見出し画像

学びのシェア:ジョブ型ってなに?

日立製作所、富士通、資生堂、KDDI、NEC、Panasonicなど多くの日系大手企業で取り入れられ、経団連の中西会長も「1つの会社でキャリアを積んでいく日本型の雇用を見直すべき」と提言する(2018年10月9日)など、ジョブ型への転換が進んでいます。

「ジョブ型雇用」という言葉が人事領域だけでなく、一般的に認知されるようになってきました。

しかし、ジョブ型ってなに?と聞かれたときに、明確に答えられないことも多いのではないでしょうか。

そこで今回は書籍『ジョブ型雇用はやわかり(マーサージャパン)』から、以下に要点を絞って、「ジョブ型雇用」について考えていきたいと思います。

《今回の要点》
①ジョブ型雇用の定義は?
②ジョブ型雇用が注目される背景は?
③そもそも日本は何でメンバーシップ型雇用が一般的なのか?
④ジョブ型の特徴は?

ジョブ型雇用の定義は?

概念を理解するときは、まず定義から、ということで確認してみましょう。
本書ではジョブ型雇用を「従業員は特定のジョブの履行を、企業はジョブの内容に見合った適切な対価を支払うことを約束する一連の雇用システム」と定義しています。
この定義を見ると、あれ?これまでと一緒じゃないの?という風に思われるかもしれません。しかしこれまでとは違います。これまでの一般的な日本型雇用(=メンバーシップ型雇用)では、終身雇用が前提にあり、営業という「ジョブ」を担っていた人も、会社都合の異動で「人事」というジョブを担うということは当たり前なように、長期の雇用期間のなかで様々なジョブを経験する可能性がありました。この後くわしく違いについては考えていきます。

②ジョブ型雇用が注目される背景は?

本書ではジョブ型雇用が注目される背景として、「グローバル化」「デジタル化」「少子高齢化」の3つのメガトレンドを挙げています。

〇グローバル化が日本型雇用にもたらしている影響
・国内市場だけでなく、グローバル市場での競争が激化
・企業の海外進出に伴い、グローバルスタンダードなマネジメントモデルへ
 の転換
〇デジタル化が日本型雇用にもたらす影響
・DX推進のた外部人材の確保が求められる
・長期勤続を前提とした雇用体系が合わなくなっている
〇少子高齢化が日本型雇用にもたらす影響
・少子化による若年層人材の人材不足
・若年層の価値観の多様化に伴う、離職率向上

上記のような経営環境の変化から、終身雇用・年功序列といった日本型雇用の機能不全からジョブ型雇用が注目されています。

③そもそも日本は何でメンバーシップ型雇用が一般的なのか?

戦後からバブル崩壊まで、国内市場は順調に成長しており、多くの日本企業は成長する自国市場において、「品質の高い商品を」「より安価で」提供することが競争力強化につながりました。このように市場が順調に成長し、製造業をはじめとした労働集約型のビジネスモデルを基本としている場合、材を安定して雇用し、技術やノウハウを伝承できるシステムが必要となります。そのため、企業は雇用を保証する代わりに、個人はどの業務にも従事するといったメンバーシップ型が発展し、新卒一括採用が基本なため、クローズドで、均一性が高く、コミュニケーションコストの低い組織づくりに成功したのです。

④ジョブ型の特徴は?

本書では以下4つの特徴が紹介されています。

1.ジョブの明確化(ジョブディスクリプション)
ジョブ型雇用は、個人が担うジョブを会社と個人の双方が合意することから始まります。そのため、担うジョブをあいまいにせず、ジョブディスクリプション(職務定義書)という形で明確化することが必要です。

2.外部市場を意識した報酬制度
ジョブ型雇用では、ジョブで組織と個人が合意形成するため、自ずと報酬はそのジョブがどの程度市場価値があるか、という観点から決まります。また市場で人材を取り合うことになるため、そのジョブの市場価値を正しく把握し、またその人材を採用・教育することでかかるコストを実際に把握できる現場のマネジャーが報酬を決定する

3.現場の権限が強まる評価制度
メンバーシップ型のような評価の公平性よりも、マネジャーとメンバー間のコミュニケーションによる納得度が重要になるため、人事による評価ではなく、マネジャーによる評価が行われ、結果として評価自体が目的化せず、人材育成の手段として機能します。

4.本人のキャリア自律が不可欠
メンバーシップ型のように企業が個人のキャリアを保障するわけではないので、ジョブ型雇用下での採用・配置・育成の原則は「キャリア自律」になります。

まとめ

働き方は今後も変化していくことが予想されます。
今回はジョブ型雇用について考えていきましたが、そもそも「メンバーシップ型」もそこまで長い歴史があるわけではなく、変化の1つであると捉え、次の変化に関心を持つことが大事なのではないでしょうか。

この記事が参加している募集

#企業のnote

with note pro

12,177件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?