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人生の身軽さは部屋から始まる

身軽な生き方に憧れる。
------多くの人は、「死への恐怖」からものや土地に自ら縛られて
自ら生への不安定さから逃避している------

これは非常に単純化したツッコミどころのある説ですが、
持論から大きく外れてはいません。
少しばかりの空想にお付き合いを。

不安を回避する行動特性

人間はポジティブな感情よりネガティブな感情に大きく反応する
これはよく言われていることですね。
「近所の人と楽しく会話ができた!」よりも、
「電車でくしゃみをしたら睨まれた」の方が
その日のテンションに影響を与えてしまうものです。

リスクへの評価は主観的に行うと大抵実際と乖離しています。
・大学受験の滑り止めの設定
・レンタカーの保険オプション
・その日職場に持っていく持ち物
・久しぶりに旧友に話しかけようとする時

モノの所持、定住志向、交友関係の維持….
この辺りも、もう少し肩肘に力を入れずに考えてもいいかと思うのです。

「身軽さ」は「気軽さ」

  1. モノは少し不足気味に所有しておいて、足りなくなったらその都度買えばい。
    その方がニーズに合った最適なものが買えます。
    貸し借りで済むものは、友人や家族と貸し借りすることでコミュニケーションの機会にもなります。
    できるだけストックも持たないように心がけたいです。
    「不足気味に…」と意識しても、実際はまだ過剰であるものです。

  2. 定住しない。これは現代社会において最も大事な視点かなと。
    そもそも、定住するようになったのはなぜか。
    歴史的には「狩猟採集から農耕社会への変化」だったり、「身分制による棲み分け」といった観点で説明されます。
    また社会学的には「職業階級との関連」で説明されることがしばしばありますね。
    専ら、地方では漁業、農業、地場工場などで緩やかなグループが形成されていますが、都市においては種々の職が入り組んでいるので混ざり合った現代です。
    定住への意味付けが薄れてきたと言えます。
    新しい環境に適応して進化してきた人間にとって、定住することは成長へのブレーキになる気がするのです。
    現実的には数年スパンで引越しをする生き方に憧れます。

  3. 交友関係の身軽さとは何か。絶対的な人数ではありません。
    関わり方です。

さて、この1~3のうち、即効性のあるものはどれか。当然、1のモノの身軽さです。
面白いことに、1~3は排反で独立したものではなく連動します。

例えば、
重たいショルダーバッグを持って通勤する人と、
スマホと財布だけ持って職場に行ける人。
どちらが業務後の行動が活動的になれるか。
想像に難くないはずです。

他にも、
ものに覆い尽くされた部屋に住む人と、
極限までモノを減らした部屋に住む人。
どちらがルーティン的で平凡な生活に陥らないか。

そう考えると「身軽さ」は「気軽さ」だと思うのです。

生き方への哲学に行き着く

そうはいっても、実際に行動様式を変えるのは難しいはずです。
変化を拒むそのブレーキは、リスクや勇気などぬるいものではなく
どう生きていきたいかという人生哲学の不安定さにあるからです。
「生への躊躇」あるいは「死への恐怖」と言い換えてもいいかもしれません。

安定した暮らしとは、そこそこ確からしい虚構です。
いずれ死ぬ運命にある人間や生き物に安定はないのです。
「安定した暮らし」は、物理や化学における「理想状態」のような概念です。

いわゆる「安定した暮らし」を仮に実現したとしたらどうなるか?
些細な悩みや口論が目立つようになるのだと思います。
ダイナミックな生命活動を受け入れて、それに挑む姿勢は持っておきたいですね。

以上。

興味がある人への余談

「理性を信じすぎるな」という話。
定住したから計画的な人生になるという考えは間違っている気がする。
日々の小さな予定調和を実現できても、長い期間で予定調和させることは不可能です。
計画的な人生設計は、考えることに意味はありますが、遂行することにあまり意味はないかと思います。

むしろ、そうした自分や人間の理性に対して全面的な信頼を置くことは危険です。
理性への信頼はエリートの思想にありがちです。
理性を信頼することは受験勉強をするときに役立つからです。
「計画的に勉強することで成果につながり、成果が出ないのはやり方がまずいからだ」
というロジックは努力をする動機づけとして魅力的で効果的です。

しかし、理性を全面的に信頼することで失敗する例は国家レベルで証明済みです。
共産主義というのは理性を信頼することで成り立つ理想的な社会です。
少数の政治エリートが寡頭を敷き、計画都市で計画経済を実行する。
日本でもこうした思想に傾倒したのはインテリ層です。
今でも左翼的な思想は理性重視の思想ですよね。

もちろん、伝統性や権威性に信頼を置きすぎる右翼的な思想も危険です。
要はバランスなのです。

人生においても
理性を信じて計画的に考える一面と、
経済活動を市場に任せたように、環境を変えて予定調和しない事象を増やすようにする一面。
この両面性が大事なのだと思います。

以上、余談でした。

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