見出し画像

ジムを合同会社型DAO/トークン式会社で運営する

初めまして、Nextmergeの飯島です。

Nextmergeでは、TIPWAVEというウォレットを運営しており、
ウォレットを持っていない相手にも、SNSのIDを宛先として、コミュニティのトークン(オフチェーンも可)も送付することができます。

DiscordやTwitterをやっていればユーザがウォレットを作るという行為をしなくても自動的にトークンを受け取ることができます。

日本DAO協会のレップホルダーをやらせていただいております。

はじめに

今回は、皆様もよく利用されているであろう「ジム」を運営する際に、トークンや合同会社型DAOの仕組みを利用し、どのように運営できるか考えていきます。

私は、士業の人間でもありませんので、曖昧な部分や誤りがあることがあります。
ご指摘いただけますと幸いです。

「STEP」は下準備のようなイメージで、単純な仕組みを構築します
「Practice」では、変数を増やした仮説を立てて、どのようなことができるか応用例を考えています。(
面白いのはPracticeだと思います

ご自分の知りたい部分から読んでいただけますと幸いです。

今回お話しするジムですが、私が利用している「エニタイム」くらいの設備、規模を想定しています。多店舗展開は考慮しておりません。

法人の名前は「Xジム」という名前でやっていきます。

不動産やジム設備にかかる費用に関しては、簡単に数字を当てているだけです。税金なども加味しておりません。

ご了承ください。


STEP1:基盤の設計

ジムに必要なモノは、

最低限はこれだけだと考えます。
地代家賃(土地建物などの不動産)

光熱費(トイレ、電気など)

設備費(器具など)

最低限はこれだけだと考えます。
そして、基本的に固定で出費するのは、地代家賃、光熱費のみとします。
固定費は、年間200万円とします。

今更ですが、合同会社という法人格があるので、不動産などの「契約」が可能です。


STEP2:社員権発行と定款の作成

出費がある程度確定したので、社員権を発行し資金を調達します。

まずはロールごとの権限(ユーティリティー)を確認しましょう

初期はこのようなロールごとの権限を設定し、進めていきます。
この内容は、登記時の定款に記入することになりますが、途中から投票などで変更したりすることも可能です。

定款は以下のようなテンプレートを利用して作成しましょう。

定款の他にも、運用規定や総会規定を作成することで、柔軟に対応することができます。


資金調達は、社員権を販売することで実施できます。
初期に発行する社員権は仮に一つ50万円で販売します。

STEP3:資金調達

前述の通り、固定費が200万円/年であるため、実際に運用していくためには、年間200万円(17万円/月額)を残さないといけません。

業務執行社員である私がTwitterで公募したところ、10人が購入してくれました。(私含め)

500万円を集めることができました。

現在の会社としての内訳はこのようになります

業務執行社員 1人(私)
社員     10人(社員権購入者)
一般利用者  0人
貢献者    0人
年間余剰資金 300万円

現在は、社員として登録されているメンバーも、
業務を執行してくれるのであれば、業務執行社員にすることができます。
業務執行社員だと、配当に制限はなくなるので、初期の投資以上の額を回収することができます。

STEP4:運営準備と初期設備の購入

一度全体のビジネスモデルなどを整備します。
まずは、運営のモデルを確認します。

一般利用者は、1会員当たり5000円/月の会費を利用することでジムを利用することができます。

社員も集まったので、全体で話し合い、トレーニング器具を購入します。

話し合いの結果、200万円分の設備の購入を提案し、投票にて承認され、

購入する器具の内訳に関しても、それぞれがジムに欲しいものを提案し合い200万円分購入しました。

最低限の設備を整えたので、2024年5月に運用を開始しました。

STEP5:リワードトークンの発行

運用を開始しましたが、広告運用なども実施していなく、現在は社員のみがジムを利用している状態です。

残りの資金が多いわけではないので、ジム運営に対するタスク実行や貢献を示す「リワードトークン」を発行し、バーンレートを下げていきたいと思います。

こちらの内容は、現状のものです。
事業の進行によりアップデート(機能の拡張や制限など)されていきます。

ここでは「Xジムポイント」という名前で発行します。

投票に利用できるのは社員以上のメンバーのみ

このような内容で発行します。
リワードトークンを利用して、投票できる事柄を絞ることも可能です。

現状は、社員と業務執行社員のみが投票可能です

ジムに置く器具に関しての投票
リワードトークンのユーティリティの追加

社員と業務執行社員が貯めたリワードトークンに基づいて、投票を実行することができます。(一般利用者などは投票不可)

上記二つの提案以外では、リワードトークンを利用した投票は実施しないとする。

※リワードに関しては初期の段階で無理にブロックチェーンを利用する必要はありません

STEP6:リワードトークンの活用

ジムの掃除や管理、ジムの課題解決への提案など(タスクや貢献)をしてくれた人へ「Xジムポイント」を渡していきます。

Xジムポイントを関係者(社員や一般利用者、貢献者)はタスクや貢献をしてくれた場合、ポイントを入手することができます。

今回は初期は簡単に配布料と利用する際のポイント量をこのように決めます。

こうすることにより、以下の人たちの貢献を期待できます。

ジムにはお金を払わず(できるだけ安く)利用したい人(貢献者)
自分のお気に入りの器具をジムに置きたい人(社員など)
社員権を入手したい人(貢献者/一般利用者)

このように自社が実施するサービス内でポイントの経済圏を作ることは、現行の法律上実施できます。

別法人や不特定多数が利用できる状態にする場合は、ライセンスが必要になる場合があります。

Xジムポイントでできるのは、自社が持っているリソース(サービスなど)を一定の貢献をしてくれた人へ付与することができます。

その人がXジムにどれだけ貢献したかを測る指標とも考えられます。

Xジムポイントを持っている=Xジムに貢献してくれた人

ジムを利用する際には、個人のポイント残高から「消費」する形なので、総獲得量が貢献の度合いと考えることができます。

STEP7:利益などの配当

Xジムでは、さまざまな施策を行い、利益が貯まってきました。

以前の投票では、設備の投資を行いましたが、そろそろ社員権に対しての余剰利益の配当をしたいと提案がありました。

法律上で可能な内容は以下になります。


このように利益に対して、実際の金銭をある程度配当したり、ユーティリティのあるトークンを配布することができます(Xジムポイント)

業務執行の基準に関しては、どのレベルで業務執行社員と認められるのか
総会を実施したり、議事録を取るなどの業務(その他の業務でも可能)を執行することで認められます。

Xジム合同会社の今期の利益である1000万円の10%を社員へ配当を実施しました。

社員の構成は以下になります。

業務執行社員 5人 
社員     10人(社員権購入者)
一般利用者  15人
貢献者    20人
年間余剰資金 1000万円
配当総額   100万円

100万円/20(社員総数)=5万円/人

社員権=5万円の配当を実施しました。
社員は50万円を支払い社員権を購入しているので、50万円までの配当であれば実施することができます。
※税務上の取扱いについては専門家へお問い合わせください

今回は5万円が配当されたので、残りの配当可能金額は一人当たり45万円ということになると考えられます。

※リワードトークン+日本円で購入した場合、リワードトークンが金銭的な価値があれば、リワードトークンの日本円価格と日本円の合計が配当可能金額になると考えられます。(クリアにはなっていないので確認は必要)

以上が基本的な社員権と組織のリワードトークン(ポイント)を利用した、初期の設計になります。

このあとは応用で、想定されるケースや社員の属性による分岐などを考えていきます。

Practice:社員メンバーの変化による経営の変化

現段階では、提案に対して、投票をできるのは社員の人だけです。
Xジムポイントを利用することで、社員権を購入する人が増えれば社員の構成する属性も変わっていきます。

社員の構成の変化は、投票される意思決定にも影響を及ぼします。

例えば社員の構成が、
筋トレが大好きでゴールドジムのようなガチムチの多いジムを作りたい人
が増えると、

Xジムの設備やサービスに影響を与えます。

「ガチムチ向け」のXジムを作ろう

このケースでは、社員にガチムチが増えて、ガチムチの投票パワーが強くなったケースを考えてみます。

社員権の販売は一定期間ごとに実施しています。

業務執行社員 10
社員     20(社員権購入者)
一般利用者  15
貢献者    0
年間余剰資金 300万円

社員権を持っているのは30人で20人ほど社員が増えています。

社員増加の内訳は、
50万円の社員権を購入した人=5人
Xジムポイント2500と25万円で社員権を購入した人=15人(こちらは新たなユーティリティとして承認された内容)

となっています。

このメンバーの中でガチムチ向けのジムを作りたいと考えている人が、
多いと仮定して、どのような進み方ができるのかを考えます。

まずは、Xジムのターゲットをガチムチ向けに設定します。
基本的には、設備やXジムポイントをゲットできる内容や交換できるものを変えていくイメージです。

新しく追加したいXジムポイントを利用した仕組みを進めていきます。

Xジムポイントの稼ぎ方を「ガチムチ」向けにアップデート


SNSへの投稿は、ジム環境を悪化させない程度に、成長記録などをSNS投稿することで、ポイントを稼ぐことができます。

ボディビル大会は、稼ぎ口でもあり、ユーティリティでもあります。
10000ポイントを支払うことで大会に出場することができ、
良い成績を残した人は、100000ポイントをもらうことができます。

こうすることにより、大会の優勝者のブランディングや大会を盛り上げることで、さらなるガチムチを社員や会員にすることができます。

参加にポイントを必要にすることで、より貢献しないと大会には参加できないので、必然的に貢献する人が多くなります。

Xジムポイントの使い方(ユーティリティ)をアップデート

トレーニング用品/食品との交換に関しては、
生産している会社と提携し、ポイントと交換できるようにする

上記の稼ぎ方に示した、「特定の食品や用品のおすすめや商品の口コミ」を提供してもらった商品(ポイントで交換できる商品)にすることで、

ガチムチがレビューをしてくれるので、マーケの部分で商品を売りやすくな
るような形を設計できます。

※※ポイントを発行した会社以外の第三者の商品を直接的にポイントで交換する場合、当該第三者が限定されていないと、不特定多数での決済利用と判断される可能性が高く、暗号資産などに該当する可能性があります。

リワードトークンの設計を考える

ポイントは通貨ではありませんが、似たような性質があります

このような構造と考えられ、ユーティリティを魅力的にすることにより、Xジムポイントの価値を高め、動いてくれる人を増やすことが可能です。

このように、自社発行のトークン/ポイントを利用することで、
一般の利用者や貢献者をも巻き込みながら、ジムの経営をすることができるというのも合同会社型で実施するメリットと言えます。

まとめ

STEP1〜7では、社員権トークンを利用した資金調達から、定款などの作成、リワードトークン(Xポイント)の発行、運用までを考えてみました。

リワードトークンは、ICOしたりすることも可能ではありますが、ライセンスなどの関係でややこしいので、今回は一般的に現状で想定される簡易な形でシミュレーションをしました。(挙げたユーティリティでも規制の対象になる可能性はある)

Practiceでは、DAO的組織らしく、社員の性質の変化により、組織やトークンのユーティリティがどのように変化するのかをシミュレーションしました。

経営権と配当権を持った社員権と貢献を測ることができるリワードトークン(ポイント)を利用できることが特徴です!

社員権による経営権の調整や合同会社での可用性の高さなど、合同会社型で実施するメリットなどが伝われば幸いです。

法解釈など間違っている部分がありましたら、ご教示いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。

質問や相談などありましたら、お気軽にご連絡ください。

TwitterでのDMが一番早いです!

メール:h-iijima@nextmerge.net


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?