いま、日本、東京に向かって走る電車の中にいる。外では雨がぽつぽつと降っている。天候は微妙だ。田んぼの緑がいきいきとしている。踏切の音が聞こえて、後ろに流れていく。この世界には僕の知らない町がたくさんあるんだなとつくづく思う。

好きな時間、好きな瞬間について考える。僕はこの時間が結構好きだなと思う。人の少ない電車に乗り、雨が降っていて、緑の絨毯みたいな田んぼがあって、踏切の音がたまに聞こえる。ゆるやかに流れていくこの時間の全てが。

前に九州を旅していた時も、同じことを思って、唐突にシャッターを切った。県から県に移る際、窓の外は雨で、緑の田んぼが見えて、たまに踏切の音が聞こえた。たしか別府に移動している最中だったと思う。

雨の中の田んぼは最高だ。緑が映える。おそらく雨水が混じって、よりフレッシュな緑に感じるのだろう。自然が好きだ。緑も、山も、空も、海も、風も。

僕らはどこまでいっても自然の一部で、そして、最後は自然に還るのだ。土になったり、雨になったり、海になったりする。大きな循環システムの中に組み戻される。そう考えると、自然に懐かしさや畏敬の念を感じるのは、僕らの一部であり、いつか完全に自然に還ることを本能レベルで知ってるからかもしれない。

まだ雨は降り続けている。相変わらず田んぼがみずみずしくて綺麗だ。踏切の音が聞こえてはすぐに後ろに流れていく。


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