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韓国2020年第一四半期の家計動向調査で所得上位下位の格差悪化 -- 第二四半期も悪化は継続の見通し

 21日に韓国の統計庁が2020年第一四半期の家計動向調査を発表。詳細はわからないが、家計動向調査で所得上位下位の格差悪化が判明。政府はコロナによる経済悪化で雇用が消失したことが影響しているとして、第二四半期も状況が継続することを懸念。

所得上位下位の格差悪化

 第一四半期はコロナの影響が本格的に出てくる前の状態なので、まだ成績はそこまで悪くなっていないはずだけど、全体を5分割した上位20%と下位20%の所得格差がさらに広がった。
下位(1分位)の所得が横ばいで支出が増加し赤字になり、それ以外の層では所得が増加して格差拡大。経済状態が良かったなら良いんだけど新型コロナの影響で経済状態がひどい中で1分位以外が所得増加していることから、所得の増加は退職金によるものという身も蓋もない報告。

もともと低所得層は短期バイトや日雇い労働で所得を得る世帯が多いので雇用を喪失していても退職金など入りませんので、雇用の消失から赤字になっている。所得上位は有給休職も多いので退職金などが入れば失業しても所得が増加する中で格差が拡大する皮肉な状態ともいえます。


政府の支援は雇用中心

文大統領の経済政策による雇用消失についてはスルーして、あくまでも新型コロナによる影響という路線は維持するつもりのようですので、報告を受けた政府の対応は雇用創出が中心。

文大統領が大々的に発表した韓国版ニューディール政策などを通じて景気回復と雇用の創出が主な政策。まぁ、明日の飯にも事欠く世帯に緊急支援目的の仕事をあてがい支援するのは当然やるべきことではあるけれど、根本的な解決になるかどうか、韓国版ニューディール政策によって新たな国内市場が開拓できる可能性に賭けるのも怖い。そもそも内需拡大を放置して輸出に特化することで成長してきた韓国経済モデルですから、内需拡大で成功できる方程式がない。

既存産業は代表的な労働集約型産業の自動車や造船といった製造業も、輸出の道が今は閉ざされているので回復の目処が立たない。半導体は価格が戻ってきているようだけれど、そもそも工場に雇用がない。
雇用の90%を支えている中小企業や自営業者は最低賃金上昇による人件費の圧迫に雇用を維持できなくなっていたところにコロナだし、IT関連で新産業を創出すると文大統領は高らかに宣言しているけれど、規制が厳しく新規産業が生まれるかどうか業界は悲観的。

構造的に文大統領の経済政策は労働者の環境改善には熱心だが、企業側には厳しいのが基本路線なので、財閥系大企業には法人税率アップし、人件費の高騰、非正規雇用をなくして正規職を強要し、各種規制は多い。新規の規制も狙い撃ちのようなものが多いし減る気配もない。むしろ、左派政権与党が安泰の議席を確保したために、どんどんと支持母体の労組有利な法案が出てきては通過していくと思われるので、今、売れるアイデアがあるスタートアップが韓国で立ち上げる環境じゃない。

企業の経済活動に有利な状況ならもっと韓国へ戻る動きがあってしかるべきだし、文政権もそれを期待してUターン政策を数年前から行っているにも関わらず企業の投資は海外ばかりで戻ってくる気配もないのは、コロナがない状態の韓国で儲けを出すことが難しいと企業が判断した結果なんですね。

その上、各国が国境を閉鎖したような状況であえて韓国に投資を戻すような動きはしづらい。厳しい労組の要求、高い人件費、低い生産性、数多くの規制、米中経済戦争の余波直撃を喰らう韓国のポジション、乏しい内需…この条件で雇用を創出しろと言われたら会社止めますね(笑)

文政権が本気で雇用と経済を立て直すつもりなら最低賃金を含んだ所得主導成長の見直しを言及するべきだが、それはすなわち文大統領の経済政策が誤りだったことを認めることになるので、メンツにかけてやらないと思います。速度は調整するだろうけれど、それはあくまでも新型コロナによる緊急措置であって、計画は維持される。現実と乖離する部分については見た目の数字を取り繕う今までのやり方で官製雇用、大量の公務員、支援という形で塞げるうちは無視するんじゃないかなぁ。

とりあえず2年間、国がもてばそれでいいんだし。
任期後のことはどうでもいいでしょう。とりあえず自分が塀の中に落ちないよう逃げる方が先(笑)

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