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誰かに憧れている限り、憧れの誰かを超えることはできない

2008年3月20日。

その日は、僕が生まれて初めてセミナーをした日だ。

大学を卒業し、就職せずに、アルバイトしながらバンド活動。

その後、バンドは解散し父親の経営する会社に、いきなり代表取締役社長として就任。

しかし、その仕事が水に合わず、かと言ってやめるにやめられない状況に自分の未来に絶望し、毎晩飲み歩く。

そんな時にであった『セミナー講師』という職業。

その職業に惹かれ、その道を歩むことを決意。

1年の勉強を得て、ようやくセミナー講師としてデビューしたんだ。


セミナー講師、とはいっても僕には自分のコンテンツを持っていなかった。

セミナー講師として活動したい。

だけど、自分のコンテンツを持っていない。

そこで僕がとった方法は、学んだことをシェアする事。

そのころ僕は世界ナンバーワンコーチと呼ばれるアンソニー・ロビンズのコーチングを学んでいたので、その学びを題材にセミナーをしていたんだ。

当時はまだアンソニーは来日していなかったし、コーチングもセミナーも今ほど一般化していなかったので、それを学ぶことは世間一般的には珍しかったんだよね。

それに彼のセミナーを初めてアメリカ ロサンゼルスで受講したときがあまりに衝撃過ぎて、

「日本でこんなセミナーをしてみたい」

っていう気持ちが湧いてきたんだ。

そんなこともあって、僕のセミナーの主軸は、アンソニー・ロビンズのコンテンツのシェアになっていったんだ。


僕のセミナーには、同じコーチングスクールの人たちが多く参加してくれた。

セミナーの金額も最初は2時間3000円だったのが、少しずつ上がり、ワンデーで2万5千円にまで上がった。

それでも参加してくれる人がいたんだ。

アンソニーのセミナーでは、素足で焼けた炭火の上を渡るファイヤーウォークってのがあるのだけど、それを日本でやりたいと思った。

だけどそれは消防法やらなんやら面倒なので、素手で22ミリの厚さの板を素手で割る『板割り』をやるようになった。

それがエンターテイメントとしても面白く感じてくれているので、価格があがっても参加者が増えていった。

セミナー自体も盛り上がり、参加者が涙を流したりする場面も増え、人数はそれほど多くはなかったけど、その熱気はアンソニーのセミナーで感じたものに似ていた。

僕はそんな状況に、気持ちよさを感じていたんだ。

しかし、それも長続きしなかった。


セミナーに人が集まらなくなったんだ。

アンソニー・ロビンズのコーチングを学ぶ人が増えたため、僕のセミナーに参加する理由がなくなってきたらしい。

「○○さんも同じことをやっているのに、黒崎さんのところに行かなければいけない理由は何ですか?」

実際にそんなことを言われたことがあるけど、それに全く答えられなかったんだ。

そこでも僕は、もっとレアな、日本ではまず手に入らないアンソニーのコンテンツを仕入れようと思った。

そのためには海外のアンソニーのセミナーに参加することだ。

当時、アンソニーのリーダーシップアカデミーに参加している日本人は、過去においてもそれほど多くない。

これに参加しようと思ったんだ。

その後の参加理由は大きく変わったのだけど、一番最初の動機としては、レアなコンテンツを仕入れること。

そして、その希少性をビジネスに使おうと思ったからだ。

で、実際にリーダーシップアカデミーに参加。

そのセミナーは素晴らしく、とても楽しかった。

しかし、僕のセミナーの参加人数が増えることは無かった。

ブログを書いた。

メルマガも発行した。

セミナーに集客ができると言われるものは、色々とやってみた。

でもうまくいかない。

その時、分かったんだ。

僕は、アンソニー・ロビンズに依存していたんだなって。


そんなあるとき、僕のメンターであるピーター・セージが、こんなことを言セミナーで話した。

誰かに憧れている限り、その人を超えることはできない

過去の僕を振り返ると、僕はアンソニーに憧れ、彼になりたかったんだなってことに気づいた。

彼のようにカッコいいセミナー講師になりたくて、彼のステージ上のふるまいや姿勢など、細かい部分を真似していたんだ。

これは単に彼の基準に達するということではなく、僕ではなくアンソニー・ロビンズになろうとしていたんだなって。

アンソニーのコンテンツに『インカンテーション』というものがあるのだけど、そのなかに『I'm a leader!』というフレーズがある。

これを僕のセミナーでも紹介していたのだけど、それを紹介している僕自身がリーダーではなく、完全に彼のフォロワーだったんだよね。

自分の言っていることとやっていること。

そこに嘘があるんだよね。

アンソニーのコンテンツに頼り、やっていることに嘘がある。

そりゃ、僕に魅力があるわけなくて、セミナーに人が集まらないよね。

そこに気づいたので、僕はアンソニーへの憧れをやめ、フォロワーになることをやめたんだ。


僕は、アンソニーのフォロワーになることをやめることにした。

彼のフォロワーになるのではなく、彼とパートナーになることにした。

僕はセミナーの運営統括をしたかったので、

「僕のセミナーの統括は君に任せるよ」

と声がかかるほどの基準にまで自分を高め、そんな関係性を築こうと思ったんだ。

そうして、自分の基準を再設定した後、僕は彼のコンテンツを口にすることをやめた。

これまでやってきたアンソニーのコンテンツを使ったセミナーを、アンソニーのコンテンツを一切使わずに同じ結果が出るように作り直した。

これまで当たり前に使っていた、トライアドやシックスヒューマンニーズ。

こうしたコンテンツを一切使わずに、使ったときと同じ結果を出す。

これがなかなか難しくてね、何度もクラッシュアンドビルドを繰り返した。

だけど、その甲斐あって、自分の人生経験が乗っかった、命の宿るコンテンツをつくることができたんだ。

話している言葉ひとつひとつに僕の想い、命が吹き込まれている。

僕の思考で、僕の言葉で、僕の感情でつくられた僕のコンテンツができた。

そのころから、またセミナーに人が集まりはじめた。

ようやく、セミナー講師としての道を歩み始めることができたんだ。


今、僕は、アンソニーのセミナーの統括をいつ頼まれても大丈夫な状態になっている。

不安なのは英語だけで、運営そのものに不安はない。

もちろん未体験の部分もあるのでそこに関しては、勉強しなければならないが、統括というポジション、アンソニーに依頼されるという気負いは一切ない。

パートナーとして、うまくやれるんじゃないかって感じてるんだ。

以前のアンソニーは、僕にとって雲の上の存在で憧れの対象だった。

だから、彼になろうとしていたし、フォロワーだった。

だけど、その背中を追い続けていても、彼に追いつくことはないね。

僕は誰かのフォロワーになることはまっぴら御免で、リーダーとして生きたい。

リーダーとフォロワーではなく、リーダー同志の関係になりたかった。

だから、僕はフォロワーをやめたんだ。

すっげー輝いている人、活躍している人をみると、憧れを抱くのはよくわかる。

だけど、どう頑張っても憧れの人にはなれない。

自分以外の人にはなれない。

憧れの人の基準を目指すってのは良いと思う。

だけど、自分ではない誰かになろうとしても、そりゃ無理。

自分は自分、僕は僕、わたしはわたしだからだ。

誰かに憧れている限り、憧れの誰かを超えることはできない。

誰かに憧れて生きている限り、憧れの誰かのフォロワーとして生きてしまう。

僕たちはさ、誰かのフォロワーにならなくても、十分な魅力がある。

その魅力を発揮したら良いだけなんだよね。

フォロワーをやめたとき、ようやく自分の生き方ができるようになる。

そんな実感があるんだ。

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