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【VISIONING VOICE Magazine #4】 「世界のどこにいても安心して医療が受けられる社会へ」 〜 Ambii 平良 侑希さん~

NEXs Tokyoが主催する、ローカルおよび国内外の広域展開に挑むスタートアップが”次のステージ”に向かって羽ばたくために、サポートをしてくれる人やファンと繋がる番組VISIONING VOICEをインタビュー記事としてまとめたマガジン「VISIONING VOICE Magazine」 📖

「VISIONING VOICE」は4月より日経グループとコラボし、さらにパワーアップ!次のステージを目指すスタートアップ企業の3つの「カクシン(核心・革新・確信)」に迫り、起業家の想いを深堀りします。

今回はDIVEコース(地域発)のスタートアップ、Ambii(アンビー)株式会社 共同創業者&CEO 平良 侑希(たいら ゆうき)さんにインタビューさせていただきました!

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<登壇者プロフィール>
平良 侑希 (Ambii株式会社 共同創業者&CEO)
自分が海外で医療のアクセスに苦労した経験、日本では留学生に助けを求められた経験から世界のどこにいても安心して医療が受けられる社会を創るための手段としてAmbiiを起業。令和元年度つくばSociety5.0に採択されつくば市のサポートを受けながら多言語対応医師検索・予約システム及び14言語に対応したデジタル問診票を開発・提供している。
Ambii公式サイト:https://ambii.com/


患者と医師の「コミュニケーションの障壁」を解消

海外での医療アクセスをサポートする、多言語対応医療プラットフォーム「Ambii(アンビー)」を展開する、Ambii株式会社 共同創業者&CEOの平良 侑希さん。

「どこの病院に行ったらいいかわからない」「症状をどう伝えたらよいのか」など、外国人にとって医療へのアクセスは非常にハードルが高く、医療機関にとっても言語の問題から受け入れに苦慮するのが現状です。平良さんご自身も留学時に病院に行くときに苦労され、その経験からAmbiiは生まれました。Ambiiは14か国語に対応しており、スマホで予約から問診票作成までできるので、外国人でもスムーズに医療を受診することができます。

スクショ(事業紹介1)

平良さん:外国人にとって、聞く・話すは比較的できるのですが、読む・書くというのは難しいことなんです。Ambiiでは、通常来院してから行うことを来院前に済ますことで、外国人と日本人の院内滞在時間を同じにします。

2020年3月につくば市で外国人を対象に実証実験を行った際には、一人当たりの院内滞在時間が平均40分から20分に軽減され、満足度も80%と非常に高いものでした。病院からも、問診票がそのままカルテに使える、事前に患者の情報が分かるなど高評価をいただきました。ちょうどコロナ禍と重なり、リモートで問診ができ、接触リスクを軽減することにも役立ちました。

スクショ(事業紹介2)

―― 日本人が国内で使うこともできるんですよね。

平良さん:はい。外国人患者に最適化すれば、日本人患者にも最適化されると考えています。

―― 私たちが海外に行くときのことを考えると、保険に入っていても、本当に病気になったらどうしようと不安です。

平良さん:私自身もベトナムを訪れた際に、保険に入っていたのに保険を使わずに病院に行ってしまったことがありました。保険の使い方もわからないし、両腕に点滴を打たれていても何をされているのかわからず、怖かったです。Ambiiがあれば、自分に最適な病院を見つけられるし、保険の使い方も教えてくれます。

【核心】登記から始まったスピード起業

―― 平良さんは高校卒業後、アメリカに留学されていたということ ですが、どのようなことを学ばれていたのですか。

平良さん:大学では健康で長生きするということにフォーカスしました。自分の設計図であるゲノム*や遺伝子は生きている根本です。そこを解き明かせば、自分が生きたい世界をつくれると思ったんです。(*ゲノムとは:生物が正常な生命活動を営むために必要な、最小限の遺伝子群を含む染色体の一組。)

―― そういった考えは今に繋がっているのでしょうか。

平良さん:Ambiiでも「健康寿命を延ばす」ということをミッションに掲げています。現在は睡眠×ゲノムの研究をしているのですが、Ambiiで構築しているクリニックのネットワークに、ゆくゆくは遺伝子のソフトウェアを入れていきたいと考えています。

―― アメリカの大学を卒業された後に、筑波大学の大学院に進まれましたね。そこからどのように起業に至ったのですか。

平良さん:大学院の授業にビジネスプランのブラッシュアップを行う授業があり、アイデアを持っている人と持っていない人がチームを組んで、4カ月間トレーニングを行います。普通は授業を受けて、起業できそうだったら登記するんですが、私はやる気満々ですぐにでも動けるように、授業を受ける前に登記をしました。

―― それはすごいですね。そしてAmbiiのメンバーは、国際色が非常に豊かですよね。多様なメンバーをまとめるのは大変ではありませんか?

平良さん:現在は12名9カ国のメンバーがいます。チームビルディングには留学の経験が生きていますね。5,000人ぐらい留学生のいる大学で、サッカーをしても10か国ぐらいの人がいるんですよ。ちょっとしたことですぐ喧嘩が起きるんですが、相手の考えを理解したうえで接するとわかってくれる。社内でも、いかにメンバーが働きやすい環境を作れるかにフォーカスし、相手が納得していないことは絶対に押しつけないようにしています。

スクショ(メンバー)

【革新】受付業務から言葉をなくす

―― 平良さんが事業を通して「アップデートしたい対象」、世の中の解消したい課題は何でしょうか。

平良さん:医療機関と患者の最初の接点である、受付業務のアップデートです。受付は医療機関の中でも特に業務が煩雑で、今は「患者をさばく」ことに手いっぱいな状態です。私は、必要なところにリソースを使える仕組みにアップデートできれば、受付はもっとシームレスに、突き詰めると「言葉がいらない」ところまでいけると考えています。

医療には病気予防のためのヘルスケアと、病気を治すためのシックケア、大きく分けて2つのケアがあります。患者にとっては、どちらも同じ病院で診てもらえると安心ですよね。ケアに応じて受診先を変える必要がなくなれば、適切な医療にアクセスしやすくなり、医療費を減らせるという社会的意義もあります。かかりつけの病院にとっても、患者を網羅的に診療することができ、集客につながります。

受付がもっとスムーズになり、患者により時間を使えるようになれば、2つの医療の融合が実現できます。そうするとAmbiiからクリニックに睡眠や遺伝子をチェックするツールなど新しい提案ができ、医療をより充実させることができます。患者さんはAmbiiでサービスを検索して、気になる医療機関にアクセスできる。髪を切りに行く感覚で病院に行けるようになるのが理想ですね。

当日の写真(配信中)

【確信】いくつになっても、自分らしく過ごせるように

―― 平良さんの欲しい未来はなんでしょうか。

平良さん:健康寿命を延伸させることです。ある論文で、70、80歳の方に「人生で後悔していることは?」と尋ねたところ、「心の声に従わなかったこと」と答える人が多かったと読んだことがあります。健康でないと、自分の思ったことや願いを実現するのは難しいですよね。私の祖母も老人ホームに入居しているのですが、日中はほとんどの時間、TVを見て過ごしていて…健康だったら、もっと楽しい余生を過ごせるのではないかと。純粋に寿命を延ばすだけではなくて、健康で長生きして、自分のやりたいことができる。そういう未来をつくりたいです。

スクショ(確信)

「誰も取り残さない医療」の実現を目指して

―― 最後に、欲しい未来に向かってどんな人に出会いたいか、教えてください。

平良さん:Ambii は令和元年度「つくばSociety5.0社会実装トライアル支援事業」に採択され、その後もつくば市と一緒に、地域の社会課題をITで解決するための開発を行っています。他にも一緒に取り組める自治体さんがいらっしゃれば、特にお会いしてみたいです。

当日の写真

―― 平良さん、ありがとうございました!

番組ではその他にも、平良さんの学生時代のエピソードやAmbiiのよりくわしい取り組みが盛りだくさん。youtubeアーカイブより視聴可能ですので、併せてぜひご覧ください!

次回はJUMP(東京発)コースのスタートアップ、Ekuipp株式会社 代表取締役 松本 悠利(まつもと ひさとし)さんにご出演頂いた#29 の記事です!
https://nexstokyo.jp/onlinesalon/visioningvoice29-ekuipp/

■平良さん、Ambiiさんに話を聞いてみたい、また、興味のあるみなさんは、コミュニティマネージャー・スタッフにご連絡いただくか、下記メールアドレスへお問い合わせください。コミュニティマネージャー・スタッフより繋がせていただきます◎

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