?」 /// 「連携するのは自分たちの専売特許だとでも思っていたのか?」

◆アンバーフィンガー(種別:ニンジャ)
カラテ     9   体力     16
ニューロン   9   精神力     16
ワザマエ    6   脚力     5/N
ジツ      7   万札     -
近接D:11、射撃D:6、回避D:11
◇装備やスキル
 スキル :『●連続攻撃2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
      『◉◉グレーター級ソウルの力』、『◉◉アーチ級ソウルの力』
 サイバネ:『▶生体LAN端子Lv1』『▶▶テッコLv2』

『★フレンジー・ハンド』:
 接触した手を通じて血中カラテの流れを阻害し、敵を体内から破壊する。
 手番開始時に精神力を1消費して発動する(発動難易度:NORMAL)。
 発動した場合、術者の「素手」にエンハンスによる『精神力ダメージボーナス1』を追加する。

『★★コーパルフィールド・ジツ』:
 アンバーフィンガーを中心とする5x5の範囲内では、敵味方問わず新たにジツを発動できず、
 また範囲内で移動を終了したキャラは持続系/変身系のジツを強制的に解除されてしまう。
 これを望まない場合、効果対象は回避判定(U-HARD)を行っても良い。
 唯一の例外はアンバーフィンガー本人のみである。

『●防御連携』:
 このニンジャは「敵の攻撃対象になるたび」回避ダイスが即座に+1される。


◇NPCデータ:オナタカミ・トルーパー

ここでは処理簡略化のため【弾幕発生】のオプションルールを採用する。

ただし初期状態ではかなり大量(38体)に配置されている(ただしギミック判定で20体程度は除外されることを想定している)ため、NMはトルーパー3体ごとにPC1人へ「1ダメージ(回避UH)」が発生するものとして機械的に処理する。つまり12体が生存している場合、PC4人へ「1ダメージ(回避UH)」が発生する。

さらに人数が多く生存している場合、3体ごとに上記の回避難易度をさらに引き上げる(UH2)。

◆オナタカミ・トルーパー (種別:モータル/バイオ生物/ヤクザ)
カラテ    3  体力   2
ニューロン  1  精神力  1
ワザマエ   4  脚力   2
ジツ     -  万札   0
近接攻撃D:2、射撃D:4
◇装備や特記事項
装備:『液晶ヘルメット&オナタカミ武装戦闘服』

『オナタカミ・ライオット・ショットガン』: 銃器、連射1、ダメージ2


📝幕間の情景描写:荒野のニンジャスレイヤー

マスターは必要に応じて、このショートエピソードの描写を行う。これは、このシナリオとほぼ同時系列で起きている別視点の出来事である。

新幹線に乗り、磁気嵐の荒野に向かうニンジャスレイヤー。ナンシーの助けにより攻撃衛星へのアクセスポイントが荒野の旧軍事施設にあることを突き止めた彼は、衛星攻撃を止めるため、またアルゴスへの攻撃のバックドアを手に入れるためそこへと急ぐ。しかし、その間にブラックサイトによるネオサイタマへの攻撃は始まってしまう。

旧軍事施設を守るデシグネーションとミスクリエイテッドは、ニンジャスレイヤーとの交戦により爆発四散してしまうだろう。

「あれは……!」新幹線の屋根でアグラを組んでいたニンジャスレイヤーは目を見開く。その視線の先には、厚い重金属酸性雨の雲を貫き、ネオサイタマへと向けて降り注ぐ無数の光があった。

『想定より遥かにハヤイ動き。カスミガセキが攻撃されて、大変な騒ぎよ』「やはり連中の目的は地下のUNIXとやらか」『メイビー。でも妙ね。衛星攻撃の標的はジグラットだけじゃない……ソウカイヤテリトリーのインフラ拠点、それに主要な発電施設も次々にやられている。ネオサイタマが……炎上しているわ』

再び、ニンジャ同士の抗争によって、罪無き市民が苦しめられ、絶望を味わおうとしている。フジキドの胸に、沸々と怒りが湧き上がる。

「やることは変わらぬ」妻子の敵であるラオモト・カン。かの敵を暗殺するには、この都知事選は最大の好機であった。だが、ニンジャスレイヤーはキョートへと向かう新幹線の上だ。何故か?

あの破壊を止めるため、ニンジャを殺すためだ。『もうすぐ目標地点よ。カルトの連中だけじゃない。CIAの手先のニンジャたちもいる。でも、月面にアクセスするならそこが最短経路』「問題ない。ニンジャを殺し、奴らの計画を止める」怒れるサラリマン、フジキド・ケンジは光射す天を睨みながら立ち上がり、磁気嵐の荒野へと跳んだ。

衛星通信施設を乗っ取り、月面に鎮座せしA.R.G.O.S.の喉笛を掴むために!


📝幕間の情景描写:トコロザワ・ピラー

マスターは必要に応じて、このショートエピソードの描写を行う。これは、このシナリオとほぼ同時系列で起きている別視点の出来事である。

ゼウスの雷の余波が直撃したトコロザワ・ピラーに、ラオモトを護衛しに来たとハーヴェスターら湾岸警備隊が現れる。ハーヴェスターはラオモト暗殺のためアマクダリから派遣されたが、彼はアマクダリの不利を見てソウカイヤ側に完全に鞍替えをしようと考えている。

しかし、彼がアマクダリとソウカイヤの双方に通じていたことはラオモトに見抜かれており、シックスゲイツおよびダークニンジャと湾岸警備隊のイクサが始まる。

「ドーモ、ラオモト=サン。ご無事で何より。お迎えにあがりましたぞ」ミリタリーニンジャコート装束を纏うその男、ハーヴェスターは、衛星攻撃の余波で稲妻が直撃し半壊したトコロザワ・ピラーへと早々に参上した。「羽虫共め、随分と派手にやってくれたものですな」

『ドーモ、ハーヴェスター=サン』IRC越しに、轟くような低音でラオモトが返す。ビッグビジネスのひとつであった都知事選の場を不意にされたことで、今、彼の機嫌はかつてないほどに悪い。そしてトコロザワ・ピラーへの直接攻撃、ネオサイタマの炎上。なんたる経済損失!

「攻撃衛星を掌握しているところを見るに、奴ら米国か、あるいはソ連の残党共でしょうな。ネオサイタマのニンジャ組織へ片っ端からテロ攻撃とは、流石の我輩も予想外でしたわ。ハハ……!」ハーヴェスターは乾いた笑いを笑った。「侮れん相手です。何をしてくるか分からん。ピラーもこの有様では、攻め込まれるにはちと荷が勝つでしょう」『そうよのう』ラオモトはゆったりと相槌を打った。


「我輩と部下たちが安全な場所まで御身をエスコートします」ラオモトはカメラ越しにハーヴェスターの背後、複数台の装甲車と湾岸警備隊のニンジャたちを見る。『ほう、俺様に逃げ隠れしろというのか?』「此度の雨はちと手に余るかと」

『……よかろう』一瞬の沈黙の後、無感情な声が返る。「では……」「グワーッ!?」ハーヴェスターの言葉を背後からの悲鳴が遮る。「何だ!?」その場の全員が悲鳴の先に目線をやる。悲鳴の主は、胴体を背後からカタナで貫かれたアイアンジャケット。そして「ドーモ。ダークニンジャです」その妖刀を握るはソウカイヤの懐刀であった。

『マジックモンキーの伝説を知っておるな?ハーヴェスター=サン。いや知っておるはずだ。素晴らしく小賢しいオヌシのことだからな』「……防御陣形!」指揮官の声に呼応して、湾岸警備隊は防御円陣を組む。アイアンジャケットが爆発四散する。

『アマクダリとネンゴロ関係にあることを知らぬとでも思うたか?ワシと連中、両者に取り入ろうと調子良く飛び回っていたのはオヌシだったというわけだ。ブッダの掌を逃げるマジックモンキーめいてな。ムハハハハハ、実に哀れな話だ!』ソニックブーム、バンディット、ビホルダー、レイザーエッジ、ヘルカイト……シックスゲイツを始めとするソウカイヤの精鋭たちが湾岸警備隊を取り囲む。

「なるほど。我輩、思いの外耄碌していたらしい」ハーヴェスターはその言葉と裏腹に、猛禽めいた笑みを浮かべる。『では、敵を殺せ!』ラオモトの号令が、ソウカイヤと湾岸警備隊のイクサの火蓋を切った。

描写のサンプル


2-3:ハタモトとの決戦

荘厳な大階段をついに登りつめた4人は、カスミガセキ・ジグラットの中枢、人工の桜が植えられた人工芝庭園へと飛び込む。そして一行は自然と脚を止めた。そこには3人のニンジャが直立不動で待ち構えていた。

黒金の装束のニンジャが酷薄な目を光らせ、呟いた。「ひとまず長旅ご苦労と言っておこう」そしてアイサツした。「ドーモ、スワッシュバックラーです」抜き放たれた刺突剣が風を震わせる。

そして白金のニンジャが、影のニンジャがアイサツした。「ドーモ。ドラゴンベインです」「シャドウドラゴンです」「貴公らのカラテはここで叩き潰し、以て当主の情報遺伝子の完全性を保つ。それだけだ」

カシャン。カシャン。スワッシュバックラーの装束の襟元から装甲がせり上がり、顔の上半分を覆うスティールの仮面と組み合わさって、極限白兵仕様のフルメンポを形成した。ドラゴンベインの豹頭が圧縮空気を噴きながら変形し、幻獣めいた意匠があらわれた。二者の右腕付け根の天下紋が淡く光った。

日本政府のハナミ儀式に用いられるこの庭園は新たな決戦の舞台となった。

描写のサンプル

アクシス精鋭を突破した先、ハナミ庭園では3人のハタモトが待ち構えている。アルゴスは衛星レーザーで損傷したアガメムノンの肉体の再構成が完了しつつあることを警告し、PCはハタモトの隙を突いてアシッドウルフがUNIXへと向かうための活路を開く必要がある。

なお爆発四散しなかったアクシスの生き残りが存在する場合、アルゴスの制御によりPCの背後でハナミ庭園の隔壁扉が封鎖され、彼らはこのシーンのイクサ場から隔絶されてしまう(存在を無視する)。


戦闘マップ

この戦闘では「P2-2:ハナミ庭園」の戦闘マップを使用する。マスターはマップ上の「◉マーク」の位置にPCを配置させてから、戦闘を開始する。この戦闘では乱戦のルールが適用される。

またPCと共にアシッドウルフも味方NPCとしてマップ上に配置される。

◆戦闘の勝利条件
フェーズ1:敵のHPを合計10点以上減らす。
フェーズ2:シャドウドラゴン以外のハタモトを倒す。

この戦闘では上記の勝利条件を満たすことで、段階的に戦闘イベントが進行してゆく。『フェーズ1』の条件を満たすと、ターン終了時にアシッドウルフは庭園を突破しUNIXへと向かうため戦闘から離脱する(ハタモト3人 VS PCとなる)。『フェーズ2』の条件を満たすとパート2は終了する。

カラテを構え、再び彼と並び立った君たちは自覚する。既に己のカラテがメンターであった彼を上回っていることを。ここまでは彼と、彼のカラテが君たちを導いた。だが今は、君たちのカラテが敵を蹴散らし、彼に道を作る番だ。

戦闘開始前の描写


◇NPCデータ:ドラゴンベイン

ドラゴンベインはパート2におけるメインのボスキャラクターの1人だ。彼はフェーズ1の間はツラナイテタオス装備で戦うが、フェーズ2になると素手装備に切り替え、ヒサツ・ワザも狙う身軽な戦闘スタイルとなる。

『●ハタモトの矜持』の効果により、ドラゴンベインかスワッシュバックラーのどちらか片方は1ターンに2回行動を行う(行動手番が終了すると、即座に2回目の行動手番が発生する)。マスターは毎ターン開始時にダイスロールを行い、2回行動を行うハタモトがどちらかを決定しておくこと。

乱戦ルールにおいて、例えばドラゴンベインから2回行動の両方で同じPCが攻撃ターゲットに選ばれた場合、例外的に2人から攻撃を受けたものとして考える(そのPCはこれ以上攻撃を受けない)。

ドラゴンベインの豹頭が圧縮空気を噴きながら変形し、幻獣めいた意匠があらわれた。二者の右腕付け根の天下紋が淡く光った。

【ネヴァーダイズ 6:アクセラレイト】より
◆ドラゴンベイン(種別:ニンジャ)
カラテ    15  体力   30
ニューロン  7  精神力  13
ワザマエ   8  脚力   5/E
ジツ     5  万札   30

攻撃/射撃/機先/電脳  15/8/7/7
回避/精密/側転/発動  15/8/8/12

◇装備や特記事項
 **ツラナイテタオス** (所持ペナルティ【脚力】-2、反映済み)
 **業物の西洋鎧甲冑一式** (【体力】+12、【脚力】-2、反映済み)

スキル:『●連続攻撃3』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』、『●即死耐性』
    『◉常人の3倍の脚力』、『◉トライアングル・リープ』、『◉鉄拳』、『◉スリケン急所破壊』
    『◉◉◉忠誠心:アマクダリ』、『◉マーク・オブ・アマクダリ』

『**ツラナイテタオス**』: 以下のルールを持つ特殊な「超大型武器」とみなす
  『攻撃難易度:HARD』、『ダメージ3』、『痛打+1』、『連続側転難易度:U-HARD』
  『●戦闘スタイル:ツラナイテタオス回転斬撃』、『●戦闘スタイル:串刺し』

 『●戦闘スタイル:ツラナイテタオス回転斬撃』:
  連続攻撃上限1。『痛打』『サツバツ!』発生なし。カウンター不可。回避難易度HARD。
  【ワザマエ:HARD】で判定し、隣接している敵全員に1ダメージと『弾き飛ばし』を与える。

  【6,6】:隣接している敵全員に1ダメージを1回ではなく2回与える。
  【6,6,6】:隣接している敵全員に1ダメージを1回ではなく3回与える。  

 『●戦闘スタイル:串刺し』:
  『攻撃ターゲット1体固定』『リーチ+1』、『装甲貫通1』、『拘束攻撃(脱出:U-HARD)』を得る。
  隣接している敵を『拘束』することに成功した場合、その敵を強制的に1マス後退させてもよい。


『★★モズ・ダイブ』:2ターン連続使用不可
 【精神力】を1消費し、移動の代わりに使用(ジツ発動:HARD)。
 視界が通る任意のマスへと移動し、隣接する敵1体へダメージD3(装甲貫通2,回避HARD)を与える。
 このときドラゴンベインはさらに、続く『攻撃フェイズ』において通常の近接攻撃を行える。


『●ハタモトの矜持』:
 ・このスキルを持つキャラは1ターンに1人だけ、2回行動を行う(誰が2回行動するかはランダム)。
 ・また同スキルを持つ味方NPCが死亡すると、それ以降回避ダイス上限が2倍となり
  『ラスト・ニンジャ・スタンディング』状態のペナルティを全て無視できるようになる。

 ・『サツバツ!』などによる能力値ダメージを受けたとき、【精神力】1を消費して無効化しても良い。
 ・『●即死耐性』によるダメージ変換を『痛打+2d3』まで軽減する。


◇NPCデータ:スワッシュバックラー

ドラゴンベインはパート2におけるメインのボスキャラクターの1人だ。彼はフェーズ1の間は連続精密刺突と強化精密攻撃を使い分けるが、フェーズ2になると戦闘スタイルが『針の穴』を織り交ぜた大ダメージ狙いの強化精密攻撃優先に切り替わる。

『●ハタモトの矜持』の効果により、ドラゴンベインかスワッシュバックラーのどちらか片方は1ターンに2回行動を行う(行動手番が終了すると、即座に2回目の行動手番が発生する)。マスターは毎ターン開始時にダイスロールを行い、2回行動を行うハタモトがどちらかを決定しておくこと。

乱戦ルールにおいて、例えばスワッシュバックラーから2回行動の両方で同じPCが攻撃ターゲットに選ばれた場合、例外的に2人から攻撃を受けたものとして考える(そのPCはこれ以上攻撃を受けない)。

カシャン。カシャン。スワッシュバックラーの装束の襟元から装甲がせり上がり、顔の上半分を覆うスティールの仮面と組み合わさって、極限白兵仕様のフルメンポを形成した。

【ネヴァーダイズ 6:アクセラレイト】より
◆スワッシュバックラー (種別:ニンジャ)
カラテ    7   体力   13
ニューロン  7   精神力   14
ワザマエ   15  脚力   8/N
ジツ     3   万札   30

攻撃/射撃/機先/電脳  7/15/7/7
回避/精密/側転/発動  15/15/15/-

◇装備や特記事項
 装備 :『刺突剣(カタナとみなす)』
 スキル:『●連続攻撃2』、『●連射3』、『●時間差』、『●マルチターゲット』、『即死耐性』
     『◉◉◉忠誠心:アマクダリ』、『◉マーク・オブ・アマクダリ』、『◉電光石火』
     『◉バック転回避』、『◉殺人剣』、『◉◉タツジン(イアイドー)』
     『◉ヒサツ・ワザ:タイノサキ』、『◉銃弾の見切り』、『◉ツジギリ』
     『☆謎めいたニンジャソウル』

『●戦闘スタイル:連続精密刺突』:「刺突剣」装備時のみ使用可能
 『●連続攻撃5』となり、【ワザマエ】で『攻撃判定』を行う。
 『ターゲット敵1体固定』、『1ダメージ固定』、『カウンター不可』、『サツバツ!不可』

『◉戦闘スタイル:針の穴』:「刺突剣」装備時のみ使用可能
 【精神力】1を消費して使用。【ワザマエ】で『攻撃判定』を行う。
 『ダメージ1』、『痛打+1』、『回避難易度:HARD』、『装甲貫通1』、『ターゲット敵1体固定』

『●ハタモトの矜持』:
 ・マップ上の味方のニンジャが爆発四散、もしくは撤退するたびに『緊急回避ダイス』を+2する。
 ・『サツバツ!』などによる能力値ダメージを受けたとき、【精神力】1を消費して無効化しても良い。
 ・『●即死耐性』によるダメージ変換を『痛打+2d6』まで軽減する。


『●ハタモトの矜持』:
 ・このスキルを持つキャラは1ターンに1人だけ、2回行動を行う(誰が2回行動するかはランダム)。
 ・また同スキルを持つ味方NPCが死亡すると、それ以降回避ダイス上限が2倍となり
  『ラスト・ニンジャ・スタンディング』状態のペナルティを全て無視できるようになる。

 ・『サツバツ!』などによる能力値ダメージを受けたとき、【精神力】1を消費して無効化しても良い。
 ・『●即死耐性』によるダメージ変換を『痛打+2d3』まで軽減する。


◇NPCデータ:シャドウドラゴン

この戦闘において、シャドウドラゴンはあくまでも背景装置であり、最後の1人の鷲のニンジャとの決戦が始まる場合は『★生成クナイ・ダート連投』によりPC全員に満遍なく攻撃するなど機械的に処理する。

「これが私だ。これが私のジツだ。アマクダリ・セクトのシャドウドラゴンだ」

◆シャドウドラゴン(種別:ニンジャ)
カラテ    9      体力   32/-1
ニューロン  12     精神力  23
ワザマエ   12     脚力   9/N
ジツ     7      万札   25
近接攻撃D:14、射撃D:12、ジツ発動D:18、回避D:14
◇装備や特記事項
 スキル :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
      『●飛行移動12』、『●即死耐性』、『◉空中制動』、『◉◉タツジン:エアロカラテ』
      『◉◉グレーター級ソウルの力』、『◉◉アーチ級ソウルの力』
      『★★★◉半神的存在』、『★★★◉欠損部位再生』、『★★★◉アーチ級装束生成(重装)』

『☆シャドウピン・ジツ』:
 精神力を1消費して難易度NORMALで発動。発動に成功した場合、即座にスリケンで射撃する。
 射撃判定は自動成功する。このスリケンはダメージを与えないが、命中した相手を
 術者の次の手番開始時まで拘束状態(回避難易度+1、移動不可)にする(脱出難易度U-HARD)。
 
 ※この拘束状態からの脱出失敗によるダメージは発生しない。
 ※拘束状態のキャラは1ダメージでも受けると、そのフェイズ終了時に自動的に解放される。

『★追尾性シャドウピン・ジツ』:
 精神力を2消費して難易度HARDで発動。敵隣接時には使用不可。
 『回避難易度+1』を付与した『☆シャドウピン・ジツ』を即座に発動する。

『★生成クナイ・ダート連投』:
 精神力を1消費して『☆カラテ・ミサイルLv6』を発動する。
 発動判定時、出目【6,6,6】でさらに2発が追加される。
 ※同じ敵に集中砲火する場合、2,3,4ダメージの時間差となる(回避NORMAL)。

『★★シャドウブレス・ジツ』:
  「リンピオトーシ……カイジンリッツァイゼン」
 精神力を3消費して難易度HARDで発動。集中時のみ使用可能。
 術者と隣接した5×5マスに無属性のD3ダメージを2回与える(回避U-HARD、時間差)
 1発でも命中した場合、フェイズ終了時に対象へさらに『回避ダイスダメージ2』を与える。
 また攻撃が命中した対象1体を選択し、拘束状態(脱出ワザマエUH2、拘束ダメージ2)にしてもよい。
 ※これによる敵の拘束中は他のジツを発動することができない。
 ※術者が1でもダメージを受けた場合、この拘束は即座に解除される。
 
『★★★影の鎧』:
 ・常時ダメージ軽減1を得る(貫通不可)。
 ・素手による近接攻撃の基礎ダメージが2になる。
 ・【カラテ】+5、【脚力】+3、『連続攻撃+1』を得る。
『◉◉タツジン:エアロカラテ』:

 『●移動スタイル:切り裂き飛行』:
  『飛行移動』を行う。『轢殺攻撃1』を使用可能となる。


 『●移動スタイル:上空退避』:
  最大移動距離を本来の半分として『飛行移動』を行う。
  続く「攻撃フェイズ」で『近接攻撃』を選択できなくなるが、次の手番開始フェイズまで、
  『連続側転移動』または『飛行移動』後でなければ、このキャラは『近接攻撃』対象にできなくなる。

  またこの状態にある間、他の敵や障害物を無視して、全ての敵に対して視線が通り、
  全ての敵から自分へも視線が通るようになる(壁などは無視できない)。


『●移動スタイル:急降下攻撃』:
  直前の手番で『上空退避』を使用している場合のみ、この移動スタイルを使用できる。
  マップ内で視線が通っている20マス以内の好きな場所へと、直ちに使用者を移動させること。
  着地点と隣接する敵1体は、この移動終了時に、自動的ダメージを1受ける(『回避:U-HARD』)。
  使用者は『飛行移動』を行なったとみなし、続けて「攻撃フェイズ」を行える。


2-4:ハタモトとの決戦(フェーズ2)

「イヤーッ!」「グワーッ!」イクサの優位が僅かに傾いた瞬間を突き、アシッドウルフの蹴りがシャドウドラゴンの胴体を捉え、空中へと跳ね上げる。これはピストルカラテの禁じ手、ネバダズ・デスカタパルトの予備動作!

だが彼は追撃ではなく、先に進むことを選ぶ!「誰も通すな!後は任せるぞ!」庭園を抜け、アシッドウルフは隔壁の先へ!途端、隔壁は閉ざされ、機密性を再び保持した。

描写のサンプル

フェーズ1の進行条件を満たすと、マスター描写が挟まれ、戦闘は第二フェーズへと移行する。

このフェーズにおいては、アシッドウルフが隔壁の先へと駆け抜けたことで、アマクダリ側とPC側の立場は逆転する。すなわち、PCはアマクダリのハタモトが隔壁を破壊し、アシッドウルフの元へと辿り着くのを阻止する必要がある。

隔壁が破壊されるまでに、ドラゴンベインとスワッシュバックラーを爆発四散させればPCの勝利となり、パート2は終了する。

◇特殊ルール(フェーズ2):隔壁の破壊/防衛
フェーズ2の戦闘において、スワッシュバックラーとドラゴンベインは隔壁を攻撃し、アシッドウルフを追撃しようと試みる。PCは身を挺してでも、それを阻止しなくてはならない。

ターン開始時にスワッシュバックラーとドラゴンベインは【ワザマエ】 or 【カラテ】判定(HARD)を行う(合計30ダイス、成功数期待値10)。この成功数は『障壁へのダメージ』として累積されてゆき、30点蓄積された時点で障壁を突破されてしまう(目標失敗)。

このときPCは『任意の数の回避ダイスをコストとして消費』することで、その値分だけ上記判定の成功数を減らすことができる。コストは複数のPCが分散して負担しても良い(=PC4人が回避ダイス1ずつ消費した場合、成功数を4点減少させられる)。ただし、既に累積された『障壁へのダメージ』を減らすことはできない。


◇イベント:再定義の進行(第一段階)

その直後だった。アルゴスによるインターネット再定義の第1波が走り、01の風に乗ったコトダマを粉砕したのは。彼は異変を感じ取った。凄まじい精神衝撃波が、ジグラットを中心に、世界全域に走った。「ア」逃げる間もなかった。重なり合っていた二つの世界が、肉体とソウルが、左右に引き裂かれた。

シャドウウィーヴはあたかも強烈な白光を拒むように、歯を食いしばって視線を下げ、両手を前方に突き出していた。衝撃波が走り抜けた後も、しばらくそうしていた。目を開き、掌を見た。そしてアイアンオトメを、周囲を見た。確かに、一瞬だけ、世界が左右に大きくぶれた。今は再び重なり合っている。

【5:ダンス・トゥ・ツキ・ヨミ】

フェーズ2の戦闘中、マスターは任意のタイミングでこのイベント判定を発生させる。アシッドウルフとアルゴスによる再定義が始まり、第一波の精神衝撃波が敵味方問わずに襲いかかるのだ。彼らは本来必要な大電力を、攻撃衛星「MT-OS-6R/メガトリイ・オービタル・ストライク・システム6改」から無理矢理引きずり出すことで演算能力を一時的に高めている。

PC全員は【ニューロン】判定を行い、出目【6】の数に応じて『再定義』から次の影響を受ける。

出目6の数
0  :【精神力】-1
1  :【精神力】-1、次ターンの【回避ダイス】+1
2  :【精神力】+1、次ターンの【回避ダイス】+1
3以上:【精神力】+ (n-1)、次ターンの【回避ダイス】+1
※nは出目6の数に等しい


📝幕間の情景描写:シロウ・イスヒの計画

マスターは必要に応じて、このショートエピソードの描写を行う。これは、このシナリオとほぼ同時系列で起きている別視点の出来事である。

プラズマワスプが生存していた場合は彼が、そうでない場合はシロウ・イスヒのニューロンチップを回収した別のメイライ社のニンジャが、新たなコスモクライム≒シロウ・イスヒのボディとなり、炎上するネオサイタマそしてジグラットを監視している。彼は何かが起きるのを待っている。

また、その傍らには炎上するネオサイタマに絶望するブルームキャットの姿がある。彼女は【オペレイシヨン・ライト】での一件からブラックサイトやアシッドウルフに疑念を抱くようになっており、最終的には離反を決断している。

ネオサイタマが、炎上している。空から降り注ぐ光の柱によって。空からの砲撃によって。ジグラットからの砲撃によって。墜落するツェッペリンによって。争うニンジャたちによって。被害はカスミガセキ・ジグラット周辺に留まらず、漏出した重油が海洋をそうするように、じわじわとネオサイタマを蝕み始める。

「随分と盛大なパーティーですね。ここまで無茶をするとは」かつてプラズマワスプと呼ばれていたニンジャは、風を感じながらジグラットの惨状を興味深げに眺めた。今や彼は『シロウ・イスヒ』であった。

「このままでは色々と……大変なことになるでしょうね。勿論、ネオサイタマだけの話ではない」「なら早く……なんとかしないと」ビルの縁に腰掛け、うつむきがちなブルームキャットの声は僅かに震えていた。

「言ったでしょう。タイミングが重要なのです。あの状況ではジグラットに近づくだけでオタッシャですよ」「分かってる……分かってる!」「そして、貴女だからこそ、あそこに忍び込むチャンスを掴めるのだということをお忘れなく。良いですね?」どうしてこんなことになってしまったのか。全ては、ネオサイタマをより良い場所に変えるために行ってきたことではなかったのか。燃え盛るネオサイタマを直視できず、フードを目深に被り直す。

あの日、ここのような屋上で死んだ男、シロウ・イスヒは明らかに何かを企んでいる。彼女の鋭敏なニンジャ第六感は、彼を取り巻く異常なエテルの流れを捉えていた。かつての敵、亡霊、そんな存在の力を借りねばならぬ状況が、彼女をまた苦悩させた。

だが決して、ブルームキャットは諦めたわけではなかった。

ネオサイタマが、炎上している。

描写のサンプル


📝幕間の情景描写:激突する空中戦艦・マテリアライズ

マスターは必要に応じて、このショートエピソードの描写を行う。これは、このシナリオとほぼ同時系列で起きている別視点の出来事である。

空中戦艦はついにトコロザワ・ピラーに激突する。アガメムノンの肉体再生を阻害するべく、大量に積載されていた海水が流れ込むなか、肉体を流体化させたマテリアライズは共にジグラットへと身を投じる。

KABOOOM!KABOOOM!KABOOOM!『電磁シールド限界な』絶え間ない砲撃音に包まれながら、マテリアライズはIRC越しに伝わってくる様々なエマージェント情報を吟味する。航空戦艦の電磁シールド残量も、装甲も最早限界に近い。だが問題はない。

この船には、兵士も、兵器も、弾薬も、最早積まれていない。最低限のそれは全て使い尽くされたか、降下し尽くした。元より搭載する必要がなかったからだ。正確には、そのような余力がなかったからか。

『進入降下角を微調整。エージェントは予定通り、衝突に備えよ』アルゴスからの交信。航空戦艦はネオサイタマの権力の象徴たるカスミガセキ・ジグラットに異常接近していた。衝突とは、すなわち、ジグラットへの衝突。そろそろ連中も気がついただろうか。

対空砲撃によって穴の空いた船体から、液体が眼下のジグラットへと降り注ぐ。そう、これこそがこの船の真の役目。『第二、第三エンジンも停止。自由落下開始まで7秒』墜落を始めた船上で、マテリアライズはニンジャバランス感覚を駆使して転倒を堪える。

『激突まで5……4……3……2……1……』KRAAAAAAAAASH!!轟音と共に大質量がジグラットの1区画をまるごと押し潰す。そして船体から溢れ出る、水。ただの水ではない。2万6000トンもの、海水だった。DOOOOM!!!亀裂から流入し、複雑な構造のジグラット内部を濁流が洗い流す。

計画通り。しかし、どれほどの効果があるのかはわからない。それはたった数分、いや数秒の効果しかもたらさないのかもしれない。だがマテリアライズにとってそれは重要なことではなかった。彼はただ、役目を果たす。それだけだった。

『海水の流入を確認。アガメムノンの実体再生完了までの予測時間を再演算する。エージェントは計画通り、内部へと侵入せよ』『了解。増援への追加ナビゲーションを要請』『承認。メイライ戦力の侵攻ルートを再ルーティング』『感謝する。では、現時刻より突入を開始する』

マテリアライズはアルゴスとの短い交信の後、アメナガレのジツに流体化した肉体を、ジグラットへと流れ込む濁流へと投じた。

描写のサンプル


◇NPCデータ:マテリアライズ

マテリアライズは電子戦争にも参加した経歴を持つ退役軍人である。基本的な銃撃戦のみならず、近距離でのCQB、ブービートラップの構築、長距離狙撃、部隊指揮など幅広い分野での軍事活動をこなす。

「作戦行動を開始」 /// 「2分後に狙撃ポジションに到着」

◆マテリアライズ(種別:ニンジャ)
カラテ     9  体力     12
ニューロン   9  精神力    14
ワザマエ    7  脚力     5/N
ジツ      4  万札     -
近接D:12、射撃D:9(13)、回避D:15
◇装備やスキル
装備   :『ネオン装束(回避D+1)』、『AAV-229アサルトライフル&スコープ』、『重金属弾』
サイバネ :『▶クロームハートLv1』、『▶サイバネアイLv1』、『▷全方位監視アイLv1』
      『▶▶▶鷲の腕Lv3』
スキル  :『●連続攻撃2』、『●連射2』、『●マルチターゲット』、『●時間差』
      『☆ムテキ・アティチュードLv3』、『◉頑強なる肉体』
      『◉シャープシューター』、『◉タクティカル移動射撃』
      『◉◉グレーター級ソウルの力』、『◉◉タツジン:ミリタリーカラテ』

『★アメナガレ・ジツ』:
 一時的に身体を水銀めいた流体金属に変え、敵の攻撃を吸収・無効化するジツ。 
 『☆ムテキ・アティチュード』の効果中も難易度+1で『回避判定』が可能となる。
 ただし『火炎ダメージ』からは2倍のダメージを受け、さらに一切軽減することができなくなる。

『★◉流体剣生成』:
 ジツにより自身の両腕を一時的に変形させ、攻撃の瞬間だけ流体カタナを生成する。
 『素手』攻撃時、エンハンスにより『無属性ダメージボーナス+1』、『連続攻撃+1』を得る。

『AAV-229アサルトライフル&スコープ』:
 遠隔武器、小銃、ダメージ1、連射3、時間差可、攻撃集中時「射撃D+2」


▼パート3:上書き

導入

「ARRRRRRRRGH!!!」再定義により、一層力を増したシャドウドラゴンが吼える。ドラゴンベインとスワッシュバックラーは死んだ。だが、息をつく暇もない。シャドウドラゴンの背後からは、次々と金属音が響く。閉鎖していた大扉を突破し、シデムシを含むアマクダリの防衛戦力がハナミ庭園に到達したのだ。

今や、アマクダリ・セクトと立場は逆転した。この場を守り、何者も通すべからず。ここがイクサの分水嶺だ!

描写のサンプル

パート3は特殊な判定イベント、イベント戦闘、大ボス戦の3シーン構成となっている。マスターは上記の描写をパート2の締め括りなどとして行った後、そこから連続する形で後述の判定イベントを発生させる。


隔壁の防衛(判定イベント)

そのとき『ザザザ……エージェントはレリック級UNIXへと繋がる隔壁を引き続き防衛せよ』アルゴスとの通信が復帰。『繰り返す。エージェントは障壁を防衛せよ。再定義プロセスを妨害させてはならない』

『メイライ戦力を降下誘導中』KABOOOM!天井の一角が爆風に大穴を開け、そこから次々と強化カーボン製の降下用ロープが垂れ下がる。『ジグラット中枢へと向けたオナタカミ戦力の急速な集中を確認。連携し、迎撃せよ』

「MOVE!MOVE!MOVE!」天井の大穴からラペリング降下を始めるのは、全身をテックアーマーに包むメイライ社の無自我兵。「「「ザッケンナコラーッ!」」」大階段から庭園へと押し寄せるのはオナタカミ製のハイグレード装備に身を包むクローン兵。ハナミ庭園は一瞬にして戦場と化した。

====

「GRRRR!」竜頭の口が大きく開く!そして影の霧が吐き出された!「SHHHHHHH !SHHHHHH!」広範囲に吐き散らす影のブレス!酸めいた影の霧!

シャドウドラゴンは半歩下がり、真っ直ぐに立てた二本指をニンポめいて翳した。「リンピオトーシ……カイジンリッツァイゼン」見よ!黒い霧は生き物めいて収束し、執拗に敵の身を苛む!なんたる恐るべきジツか?「……任務遂行に支障無し」

「これが私だ。これが私のジツだ。アマクダリ・セクトのシャドウドラゴンだ」アシッドウルフとアルゴスが執り行う「再定義」に起因しているのか、シャドウドラゴンのジツは先程より遥かに高まっている。

このシーンでは「P3-1:障壁防衛戦」の戦闘マップを使用して、実際にモブNPCをマップにPOPさせながら処理を進める。ここでは戦闘の代わりに、特殊な判定イベントが発生し、パート2における『障壁へのダメージ』をそのまま引き継ぐ形で、障壁をアマクダリから防衛することになる。

ここでは次の順番で戦闘処理を簡略化したイベントが発生する。PCの目的は、これが3周し終えるまでに『障壁へのダメージ』を30点に到達させないことが目的となる。

処理1:パート2の前半戦で生存したアクシスNPC全員&シャドウドラゴンは【ワザマエ】 or 【カラテ】判定(難易度:HARD)を行う。

※シャドウドラゴンのみ難易度:NORMALで判定する。アクシスが全滅している場合、シャドウドラゴンのみが難易度:NORMALで2回行う。


このとき全PCはそれぞれ『任意の数の回避ダイスをコストとして消費』
してから【ワザマエ】 or 【カラテ】判定(U-HARD)を行い、「消費した回避ダイス数+判定成功数」だけ上記判定の成功数を減らすことができる。

コストは複数のPCが分散して負担しても良い(=PC4人が回避ダイス1ずつ消費した場合、成功数を4点減少させられる)。ただし、既に累積された『障壁へのダメージ』を減らすことはできない。

軽減処理の後、アマクダリ側の判定成功数がそのまま『障壁へのダメージ』として累積され、30点蓄積した時点で障壁を突破されてしまう(目標失敗)。

処理2:シャドウドラゴンは【ニューロン】判定(難易度:EASY)を行い、成功数の2倍だけ『オナタカミ・トルーパー』をPOPさせる。判定に出目【6】が含まれている場合、その数だけトルーパーの代わりに『シデムシ』がPOPする。

『オナタカミ・トルーパー』は存在する人数だけ、処理1におけるアマクダリ側の判定成功数を+1する(=5人存在する場合、成功数+5)。『シデムシ』も同様だが、判定成功数ボーナスは1体あたり+2となる。

処理3:全PCはそれぞれ『任意の数の回避ダイスをコストとして消費』することで「消費した回避ダイス数÷2」体だけ、処理2でPOPした『オナタカミ・トルーパー』を減らすことができる。

このとき、さらに【ニューロン】判定(難易度:HARD)を行い、その成功数だけ『メイライ・トルーパー』をPOPさせる。判定に出目【6】が含まれている場合、その数だけトルーパーの代わりに『サターン』がPOPする。

『メイライ・トルーパー』は「存在する人数÷PC人数」だけ、処理1においてPCの判定ダイスを+1する(=PCが4人で、トルーパーも4人存在する場合、全PCがダイス+1個)。『サターン』は単純に、1体あたり判定成功数を+1とする。

処理4:シャドウドラゴンがシャドウブレス・ジツによる面攻撃を行う。全PCは回避判定(難易度:U-HARD)を行う。失敗した場合は1D3ダメージを受ける。この処理が終了したのち、全PCの回避ダイスは最大まで回復する。

この判定を3周し終えたとき、次の『再定義』イベントが発生し、シーンが次へと進む。なおこの判定イベントに参加しているアクシスのニンジャは、3周目の判定においてPCに破れ爆発四散するものとして処理する。


◇NPCデータ:シデムシ

◆シデムシ (種別:戦闘兵器、大型2x2、クローンヤクザ*)
カラテ    6   体力  12/-1
ニューロン  6   精神力  –
ワザマエ   12  脚力   6
ジツ     –   万札   12
攻撃/射撃/機先/電脳  6/12/6/8

◇装備や特記事項
 ファイアウォール: ハッキング由来のダメージ1発を無効化する、使い切り
 熱線トーチ: 近接武器、連続攻撃1、D3ダメージ、貫通1
 クローアーム: 近接武器、連続攻撃2、2ダメージ(1+痛打1)
 ミニガンx2: 銃器、連射12、ダメージ1、チェーンターゲット、射撃難易度:NORMAL
  (全ターゲットが互いに隣接している場合のみマルチターゲット扱いにできる)

 『●即死無効』、『●轢殺攻撃2』、『●ダメージ軽減1』

 『●射撃スタイル:銃弾の雨2』:
  毎ターン、通常の射撃(連射12)とどちらか片方を選択する。
   視線が通っている3x3の範囲に対して自動的に1ダメージを2回与える(回避:HARD)。
   この射撃は『時間差』とみなされる。   

 『●多節走行モード』:
  シデムシは移動時のみ「大型1x1」の特殊サイズを持つとみなし、狭い通路などにも入り込める。
  移動フェイズが終了すると再びトグロを巻くように頭部をもたげ、2x2のサイズへと戻る。

*『クローンヤクザ生体脳』:
  シデムシは精神攻撃系のジツに対しては「クローンヤクザ」とみなされる(モータルではない)。
  そのジツが【精神力】ダメージを与えるものだった場合、【体力】ダメージに読み替えられる。
  このルールはジツに対してのみ有効であり、精神攻撃系のスキルは対象外である。


◇NPCデータ:オナタカミ・トルーパー

◆オナタカミ・トルーパー (種別:モータル/バイオ生物/ヤクザ)
カラテ    3  体力   2
ニューロン  1  精神力  1
ワザマエ   4  脚力   2
ジツ     -  万札   0
近接攻撃D:2、射撃D:4
◇装備や特記事項
装備:『液晶ヘルメット&オナタカミ武装戦闘服』

『オナタカミ・ライオット・ショットガン』: 銃器、連射1、ダメージ2


◇NPCデータ:メイライ・トルーパー

メイライの標準的グレードの企業兵士。洗脳による高度なミリタリートレーニングを受けており、希薄化した自我を理由に、NRSを起こすこともない。

「スモーク弾!」「突撃!」「ホノオ!」

◆メイライ・トルーパー/アシガル級(種別:モータル)
カラテ     2  体力     1
ニューロン   2  精神力    2
ワザマエ    4  脚力     3
ジツ      -  万札     1
近接攻撃D:2、射撃D:6
◇装備やスキル
 スキル:『◉タクティカル移動射撃』
 装備 :『アサルトライフル&ミハル・ドットサイト, 赤外線レーザーサイト』
     『サイバーヘルメット(サイバーサングラス)』
 
 『軽量型メイライ・タクティカルスーツ』:
  最低限の装甲を備えた軽量のパワードスーツ。【脚力】+1。


◇NPCデータ:サターン

メイライ社が開発するロボ・ニンジャ。オムラ社の試作型モータードクロを素体にオナタカミ装甲を採用。失われた技術であるV3ロケットエンジンを搭載しており、殺人轢殺タックルで全てを破壊し、分離変形した四本腕で破滅的全方位攻撃を繰り出す。

◆サターン(種別:戦闘兵器、大型2x2)
カラテ     8   体力     16
ニューロン   2   精神力    -
ワザマエ    12  脚力     3/6
ジツ      -   万札     30
近接攻撃D:8、射撃D:12、回避D:2
◇装備やスキル
 スキル :『◉ツジギリ』、『◉タクティカル移動射撃』、『◉緊急ブリッジ回避』
 サイバネ:『▷▷▷ジェットパックユニット』、『▷脚部内蔵型マイクロミサイルポッド』

 『電磁クローアームx2』:特殊近接武器、ダメージ1、電磁ショック1、連続攻撃2
 『ダブル・オムラ・マシンガン』:遠隔武器、連射6、ダメージ1、小銃、マルチターゲット

 『高性能ニンジャAI』:
  このキャラクターは毎ターン開始時に回避ダイスを必ず2つ得る。

 『ゼンメツ・アクション・モード』:
  【体力】が半分以下まで低下したとき、常時『キリングマシーン』と同等の効果を得る。

 『●移動スタイル:殺人轢殺タックル』:
  『突撃』と同様の効果に加え、通過した障害物や厚さ2ptまでの壁を貫通・破壊する。
  さらに『●轢殺攻撃2』の効果を得る。


◇再定義の進行(第二段階)

ジグラットを中心に、再定義の第二波が精神衝撃波となって走った。半コトダマ存在であるザイバツニンジャたちは一瞬、視界にホワイトノイズじみた激しい乱れを感じた。カラテ馬の何頭かが、突如その場で掻き消えた。一瞬方向感覚を失ったジークフリートが銃弾の雨を浴び、バイクごと転倒爆発四散した。

【6:アクセラレイト】より

アマクダリ戦力との決着が付く直前、アシッドウルフとアルゴスの手で、再定義の第二波が世界を揺らす。この衝撃に、高位のソウルを宿すシャドウドラゴンは発狂し、何処かへと逃げ去ってしまう。PCは全てを把握することはできないが、少なくともアシッドウルフの計画が予定通りに進んでいることは間違いなく理解できる。

この段階ではオヒガンと物理世界の接近により、全てのキャラが「毎ターン精神力+1回復」の効果を得る。あるいはPC側の大きな不利にならない場合は、【AoSストーリーラインの手引き】を参考に「【ジツ】値の増加」「ジツ拡張サイバネの停止」といった効果を採用しても良い。

地上からは次々とメイライ社の戦力も到着し始め、あとはこの場を守り切ればPCたちの勝利は目前かのように思われる。


想定外の障害(イベント分岐のヒント)

このシナリオでは過去のPCの選択や任務の成果によって、幾つかのパターンで『アマクダリ・セクトではない敵』による想定外の障害が発生する。

シロウ・イスヒ:再定義の進行により、オヒガンの奥底に沈んでいたシロウ・イスヒ≒コスモクライムの本体が活動を開始する。彼はアシッドウルフの計画を乗っ取るべく、その場のメイライ・トルーパーおよびサターンすべてに自身をアップロード上書きし、アマクダリに代わってPCを攻撃し始める。

【オペレイシヨン・ライト】でシロウ・イスヒが生き残った、あるいはプラズマワスプなど護衛ニンジャがニューロンチップの回収に成功した場合、彼は護衛ニンジャの肉体を乗っ取り、このタイミングでPCを襲撃してくる。

ブルームキャット:【オペレイシヨン・ライト】の一件を受け、彼女は最終的に洗脳から目が覚め、ブラックサイトから離反する。

シロウ・イスヒが護衛ニンジャの肉体を乗っ取ることに成功していた場合、彼と共にジグラットのPCを襲撃してくる。ただし、ブルームキャットの目的はシロウとは異なりアシッドウルフの計画を止めることだ。

もしシロウとの繋がりが生まれなかったなら、彼女はメガヒンジが【キャン・ネバー・ビー・ザ・セイム・パーソン・アズ・ビフォア】で持ち帰った情報を元に、ナンシー・リーらと合流し反ブラックサイトの協力体制を構築する。

ナンシー・リー:彼女がダイダロスやPCの手によって行動不能な状態に陥っていない限り、ニンジャスレイヤーと共にブラックサイトの計画について調べを進め、磁気嵐の荒野に隠されたブラックサイトの拠点を襲撃する。これにより、アルゴスはナンシーの奇襲を受け、一時的に状況は混乱に陥る。

ダイダロス:彼が未だ行動可能な状態にあった場合、ナンシーと同様にアルゴスに対するハッキング攻撃を仕掛けてくる。彼は最終的にアルゴスに破れニューロンを焼かれてしまうが、対アルゴスの鍵となる機密データを奪い取ることに成功する。

もしナンシーが健在であれば、ダイダロスは彼女と一時的に共闘し、ニューロンを焼かれることなく上記の偉業を達成する。2人の凄腕のハッカーの攻撃により、事態はさらに混乱を極める。

マスターがシロウ・イスヒ≒コスモクライムとの因縁がこのシーンに適切でないと考える場合、ダイダロスのハッキングにより類似の事態が発生するように演出を読み替えるのが良いだろう。

グリーンゴースト:【オペレイシヨン・スターゲイト】でダイダロスを爆発四散させることに成功していた場合、ハッキング攻撃を受けていたPCの誰か1人のサイバネ(鷲の腕を除く)には、彼の残留思念が「グリーンゴースト」として宿ってしまっている。

もしこのシーンにおける主要な障害がシロウ・イスヒ≒コスモクライムの場合、グリーンゴーストはオヒガン的存在である彼への切り札として機能する。

逆にシロウ・イスヒ≒コスモクライムが存在しない場合、グリーンゴーストがメイライ戦力を破壊しながらアルゴスに攻撃を始めてしまう。再定義によるオヒガンとのオーバーラップの進行によって、PCのサイバネから彼が溢れ出してしまうのだ。

なお、このサンプルシナリオでは、ナンシー・リーが生存しており、ダイダロスは爆発四散、シロウ・イスヒ≒コスモクライムが主要な障害となるケース(つまりPCが過去の任務で失敗していなかったケース)を想定した内容を主軸に展開の例が記載されている。


3-1:コスモクライム再び

直後『これは01010101ハッキ01010101グ010101攻撃下010101旧世紀01010101暗号破り010101YCNAN010101』アルゴスのIRC交信を突如致命的なノイズが塗り潰す。アルゴスが圧倒的な論理タイプ力を持つことは自明。その彼が電子的な奇襲を許したというのか。

『エージ010101トは0101010101継続し防衛0101ジグラット010101
侵入010101』遅効性のウイルスがアルゴスを攻撃し、その目である監視システムを覆い始めた。敵は磁気嵐荒野の接続ポイントを踏み台に攻撃を行っている……!

「「「「アババババーッ!?」」」」連鎖的に、周囲のメイライ・トルーパーと戦闘兵器群が悲鳴を上げ、痙攣し始める。君は視界の端に01のノイズを見る。オナタカミ・トルーパもまた悲鳴を上げ、痙攣する。何かがおかしい。


状況を持て余す君たちの前で、自我薄弱な者達の悲鳴と痙攣は唐突に、ピタリと止まった。そしてそれらは一斉に4人へと向き直り、口を開いた。『おぉ……『遂に!』』『現世へと『帰還する日が『訪れようとは!』
』』『今や『全ての『"私"が『繋がって『いる!』』』』

『ドーモ『私は『コスモクライム『貴方がたを『知っている『シロウ『イスヒ『です『ハハハ!『お久しぶりですね』』』』』』』』』』

『予想外の出来事ですが』『予期していた出来事ではありますが』『貴方がたの行いに感謝せねば』『そして』『その企みは』『私が』『全部そのまま頂きます』『このように』

描写のサンプル

PCが守りを固めようとする一方で、周囲のメイライ社戦力が突如として悲鳴を上げ痙攣するという異常事態が発生する。これはY2Kの事故によりオヒガンに追放されていたコスモクライム=シロウ・イスヒが、物理世界に接近したオヒガンからジグラット周辺の戦闘兵器に自我のアップロード/上書きを開始したことが原因である。

同時に、ナンシー・リーとニンジャスレイヤーは磁気嵐の荒野にてブラックサイトの秘密拠点を制圧し、電力供給を行う攻撃衛星へのバックドアを構築し、アルゴスへのハッキング攻撃を開始する。

この2つの事象により、その場は予想外の混乱に陥る。

TIPS:先述の通り、このイベントはダイダロスorグリーンゴーストによって若干違った形で引き起こされる可能性がある。この場合、マスターは【オペレイシヨン・スターゲイト】を参考に、『●ダイダロス・コネクト』の能力を付与した大量のサターンをボスとして操ることができる。

PCの暗躍によって既にナンシー・リーもダイダロスも既に死亡している場合、アルゴスはコスモクライムのオヒガンからの襲撃に難なく対処することができる。このケースではアルゴスの活躍により全てのサターンは乗っ取られず、PCが完全に包囲されることはない。


戦闘マップ|現れる"敵"

「「イヤーッ!」」天井の大穴から、認識阻害の01ノイズに隠れた2人のニンジャが落下。戦闘兵器群及び兵士群……否、群体たるコスモクライムの中心へと着地した。

「ドーモ。コスモクライムです」「ブルームキャットです」片や、かつてプラズマワスプと名乗ったニンジャ。そしてその隣に立つのは、かつて彼と敵対関係にあった"腕"のニンジャのひとりではないか!

「この時を待っていました」『しかしアマクダリではなく』『引き金を弾くのが』『貴方たちだったとは』「驚くべきことです」プラズマワスプ=コスモクライムは、周囲の群体にさざなみめいて言葉を繋ぐ。

「……お喋りはもう良い。何でもいい。その企みは、ここで止める」ブルームキャットの姿が、位置が、不明瞭に、この混沌のイクサ場へと溶け込む。

描写のサンプル
誰かがセルを編集するたびに、01ノイズが変化するギミックが用意されている。

このシーンでは「P3-2:ハナミ庭園」のマップを使用して戦闘処理をおこなう。マスターはマップ上の「◉マーク」の位置にPCを配置させること。この戦闘では乱戦のルールが適用される。

ここではパート3における判定イベントの結果などに応じて、次のようなNPCがマップ上へ配置される。

メイライ・トルーパー&オナタカミ・トルーパー:隔壁の防衛判定でPCがPOPさせた数だけ、そのままマップに配置される。
 コスモクライムが主要ボスの場合、メイライ・トルーパーは彼に精神を乗っ取られた状態で敵NPCとなる。

サターン&シデムシ:隔壁の防衛判定でPCがPOPさせた数だけ、そのままマップに配置される。コスモクライムが主要ボスの場合、サターンは彼に精神を乗っ取られた状態で敵NPCとなる。
 ダイダロスが主要ボスの場合、サターンとシデムシの両方がPC側を優先的に攻撃してくるようになる。

コスモクライム(メイライニンジャ):コスモクライムが主要ボスの場合、メイライニンジャの肉体を乗っ取ったコスモクライム≒シロウ・イスヒが敵NPCとしてPOPする。殆どの場合、それはプラズマワスプだ。

ブルームキャット:
コスモクライムが主要ボスの場合、プラズマワスプの肉体を乗っ取ったシロウ・イスヒと共に、ブルームキャットが敵NPCとしてPOPする。PCが極めて強力な場合、さらにライトニングローブなどブルームキャットの仲間のニンジャが登場する可能性がある。

サンプルシナリオにおける想定ケースでは、オヒガンの接近によって力を増した認識阻害のジツを用いて、アシッドウルフの計画を止めるべくブルームキャットがジグラットへと侵入してくる。そしてその傍らには、プラズマワスプの肉体を乗っ取ったシロウ・イスヒ≒コスモクライムの姿もある。

マップ上へ配置される戦闘兵器やモータルの敵は、ほぼ全てがコスモクライム=シロウ・イスヒにニューロンを上書きされ、その支配下にある。彼らはオヒガンを通じてリンクし、ほぼ同一の群体存在と化している。

◆シーンの進行条件
フェーズ1:3ターン耐え抜く。
フェーズ2:"コスモクライム"を倒す。

コスモクライムが主要ボスのケースを想定


◇NPCデータ:ブルームキャット

【オペレイシヨン・ライト】の一件を受け、ブルームキャットは最終的に洗脳から目が覚め、ブラックサイトから離反する。

シロウ・イスヒが護衛ニンジャの肉体を乗っ取ることに成功していた場合、彼女はこのシーンでシロウと共にジグラットのPCを襲撃してくる。ただし、ブルームキャットの目的はシロウとは異なりアシッドウルフの計画を止めることだ。

ブルームキャットは認識阻害のジツを絡めたアンブッシュに特化したニンジャであるため、自身が攻撃する・される際の両方で『乱戦』ルールの対象外となる。

「裏切った?それはこっちのセリフよ!こんな、ネオサイタマを燃やして……全部、全部嘘だった!」 /// 『それだけの力があって、どうして……』

◆ブルームキャット(種別:ニンジャ)
カラテ    6		体力    13
ニューロン  10		精神力   17
ワザマエ   7		脚力    5
ジツ     7		万札    50
近接D:9、射撃D:9、回避D:14、発動D:17
◆装備や特記事項
 装備  :『ホロ加工フードジャケット(回避D+1)』
 スキル :『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
      『◉常人の三倍の脚力』、『◉◉グレーター級ソウルの力』。『◉◉アーチ級ソウルの力』
      『☆ステルス・ジツ』、『ステルス・アンブッシュ』、『☆◉忍び寄る刃』

 サイバネ:『▶生体LAN端子』、『▶▶▶テッコLv3』
      『▷▷▷内蔵型トキシンブレードx2(ダメ1&精神ダメ1、連続攻撃+1、内蔵型)』

『★★雑踏の猫』:
 自身の姿を雑踏に溶け込ませたり、その位置を錯覚させる強力な認識阻害を生じさせる。

 手番終了時に【精神力】1を消費して発動(難易度NORMAL)。
 術者は周囲5x5マス内の好きな場所に、「分身コマ」を4体配置する。
 このジツの効果中、術者本体か分身コマが攻撃を受けた時、術者はそれを「分身コマ」として
 即座にマップから除外してもよい(残った1体がつねに本体とみなされる)。

 また手番開始時、術者は分身コマを本体として、その位置から移動を開始しても構わない。
 このとき、本体以外の分身コマは消滅し、その数だけ「近接攻撃ダイス+X」の効果を得る。


◇NPCデータ:メガヒンジ

◆メガヒンジ (種別:ニンジャ)
カラテ    5     体力   8
ニューロン  8     精神力  8
ワザマエ   7     脚力   5
ジツ     5     万札   25
近接攻撃D:5、射撃D:9、ジツ発動D:13、回避D:9
◇装備や特記事項
 スキル:『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』、『◉防具習熟』
     『◉常人の三倍の脚力』、『◉トラップ対処知識』、『◉暗殺者の眼』
 装備 :『アサシンダガー』、『タカハシ・マスター・ツールキット』
     『近代的タクティカルニンジャ装束一式』
 ジツ :『☆ドトン・ジツLv3』

『★ドンデンガエシ・ジツ』:
 移動フェイズ終了時、【精神力】を1消費して発動(難易度:NORMAL)。
 術者に隣接する壁もしくは1マス分の障害物を回転扉に変化させ、直ちにその反対側へと移動する。

『★◉マス・ドンデンガエシ・ジツ』:
 『ドンデンガエシ・ジツ』発動時、【精神力】をさらに1消費することで
 効果対象に隣接するキャラ全員を追加しても良い。対象は術者と同じ方向へと直ちに移動する。
 ただし、移動方向に壁や障害物が存在しないキャラは全く影響をうけない。
 この効果は難易度HARDで回避が可能。

『★★グレーター・ドンデンガエシ・ジツ』:
 攻撃フェイズ開始時に【精神力】を2消費して発動(難易度:HARD)。
 術者と同じ部屋に存在する敵全員を対象に、大規模なドンデンガエシで上空へと跳ね上げる。
 対象は激突ダメージ1(回避:NORMAL)を受けた後、ターン終了時まで「回避難易度+1」となる。

『★◉ドンデンガエシ回避』:
 回避判定に成功したとき、即座に『☆ドンデンガエシ・ジツ』の発動を試みても良い。
 発動に成功したとき、本来の効果か『バック転回避』の効果のどちらかを発生させる。
 これによって届かなくなった攻撃は失われる。


◇NPCデータ:ライトニンググローブ

「テメー、なんで裏切りやがった?!」 /// 「さっきまで仲間だっただろうがッ!」

◆ライトニンググローブ(種別:ニンジャ)
カラテ     10  体力     13
ニューロン   6  精神力    6
ワザマエ    6  脚力     5
ジツ      3  万札     25
近接攻撃D:9、射撃D:6、回避D:12
◇装備やスキル
装備   :『伝統的ニンジャ装束』、『ニンジャレガース』
スキル  :『●連続攻撃2』、『◉一瞬の勝機』、『◉滅多打ち』、『◉頑強なる肉体』
      『◉緊急ブリッジ回避』、『◉叩き伏せ』
サイバネ :『▶テッコLv1』

『☆デン・エンハンスメント』:
 手番開始フェイズに【精神力】1を消費して発動(難易度:NORMAL、瞬時)。 
 『素手』攻撃時、エンハンスによる「回避ダイスダメージ1」を得る。
 
 エンハンス持続中、さらにこのジツを発動した場合、
 本来の効果に加えて「電磁ダメージボーナス1」を得る。

『☆◉ヒサツ・ワザ:デン・パンチ』:
 素手の『近接攻撃』で『ナムアミダブツ!』を発生させた場合、その効果を置き換えてもよい。
 この攻撃は『電磁ダメージ+1D3』かつ『回避U-HARD』となる。


◇NPC:コスモクライム(プラズマワスプ)

「プラズマワスプ=サンの忠誠は実際素晴らしいものでした。有効活用しないと、彼に申し訳がたたないというもの。故に……こちらもサイバネで少々手心を加えてみました」 プラズマワスプ=コスモクライムから第3、第4の腕が展開! プラズマ残像を伴うクナイ連投を仕掛ける。

【オペレイシヨン・ライト】でシロウ・イスヒのニューロンチップが回収された場合、それを回収したメイライニンジャの肉体を乗っ取ったコスモクライム≒シロウ・イスヒが登場する。

この役割はプラズマワスプが担うことを想定しているが、メイライニンジャの身体を持つコスモクライムは、基本的には過去に登場したそのNPCと全く同じ能力値を持つ。マスターは本来のデータに対して上限を越える量のサイバネを埋め込むことで強さを調整する。

『ブラックソーサラーによって作られた過去の影。写身。彼は私のことをそう、評価していた筈だ』『だがそれは違う』『私は』『連続している』『Y2K以前から』『今や私という存在は』『再び円環の理にある』 /// 「ではまた次のラウンドでお会いしましょう」

◆コスモクライム/プラズマワスプ(種別:ニンジャ/重サイバネ)
カラテ     6  体力     13
ニューロン   9  精神力    10
ワザマエ    9  脚力     5/N
ジツ      5  万札     25
近接攻撃D:6、精密D:13、射撃D:15、回避D:13、発動D:14
◇装備やスキル
 サイバネ:『▶生体LAN端子Lv1』、『▶︎▶︎▶︎クロームハートLv3』、『▷ジツ支援サイバネ』
      『▶︎▶︎▶︎サイバネアイLv3』、『▷▷スリケンアーム(連射+2)』
 スキル :『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』、『◉重サイバネ化』
      『◉シャープシューター』、『◉タクティカル移動射撃』、『◉頑強なる肉体』

『★プラズマ・クナイ』:
 >タイミング:手番開始時、コスト:精神力2、発動:ジツ判定(NORMAL)
 このマップにいる間、術者のスリケン投擲によるダメージ全てに
 『電磁ダメージ1』が追加され、基本の回避難易度がHARDになる。

『★チェインライトニング・ジツ』:
 対象を選択し難易度HARDで発動。距離無制限で視線の通る対象2体にそれぞれ電撃を放つ
 電撃は回避HARD、電磁ダメージ2、回避ダイスダメージ1、時間差不可である。
 ただしこの攻撃が命中したとき、その対象に隣接する敵にも同様のダメージが伝播する。


◇NPCデータ:コスモクライム(サターン/メイライ兵)

『ではラウンド2と行きましょうか!ハハハ!』ガトリング掃射を続けていたサターン≒コスモクライムの1体が、鉤爪を鳴らしながら弾幕の中のイクサ場へと身を踏み出す。

この戦闘シーンにおけるメイライ・トルーパーとサターンはダメージギミックとして機能する。
 メイライ兵は1体でも存在する場合、PC全員に1ダメージ(UH)の弾幕射撃を行う。サターンは1体ごとに、PC2人に対する1ダメージ(UH)の弾幕射撃を行うか、メイライ兵による弾幕射撃を2ダメージに強化する(マスターが効果を選択する)。

マスターは上記のダメージギミックを、生存しているオナタカミ・トルーパーやシデムシを排除する代わりに軽減できるものとしても構わない。

TIPS:もしプラズマワスプなど主要なダメージソースとなっているNPCが死亡した場合、マスターはマップ上のサターンを数体、ギミックではなく実際に操作してPCへの攻撃を開始すること。

◆メイライ・トルーパー/アシガル級(種別:モータル)
カラテ     2  体力     1
ニューロン   2  精神力    2
ワザマエ    4  脚力     3
ジツ      -  万札     1
近接攻撃D:2、射撃D:6
◇装備やスキル
 スキル:『◉タクティカル移動射撃』
 装備 :『アサルトライフル&ミハル・ドットサイト, 赤外線レーザーサイト』
     『サイバーヘルメット(サイバーサングラス)』
 
 『軽量型メイライ・タクティカルスーツ』:
  最低限の装甲を備えた軽量のパワードスーツ。【脚力】+1。
◆サターン(種別:戦闘兵器、大型2x2)
カラテ     8   体力     16
ニューロン   2   精神力    -
ワザマエ    12  脚力     3/6
ジツ      -   万札     30
近接攻撃D:8、射撃D:12、回避D:2
◇装備やスキル
 スキル :『◉ツジギリ』、『◉タクティカル移動射撃』、『◉緊急ブリッジ回避』
 サイバネ:『▷▷▷ジェットパックユニット』、『▷脚部内蔵型マイクロミサイルポッド』

 『電磁クローアームx2』:特殊近接武器、ダメージ1、電磁ショック1、連続攻撃2
 『ダブル・オムラ・マシンガン』:遠隔武器、連射6、ダメージ1、小銃、マルチターゲット

 『高性能ニンジャAI』:
  このキャラクターは毎ターン開始時に回避ダイスを必ず2つ得る。

 『ゼンメツ・アクション・モード』:
  【体力】が半分以下まで低下したとき、常時『キリングマシーン』と同等の効果を得る。

 『●移動スタイル:殺人轢殺タックル』:
  『突撃』と同様の効果に加え、通過した障害物や厚さ2ptまでの壁を貫通・破壊する。
  さらに『●轢殺攻撃2』の効果を得る。


◇特殊イベント:ニューロンの乗っ取り

その瞬間、XXXは心臓に強い衝撃を受けたかのような錯覚を受けた。そして次に、目の前に自分そのものが立っている事に気がついた。

『ハハハ。大人しくしていた甲斐がありました』XXXは君へと首を向け、メンポの奥で薄笑いを浮かべた。『今から私がXXXです。貴方はそこで見ていると良い。大人しく』な、ナムアミダブツ!XXXは理解してしまう。今やその肉体の制御権は己に無いことを。

描写のサンプル

【オペレイシヨン・ミッドナイト・クライマックス】で手に入れたコスモクライムのニューロンチップを兵器転用しているなど、コスモクライムの物理存在と深く接触してしまっているPCがいる場合、そのPCはこの戦闘が発生した時点でコスモクライムによって身体制御を乗っ取られてしまう。

これに伴い、マスターは次の特殊ルールを採用しても構わない。

◆コスモクライムの身体乗っ取り
身体制御を乗っ取られたPCは、次のルールに従う。

・乗っ取られたPCの隣接マスには、PCの『ローカルコトダマ存在』を新たなコマとしてPOPさせる。この操作権は元々のプレイヤーにあるが、原則他のキャラとは相互的に干渉しあえず、乗っ取られたPC本体のみを攻撃できる

・『ローカルコトダマ存在』はジツ以外の能力値がすべて【ニューロン】と等しい値になる。

・乗っ取られたPCは操作権がマスターに移り、次の2回行動を行う。
 ・判定難易度+1の状態で味方PCを攻撃する(敵とみなされる)。
 ・PCの『ローカルコトダマ存在』を攻撃する。

・乗っ取られたPCは【体力】が0未満にならず、気絶状態でも通常通り行動できるが、回避ダイスが半減する。この状態で『ローカルコトダマ存在』に受けたダメージは【精神力】ダメージに変換される。

・【体力】と【精神力】が共に0になったとき、PLはPCの操作権を取り戻す。


3-2:状況の打破:グリーンゴースト(ギミック)

圧倒的な勝利を目前とした、混沌たる、あまりにも蛇足なイクサ。そのアトモスフィアがピークに達しようかというとき、予想外にも、固く閉じられていた隔壁が開いた。「イヤーッ!」飛び出したのはアシッドウルフ!

「XXX=サン!奴に直結して攻撃しろ!イヤーッ!」BLAMBLAMBLAM!トルーパーの頭部を吹き飛ばしながら、アシッドウルフはXXXへとLAN直結ケーブルの束を投げ渡す!ミリタリーグレードの攻撃用ケーブルだ!

『直結?ハハハ、愚かしいことだ。そのままニューロンを焼き返してあげましょう』

描写のサンプル

コスモクライムとの戦闘を3ターン耐え凌ぐとこのシーンへと派生する。

危険なオヒガン存在、コスモクライムとのイクサがピークに達するとき、異常事態に対処すべくアシッドウルフ(スパイマスター)がイクサ場へと舞い戻る。彼はアルゴスとの分析により、【オペレイシヨン・スターゲイト】時点で爆発四散したダイダロスの残滓が特定のPCの脳内UNIXに残留していることに気がついており、それを使ってコスモクライムとナンシー・リーを一網打尽にしようと考える。

彼は直結用の軍用ブースターケーブルを、グリーンゴーストを宿したPCに投げ渡し、"コスモクライム"に乗っ取られたPCへ直結するよう叫ぶ。
 そのPCは【ワザマエ】難易度:HARDで判定を行い、成功した場合、「グリーンゴースト」がナンシー・リーのIPを求めてコスモクライムを喰い荒らし始め、彼女によるアルゴスへのウィルス攻撃を阻止する。

PCのニューロン乗っ取りイベントが発生していない場合、コスモクライム≒プラズマワスプやサターンの1体をこのLAN直結ターゲットとして演出を行うと良いだろう。

コスモクライムはあっさりと、XXXの直結を受け入れた。何故ならば、圧倒的なアドバンテージがあったからだ。接続している。周囲の全てと。全てがコスモクライムであった。

全ての存在のニューロンが独自のネットワークを構築し、繋がり合い、相互的に演算を補助し合う。いびつで、素晴らしき、新たなる生命のカタチ……。

◆◆◆

XXXはLANケーブルを介して直結!刹那!『01001……電子の…10』ザリザリザリ……01001脳下垂体に異常激痛が走る!XXXは他者のコトダマ空間に強制的に投げ込まれていた。

0100010そこには輪郭のはっきりしない意志体が浮かび01011101……「我が……0100010電子の嫁……01000」

『ドドドド0101グリーンゴーストです010電子のヨメ……電子の嫁!』その存在、グリーンゴーストはXXXではなく、別の何かに猛烈な関心を示した。故に、XXXからコスモクライムへ、コスモクライムから、接続されたメイライのニューロンネットワークへ、ニューロンネットワークから、アルゴスへの攻撃者へと流れ込んだ。

『『『『アババババーッ!?』』』』障害となる全てのデータを01還元しながら!『な、何だ』『この電子ウィルス』『否』『電子生命体』『グワーッ!?』連鎖的に"コスモクライム"が爆発四散する。


『なんたる……』『貴重な進化を不意にするというのか!』『させぬ』『させぬ』『させぬ』『させぬ』『『『『『『『『『『イヤーッ!』』』』』』』』』』致命的なスパークを放ちながら、"コスモクライム"が一斉に襲い来る。

だがもはや、かつてのアドバンテージはない。彼は物理世界に近づきすぎた。

描写のサンプル

過去のシナリオで既にグリーンゴーストを使ってナンシー・リーを妨害していた場合、彼女は再定義に関する情報を得られておらず、上記のウィルス攻撃は発生しない(彼女が既に死亡している場合も同様だ)。

その場合、一定時間を耐え凌ぐことでアルゴスが自動的にコスモクライムを駆逐してしまう。


『サ!』『サ!』『サ!』『サ!』
『ヨ!』『ヨ!』『ヨ!』『ヨ!』
『ナ!』『ナ!』『ナ!』『ナ!』
『ラ!』『ラ!』『ラ!』『ラ!』
KRATOOOOM!コスモクライムは……シロウ・イスヒは……爆発四散した!君たちはザンシンした。

そしてそれが起きたのは、その時だった。アルゴスによる再定義第三段階。
アポフィスの門が開かれた。すなわちメガトリイ・ネットがオヒガン全体に喰らいついた、ピーク。最も「近い」状態。キンカク・テンプルは無限に輝く。君たちの勝利は、目前だった。

描写のサンプル

マスターはヤバレカバレで襲いくる大量のコスモクライムを、プレイヤーにロールプレイによって爆発四散させ、真にトドメを刺させる。そして彼が爆発四散したタイミングで再定義の第三段階が成り、ブラックサイトの勝利は目前となる。


ダイダロスの介入(代替パターン)

もしコスモクライムの代わりにダイダロスをこのシーンの主要なボスキャラクターと定めるのであれば、NPCの扱いは次のガイダンスを参考に調整すると良いだろう。

メイライ・トルーパー&オナタカミ・トルーパー:隔壁の防衛判定でPCがPOPさせた数だけ、そのままマップに配置される。メイライ・トルーパーは味方NPCとして、オナタカミ・トルーパーは敵NPCとして配置される。

サターン&シデムシ:隔壁の防衛判定でPCがPOPさせた数だけ、そのままマップに配置される。シデムシは敵NPCとして配置される。
 サターンはダイダロスのハッキングを受け、半数が敵NPCとしてPCを攻撃してくるようになる。ナンシーも健在の場合、全てが敵NPCとなる。

ブルームキャット:彼女はアシッドウルフを止めるためナンシー・リーと手を組み、ダイダロスらのハッキング攻撃の背後、ジグラットのレリック級UNIXへと直接アクセスを試みている。

ダイダロス・コネクト:常にPCと同じ人数のサターンが『●ダイダロス・コネクト』の能力を持ち、ダイダロスによる直接的な並列操作により、他の個体より遥かに精密な動きで襲いかかってくる。

ダイダロス:ダイダロス本体はアルゴスと電脳戦を繰り広げているが、片手間にPCへハッキング攻撃を仕掛けてくることがある(アルゴスがPCのニューロンを守っているため、そのリソースを削ごうとする)。

ダイダロスは遠隔攻撃だけではなく、ナンシーとタッグを組んでブラックサイトの所有するUNIX端末などに直接アクセスして、そこから攻撃することでダイダロスの不意を突こうと仕込みを進めている。

この戦闘の間、マスターはパート2後半戦と同じように、以下のルールを用いてPCに障壁の防衛を強いることができる。

◇特殊ルール:隔壁の破壊/防衛
この戦闘において、ダイダロスは隔壁を攻撃し、アルゴスへの攻撃の足がかりとして、レリック級UNIXへ直接アクセスしようと試みる。PCは身を挺してでも、それを阻止しなくてはならない。

ターン開始時にダイダロスは【ハッキング】判定(NORMAL)を行う(合計23ダイス、成功数期待値11.5)。この成功数は『障壁へのダメージ』として累積されてゆき、30点蓄積された時点で障壁を突破されてしまう(目標失敗)。

※これは実際にはサターンの制御による集中砲火や、シデムシのトーチ切断などによるものとして描写される。

このときPCは『任意の数の回避ダイスをコストとして消費』することで、その値分だけ上記判定の成功数を減らすことができる。コストは複数のPCが分散して負担しても良い(=PC4人が回避ダイス1ずつ消費した場合、成功数を4点減少させられる)。ただし、既に累積された『障壁へのダメージ』を減らすことはできない。

◆シーンの進行条件
フェーズ1:3ターン耐え抜く。
フェーズ2:ブルームキャットを爆発四散させ、アルゴスがダイダロスを迎撃するまで耐え抜く。


◇NPCデータ:ダイダロス

◆ダイダロス (種別:ニンジャ/ハッカー)
カラテ     3   体力     6
ニューロン   17  精神力    19
ワザマエ    6   脚力     3
ジツ      3   万札     0
近接攻撃D:3、射撃D:6、回避D:17、ハッキングD:23
◇装備や特記事項							
 装備   :『*キーボード・オブ・ゴールデン・エイジ*』
 サイバネ :『▶︎▶︎▶︎生体LAN端子Lv3』、『▶ファイアウォールx3』
 スキル  :『●時間差』、『●マルチターゲット』、『●ニンジャ第六感』
       『☆謎めいたニンジャソウルLv3』、『◉kill9』

『●戦闘スタイル:kill-all』:
 「その他の行動」として『ハッキング判定:HARD』を行う。
  最大でその判定成功数に等しい人数の敵(ハッキングターゲットに限る)に対して、
  直ちに『ダメージ軽減』不可の2ダメージを1回ずつ与える(『回避:HARD』)。
  選びきれなかった成功数は、使用されずに失われる(同じ敵は選べない)。


◇NPCデータ:サターン(ダイダロス・コネクト)

ダイダロスによって制御されるサターンは、幾つかの追加スキルと『◉キリングマシーン』効果の付与により、通常よりテクニカルに戦闘が可能となっている。マスターはこれをPCと同じ人数を目安にPOPさせること。

◆サターン(種別:戦闘兵器、大型2x2)
カラテ     8   体力     16
ニューロン   2   精神力    -
ワザマエ    12  脚力     3/6
ジツ      -   万札     30
近接攻撃D:8、射撃D:12、回避D:2
◇装備やスキル
 スキル :『◉ツジギリ』、『◉タクティカル移動射撃』、『◉緊急ブリッジ回避』
 サイバネ:『▷▷▷ジェットパックユニット』、『▷脚部内蔵型マイクロミサイルポッド』

『電磁クローアームx2』:特殊近接武器、ダメージ1+電磁ショック1、連続攻撃2
『ダブル・オムラ・マシンガン』:遠隔武器、連射6、ダメージ1、小銃、マルチターゲット


『●ダイダロスコネクト』:
  この戦闘兵器はソウカイ・シックスゲイツ「ダイダロス」によって制御されている。
  高度な並列操作により、次のスキルを所持するものとみなされる。

  『◉突撃』、『◉トリガーハッピー』、『◉頭上からの死』、『★掴み取りの腕』
  
  また攻撃フェイズ開始時、ダイダロスが【精神力】を2点消費することで
  このターン、このスキルを持つ全ての戦闘兵器は『◉キリングマシーン』の効果を得る。


『●移動スタイル:殺人轢殺タックル』:
 『突撃』と同様の効果に加え、通過した障害物や厚さ2ptまでの壁を貫通・破壊する。
 さらに『●轢殺攻撃2』の効果を得る。


◇NPCデータ:ブルームキャット

この戦闘パターンにおいて、ブルームキャットは最初マップ上へ配置されない。彼女は2ターン目の開始時に、『隔壁の破壊/防衛』における発生ダメージを自動的にD6増加させる。

マスターはPCに【ニューロン】判定を要求するか、あるいはアルゴスが見破ったものとして、ブルームキャットが誰にも気取られず障壁にアクセスを試みていたことを暴く。これ以降、直前のターンに全くダメージを受けなかった場合、ブルームキャットは『隔壁の破壊/防衛』における発生ダメージを自動的にD6増加させる。

◆ブルームキャット(種別:ニンジャ)
カラテ    6		体力    13
ニューロン  10		精神力   17
ワザマエ   7		脚力    5
ジツ     7		万札    50
近接D:9、射撃D:9、回避D:14、発動D:17
◆装備や特記事項
 装備  :『ホロ加工フードジャケット(回避D+1)』
 スキル :『●連射2』、『●時間差』、『●マルチターゲット』
      『◉常人の三倍の脚力』、『◉◉グレーター級ソウルの力』。『◉◉アーチ級ソウルの力』
      『☆ステルス・ジツ』、『ステルス・アンブッシュ』、『☆◉忍び寄る刃』

 サイバネ:『▶生体LAN端子』、『▶▶▶テッコLv3』
      『▷▷▷内蔵型トキシンブレードx2(ダメ1&精神ダメ1、連続攻撃+1、内蔵型)』

『★★雑踏の猫』:
 自身の姿を雑踏に溶け込ませたり、その位置を錯覚させる強力な認識阻害を生じさせる。

 手番終了時に【精神力】1を消費して発動(難易度NORMAL)。
 術者は周囲5x5マス内の好きな場所に、「分身コマ」を4体配置する。
 このジツの効果中、術者本体か分身コマが攻撃を受けた時、術者はそれを「分身コマ」として
 即座にマップから除外してもよい(残った1体がつねに本体とみなされる)。

 また手番開始時、術者は分身コマを本体として、その位置から移動を開始しても構わない。
 このとき、本体以外の分身コマは消滅し、その数だけ「近接攻撃ダイス+X」の効果を得る。



3-3:鷲の王(ロールプレイ・イベント)

君達がカラテを構え直したとき、それは起こった。ドクン。4人は共に、極めて強い鼓動の音を聴いた。彼らはそれを自分の心臓音だと思った。君達はたまらず膝をつき、頭を抑えた。

01010010100111101101……010100101111110101010101。0100101010101001011101011110100101011……010101001010101111010101001101010101010。亀裂から覗く空一面が0と1で満たされた。

それはほんの一瞬の出来事であり、0と1のノイズは吹き払われて、もとの黄金立方体が……おお、ナムサン、ゴウランガ。もとの黄金立方体?否、それは今や無限の色彩を放射しながら、呼吸するかのように収縮と拡大を繰り返していた。恐怖と衝動がニューロンを満たし、制御不能のジツが荒れ狂った。

アルゴスによる再定義第三段階が為り、アポフィスの門が開かれた。すなわちメガトリイ・ネットがオヒガン全体に喰らいついた、ピーク。最も「近い」状態。キンカク・テンプルは無限に輝く。

【ネヴァーダイズ 7:ポラライズド】より

予想外の敵の襲撃に対処し終えたとき、アルゴスによる再定義第三段階が完了し、その反動によろめくPCの1人を、肉体を再構築したアガメムノンによる致命的なアンブッシュが襲う(対象はマスターがランダムで選択する)。

4人は制御不能な力の暴走に震え、慄き、ただ耐えるしか無かった。そしてそこに、神が現れた。

ジグラットから光が消える。直後、ハナミ庭園に雷槌……ゼウスの雷が降り注ぐ。KABOOOOM!!それは単なる電気エネルギーではなく、ゼウスのカラテそのものであった。意識が混濁するXXXを、避け難い死の予感が撃ち抜いた。

描写のサンプル

ゼウスの雷:アンブッシュを受けたPCは、3連続攻撃に対して回避判定(それぞれ難易度:UH3)を行う。判定の成否に関わらず、イベントが進行する。


そこに、一瞬早く復帰した男が割り込んだ「「イヤーッ!!」」アシッドウルフ!雷は今や人の姿を取り、インタラプトした彼へ稲妻を伴う断頭チョップを押し込む。KABOOOOM!雷光と共に衝撃波が周囲を震わせる。

(過去の残滓よ。今の君はこの世界に必要とされない存在だ)再定義の影響か、不可解なことに、テレパスめいて思念が木霊する。熱エネルギーが"鷲の腕"を溶融し始める。アシッドウルフが膝をつく(滅びるべき残滓は……貴様だ!)(その執念、神の拳で直々に滅ぼしてくれる!)瞬間、全員の視界が閃光で青白くホワイトアウトした。

「グワーッ!」そして吹き飛ぶのはアシッドウルフ。流れ込む稲妻が腕を焼き、右胸に穴を穿つ!致命傷を負った彼は受け身も取れず、離れた場所で仰向けに倒れた。


迸る電光は質量を備える密度にまで凝縮して装束と化し、その者に恐るべきニンジャの姿を与えた。そして稲妻の化身は……彫像めいた男は悠然と振り返り、4人の凝視を真っ向から受ける。「ドーモ」鷲の王はアイサツを行った。「アガメムノンです」

黄金のパルスが装束の表面を絶えず駆け巡り、見開かれた目の光と熱は天上の雷を鍛える炉のそれであって、ブレーサーとメンポの意匠の威容はオリュンポス12忍の頂点に立つ者にふさわしかった。

描写のサンプル

PCの回避判定の成否に関わらず、アンブッシュにはアシッドウルフがインタラプトし、PCの代わりにデン・ジツ注ぎ込みによる致命傷を受けて行動不能となる。

ここからはPCとアガメムノンの一騎討ちとなり、どちらかが完全に滅びるまでシナリオは終了しない。

TIPS:マスターはこの戦闘において、PCの【体力】が0以下に低下する場合、『ラスト・ニンジャ・スタンディング状態』の発動を許しても構わない。ただし、ペナルティは1段階軽減され、行動難易度+1かつ敵からの攻撃/射撃難易度-1となる。


戦闘マップ

蹂躙者の眉が不快そうに微かに動いた。「遺憾だ。ここはもっとも真実に近い地。君たちに侵犯の権利は無い」「もはや君たちは生きているべきではないのだ。死にたまえ。我が世界は君という存在を許容しない。実際、私はこれまで君たちという不純物に幾度も煮え湯を飲まされてきた。その筋違いのイクサによって」

『エージェントはアガメムノンを排除せよ。対象はジグラットに流入する電力を吸い上げており、地上のレリック級UNIXの動作に致命的悪影響。再定義プロセスに問題が発生中』

「アルゴスは王が継承すべきメガトリイの叡智。地べたを這いずって苦悩する君たち如きが触れることは許されない。再定義を成し遂げるのは鷲の一族たるこの私の意志に他ならない」

描写のサンプル

このシーンでは「P3-3:鷲の王」のマップを使用して戦闘処理をおこなう。マスターはロールプレイに応じて、任意の場所にPCをまとまって配置させてから、あるいは直前のシーンにおける立ち位置を引き継ぎ、それに対峙するようにしてアガメムノンを配置する。

◆キャンペイグン/ブラックサイト√のクリア条件
・アガメムノン/ゼウス・ニンジャを爆発四散させる


◇NPCデータ:アガメムノン

ここに収録されたアガメムノンのデータは、キャンペイグン中でも最も強力なものとなっており、成長限界級のPCが爆発四散する可能性も十分にある。マスターがこの"ラスボス"を操作するにあたり、特に頭に入れておくべき特殊な能力は以下のとおりだ。

『★★デン・ブンシン・ジツ』:
 アガメムノンは常に2回行動を行う。また【精神力】1を消費することで、
 マップ上の任意のマスへと瞬間移動してから移動フェイズに入ることができる。

アガメムノンは1回目の手番が終わった直後に、即座に2回目の行動手番が始まる。基本的には1手番目で『★★ゼウス・ニンジャの雷』や『★★デン・スフィア』で複数PCへまんべんなく攻撃した後、2手番目でランダムなターゲットに『瞬間移動』してから集中状態で近接攻撃を行うことが想定されている。


『★★★アーチ級デン・エンハンス』:
 手番開始フェイズに【精神力】3を消費して発動する(難易度:U-HARD)。
 効果を維持するためには、毎手番開始フェイズに【精神力】1をコストとして支払う必要がある。
 
 ・効果中、あらゆる『近接攻撃』と「スリケン」にエンハンスによる『電磁ダメージ+2』を付与する。
 ・もともと『電磁ダメージX』を持つジツについては、その値が+2される。
 ・身体の一部が電化し「回避ダイス+6」と『遠隔攻撃』に対する『●ダメージ軽減1』を得る。
 ・サツバツ!による能力値ダメージを無視する。また即死!効果をD6ダメージに変換する。
 ・【精神力】が0になった場合、この効果は終了する。

アガメムノンは1ターン目から即座にこれを使用する。このエンハンス効果により、アガメムノンの近接攻撃/射撃の最低ダメージは3となる(基礎1+電磁2)。

注意点として、これは『★★デン・ウェポン生成』と組み合わせると近接攻撃の最低ダメージを4まで引き上げる(基礎1+電磁3)。アトモスフィアがNORMALの間は、あくまでも素手攻撃との併用に留めておくのが無難だろう。

またエンハンスの副次効果により、遠隔攻撃に対する『ダメージ軽減1』を所持している点、また能力値ダメージを無視(自動的な欠損部位再生が起こっている)し、即死!効果を痛打+D6まで軽減する点には注意すること。


『◉◉◉◉〈鷲の一族〉の誇り』:
  【精神力】+4。加えて次の効果を得る。

 ・「緊急回避ダイス+100」を得る。これは1度使うと消えてしまう、戦闘中使い切りのダイスである。
  ・ターン開始時、前ターンに受けたダメージに等しい数だけ「緊急回避ダイス」を回復する。

 ・【体力】が0未満にならず、また【体力】0状態でも爆発四散せず行動可能となる。
  ・ただしあらゆる判定の難易度は+1され、敵からの攻撃/射撃難易度は全て-1される。
  ・【体力】0状態で受けた【体力】ダメージは【精神力】ダメージに変換される。

アガメムノンはペナルティ軽減版の『ラスト・ニンジャ・スタンディング』効果を持つ。

さらに被弾したダメージだけ、次ターン開始時に緊急回避ダイスが回復する効果によって、ヒサツ・ワザなど大ダメージの攻撃を受ければ受けるほど次ターンの防御性能が向上するという変わった特徴がある。

回避ダイスの割り振り:アガメムノンは本来の回避ダイス22個に加えて、緊急回避ダイス100個を所持している。マスターは毎ターン20~30個程度の緊急回避ダイスを消費し、アガメムノンが合計で毎ターン40~50個程度の回避ダイスを使うように調整する(つまり4~5ターン経過でアガメムノンの回避性能はPCの攻撃に対応できなくなる)。

目安として、アガメムノンは期待値上、PC4人の集中攻撃で毎ターン【体力】が2点減少する(4ダメージを受け、電力ドレインで2点回復する)程度に調整する。このとき、緊急回避ダイスの消費数はおよそ27個だ。

被ダメージによる緊急回避ダイス+も考慮すると、およそ4ターンは継戦能力がある計算になる。ヒサツ・ワザの発動など上振れがあった場合、これは加速する。

※4ターン終了時点で体力43/51、緊急回避ダイスはほぼ底をつき、PCの集中攻撃を回避するのが困難になる。ここまでくると、あとはヒサツ・ワザなど出目の勝負になってくる。『★★デン・ウェポン生成』の使い所もこのあたりだろう。

基本的に長引くほどPCの致死率が高まるため、マスターはある程度豪快に緊急回避ダイスを消費してゆくことが望ましい。

マスターは上記の水準を参考に、PCの連続攻撃回数や基礎ダメージを考慮して難易度を調整すること。


「望み通り、神の拳で直々に滅ぼすまで」 /// 「もはや君たちは生きているべきではないのだ。死にたまえ」

◆アガメムノン	(種別:ニンジャ)
カラテ     16   体力     51
ニューロン   15   精神力    32
ワザマエ    15   脚力     8/N
ジツ      9    万札     200
近接D:16、射撃D:15、発動D:23、回避D:22、緊急回避D:100
◇装備や特記事項	
 装備  :アーチ級生成装束とメンポ(標準的)

 スキル:『●連続攻撃3』、『●連射3』、『●マルチターゲット』、『●時間差』、『●ニンジャ第六感』
     『◉◉グレーター級ソウルの力』、『◉◉アーチ級ソウルの力』
     『★★★アーチ級装束生成』、『★★★半神的存在』、『★★★不滅』

『★◉ヒサツ・ワザ:デン・ジツ注ぎ込み』:
 『近接攻撃』の出目【6,6,6】成功かつ精神力2と回避ダイス2を消費して『発動判定:HARD』を行う。
 成功した場合、本来のダメージの代わりに『電磁属性ダメージ』2D3を与える(回避U-HARD)。
  【6,6,6】:『電磁属性ダメージ』が4D3に強化される。
  【6,6,6,6,6】:『電磁属性ダメージ』が6D3に強化される。
 命中した場合、この敵を『拘束』してもよい(『脱出:カラテU-HARD』)。
 続くアガメムノンの手番開始時まで『拘束』が続いた場合、この敵に『電磁属性ダメージ』2D3を与える。

『★★ゼウス・ニンジャの雷』:
 手番「攻撃フェイズ」で【精神力】を3消費し、射撃の代わりに発動を試みられる(難易度:HARD)。
 発動に成功した場合、アガメムノンの掌から4発の特殊なデン・スリケンが発射され、
 使用者から見えてさえいればどれだけ離れていても自動的に命中する(隣接は不可)。
 これはそれぞれ『電磁ダメージ2』、『回避ダイスダメージ2』を与える。
 またこれは『マルチターゲット』可、『時間差』不可、『回避難易度:HARD』である。
  【6,6,6】:『回避ダイスダメージ3』となる。
  【6,6,6,6,6】:『回避難易度:U-HARD』となる。

『★★デン・スフィア』:
 手番「攻撃フェイズ」で【精神力】を3消費し、攻撃の代わりに発動を試みられる(難易度:HARD)。
 発動に成功すると、自分を中心とした3×3マスにいる敵全てに対して、
 自動的に『電磁ショック3』と『回避ダイスダメージ3』を与える(回避難易度:HARD)。
  【6,6,6】:効果範囲が5x5となる。
  【6,6,6,6】:『回避難易度:U-HARD』となる。
  【6,6,6,6,6】:効果範囲が9x9となり、壁や扉を超える。

『★★電力ドレイン』:
 アガメムノンは電力ドレインにより、毎ターン開始時に【体力】をD3、【精神力】をD3回復する。

『★★デン・ブンシン・ジツ』:
 アガメムノンは常に2回行動を行う。また【精神力】1を消費することで、
 マップ上の任意のマスへと瞬間移動してから移動フェイズに入ることができる。

『★★デン・ウェポン生成』:
 手番開始フェイズに【精神力】2を消費して発動する(難易度:HARD)。
 稲妻によって生み出された特殊な武器を装備する。これは一切のペナルティを持たず、
 本来のダメージに加えて、エンハンスによる『攻撃ダイス+2』と『電磁属性ダメージ1』を得る。

 このとき「カタナ/ノダチ/ムチ/ヤリ/チェーンソー/カタナ二刀流/アサシンダガー」のうち、
 好きな形状の武器を生成でき、手番開始時に別の武器へと形状を変化させても構わない。



『★★★アーチ級デン・エンハンス』:
 手番開始フェイズに【精神力】3を消費して発動する(難易度:U-HARD)。
 効果を維持するためには、毎手番開始フェイズに【精神力】1をコストとして支払う必要がある。
 
 ・効果中、あらゆる『近接攻撃』と「スリケン」にエンハンスによる『電磁ダメージ+2』を付与する。
 ・もともと『電磁ダメージX』を持つジツについては、その値が+2される。
 ・身体の一部が電化し「回避ダイス+6」と『遠隔攻撃』に対する『●ダメージ軽減1』を得る。
 ・サツバツ!による能力値ダメージを無視する。また即死!効果をD6ダメージに変換する。
 ・【精神力】が0になった場合、この効果は終了する。


『◉◉◉◉〈鷲の一族〉の誇り』:
  【精神力】+4。加えて次の効果を得る。

 ・「緊急回避ダイス+100」を得る。これは1度使うと消えてしまう、戦闘中使い切りのダイスである。
  ・ターン開始時、前ターンに受けたダメージに等しい数だけ「緊急回避ダイス」を回復する。

 ・【体力】が0未満にならず、また【体力】0状態でも爆発四散せず行動可能となる。
  ・ただしあらゆる判定の難易度は+1され、敵からの攻撃/射撃難易度は全て-1される。
  ・【体力】0状態で受けた【体力】ダメージは【精神力】ダメージに変換される。



◇オプション:難易度調整のイベント

マスターはアガメムノンとの戦闘難易度調整、およびマンネリ化を避けるオプションとして、4ターン目以降、以下のイベントを順次発生させて構わない。

電力供給の停止:幾らかのターンが経過した段階で、NMはアルゴスのハッキングにより、ジグラットに流入していた電力を完全にシャットアウトする。これにより、アガメムノンの『★★電力ドレイン』は無効化される。ただし、持続可能ターンは3ターンなど時間制限を設けることが望ましい。


その時である! ZDOOOOOM!アガメムノンの雷光とは別の轟音が、君たちの頭上から訪れた。 その轟音の正体は、頭上の大穴から流入する大量の水。 それもただの水ではない。海水である!

「愚か者め!」アガメムノンは激昂した。「このような愚策で……メガトリイのレリックを……!」

海水の流入:幾らかのターンが経過した段階で、マスターはジグラットに流入した大量の海水がハナミ庭園に到達するイベントを発生させる。これによりマップが『P3-4:起死回生の一手』に変化し、青緑色のマス上では『弱点:海水への漏電』が発生するようになる。

『弱点:海水への漏電』:アガメムノンは海水に身を浸しすぎると体内に循環する電力が拡散し、やがて力を失ってしまう。アガメムノンが半身以上海水に浸かった状態でターンを終了した場合、たとえ溺れなどが発生していなくても、次のターンの開始フェイズに回避不能のD3ダメージを受ける。

加えて、同一マップ内にいてアガメムノンと同じ海水に触れていている全ての者(敵味方問わず)も、それぞれ『電磁属性ダメージD3』を受ける。アガメムノンは【精神力】を1支払うことで、この漏電を防ぐことができる。

 これによって【体力】が0以下になった場合、アガメムノンの【精神力】も直ちに0となり、戦闘不能となる。


マテリアライズのエントリー:海水の流入後、必要に応じてマテリアライズをその場にエントリーさせる。マテリアライズはPCが爆発四散した際のバックアップになる他、戦闘中1回限り、次の攻撃支援を行わせることができる。

『●マテリアライズの射撃支援戦闘中1回のみ発動可能。リチャージ2(コストは誰が支払っても良い)。アガメムノンに対し、1ダメージ(装甲貫通1)を3回与える(射撃、時間差、回避NORMAL)。

アシッドウルフの射撃支援:マテリアライズのエントリー後、辛うじて爆発四散を免れていたアシッドウルフは、1度だけPCを手助けすることができる。

『●アシッドウルフの射撃支援戦闘中1回のみ発動可能。任意のNPCに対し、回避不可の1ダメージ(装甲貫通1)を与える。以降、ターン終了時まで対象は回避難易度が+1される。


エンディング(ロールプレイ・イベント)

そこには無慈悲なるカラテが!カラテが!カラテ……あるのみ!「サ!」「ヨ!」「ナ!」「ラ!」インガオホー!アガメムノンは爆発四散!

アガメムノンが爆発四散すると、そこからは何の判定も要求されない、キャンペイグンの幕引きとなる幾つかのRPシーンが挿入される。


瀕死の"アシッドウルフ"

「サラバ」波が打ち付ける、人工植樹されたサクラの大樹に力無くもたれるアシッドウルフは、アガメムノンの爆発四散を見届け、呟いた。「これで終わりだ。すべて」その場は一転して、驚くほどの静寂に包まれていた。

描写のサンプル

マスターはアシッドウルフに関する簡素な描写だけを行い、PCがなんらかの行動を起こそうとするのを待つ。瀕死のアシッドウルフは当然ながら、アルゴスからも次の指示は送られてこない。

PCがアシッドウルフの元へ近寄ろうとする、あるいはどうするべきか迷ってしまっている場合、次のように描写を進める。

ブウウン……低い駆動音と共に、ジグラットに電力と灯りが取り戻される。「じきに、次のプロセスが始まる……そして古きは終わる」身じろぎしたアシッドウルフの顔から、ひび割れたメンポの一部が欠け、崩れ落ちた。

目元だけが露出した、パラクラバの素顔が明らかとなる。君たちは、違和感を覚える。これは"誰だ"と。

「さあ"俺"を、見ろ」アシッドウルフは震える手で、顔を覆うオオカミめいたフルメンポを外し、苦労しながらパラクラバを脱ぎ捨てた。

ナムアミダブツ!そこに在ったのは、かつて目にした"アシッドウルフ"の素顔とは全くの別人である!彼は偽者だったのか?否。



その時、再定義ではなく、"アシッドウルフ"の計画の第四プロセスが実行され、新たな精神衝撃波がジグラット……あるいはフジサンを中心に世界へと広がった。それは君たちのニューロンを揺さぶり、しかし痛痒ではなく、パズルの最後のピースが嵌ったような、ある種の清々した感覚をもたらした。そして、君たちはそれが何なのか、最初から知っている・知った・理解した・知っていた。

片や「グワーッ!?」マテリアライズは頭を抱え、もだえ苦しむ。

ソーマト・リコールめいた記憶の逆流が始まり、すべては混ざり合う。そうだ。"アシッドウルフ"とは元々2人存在していたのだ。彼は最も忠実なハタモトたる"アシッドウルフ"の精神的影武者、同時にアシッドウルフそのものであった。

◇爆発四散したPCが存在する場合、以下の描写を追加しロールプレイの余地を残しておく◇
そしてこの精神衝撃波は、同時に、オーバーラップした世界へと"引っ掛かって"いたXXXの論理肉体の残滓を、インターネットトラフィックと共に世界へと拡散させた。"XXX"は緩やかに崩壊する論理肉体の感覚と共に、大イクサの結末を知った。そして、これから起こることも。
◇◇◇

「俺の役割も終わりだ。カラテは全て伝えた。目的も与えた。手段も与えた」男は自嘲気味に笑う。「……それも過ぎた過去の話。ハタモトよ、お前たちが新たな〈鷲の一族〉の統治世界を保つのだ」

描写のサンプル

PCの預かり知らぬところで、オヒガンとのオーバーラップを強めた世界へと向け、アルゴスとアレンによる世界規模のウルトラ・ジツが行使される。

これは「アシッドウルフ≒アレン・ダレス」という存在(人格・ニューロンパターン・思想)をオヒガンを経由して世界規模で散布し、全ての知的存在のニューロンに混ざり合わせるものである。

ただし、コスモクライム≒シロウ・イスヒがジグラットで局所的に行なったような上書きではなく、あくまでも人格は混ざり合い(ローカルコトダマ空間を侵食する)、最終的な結果として新たな人格が誕生することになる。


アシッドウルフ(アレン)「自身こそが最も〈鷲の一族〉への忠誠心が強い」と考えており、その忠誠心や、そのプロセスに至るまでの思考を既存の人類に"混ぜる"ことで、全人類もまた「最も〈鷲の一族〉への忠誠心が強い」存在にしようとしていたのだ。

いわばこれは、アレンという存在への「強制的な理解の押しつけ」である。


このシーンでは、元々「アシッドウルフ≒アレン・ダレス」が混ざり合って誕生した人格であるPCが、さらなる「理解」を強制されたことで、半ば推論的にアシッドウルフ(スパイマスター)の正体を理解することになる。

つまり彼がメンポを外し、アレン・ダレスではないことを示してなお、PCが動揺しなければアレンの計画は成功したということである。名もなきスパイマスターはその事実を確認すると、ハタモトとしての役割をPCへと託す。


ホワイトドラゴンの役割

その時「ARRRRRGH!!」海水を凍りつかせながら、冷徹なるコリの女王が、悲鳴と共にハナミ庭園へと現れた『謀ッタナ……アシッドウルフ=サン……!!』「時限爆弾も、定刻通りというわけだ」スパイマスターは然程驚きをみせない。

『『忠実なる鷲の戦士たちよ。来たれ、"私"の元へ』』時を同じくして、IRCチャンネル、あるいはコトダマ空間を介した残響が届く。そして、ソーマトめいたフラッシュバック。霊峰フジサン。山頂に座する巨大なトリイ・ゲートのビジョン。


「さあ、もう〈行け〉。行き先は、分かっている筈だ」様々な感情が飛来した。それはまだ、間違いなく、"君"の感情であった。

ホワイトドラゴンは絶叫する。恐るべきコリ・ヌークが成れば、ジグラットが、カスミガセキが呑まれ、撒き散らされた滅びが、永遠にネオサイタマを冬に閉ざすであろう。そしてそれは、地上のアルゴスを護る堅牢なシェルターとなる。

描写のサンプル

もはや死の運命を免れないスパイマスターは、PCにジグラットから退避するよう勧告する。そして入れ替わるように、その場にはホワイトドラゴンが現れる。

彼女は本来強大なソウルによりウルトラ・ジツに抗えたであろうところを、依代となった肉体にインプリンティングされた洗脳指令に縛られており、自らを犠牲にコリ・ニュークを発動させられようとしているのだ。

PCはスパイマスターと別れ、ビジョンとアルゴスの呼び声に導かれ、霊峰フジサンの山頂へと向かう。


フジサン頂上へ

君たちは半ば夢遊病患者めいたトランス状態で、その場所へと向かった。すべての始りの場所。すべてが始まる場所。霊峰フジサンの頂上へ。

その脚がネオサイタマの地を1歩踏みしめるたびに、その思念は君のニューロンへと染み渡った。それは、もはや別の誰かの思考・人格そのものであった。そして君達は理解する。彼が成そうとする、真の統治、真の支配、真の忠誠とは何かを。


恐怖、力、富、名声、そうしたもので築き上げた支配とは、果たして完全無欠の支配であると言えるだろうか。それらを以て、人々をイマジネーションの源から切り離したとして、あらゆるイレギュラーを排除することはできるだろうか。そして、その存在も意図も知られず、世界の陰からすべてを思うがままに操作できたとして、それは完璧な支配と言えるのか?

答えは否である。心を真に支配できなければ、それは虚影に過ぎない。ときに1人の人間が、歴史を変えてしまうこともある。それは偏に、イマジネーションは、イレギュラーは人の内から生まれるものだからだ。故に、それを理解できなかった〈鷲の一族〉は失墜した。彼らの血脈は滅びるべくして滅びたのだ。

では真の統治とは何か。それは支配するもの・されるすべてが、"特定の概念"に対し、共通の思想、思考、感性、価値観を持つということだ。社会的な群体として、同一の対象へと向かう絶対的な忠誠心を共有するということだ。


君達は理解する。「アシッドウルフ」とは君達自身でもあったことに。洗脳された。すべてはそれほど単純ではなかった。被せられた「アシッドウルフ」という存在、それとかつての己が混ざり合って生まれたのが、今の君達なのだ。

そして今、再び「アシッドウルフ」の忠誠心が世界と混ざり合おうとしている。それは君達についても例外ではない。だからこそ、全てが理解できた。

描写のサンプル

もうひとりのアシッドウルフ、すなわちアレン・ダレスはオヒガンと最も近いフジサン山頂、巨大なトリイ・ゲートの先でPCを待ち受けている。

彼は〈傷〉を通じ、『月面のスリケン』を触媒としてアルゴスと完全に接続。システム・アルゴスを規格外のジツ増幅演算装置として用い、現世とオーバーラップしたコトダマ空間とオヒガンを経由して、世界中に「アシッドウルフ」をアップロードし、ローカルコトダマ空間のハッキングを行っている。

先述のように、自我薄弱な者、あるいはニューロンに防御壁を張れていなかったものは、これにより不可逆な人格改変(洗脳)状態に陥る。

またこのフジサン山頂までの道程で、PCはアシッドウルフの思想についての理解を深めてゆくことになる。


📝幕間の情景描写:変化する世界

アガメムノンとの決戦で爆発四散してしまったPCがいる場合、コトダマ空間に拡散したその残滓の視点から、以下のショートエピソードの描写を行う。

これはほぼ同時系列で起きている、PCが成したことによるネオサイタマでの影響を描くものだ。高位のソウルを宿している、精神的な防壁を有している、あるいはエゴが強いものはニューロンの綱引きに勝利し、〈鷲の一族〉を第一とする思想を受け入れていない。

XXXはコトダマ空間から世界を認識する。変わりつつある世界を……そして、その中でも変わらない者達を。

---ネブカドネザル
脳内インプラントが再起動し、墜落していたネブカドネザルは再び身体制御を取り戻す。「精神衝撃波による影響、なし。墜落による損傷、軽微。戦闘続行、可能」自己診断プログラムが次々と身体パラメータをHUD上に表示してゆく。しかし、この不快な思考ノイズはなんだ。

『……ネブカドネザル=サン。聞こえるか』冷静な男の声がノイズと共に届いた。『お前が忠誠を捧げる先は何だ』「無意味な質問です。私はオムラ・インダストリの所有物です」ネブカドネザルは応じた。

『よし。何が起きたのかは、理解している筈だ。世界規模の洗脳計画などと、ふざけた話よ』声の主、オメガは続ける。『モーティマー=サンを連れて移動している。お前も合流しろ。会長と……オムラを取り戻さねばならん』

ネブカドネザルはインプラントICで素早く計算し、本社状況を把握したのち、答えた「了解」。損傷ロケットが噴射を始め、ネブカドネザルの巨体は宙へと浮いた。


---ラオモト・カン
「……〈鷲の一族〉だと?よくぞここまで我が庭を荒らしてくれたものよな」天守閣のラオモトは耐え難い頭痛に頭を抑えながら、憤怒と共にグンバイをへし折った。ニューロンに他者の意識が、〈鷲の一族〉を絶対とする支配思想が流れ込む。それは才覚や野心を重んずる彼にとって、我慢ならないものであった。

モニタの先では死闘を繰り広げていたシックスゲイツと、湾岸警備隊の精鋭ニンジャがなし崩し的に背中を預け合い、共通の敵と対峙していた。それ即ち、鷲のニンジャたち。つい先程まで、ソウカイヤないし湾岸警備隊として戦っていたニンジャたちだ。

「万人等しく、支配存在に平伏すべし」「隊長。今すぐ降伏を。貴方は処置を受けなくてはならない。何故〈鷲の一族〉を受け入れないのです?」

「あの男。一体何をやらかした?いや、どうやってと言うべきか」ストーンコールドは頭痛を振り払うと、"鷲のニンジャ"にカラテを構え直す。「知った事か。"コイツら"は世界中に喧嘩を売りやがった。舐めた連中には仕置をしてやるだけだ」背中合わせにソニックブームが別のニンジャに対峙する。

誰が敵で、誰が味方か。未だ読み切れぬ。しかし、ここを切り抜けられねば、ソウカイヤの、湾岸警備隊の未来はない。それだけは確実だった。


---クレイニアム
『大いなる〈鷲の一族〉の存在を受け入れられない?それは社会全体にとっての経済損失だ!欠落者は処置を受けなくてはならない。分かりますね?』街頭モニタから、青年投資家カラカミ・ノシトが力説する声が響く。〈鷲の一族〉への忠誠を受け入れられない落伍者、欠落者は反社会的存在。処置により、排除されなければならない存在。

「ふざけやがって。一体何が……何がどうなっている!」シックスゲイツ、クレイニアムは爆発四散させた、自らの部下だった者の爆発四散痕を前に、絶望的な表情で街頭モニタを眺める。

もはや敵も味方もない。いや、敵と味方で再区分されたと言うべきか。あちこちで"鷲のニンジャ"とその他による、壊滅的なイクサが繰り広げられていた。炎上するネオサイタマの勢力図は、一瞬で塗り替えられたのだ。あるいは、その外でも。

「これが本当に、お前たちのやりたかったことか……?こんなものが……!」クレイニアムは新たな"鷲のニンジャ"を殴り倒すと、トコロザワ・ピラーへと向けて走り出した。

描写のサンプル


アレン・ダレスとの対峙

電子ネットワークの統治による人類支配など、所詮は稚気じみた夢。衛星貴族共は人々を見下ろすため、宇宙へと昇ったのではない。その可能性を、恐れたのだ。抑圧・管理されようとも、人間の脳は、ニューロンは、魂は、常に不確実な揺らぎを生み出す。オヒガンとの接続を絶たれた脳は、再びオヒガンを生み出すであろう。不確定要素を恐れ、逃げ出し、不確実な手段で支配を成し遂げようとし……滅びた。彼らは失敗した。彼らの血脈は"終わった"のだ

『おぉ……故に私は、正しき手段により、〈鷲の一族〉という"存在"に、正しき世界支配を捧げ、世界をあるべき姿へと収束させなければならない』

君は失墜した〈鷲の一族〉を憂い、その愚かさに怒り、自らが新たな〈鷲の一族〉となり、正しく真に世界を支配することにしたのだ。そしてそのために、すべてに己を浸透させることにした。自らの忠誠心を絶対的なものと信じて。


君たちのニューロンが融和されたとき、そこは既に霊峰フジサンの頂上であった。片足となった巨大な大トリイ、即ちメガトリイ・アンテナ、それを越えた先に、1人のニンジャがアグラを組む。

君たちが1歩踏み出すと同時に、グレーのダブルスーツを纏うその男は、ゆっくりと立ち上がった。天頂には、無限の色彩を放つ黄金立方体が在った。


「私はアレン・ウェルシュ・ダレス。アシッドウルフ。鷲のニンジャであり、新たなる〈鷲の一族〉であり、アルゴスであり、全世界の人間のイマジネーションの行きつく先であり、貴様たち自身である」

君たちは彼の電子ネットワークとの、オヒガンとの、そして月面のアルゴスとの強力な論理的な繋がりを認識した。

「貴様たちは、これからも、鷲のニンジャで在らねばならぬ。私は世界へと則を敷いた。〈鷲の一族〉という概念を絶対とする則を。価値観を」

「だが、人のイマジネーションは尽きることはない。それは好ましく、同時に異例の存在を生み出す引き金となる。これは終わりではないということだ。未知を愛し、そして排除する。以て、〈鷲の一族〉への究極の忠誠の完全性を保つ。それが貴様らと私の使命だ」

描写のサンプル
アレンは常にカチグミめいたフォーマルな装いに身を包む。またアーチ級の憑依者にも関わらず、アルゴスとの融和のため、その身体は月の石を用いた高度なサイバネで広く置換されている。

黄金立方体が天頂に輝くフジサン頂上にて、PCはそれをアレン・ダレスと認識して初めてアシッドウルフと対面を果たすことになる。彼らは厳かにアイサツを交わしつつ、確かめるように、この後に何をすべきなのか会話をする。
 アレンは今回の一件で世界のすべてが手中に収まったとは考えておらず、先の『変化する世界』にも描かれるような抵抗勢力の発生はある程度想定の範疇である。彼はその存在を容認しつつ、それを排除するのがこれからの使命だと語る。

当然ながらPCには従来どおりのパーソナリティや自我があり、プレイヤーはこのシーンでも自由に彼らをロールプレイすることができる。


時を同じくして、限界を超えたコリ・ヌークがジグラットから拡散し、フジサン頂上から見渡す限り、偽りの冬がネオサイタマを飲み込んだ。ジグラットのアルゴスの完全性は、これにて保たれた。

「不本意。それもよかろう」
「満足。それもよかろう」

「私は等しくこの言葉を貴様たちに贈る。ようこそ、我々の世界へ OUR WORLD」狂った男は厳かに告げた。「新たな始りの日だ」

描写のサンプル

アレンとの対話がひと段落つくと、ホワイトドラゴンのコリ・ニュークが炸裂し、ネオサイタマは偽りの冬に閉ざされる。これでジグラットの地下は凍結封印され、何者にも容易に干渉はできなくなる。

彼らも予期していないことに、再定義の余波によって世界各地のリアルニンジャが目覚め始めているため、実際には想像しているほど事は簡単に進まない。しかしながら、少なくともこの時点までのアレン≒PCの計画は予定通りに成功を迎えたことになる。

長かったイクサの終わりを告げ、またこれから起こるであろう新たなイクサを予感させる描写によって【フォールス・ウインター】キャンペイグンは終幕を向かえる。


◆おめでとう。あなたはキャンペイグンをクリアした◆



補足コメント

【ナシング・イズ・インポシブル・イン・アワー・ワールド】というシナリオタイトルは、V2ロケットを開発したドイツのロケット工学者へルマン・オーベルトの発言とされる 『Nothing is impossible in our world, we must only discover the means to achieve it. (この世に不可能はなく、我々はただそれを達成するための手段を見つける必要があるだけなのだ)』 とい言葉に由来しています。

最終チャプターの他2シナリオが、既に宇宙に到達し未知を開拓した宇宙飛行士の言葉に由来しているのに対して、このシナリオでは 「PCが新たな時代の幕開けに挑む」 構図になる点を強調するため、意図的にロケット工学者の発言からタイトルを引用しています。実際「達成するための手段」を見つけ出し、その答え合わせを待つアシッドウルフ(アレン)の視点に寄り添ったタイトルとも言えますね。


シナリオ構成としてはやりたいことを存分に詰め込んだ、相当に過積載な内容となっており、標準的なシナリオ換算では3~4本分程度のボリュームがあると思われます。シナリオ化前の実際のプロットメモは以下の通りで、肉付け段階で相当にアップサイジングされてしまっているのがよくわかります。

Part1
ジグラット突入 → エントランスにコリ・ニンジャクラン&ホワイトドラゴン。味方であることが判明。アマクダリニンジャを背後から殺し、それを証明する。→PCたちは入り口をコリ・ニンジャクランに任せて突入できる

レーザー砲撃の影響でジグラット内部で電波障害。アルゴスとの通信不安定に。与えられた座標データを元に、地下へと続く最短ルートを目指す。

途中でドラゴングラスとジャスティスの戦闘に巻き込まれる。ドラゴングラスはエメツの影響で半暴走状態。

ジャスティス撃破でレーザー砲撃発生。PCのいる部屋ごと地下までジグラットが貫かれ、アシッドウルフが降下してくる。それに続いて地下に降りる所でPart1終了。

Part2
レリック級UNIXに到達
ハタモトとのガチ戦闘
再定義が第三の門まで到達

Part3
コスモクライムの出現→ナンシーの攻撃→グリーンゴーストによる解決
アガメムノンとのラストバトル

→アシッドウルフはアガメムノンPOP時に重症を負う→クライマックス

アシッドウルフが2人いた事が判明。
再定義と、もうひとりのアシッドウルフによるウルトラ・ジツがオーバーラップしたコトダマ空間を通じて広がり、潜在意識にアシッドウルフを刷り込まれていたPCたちは全てを理解する。

こうして大量に盛り込まれたシーンのなかでも、特に気に入っているのはパート3における、オヒガン生命体コスモクライムの襲撃シーンでしょうか。

この場面、基本的には直前の判定イベントでPC側有利に大量の味方NPCをPOPさせられるバランスになっているのですが、それが一転して全て敵NPCとなり、さらには拡張サイバネとして利用していたコスモクライムの残骸までもが牙を剥くというとんでもない掌返しが起こります。しかしPCはそれに対し、練り上げたカラテやグリーンゴーストといった、過去の積み重ねによって真正面から打ち破ることができてしまう――。

ハタモトとの決戦とはまた別方向で、PCの凄みを再実感してもらえる、色々な意味でインガオホーな展開が好みな1シーンでした。

補足するならば、実卓プレイヤーの1人が「破壊したコスモクライムのニューロンチップを持ち帰りたい」と言い出さなければコスモクライムの拡張サイバネ転用という要素は登場しておらず、このシーンにおける乗っ取りイベントも存在していませんでした。

危なっかしい直結行為という前フリに対し、シナリオ展開としてようやく返すことができたシーンであるのも印象に残っている理由でしょう。参加プレイヤーさんとのキャッチボールで、物語の解像度をあげてゆくというキャンペイグンの醍醐味が詰まった1シーンでもあると思っています。


またこのシナリオではキャンペイグンの最終話ということもあり、マスター向けのTIPSとして収録していますが、過去作以上に数字的なアプローチに力を入れて戦闘のバランス調整が行われています。

PC全員の攻撃の手数、攻撃判定の成功率、そこにボスはそれぞれ何個ずつ回避ダイスを割り振り、被弾するダメージの期待値はいくらなのか……と厳密にダメージの期待値を何パターンかで算出しておき、奇妙な話ですが事前に回避判定の方針を決め打ちしてボスNPCを操作する、お硬い調整が実卓セッションの裏には隠れていました。こうした点でも、非常に勉強になった1作でした。


最後に、キャンペイグンのエンディングについてです。今回サンプルシナリオとして公開することになった(そして実卓プレイで辿ることになった)アシッドウルフ・ルートは、マイナスをゼロに、新たなスタート地点に辿り着くための物語といった具合で、いわゆるビターエンドに相当する終わりを迎えます。

視点を変えると、PCが自身の正体を追い求め、理解し、鷲のニンジャのハタモトというエゴを確立するまでの物語であり、別の争乱が眼の前に控えているという構図は人によってかなり好みが分かれるところでしょう。

しかしながら、1本の芯を持って最後まで駆け抜けたPCたちはアレン≒己を信じた結果として頂点に到達したわけで、実質的な先代である影武者のアシッドウルフ(スパイマスター)でさえも彼らの実力を信用し、カラテというミームを伝え、最終的にはハタモトの役割を引き継がせます。PCが偉大なことを1つ成し遂げたのは間違いありません。

アレンが目指すのが、ある意味で完全無欠な平和を実現した統治世界であることを考えても、まだ希望の残るエンディングと言っても差し支えないのではないでしょうか。

【フォールス・ウインター】ではこの続きは描かれませんが、ここまで辿り着いたPCたちが、再び何かを成し遂げ、次の結末に到達できることを祈ります。


キャンペイグン設定に関するQ&A(おまけ)

ここではオマケとして、キャンペイグンの実卓プレイ終了後に、プレイヤーさんから寄せられた各種設定についての質問への回答をまとめています。ほとんどはCPセッティング記事に(一部内容を精査・変更して)収録されているため、あくまでも参考資料として御覧ください。

🤔ニルヤ部隊ってなんだったんですか?
😺ニルヤ部隊は"ジツを使うモータル"部隊という感じの連中でした。ブラックソーサラーのジツでオヒガンとIPが接続され、ニンジャ並ではないですがシンプルに身体能力が強化された、ネザーキョウのゲニン的な存在……というイメージが近いかもしれません。

🤔ブラックソーサラーが死んだ後は作れなくなったんですか?
😺そうです。ブラックソーサラーが爆発四散した後はNERFされました

🤔ブラックサイトの基地とかずっと準備されてたように感じたけど、ボスの計画はいつから進行してたんだろう?
😺アシッドウルフが運用していた基地などは、ほとんどがCIAが戦前から仕込んでいた地図にない秘密拠点でした。これを主導していたCIA長官アレン・ダレスは、〈鷲の一族〉にもこれらの一部を秘匿していたため、アガメムノンでさえ居場所を特定することができませんでした。

🤔ニンジャスレイヤーさんは結局どうなるんだろう?
😺ニンジャスレイヤーはたやんもいるので最終フェーズの精神衝撃波の影響をほぼ受けませんでした。ただ、ナラクがアレンに憑依したニンジャの存在を見抜いたため、最終的にはスレイしに向かうと思われます。

🤔ナンシーさんとかFKG関連のモータル/ニンジャ面々はどうなったの?
😺ナンシーはフラットライン化しました。FKG組は、例えばカタオキのように強力な精神感応のジツを持っているNPCは影響を最小限に抑えられましたが、その他アーチ級の憑依者でないあるいは弱いニンジャは〈鷲の一族〉への忠誠心を発現して支配体制側に回りました。

🤔たまにあった〈〉囲いの命令には特別な意味があったりするんですか?
😺正直中盤以降は形骸化していましたが、〈〉はPCの脳裏に洗脳でインプリンティング(刷り込み)された強制命令のイメージでした。自らの意志に関わらず、無意識に従わせられるキーワード、のようなイメージです。

補足:実際には「恐縮だがXXXしてくれないか」のように、特定のフレーズを用いて、一部の命令を強制していた。〈〉はそのフレーズによって強制された行為を表していた、というのが正しい回答。

🤔ビクター=サンは一度負けたみたいな事を言ってたけど、どういう経緯でボスと一緒になったんだろう?
😺Y2K以前は我々が知る歴史と同じ出来事が起きたと仮定して、ビクターは日本軍側で米国に敗北を味わった政府高官でした。

ビクターはアシッドウルフ=フォスターの能力を買いながらもそれを出し抜くチャンスを伺っていたのですが、実際にはアシッドウルフの正体はアレンであり、1歩及ばないまま手のひらの上で転がされて終わってしまった……という皮肉なキャラでした。

なんだかんだでアシッドウルフは過去のCIAと繋がりがあるようなキャラをスカウトしてた感じですね。

※補足:フォスターとは、アレン・ダレスの兄で国務長官だったジョン・フォスター・ダレスのこと。

🤔もしアマクダリルートに入ってたらボスともだけど、(ウルトラ・ジツによる洗脳の)刷り込みともイクサしてたのかな?
😺シナリオの段階にもよりますが、行動を強制してくるようなボスギミックは検討されていました。

(実際にはカットされましたが)初期段階のアシッドウルフのデータには、PCの行動を強制する代わりに強化する、という能力があり、敵に回るとそれが逆方向に働く……というイメージで考えていました

🤔KMCレディオみたいな放送もアシッドINされるのかな…ネオサイタマすっごいことになってそう
😺はい。基本的に次の例外を除いて、〈鷲の一族〉を是とする価値観が精神の内側から発生しているため、ネットワークを経由したアルゴスの勧告や誘導のもと、大半が〈鷲の一族〉の勢力に合流したとみなして良いかと思います。

・ユメミル・ジツなどニューロン防御の術を持っている
・上記のようなジツで守られている
・別の何かに対する強い忠誠心や、狂信的な妄執に捕らわれている
・精神性が人間のそれと明らかに異なる
・強大なアーチ級ソウルを身に宿しているなど、自我が強固
・ネザーオヒガンなど、オヒガンに由来する別のレイヤーに存在する

🤔アレンの方のジツは一体?
😺アシッドウルフ(アレン)に憑依したのはスサノヲ・ニンジャでした。 このCPにおいて、私はスサノヲ・ニンジャを次のように定めています。

・伝承におけるスサノヲとツキヨミとの類似性は、彼らが1人のニンジャの力が分たれた同一存在であることを示唆している。

・多数の伝承がまとめて一つの話となっている。多彩な性格を有している。これらはスサノヲが精神分裂やそうした存在の生成(ミーミーを増やす)に関するジツを有していたことを示唆している。

アレンは再定義によってオヒガンを最接近させ、ジツの力を高めると同時に、オヒガンと最も近い〈傷〉が存在するメガトリイ・アンテナから論理的にアルゴスと接触し、分かたれた2つの力を1つに統合することで、強大化したそのジツを世界規模で行使しました。

なおアレンがスサノヲ・ニンジャを憑依させたのは偶然ではなく、月面から回収されCIAに保管された月のスリケン(『スリケン・フロム・ザ・ムーン』)が影響を及ぼした……というふわっとした設定を考えていました。

ここでのポイントは、アレンはニンジャのジツを主体として己のミーミーを分化させたわけではなく、ジツを使ってモータルの技術『MKウルトラ』の研究成果を再現した、という点で、コスモクライムやブラックソーサラーとは決定的に違うというトコロでしょうか。


なので彼が第四フェーズとして実行した精神衝撃波はスサノヲ・ニンジャのジツ、ではなく、アレン・ダレスによる『★★★ウルトラ・ジツ』というのが適切なのかな、と思います。

ブラックソーサラー:ニンジャのジツにより洗脳を施していた。モータルの技術はその補助。
コスモクライム:モータルのジツにより、己を"上書き"していた。全てが同一存在。
アレン:ニンジャのジツにより、モータルの洗脳技術を執り行った。上書きではなく、混ぜ込むことで、自己発生的に忠誠心と思想を植え付けた。

みたいな違いがありました

🤔ダイスで出なかった出目のネオサイタマ模様(は他に何があったの?)
😺他にはこんなものがありました

・クレイニアム編(街頭モニタに映るカラカミ・ノシトが鷲の一族へと従うことによる経済的メリットを謳い、クレイニアムはPCが望んだ世界とはこんなものだったのかと嘆く)

・ニンジャスレイヤー編(フラットライン化したナンシーの肉体を支え、衛星攻撃の爆心地から逃れ出るフジキド。そこにアシッドウルフの計画の第四フェーズが襲う。ナラクが彼に憑依したニンジャを言い当てるも、その存在のありかたに違和感を覚える)

・フィルギア編

🤔たやんの違和感はやっぱりアルゴスとかと接続してるからなのかな
😺この時点でツキヨミ・ニンジャとスサノヲ・ニンジャが合一化を果たしているからですね!

※補足:実卓プレイでは、ダイスロールでランダムに数個「変化する世界」を描写していた。
ただし、ニンジャスレイヤー編、フィルギア編は冒頭まで書きかけで、今回の公開シナリオにおいては加筆されずカットされている。


🤔こうして見るとアレンのやり方が一番巧妙だ。混ぜられた自我を分離することは果たして可能なのか…例えアレンが打倒されたとしても世界は不可逆なのでは…?
😺精神に対する精密外科手術を世界規模で行うことは……不可!PCの皆さんは、それを証明するための実験台でもあったわけですね

😺PCが特別扱いだったのはそういうわけでもあったんですね。"腕"のニンジャの中にも、記憶操作者、感情操作者、人格操作者など幾つかの被検体バリエーションがあり、PCはより最終目標に近いところにいる、ウルトラ・ジツによる自我の混ぜ込み実験のニンジャ成功例だったというわけです


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