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すごい営業力

 アラフィフのオヤジに向かって日本語で、
「おにいさん、おにいさん」
と言って近づいてきて、インチキなキャラクターのおもちゃを売り付けてくる。一番小さいキーホルダーで1コ200バーツ(600円ほど)。高いと返すと、
「2コで300バーツにおまけ」。
値下げのフリして多く売る作戦。使わないよ、と言えば、同じキーホルダーを付けた自分のバッグを見せて、
「ワタシ使っている」
と引き下がらない。そんな押し問答を繰り返しいるうちに、隣で同様の売り付けに捕まっていた連れの日本人オヤジがサイフを取り出し、何か買っている。
「ほら、あの人も買った」。
所詮、世の中は人間動関係なので、付き合ってみる。値段は100バーツまで勝手に下がっていた。
「これ80バーツで買ってきた。ワタシに20バーツ」。
多分、その辺の市場で10〜20バーツ。頭の後ろのボタンを押すと、目が光ってギーギー鳴くキティちゃんを買った。このキティちゃん顔が変と言うと、
「うん、かわいくない」
と初めて同意。

 夜の女の子がズラッと並ぶ店や和食屋などが集まる日本人向けの通りで物売りをしている、ミャンマー国境の山奥からやって来た、アカ族という山岳民族。25歳で、日本語はここで物売りをしているうちに覚えたらしい。

 客引きのかわい子ちゃんを尻目に、需要皆無のおもちゃを売り歩いて3年も暮らしているという、すごい営業力。うちの会社に来てほしいぐらいです。

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