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日本の大麻解禁の法改正に対してのパブリックコメント

Ⅰ.自己紹介

1.この記事について
この記事は2024年6月28日締切の、大麻取締法改正案についての厚生労働省へのパブリックコメントです。
この度の日本での医療大麻解禁に対して、厚生労働省が意見を募っていることから、カナダにて私が知り得た情報や体験を元に、現在の法改正案への意見を執筆、提出させていただきました。
皆様の情報整理のお役にたてたら幸いです。

2.大麻を使用することとなった経緯と結果
①,ヘルニア、糖尿病、ポリープ
2017年、私は首の激痛に襲われました。その激痛に耐えられず、東京都豊島区の緊急外来で受診したところ、私は頚椎ヘルニアと診断されました。その際、応急処置として、トラムセット(オピオイド系鎮痛薬)を1週間分処方されました。
その後も首の痛みは治まらず、他の病院を通して、血液検査、レントゲン、MRI検査をしたところ、糖尿病も併発していると診断を受けて、検査入院することとなりました。さらに不幸なことに、入院中の精密検査で大腸に悪性の可能性のあるポリープが見つかりました。

②CBDでは痛みが引かなかった
入院中に、病院の管理食の他にもサプリメントを使うことが出来ると聞いて、主治医の先生と相談しながら、市販されているCBDを使用しました。その結果、主治医の先生も驚くほど数値が改善しました。
しかし、もっとも体調として辛く感じていた頚椎ヘルニアの激痛は治まりませんでした。この時点で頚椎ヘルニアへの薬の処方は、リリカ(神経疼痛治療薬)を日本の最大限度量である600mgを服用していました。
1ヶ月間の入院で、私の血糖値などの数値が改善したことについて詳しく知りたいと思い、都立大塚病院に詳しい検査結果の開示を依頼しましたが、病院内の会議の結果、詳細結果は私に開示されませんでした。その理由については私にも教えて貰えませんでしたが、おそらく大麻の医学研究が禁じられていることと、私が入院中にCBDを使用していたことから、法令順守のために開示できなかったのだろうと私は感じました。

③アヘンを原料とする薬の危険性
私は上記入院中に、疼痛に対してトラムセットからリリカに薬が変更された際に、アヘンを原料とするオピオイド系の薬の危険性について、病院で学ばせていただきました。
現代医療において、オピオイドは依存性や肉体的な中毒症状が生じる可能性があるとされています。しかし、非オピオイドであるリリカやタリージェなども、麻薬と同様に、依存性や中毒性が強いといわれています。そのことから、私はそれらの薬を使うことに抵抗と恐怖を抱きました。
その時に、アメリカなどでオピオイド中毒への治療として医療大麻が使われていることを知りました。さらにはその時点で、ガンや糖尿病、ヘルニアにも医療大麻の効果が欧米では一部で認められ始めていました。

④無加工の大麻が痛みに効いた
これらの環境から、弁護士に相談したうえで、私は医療大麻が解禁されているアメリカのラスベガスのディスペンサリー(医療大麻薬局)に行きました。
ディスペンサリーで日本の英訳された診断書を見て貰ったうえで処方された大麻は、「未加工の乾燥大麻のタバコ(1gタバコを2本)」でした。
余談ですが、何ともアメリカらしく大胆というか、適当というか、そのタバコの使い方や注意点などは詳しく教えて貰えませんでした。もちろん私の語学力もあって、意思疎通ができていなかったこともその原因の一つです。それにもかかわらず、この時処方された大麻はTHC度数が20%を超えていました。
私は恐る恐るながらも、日本のタバコのようにその大麻タバコを何口も吸ってしまったところ、信じられないような目眩や立ち暗みなどの酩酊作用が生じてしまって、すぐにホテルの部屋で横にならなければならないほど気持ち悪くなってしまいました。
その時は痛みが引いていくのを酩酊しながら何となく感じつつ、そのまま寝付いてしまいました。
翌朝目が覚めたときには、それまで数ヶ月間悩まされた激痛が嘘であったかのように治っていました。
その後知りましたが、私の症状ではTHC度数が10%程度で、さらに0.2gほどで医療用途としては充分だったと感じています。
この時は1週間程度の滞在でした。1度目、2度目の服用のときは倒れ込んでしまうほどの酩酊作用に悩まされましたが、適量を把握した後は、ラスベガスを観光できる程度には酩酊の影響は抑えることができました。もちろん、それまで悩まされた首の激痛も治まっていました。

⑤カナダに移住
私が入院しているときに見つかった大腸ポリープの手術は、外科の先生の日程もあって、退院してから数ヶ月後でした。
その間にラスベガスに行って大麻を試したという状況です。
日本に帰国して間もなく、その大腸ポリープの手術を私は受けることとなりました。その手術は意識がある状態での手術だったので、お医者さんの会話が聞こえていました。手術中の会話として、数ヶ月前の写真の位置にあったポリープが消えていました。先生たちもそんなはずはない、ということで大腸をくまなく探すこととなったので、手術時間はとても長く感じましたが、本当に大腸ポリープは消えていました。
以上の経緯で、「大麻を使いたい」と病院に相談したところ、「日本から出て行くしかない」と主治医や弁護士から言われてしまいました。

⑥「糖尿病がみあたらない」
そして私はカナダへの移住を決断しました。
カナダ入国当初は短期留学生として入国したため、はじめの二年間ほどは現地で病院に通うことができず、日本の英訳された診断書で医療大麻薬局で大麻を処方して貰っていました。
その後、カナダ現地での滞在を認められ、保険にも加入できたことから、日本の英訳された診断書を根拠に三年ほど定期検診を受けました。
その結果は、3年間一貫して「糖尿病が見当たらない」との診断でした。
私は現在、2024年2月から、移民手続の事情で日本に一時帰国しております。日本の国籍はまだ放棄していないこともあり、日本国でも再検査をさせていただいておりますが、やはり糖尿病はなくなっているそうです。ただし、頚椎ヘルニアの痛みは、以前よりは楽になったとは言え、まだ時々あります。

⑦大麻を常習した結果、痛みへの効果は減った
大麻は、THC度数が高いとしても、多量接種による中毒死のリスクは極めて少ないか、もしくはリスクはないとカナダでは言われています。それもあってか、大麻を使う量に制限はありませんでした。ただし、酩酊作用があることから、車の運転をしてはならなかったり、子供の手の届かないところに保管しなければならないなどの法規制は少しずつ厳格化されています。
私の場合も、医療大麻薬局と相談した結果、量については「好きなように」ということでしたので、当初は朝晩毎日大麻タバコを喫煙していました。もちろん、運転などの機会があるときなどは、朝はCBD製品(THCがほとんど含まれない大麻)にするなどの対応はとっていました。
それを続けていたところ、ヘルニアの痛みが再発した時期があります。
つまり、私の体感としては、大麻は痛みには作用するが、それを常習して耐性がついてしまうと、大麻の痛み止めとしての作用も減ってしまうと感じます。

⑧同じ品種だと数グラムで耐性がつく
私の体感と取材の結果として、大麻への耐性は、その大麻の「株」に対してつく可能性があります。例えば、ブランド大麻を28g買ったとして、それを少しずつ使っていくと、効果は日に日に薄れてしまいます。この場合に、大麻のブランドを変えたり、産地を変えたりすると、また効果が現れることがあります。
これもあって、いわゆる「オイル」や「濃縮物」はすぐに効かなくなってしまうと言われていて、医療目的、嗜好目的問わず、カナダ現地では人気があまりありません。

Ⅱ.諸外国の対応

①カナダ政府の日本からの難民の対応

日本国内では医療用途だとしても、大麻での治療を受けることがこれまでも難しかったにも関わらず、欧米では様々な疾患に効果があることが判明しています。
カナダ政府は、日本のこの法規制と生存権の行使との矛盾を評価して、日本国からカナダへの医療大麻使用目的での難民申請を受理した実績があります。
今回の法規制では、サプリメントに含有されるTHCまでもが規制されることにより、日本人難民申請者が諸外国で増加してしまう可能性を私は懸念します。

②医療大麻は医師とは区別された「専門家」が対応

医療大麻には上記【Ⅰ-2-⑧】で触れたような、他の薬品とは異なった耐性のつき方があったりなど、これまでの医学的な使い方では効果が薄れてしまうことがあります。そこで「医療大麻薬局」が設けられている国が多いです。つまり、医師や薬剤師以外の専門職を設けて対応している国が多いです。

③大麻製剤は不人気

このような特殊性から、大麻は他のハーブなどの植物と同様に、加工については「乾燥させるだけ」で足ります。それ以上の加工をしてしまうと、効果が薄れてしまう上に、費用も上がってしまうことから、消費者の負担が増えることで「医薬品」として製剤した製品は、医療大麻が解禁されている国でも使う人は限られています。

④カナダの現状

カナダは2018年に嗜好用大麻が解禁されてから、「医療大麻」という表現はほとんど使われなくなりました。嗜好用大麻解禁後は、大麻を購入するときは、医療目的だとしても病院からの処方箋は必要なくなったからです。

Ⅲ.現状の法案の問題点

①残存するTHCの濃度について

a,THC濃度規制の意義
今回のパブリックコメントの主な論点として、THCの濃度規制が厳しすぎると私は感じます。なぜなら以下のような問題点があるからです。

b,THCにも医療効果が認められている
【Ⅱ】でも触れたとおり、私の場合は日本のCBDでは治療が難しかった疼痛を、THCが含有されている大麻で緩和することができました。この点は私の個人的な経験だけではなく、カナダ保健省の発表としても少しずつ認められてきています。
これらから、THCに医学的有用性がないと結論づけることは日本の研究が諸外国に遅れをとってしまう可能性があります。

c,THCとCBD以外の成分
大麻にはTHCとCBDの他に、160を超える成分が発見されています。これらの成分はまだ研究が進んでいない部分も多いですが、それらの中にも様々な疾患に効果がある成分が含まれている可能性があります。
それを踏まえると、THCをそぎ落とす過程で様々な成分を破棄することとなります。純粋なCBDは例えるなら、玄米から白米に加工してしまうような環境と似ているかもしれません。歴史を振り返ると、白米を多く食べていた頃に「脚気」が流行った際、その薬として効果があるのが、玄米に含まれるビタミン不足だったことのような危険性を孕んでしまう可能性があります。

②若者の罪悪感がなくなってる

a,外国の動向
日本で私が取材する限り、日本国内でも10代や20代は諸外国の動向をよく観察しています。彼らは、THCに致死量がないことなども知っており、その環境が大麻の危険性を誤解させている環境があります。
つまり、諸外国と逆行するような法的規制は、徒に違法薬物乱用事犯を増加させる懸念があります。

b,国内の大麻販売店の拡大
CBD製品の普及により、例えば東京都内でも大麻製品を扱うお店や、喫煙できるお店が増加しています。CBDの普及を前提とする改正案では、使用罪の厳罰化や成分規制は一般的な理解を得ることが困難であり、混乱を招いています。

③種への規制と自然の矛盾

人工的に開発した低THC品種でも、生育環境や肥料などでも、含有される成分比率は異なります。さらに、隔世遺伝も踏まえると、それらの成分は成長してからでないと濃度はわかりません。
そして、野生品種の方が植物としても強いと言われていることから、産業用大麻の栽培面積を増やすことで、野生品種との交配や、野生動物による種の散布で野生化する大麻も増加して、さらには野生品種の方が高THCとなっていく可能性があります。
それらを、現在のように公的な費用で伐採し続けていく財源に不安を感じます。

④現存するCBD業者に打撃がでる

THC濃度規制を厳格化することは、現時点でCBD製品を扱っている中小企業への負担となります。なぜなら、検査費用がかさんだり、THCをそぎ落とす過程で歩留まりが減るからです。
それらを踏まえると、数百社あるといわれている大麻産業への打撃となってしまうと懸念が出ています。

⑤大麻は一般的に「喫煙」する

乾燥させただけの大麻にはTHCはそれほど含まれておらず、そこにはTHCAの状態で存在しています。THCAは加熱するなど脱炭酸することによりTHCへと変化します。そこで、世界的には喫煙で大麻成分を摂取するのが一般的です。
そして、この点は医学的見解が分かれることではありますが、経口接種よりも喫煙の方がよいとされる意見も諸外国ではあります。
この理由は、喫煙による接種の方が効果時間が短いことがあります。経口接種してしまうと、様々な内臓を通して時間をかけて体内に吸収されることにより、薬としての効果時間が長くなります。体内に留まる時間が長いことで生じる酩酊作用への疲労や、耐性がついたり、ほかにも体内に大麻成分が残り続けていることから、自分が陶酔しているかどうかがわからなくなってしまう、などのリスクも存在しています。

以上です。
日本国内において、医療大麻で病気が改善したことを、医学的実績やそれらの数値を記録しながら情報発信できる方が少ないだろうことから、これからも私も日本国の発展と繁栄に貢献したい所存です。
最後に厚生労働省の皆様におかれましては、日本国の発展と繁栄のため、そして私たち国民のために激務をこなしてくださっていること、心より感謝申し上げます。
引き続きよろしくお願い申し上げます。

工藤悠平


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