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IMFが韓国のばら撒き政策に苦言。基軸通貨を持つ先進国とは違う身の程を知れ。Vol.1 -- 助ける気のない冷静な分析が逆に怖いww

 中央日報韓国語版に、IMFアジア・太平洋担当局長への今後の財政政策や景気の動向についてインタビューした記事が掲載。ちなみにこの時点では日本語版には出ていない。それくらい率直で無慈悲な内容だったので紹介。

「経済が困難なときに現金散布を主張する政治家を国民が好む場合、韓国の未来はあまり明るくない」
[inter-view]
イチャンヨンアジア太平洋担当局長インタビュー
ドル・ユーロ撮る米・欧州とは異なり、
韓国の財政も使えば為替レート急騰懸念

ポストコロナ、輸出経済論の限界
規制解放高付加サービス業育て

イチャンヨン(写真)国際通貨基金(IMF)のアジア・太平洋担当局長は、中央日報とのインタビューで、韓国政府の全国民対象災害支援金サポートに懸念を表明した。彼は韓国政府の新型コロナウイルス感染症(コロナ19)政策対応と関連して、防疫とマクロ対策処方はよくしたが、むやみに、先進国の対策を取るのは問題があると警告した。韓国は国際通貨を刷る先進国ではなく、十分な政策の優先順位を明確にする必要がありとした。この局長は、政府と国際金融機関で勤務し、経済政策をよく理解している経済学者で通じる。

先月初めIMFは年次総会で、2020年の成長率は、世界-3%、アジア0%、韓国は-1.2%と予想した。一ヶ月が過ぎ変わっているのか。
「先月はとても悲観的という話を聞いた。アジアはIMFが国際統計を収集し始めた1960年以降、0%の成長をしたことがなく、韓国は通貨危機時の1998年(-5.1%)以来、初めて経済が後退したなんて、そんな意見が出てくることができる。しかし、4月末までに発表された第1四半期の材料と4月、米国の失業率が14.7%で急増したのを見ればIMFの見通しがなく、楽観的と判断される。」


韓国政府の経済への見通しは楽観的?

 ロングインタビューだから長くなるけど、冒頭のところだけでも韓国には非常に痛い話なのはわかります。当初、IMFがコロナ禍で世界の経済成長が軒並みマイナスになる中で、韓国は-1.2%とOECDの中でも影響が少ないと発表されたことで大喜びしてました。アメリカ、日本が-5%以上、全世界でも-3%でしたからね。

実際に-1.2%と聞いた当初、IMFも酷なことをするな…と苦笑いしたことを覚えています。あらゆることが幸運に包まれても最小値としてこの程度なのかもしれませんが、-2.5%あたりまではいくんじゃないのか…という気はしていました。それにあくまでも成長率ですからね。発展途上国のほうが成長率が高いなんていくらでもあります。それを数字だけで喜んでる韓国の姿がいと哀れ。

それもこれも韓国も4月のコロナ禍で韓国も苦労していれば、現実を直視する機会もあったかもしれません。しかし、欧米が感染拡大に苦しみ、日本が非常事態を宣言する中で、韓国は大邱の大規模な集団感染から医療崩壊を力業で抑えこみ、人口の半分が住むソウル首都圏の集団感染をなんとか防いでいましたから、5月にはもうコロナは終息ムードでなぜか勝利した気分が政府も世論も蔓延していたと思います。4月15日におこなわれた韓国総選挙で文大統領の防疫対策が評価されて与党が大勝したのも大きな要因でしょう。

4月の成績が好調だった故にGW前に強い社会的距離を置く措置を緩和してGWにソウル繁華街で性的マイノリティの集まるクラブやハッテンバ、所謂ナンパ屋台を舞台に集団感染が同時多発したんですけどね。文大統領が就任3年の演説でコロナ勝利宣言までしちゃってからの感染爆発と濃厚接触者が地下に潜るという失態が起きるとか、行政が思っていたよりもさらに韓国社会の終息ムードは明らかに行き過ぎてました。

つまり、それくらい4月終わりの頃の韓国は大統領から庶民まで、本気でコロナ対策に勝利し、世界が苦しむ中、ポストコロナ時代をリードするのは韓国である…と思い込んでいた。その前提があるから、財政出動にも韓国としてはかなり大胆な予算を投入したり、外交的にも強気な発言や態度が出てきてたりして実にわかりやすい国ではあります(笑)


現実はもっと残酷?

Q:さらに悪くなるというのか。
A:「昨年第4四半期に比べて、今年の第1四半期に米国-1.2%、欧州-3.8%、中国で-9.8%、韓国は-1.4%成長した。米国と欧州の第1四半期の成長率が予想より低く、今年の見通し(米国-5.9%、ユーロ圏-7.5%)より低くなる可能性がある。」

Q:なぜそうなのか。
A:「米国と欧州でのコロナ19拡散とそれによる封鎖政策効果が4月の見通しに十分に反映されていなかったからである。予想よりも米国・欧州の状況が深刻なり、封鎖政策もまだ緩和される見込みが不確実である。各国が前例のない通貨・財政政策で危機を防ぎますがワクチンや治療薬が開発されるまで、心理的に「社会的距離を置く」が続き、人々の移動が制限されるだろう。財政・金融政策だけで、実体経済は、特に消費の低迷を防ぐことは困難だ。」

Q:韓国も4月の展望よりもパジナ。
A:「今後、国内の状況は改善されても、海外の景気後退が第2四半期以降悪化することが確実であるので、韓国と中国も経済成長率がより低くなる可能性が大きい。 "


 悲しいかな経済への海外依存度が非常に高い韓国では例え国内でコロナが終息し経済活動がV字に回復したとしても海外の状況が悪ければそのまま引きずられます。

不思議と国内の感染状況が落ち着いている頃から、いち早く終息後の展開を狙って他国との交流をどうするか…って動きが見えていました。中国との間では陰性を国が保証することで渡航時の隔離期間を短縮し、素早くビジネス展開できるように相互交流を開始。EUや東南アジア、中東にも同じような措置を打診していたり特例を認めさせたり。

検査至上主義のK防疫先進国のメンツにかけて、検査で陰性は絶対的正義。精度に問題もあるPCR検査で結果が出るまで、渡航するまで陰性のままでいる保証にはならないんですが、検査に疑義を唱えるのは慰安婦の存在を疑うのと同じ程度には今の韓国ではタブーなのかもしれません。

閑話休題

で、あるから、韓国としては他国が「コロナで死ぬか飢え死ぬか」という切羽詰まった状況の中で一人ステージの違うところでビジネスを展開し、他国の困窮につけ込んで商売を展開、シェアを奪える可能性を喜んでいた節があります。しかし、予想以上に他国の状況が悪く、経済活動どころか消費意欲そのものが失われる状況。いくら韓国内の工場が稼働しててもモノを輸出しても動かない。


韓国金融市場と実体経済の乖離?

Q:経済見通しが悲観的だが、株価・金利などは相当部分回復した。金融市場は、なぜ実体経済見通しとは別に動きや。
A:「主要国がこれまでにない規模の通貨・財政政策で市場に流動性を十分に供給しているからである。4月初めまで、主要20カ国・地域(G20)が発表した、純粋な財政政策の規模はGDP比3.5%と増え続けている。2009年のグローバル金融危機の時G20財政政策の規模は2.1%であった。ここでローン、資本の拡充、保証などを加えると、主要国のGDP比扶養政策の規模は4月末現在、米国では15%、日本は18%、ドイツは34%に達している。韓国は12%程度だ。」

Q:過度の財政・金融政策が今後の副作用を引き起こす可能性はないか。
A:「副作用はすでにコロナ19以前から積もりました。膨張的通貨・財政政策が世界的な金融危機以降、持続され、全世界国債金利が0%水準かそれ以下に下がった。コロナ19により、このような傾向が今後も数年間続くと予想される。

Q:超低金利がなぜ問題なのか。
A:「低金利のために、各国の負債比率と企業・家計負債が大幅に増加した。今後、これを減らす過程(deleverage)が容易ではないだろう。増負債は、最終的に、将来の世代の負担に帰結されるか貨幣発行を通じて防ぐしかない。」

 韓国の経済規模からすると、アメリカ15%、ドイツ34%、日本18%に比較して韓国の12%ってのは高いように感じます。この辺も先ほど述べたようにいち早く終息ムードに乗って財布が緩んだ、総選挙のリップサービスに大盤振る舞いをした、先進諸外国と比較して遜色のないレベルの支援策を出したがった、そしてコロナ禍以前から痛めつけられ疲弊していた韓国経済のダメージがコロナ禍からくるダメージ以上にでかかった…あたりが理由かな?

世界的な低金利が続いていた中でこのコロナショック、低金利による副作用は各国が予想しコントロールしようとしていた範囲を超えて影響が出続ける可能性については専門家にお任せしますが、負債が大幅に増加して破綻する可能性って当然ありますよね。

韓国はそのような流れとは逆に高金利を維持していたんじゃないかな?と記憶しています。国家の財政もできるだけ借金を増やさず運用するスタイル。通貨危機や金融危機でのトラウマが本当に韓国では大きかったようですので財政の悪化は非常に嫌がられるみたいです。

それでもコロナ禍の支援に赤字国債を発行しても助けなれば国が危ういって実感は当然あるのですが、文政権発足後は左派政権らしく税金のばら撒きが政策の中心で、さらに文政権の経済政策の影響から国内企業の業績が軒並み悪化。予想していた税収が入らず国の金庫がちとヤバい状況でもありました。なので財政状況の悪化速度はたぶんOECDの中でもトップクラス。

加えて企業の借り入れ、社債の増加率や営業利益の減少率、なにより家計債務の総量、増加率ともにヤバい。日々の暮らしを借金で賄い、支払期限がまだ来ていない状態にも似ています。

長くなったので続く

Photo by Florian Olivo on Unsplash

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