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【VISIONING VOICE Magazine #14】 「最先端テクノロジーの野菜作りで人を幸せにする」 〜 株式会社クレオテクノロジー 三宅 泰正さん〜

NEXs Tokyoが主催する、ローカルおよび国内外の広域展開に挑むスタートアップが”次のステージ”に向かって羽ばたくために、サポートをしてくれる人やファンと繋がる番組VISIONING VOICEをインタビュー記事としてまとめたマガジン「VISIONING VOICE Magazine」 📖
「VISIONING VOICE」は4月より日経グループとコラボし、さらにパワーアップ!次のステージを目指すスタートアップ企業の3つの「カクシン(核心・革新・確信)」に迫り、起業家の想いを深堀りします。
パーソナリティは、長年スタートアップを取材している日本経済新聞社・上田敬さんとNEXs Tokyoコミュニティスタッフ・閏野が務め、番組をお届けしています。

今回はDIVEコース(地域発)のスタートアップ、株式会社クレオテクノロジー 代表取締役社長 三宅 泰正(みやけ やすまさ)さんにインタビューさせていただきました!

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<登壇者プロフィール>
三宅 泰正(株式会社クレオテクノロジー 代表取締役社長)
筑波大学基礎工学類卒業。2つの外資系商社で石油・石炭のトレーディングに従事、当時の日本向け発電用重油の約半分を取り扱う。退社後、養液栽培で野菜の生産を開始し、株式会社クレオを2002年に設立。現在では国内の数多くの有名ホテル・レストランで採用されている。約8年前より、天候に左右されずに野菜を生産する植物工場の開発を始める。これまでの野菜生産の知見を活かし、世界でもこれまでにない、高品質・大型レタスの省力型生産に成功し、栽培システムの販売を開始。現在、「必要な野菜をすべての人に」を目指し事業展開中。
クレオテクノロジー公式サイト: https://www.creo-greens.tech/

植物工場の常識を打ち破るテクノロジー

人工の光で植物を育てる水耕栽培のテクノロジーを使い、工場内で生産される野菜の品質を追究してきた株式会社クレオテクノロジーの三宅泰正さん。生産物が小さく、価格が高いという、これまでの工場生産の野菜のイメージを払拭し、高品質で価格を抑えた野菜の生産を可能にするシステムを提供しています。

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三宅さん:世の中で食糧生産、農業の課題は多くありますが、今後大きく世界の人口が増え、飲める安全な水が減り、農地が減るといった環境の中で、植物工場の存在は重要になってくると考えています。昨今植物工場は注目を浴び、参入する企業も増えたのですが、課題が多いのも実情です。アメリカを中心に植物工場設立へ巨額の資金調達をしている会社もありますが、生産コストが高い、自動化が進まず人間が作業をしている、思うように路地で栽培するような野菜が作れないといった問題がありました。

スクショ(事業紹介2)

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三宅さん:この問題に対して、私たちは栽培プロセスを再定義しゼロから向き合いました。そして栽培工程を完全自動化し、葉肉も厚く、重量も従来の3倍にあたる、1株300グラムを超える大きなレタスを安定的に栽培できるシステムを世界で初めて実現したのです。また私たちの工場では、露地栽培に比べて26倍の生産量をあげることが可能です。販売価格は多少高くなりますが一株の重量も露地野菜と比べると同じか、さらに大きく、菌が繁殖しないため、栽培できたものはほとんどすべて食べられるのでロスがありません。さらに水の使用量も露地栽培の20分の1以下と、環境に優しいテクノロジーなのです。

【核心】物を生み出す仕事に地道に向き合う

―― もともと商社でお仕事をされていたとのことですが、どのような経緯で植物工場を立ち上げようという思いに至ったのでしょうか。

三宅さん:卒業後、外資系商社で石油石炭、エネルギー関係を中心にトレーディングを行っていました。いわば、電話一本で何億円を動かすという商売です。でも、結局は商品を右から左へ動かしているだけ。実家が商売をしていたこともあり、自分も「何かを生み出す仕事」がしたいと思いました。実際に何をしようかと考えたとき、食べ物には親しみがあったことや、従事者が少ないという問題をかかえていることなどから農業にたどりつき、農業生産を行うクレオという会社を設立しました。その後、野菜を作りながら天候に左右されない生産方式が出来ないかと研究を重ね、クレオテクノロジーを設立し、植物工場の販売を開始しました。

――事前に食べさせていただいたのですが、みずみずしくて香りが良く、噛み応えがありました。より良い環境で農産物を育てていくという視点は、どういったきっかけで生まれたのでしょうか。

クレオテクノロジーを設立する前に、 20年かけて野菜を作って来た経験があるからこそではないかと思っています。農業を行う労働環境はとても厳しいものでした。夏の温室での作業は過酷です。それに、天候に左右されて思うように野菜が作れないことが度々ありました。これらの問題を解決するには、植物工場を作るのがよいのではと思い至りました。暑さや寒さ、雨、日照りなどの自然環境の細かな要素を一つ一つ検証しながら、野菜が一番気持ちよく育つ環境を人工的に再現したのです。実際には人工のLEDで本当に野菜が育つのか、という基本のところからスタートしました。LEDを買ってきて、まずは小さな場所で野菜作ってみる。そこから少しずつLEDの種類を変えたり、環境の温度を変えたり、調査と小さなテストなどを繰り返し、試行錯誤を積み重ねていきました。その間に、小さかったテスト用のプラントも少しずつ規模を大きくして、ここまでたどり着くのに8年以上かかりました。

【革新】世界の課題を解決するビジネス

スクショ(配信中)

―― この事業を通して三宅さんがアップデートさせたい対象はどんなことでしょうか。

三宅さん: そもそもは農業生産の課題を解決しようというところから始まった事業でしたが、実際にできあがったシステムは世界中で必要とされている技術なのではないか、と思うようになりました。今でも「新鮮な野菜が食べられない、育てられない」という地域はたくさんあります。そのような地域でも、みなに健康にいい野菜を食べてもらえるような世の中にしたいと考えています。

―― 中東地域などでは、特に野菜が大切にされている印象があります。需要は日本に限らず世界中にあると思いますが、市場規模はどうお考えでしょうか。

三宅:世の中の人間はみな野菜を食べますし、フレッシュなものを食べたいというのは共通の願いです。現在は畑で作っている野菜がほとんどですが、リーズナブルで、かつ安定的に作れるものに置き換わっていく余地はまだ膨大にあると思っています。すでに海外からもシステム導入を検討する話をいただいています。

【確信】必要な人の手に届けるために

スクショ(確信)

―― 三宅さんの「欲しい未来」について教えてください。

三宅さん:「地球のどこでも新鮮な野菜が食べられる世界を作る」ということです。なかなか新鮮な野菜が食べられない人々が多くいる中で、その解消に貢献していきたいと思っています。工場生産ができるということは、極端に言えば、工場さえあれば砂漠でも南極でも生産可能だということです。今は国内で事業をスタートしていますが、なるべく早く海外に展開し、日本よりも確実に多く存在する困窮しているエリアや人々の役に立てたらと。最終的には宇宙までも視野に入れていきたいと考えています。

地域活性化も促す新しい農業の形

―― 最後に、三宅さんが今後さらに広域展開を目指していくにあたって叶えたいことや、どんな人に出会いたいか、教えてください。

三宅さん:私たちの事業では、使っていない学校などの建物を活用しているため、工場の建設費を半分に抑えることができるのも特徴です。こうした遊休施設の活用は、国内の地域活性化にもつながります。ぜひ、地方の自治体にも広く知っていただき、ご協力いただければと考えています。一日も早く、皆さんにも身近に工場生産したレタスを食べていただけるような環境を整えていきたいと思っています。

当日の写真

―― 三宅さん、ありがとうございました!

番組ではその他にも、工場生産システムの詳細などを聞くことが出来ます。youtubeアーカイブより視聴可能ですので、併せてぜひご覧ください!

次回はJUMP(東京発)コースのスタートアップ、株式会社センシンロボティクス 代表取締役社長 北村 卓也(きたむら たくや)さんにご出演いただいた#39の記事です!

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