[レポート]筑前津屋崎人形巧房に行ってきました!
海のまち、津屋崎へ
年の瀬も迫る12月、前回の記事でもご紹介した「モマ笛 Good Dog 張り子」でコラボしている筑前津屋崎人形巧房を訪問してきました。
同行いただいたのはNPO法人まるの樋口龍二さん。九州を中心に障害のある人の芸術文化活動やしごとづくりをサポートしている団体です。樋口さんの運転で一路福津市へ。
樋口さん、福岡の人にとって、津屋崎ってどんなところなんですか?と聞いたら、まずはじめに返ってきたのは「海水浴」。海のイメージがなかなかない奈良県民にとっては、それだけでわくわくしてきました。
福津市に入ってほどなくお店に到着。
つくり手も、時代も、社会も、変化していく。
津屋崎千軒という、かつて塩田のまちとして栄えた通りにある工房で来年の干支の丑モチーフの人形の絵付けをされていたのが、若き八代目・原田翔平さん。さっそくお店のなかをご案内いただきました。
絵付け作業場に隣接する店舗部分は、230年にわたる津屋崎人形の歴史が一望できるディスプレイ。歴史や作り方も紹介されています。
「時代によって柔軟にモチーフやつくりかたを変えてきています」と原田さん。
たとえばサイズ。かつてはいくつか型を組み合わせ、床の間で映えるような大きなサイズを作ってたけども、いまでは現代の住宅事情に合わせて、相対的に小さな人形に。
外見の変遷でわかりやすいのは、今でも根強い人気の「モマ笛」。初期の型を見せていただいたのですが・・・
かつてのバージョンがこんなにリアルだったとは!!
「つくり続けることによって、省略したり、つくり手の個性みたいなものが変化してきたと思います」。原田さんご自身も「例えばモマの目の大きさや眉部分のカーブのつくりかた。最近自分のなかでもこだわりがでてきたんです」。下の写真のモマ笛も、絵付けのバランスが一つ一つ違います。ご家族でつくられるなかで、おなじ型や製法をつかった津屋崎人形でも個人のつくり手の価値観が反映され、結果的にものの造形に深みが生まれていると思いました。
歴史を継ぎながら、未来をつくる
奥の工房にご案内いただくと、棚にはぎっしりと人形の型が並んでいました。
「おおきな災害などがなかったので、昔の型がそのまま残っています」。明治までは土型で、それ以降は石膏で作られた型は、そのまま津屋崎人形の歴史を物語っています。この環境のなかで育った原田さん。八代目をつぐことの大きなプレッシャーは?「いや、昔から生活のなかに人形づくりがありましたからね。あくまでも自然な流れです」淡々と話す原田さん。人形だけでなく、伝統的な柄をつかったピンズや、アーティストとのコラボなどにも挑戦しています。ちょうど店舗にある絵付け作業場では、モマ笛とGood Dobのコラボ「モマドッグ」の絵付けの真っ最中(※注文受付終了)。丁寧に絵付けされていくドッグの納品がとても楽しみです。
「裏がすぐ海ですよ」。工房から歩いて裏の道にでると、目の前はおだやかな水平線。近所の高校生たちの下校時間が重なり、海のまちの夕景に出会えました。かつて近くにあった塩田で作られた塩の交易にのり、各地に広がっていった津屋崎人形。時代の変化に乗り、自然体で変化していくのが印象的でした。今後の展開がますます楽しみです。
ご案内いただいた原田さん、同行いただいた樋口さんに感謝!
(たんぽぽの家 岡部太郎)
歴史や製法など、津屋崎人形をもっと深く知りたい方は、こちらから!
「筑前津屋崎人形巧房」公式HP
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