短歌まとめ 2022.9

月末はあなたが死んだ夢を見て吐かないようにケーキを食べる

三日月は月であの子は友達で袋の中は低脂肪乳

幼さで繋がるふたり花言葉みたいにずっと騙してほしい

百年前ダムに沈んだ雪国の晩夏に雪が降る百年後

永遠に幸せだよね口開けていちごみるくの飴玉一つ

もう夏は終わったらしい浴槽でもう動かない君蝉時雨

夜だからかなり勝手に嫉妬して勝手に後ろから抱きしめる

死ぬまでに君に抱かれてみたいから毎晩裸になって、寒いね

牛乳を注いだコップのミッフィーに合わせる顔がなくて十五夜

百均の値札を剥がす指先もきみに祝福されていたのに

ヒトなんか愛せやしない醜くてアタシなんかが、アナタなんかが

おそろいのゆびわがほしいおそろいのからだがほしいおそろいの闇

遠いから美しいきみ美しいたましいだけが可食部のきみ

甘いもの以外いらない君の声聞いて貪るいらないご飯

まだ暑いからエメラルドグリーンの海に沈んで、君に会いたい

輝いて、刺して、笑って!25時、ブルーライトも一つの光

夢だから何してもいい。あの人にほくろは七つ、味はラベンダー

パライソの彼方へ行こうブルーハワイに染まった舌を見せ合い笑う

映画なら主演は私じゃないねとか言えないくらい馬鹿みたい、恋

天国に着いたら君にキスをして泣いて笑って殺して狂う

夜が来る前に全てを均せたら一番大きな月をください

あの星を燃やしたいとは言わないが最後に残った灰だけ欲しい

ひどいことしてほしい嘘ついてほしい寝るまで声を聞かせてほしい

指先の切り傷を見る。血、涙、性、愛、全て、流れた、後の

ちっぽけな君すら抱けず腕という名前の肉は余ったままで

痩せ犬の瞳の中にいる君を見つめていたい。犬が死ぬまで

痩せ犬も私も同じ肉だから同じ哀れみを食って生きてる

痩せ犬の故郷を焼いた手で君の体を愛撫する。罪と罰

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