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積極的貸し出しをする図書館

図書館は極めて受け身の公共機関である。来場者だけが本を読み、借りる。そして極一部の来場者が司書と話をする。更にその極一部が司書からリファランス・サービスを受ける。国民の極一部の人しか図書館を利用しない。もちろん、あらゆる公共施設の利用率を上げることは運営者側の仕事であり、国民が率先して利用率を上げる必要はない。しかし図書館においては、他の公共施設よりも遥かに重要な役割がある。人々に適切な知識を提供することで、人々の生活を豊かにすることである。仕事に役立つ知識を得て、コロナ禍においても雇用を維持できたり、昇進したりできる可能性を高めることである。逆に知識、知恵がない人は、目の前の小さな障害を巨大なものと勘違いしやすい。コロナ禍により商売や他の仕事が上手くいっていない人の1〜3割は適切な知識があるだけで、倒産と自殺を避けられていただろう。

またネットのデマ情報を鵜呑みにする人は多く、彼らは専門家の言うことよりも、「マスコミが報じないここだけの話」に飛びつく傾向がある。それは基礎を軽んじて来た結果であり、彼らはそのことを自覚している。そのため、基礎的学力が自分達よりも上の人に対して、一気に勝てる方法に飛びつく。勝てるはずの情報がゴミの情報だったとしても、彼らはそれがゴミかダイヤモンドかを見分けることが出来ない。ダイヤモンドだと思い込んでいるだけである。その無批判の態度こそが学力が低い証拠であり、社会として対策が必要である。なお、無批判の態度はいわゆる「信じる」ことではなく、宗教的態度とは大きく異なる。

全ての人が小学校〜高校で基礎的学力が身に付くわけではないという現実に対して、基礎的学力のない大人の面倒を引き受けるべき組織は図書館や美術館である。そして、彼らに必要な知識を提供する方法としては、以下となる。

1. 市役所等の窓口に限らず、民間のあらゆる相談窓口に来た人の情報を組織横断的に把握する。
2. 相談者の情報をあらゆる図書館がアクセスできるようにする。
3. 図書館が相談者に適した本を探し出し、案内をする。
4. 案内をされた相談者が本を利用すれば、数週〜数カ月後に相談した問題は解決したかどうかを司書が尋ねる。
5. 案内をされた相談者が本を利用しなければ、数日〜1カ月後に相談した問題は解決したかどうかを相談者情報運営者が尋ねる。

ただ現実的には、相談者情報を一気に多くの組織で共有するということに対して抵抗感を感じる情弱さんは多いだろうから、取組みの初期段階では一部の窓口と図書館が情報共有をし、徐々に連携できる組織を拡大していくのが良いだろう。

上記取組みを通じて、リファランス・サービスが優秀な司書とそうではない司書が数値的に明確になる。全国の司書でリファランス・サービスに関するランキングを発表すれば、トップ100位以内の司書は2〜10倍の給料にすべきだという動機が生まれる。将来的にはメジャースポーツのアスリートやAKB48のように社会的注目を得ることになり、小学生が選ぶ将来になりたい職業の上位にYoutuberが選ばれるような悲惨な事態は避けられる。

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