【電験三種】参考書の比較検討


はじめに

 仕事の都合で、電験三種(第三種電気主任技術者)試験を受験して合格し、資格を取得しました。
 勉強のために使用していた参考書を処分する前に、参考書について記録を残したいと思います。
 電験三種を受験する誰かの役に立てば幸いです。


【補足】電気主任技術者

 電気主任技術者という資格は、工場や大きなビル等の施設で必ず必要になる資格です。工場や大きなビル等の施設では、22000Vとか66000Vみたいな、何万ボルトという高い電圧を使用するんです。
 高い電圧は大変危険で、近寄るだけでも感電します。電気は目に見えない分、知識と技術が必要ということで、電気事業法という法律で、電気主任技術者を置かないとダメですよと定められています。

 今回紹介している参考書は、電気主任技術者の参考書です。
 電気工事士とか、電気設備主任技術者とか、電気工事施工管理技士とか、電気には似たような名称の資格が色々とありますが、全て別の資格です! 

参考書がいっぱいあります

 試験受けて電気主任技術者資格を取ろう! 素晴らしい! でも、なんと驚きこの試験、毎年4万人前後が受験していますが、合格率は10%程度です。2011年は5%でした。

 需要が高い難関資格ということもあり、それなりに参考書の需要があるようです。市場には多くの参考書が流通していますが、かなりピンキリだと思います。


入門者向け参考書

  • 数学、物理、化学が苦手な人

  • 電気・電子工学なんてサッパリという人

  • 基礎の基礎から始めたい人

  • 全くわからないけど会社から電験取得しろと命じられた人

みんなが欲しかった電験三種 合格へのはじめの一歩

 入門者におすすめできる本は、これしかありません。

 電験の説明から始まり、4教科をゆるふわで教えてくれる参考書ですが、「電験のための数学編」として、基礎的な数学部分に半分近いページを割いています。
 フルカラーだし、UDデジタル教科書体みたいなフォントも読みやすくて良いと思います。

 ――そもそも勉強方法はどうすればいいのか。
 ――高校の物理……中学の理科も怪しいかも……
 ――ルートとか指数乗数も……
 ――分数の計算さえ怪しい……

 上記のような悩みをお持ちの方。
 この本を読めば、だいたい解決してくれます。
「電験のための数学編」の始まりは、分数の足し算からです。

 入門書を買う場合、一番大切なポイントは「最後まで読み切れるかどうか」です。簡単すぎる位で丁度良いのです。


参考書比較検討(一般向け)

  • いきなり過去問を解いても40点、50点位は取れる人

  • 初級者向けからステップアップ!

  • 理工系出身で基礎的な部分は大丈夫

  • 実務と絡んでいるため理解が容易

みんなが欲しかった電験三種 理論・電力・機械・法規

 みんなが欲しかったシリーズは安心の高評価です。
 とくにおすすめなのは、理論と機械です。難しい部分をわかりやすく、簡単に説明しています。

 各科目ともに教科書部分で約400ページ、演習(過去問)部分で約400ページの分厚い参考書です。
 教科書部分と演習部分で切り分けることができるとはいえ、400ページを本で購入すると重たいです。持ち運びするなら別の本かkindleで。

 教科書部分は素晴らしいのですが、問題集は過去問をほぼそのまま載せただけで、解説も簡単に終わるのが残念なポイントでした。
 A問題もB問題も出題年度も混在しているので、一定の整理をしながら学習したい人は、過去問題集を購入した方が良いです。

 電力科目は、不親切な記述が散見されます。みんなが欲しかった電力)は、おすすめしません。
 一番問題なのは、初心者が最も苦手とするであろう、線間電圧と相間電圧に関して不親切な点です。理論をマスターしてから電力を読むなら問題ありませんが、参考書としては問題がある構成だと思いました。

 法規科目は、文章問題が6割の計算問題が4割ですが、確実に合格したければ計算問題をマスターする必要があります。
 このことから、法規科目は計算問題をいかに効率よく学習できるかが争点になるのですが、この本はバランスが良すぎるため、文章問題にページを割きすぎている気がします。

 個人的には、文章問題は過去問何年分かを解いて復習して終わりでよく、ひたすら計算問題を基礎から学習した方が合格は容易だと思いますので、この本は推奨しません。

 法規科目は👇の「これだけ」シリーズの方がおすすめです。

これだけ法規&計算問題特化本

 上記でも述べたとおり、法令部分の参考書は基本的に不要だと思いますので、法規科目で合格に必要であろう部分をわかりやすく、簡単に整理されている本がおすすめなのです。

 そもそも電験は4科目を合格しなければならない都合上、大半の人は、法規に試験勉強時間を割けないはず。70点くらいを目標にするなら、情報量がコンパクトに整理された参考書が適しています。

 計算問題に特化した参考書として、下記のような計算問題に特化した本もあります。
 計算問題に苦手意識のある人は読んでみても良いと思います。


桜庭裕介の電験三種 1冊目の教科書

「1冊目の教科書」とありますが、カラーの多用、情報量過多で煩雑です。文字も小さくて、老眼の心配がある方にはおすすめできません。

 難易度も上級者向けに近く、ある一定程度の基礎知識がなければ、途中で挫折する可能性が高いです。

 この本を読むだけで合格できるとも思えず、それなりの知識や経験のある人が「とりあえず」一冊読むという状況以外ではおすすめできません。


参考書比較検討(上級者向け)

  • いきなり過去問を解いても50点位は取れる人

  • 中級者向けからステップアップ!

  • 勉強しなくても一部科目は合格できそうな人

  • エネルギー管理士(電気)とか電気工事士とかを保有してる人

電験三種の強化書

 電験三種は過去問を丸暗記すれば合格できる試験ではないという意図らしく、「合格するための標準的な知識の強化」を目的とした参考書です。

 教科書を100%マスターすればテストは100点取れる理論です。
 まあ、正論といえば正論……

 基本的には赤黒の2色使い、演習問題や過去問題の解説はなく、わかりやすさよりも知識、情報量を提供してくれる参考書です。
 ――ストイックな本。

 資格を取得した後で見返してみると、難しい本ですが悪い本ではありません。情報が無駄なく整理されています。
 電験三種の講師とか勉強会を開催する側の人は、こういう本を使っても良いと思います。実務で電気主任技術者してる人も役に立つと思います。
 この本の内容を習得できれば、全科目一発合格できるかもしれません。


2023-2024 電験三種過去問詳解

 おすすめです。受験するなら購入しておくべきです。

 過去問はインターネットで入手できますが、詳しい解説と各科目の出題傾向が星取表で整理されていたりと、電験三種のデータを入手できますので、タイパ的にもおすすめ。

 平成24年以降の難問奇問を除き、標準レベルからやや難しい問題を選抜してまとめた過去問題集です。
 問題解説も丁寧なので、演習問題を解いて解説を読むということを繰り返すだけでも学力は向上すると思います。


みんなが欲しかった! 電験三種の過去問10年

 「みんなが欲しかった」シリーズのファンなら購入しても良いと思いますが、電験三種過去問詳解の方に軍配は挙がります。


おわりに

 参考書の向き不向きなんて人それぞれですが、自分に適していない参考書を使用すると学習効率は下がります。

 youtubeの解説動画を出している人もいますが、参考書よりもわかりやすい解説動画なんてものはほとんどありません。

 勢いで参考書を購入するのも悪くはありませんが、何カ月も共に生活する参考書だからこそ、買う前にちょっとだけ、考えてみてはどうでしょうか。


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